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デジコン編集部 2025.11.10

建設業の58.7%が福利厚生充実を予定。帝国データバンク調査で全業界トップも原資確保に課題

帝国データバンクは、福利厚生に関する企業の実態調査を実施した。

業界別に福利厚生を充実させる予定の企業の割合をみると、建設業が58.7%で全業界トップとなった。

2024年問題をはじめ人手不足が深刻化している建設業において、採用と定着の切り札として福利厚生の重要性が高まっている。

社員の家族も含めた補助に力を入れる動きが加速


今後、法定福利を除く福利厚生を充実させる予定があるか尋ねたところ、全体では福利厚生を充実させる予定の企業は47.6%と5割近くにのぼった。

業界別にみると、建設業が58.7%で最も高く、次いで運輸・倉庫が55.1%と50%台後半にのぼった。

建設業の企業からは、人員不足の今、社員のみならずその家族も入れた補助に力を入れたいといったコメントがあがった。2024年問題や慢性的な人手不足を背景に、建設業界では従業員とその家族を含めた包括的な福利厚生の充実に取り組む姿勢が鮮明となっている。



福利厚生を充実させる予定の企業では、求職者が福利厚生を重視する傾向がみられ、企業としてはその充実が求められているという声や、従業員の定着率を上げるためにも同業他社に引けを取らないレベルまで改善を図っていくといった声があった。

人手不足が深刻化するなか、採用対策や定着率の向上を目的として今後福利厚生を拡充する企業が多くみられた。

一方、予定はないと回答した建設業の企業からは、福利厚生をもう少し充実させたいが、原資の確保が難しいという声が寄せられた。資材価格の高止まりや人件費の上昇が続くなか、福利厚生の拡充に向けた資金的余裕がない実情が浮き彫りになった。

今後取り入れたい法定福利を除く福利厚生を尋ねたところ、社員旅行の実施・補助およびフレックスタイムがいずれも11.4%でトップとなった。

フレックスタイムは、2025年10月施行の改正育介法で義務化された柔軟な働き方の選択肢の一つである。



福利厚生を充実させる予定の企業の割合を規模別にみると、大企業は57.9%と全体の47.6%を10.3ポイント上回った。一方で、中小企業は45.8%、うち小規模企業は38.5%となり、企業規模が小さいほど割合が低くなる傾向がみられる。


原材料費や人件費など各種コストの増加が続くなか、制度設計や運用にかかるコスト負担やリソースの不足が、特に中小企業において大きな障壁となっており、導入したいが余裕がないとの声が多く聞かれた。





建設業界では、賃上げに加えて福利厚生の充実が人材確保の重要な施策となっている。しかし、中小建設業者を中心に原資確保の難しさが課題となっており、政府による中小企業向けの政策的支援や、導入しやすい簡易モデルの整備が求められる。

帝国データバンクの本調査は、全国2万5,546社を対象に実施され、有効回答企業数は1万554社、回答率は41.3%だった。調査期間は2025年9月16日から9月30日までのインターネット調査である。




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