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デジコン編集部 2025.11.10

テラドローン、日本初のクマよけスプレー搭載ドローンを開発。上空から遠隔噴射で現場の安全確保を支援

テラドローンは、クマよけスプレー搭載ドローンの開発を発表した。上空から唐辛子スプレーを遠隔操作で噴射する仕組みにより、クマに接近することなく背後・側面からの全方位噴射に対応することが可能だ。

クマ被害が記録的水準に達する中で遠隔操作による安全な対応を実現


2025年は、日本各地でクマの人身被害および市街地付近での出没が記録的水準に達している。環境省等の集計では、4月以降の負傷者が100名、死者が12名を超え、過去最悪の水準で推移している。

とりわけ東北地方の秋田・岩手などで深刻化が目立ち、住宅地・商業施設・学校周辺といった生活圏での目撃・遭遇が相次いでいる。秋田県では事態の深刻化を受け、自衛隊が後方支援に入る異例の対応も実施された。

同県内の目撃件数は8,000件超で前年比約6倍に達し、わな設置や見回り体制の強化が進められている。一方、致死的対応の是非をめぐる多様な意見や要望が自治体に集中する局面が生じ、現場では安全確保と配慮の両立に加えて、説明・相談対応の負荷増が課題となっている。

加えて、ハンターの不足や高齢化、野生動物の致傷を目的とした常設訓練・運用を前提としない関係機関の任務制約により、現場の選択肢が限られるケースが見られている。


テラドローンは、ドローンを活用して社会課題を解決することを目指し、これまで測量点検・農業分野においてドローンソリューションを開発・提供してきた。2025年1月に発売した自社開発の屋内点検用ドローン「Terra Xross 1」では、従来同等機種比で約3分の1の価格を実現した。

このような設計・開発のノウハウを生かし、このたび、上空からの広域探索とオペレーターの安全確保を両立する手段として、遠隔操作でクマよけスプレーの噴射が可能なドローンの開発に至った。

本製品は、上空からの探索で状況を素早く把握しつつ、オペレーターがクマと安全な距離を保ったままクマよけスプレーを噴射することが可能。ドローンの遠隔操作により、クマの背後・側面への回り込みや全方位からの噴射ができるため、風向き待ちの時間を減らし、最小限の噴射での対応が可能となる。

クマよけスプレーは、トウガラシ由来の辛味成分カプサイシンを主成分とする非致死的な防護手段である。一般的な噴射距離は約5メートルから10メートルとされており、カプサイシンが目・鼻などの粘膜に強い刺激を与えることで、人間の数千倍の嗅覚を持つクマを一時的にひるませ、突進や接近から退避する時間を確保することができる。

北米の研究では、高い抑止効果が報告され、銃器より扱いの熟練依存が小さい点も評価されている。日本においても環境省や自治体のガイダンスにおいて、遭遇時の有効な最終防護手段としての位置づけが示されている。

製品の特徴として、クマよけスプレー缶を機体に搭載し上空からの噴射を実現した。FPVジンバルカメラにより、コントローラーで映像を確認しながら飛行が可能だ。

コントローラーの噴射ボタンでワンボタンでの遠隔噴射が可能となっている。GPS Position飛行により屋外での安定飛行を実現している。

各自治体と災害時応援等の協定を結ぶ、地域の測量会社防災事業者等がドローンのオペレーターを担当する。テラドローンは講習等を行い本製品を提供する。





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