コラム・特集
平田 佳子 2023.9.6

GNSS測量の精度を左右する「ローカライゼーション」とは?【測量のことイチから解説!】

ローカライゼーション(localization)」というと、一般的に外国の言語や文化に、コンテンツやサービスを適応させる業務のイメージがあるかもしれないが、土木・建設業界でもローカライゼーションという工程がある。建設業界でよく使われるローカライゼーションとはどういったものなのだろうか。

土木・建設業界におけるローカライゼーションとは?


土木・建設業界のローカライゼーションは、人工衛星で地球上の位置を計測するGNSS(Global Navigation Satellite System / 全球測位衛星システム)測量に関連する工程だ。

実際に建設現場で位置を測る時は工事基準点をX軸・Y軸・Z軸で表示した「平面直角座標」と呼ばれる座標を用いるが、GNSSで人工衛星から取得する観測データは地球に重心を置いた座標軸で緯度・経度・楕円体高で測量成果が表示される。


そのため、平面直角座標とGNSSで計測した座標は誤差が生じてしまう。

そこで、GNSS座標を現地の平面直角座標に変換して誤差をなくし、局地化することをローカライゼーションという。ローカライゼーションは、ICT施工を行う上で精度を左右する重要な工程なのだ。

ローカライゼーションの3つのステップ


ローカライゼーションは実際にどう行うのか、RTK-GNSSを利用した場合のステップを見てみよう。

RTK-GNSSはすでに位置がわかっている基準局と位置を測りたい移動局の2つのポイントを同時にGNSSで観測するオーソドックスな測位だ。


主に以下の3ステップになる。

まずは、建設現場にGNSSの基準局(固定局)を設ける必要がある。設置する場所は、衛星からの電波を受信しやすいよう、「上空視界が確保されている」「電波塔などの障害電波が発生しない」「金属製品や高層建築物が近くにない」ことがポイント。

トンネルや高架下、樹木に覆われている場所などでは電波を受信できないため、注意したい。

次に、GNSSローバーなどを用いて移動局側で現地の基準点を計測する。

ローカライゼーションは基準点で囲まれた範囲に適用される。高さも含めた3次元座標で基準点を計測し、施工するエリアを囲みながら最低でも4点以上、通常5~7点程度は観測することが重要だ。


最後に、基準点の座標データと観測したデータを用いて、座標変換値を作成。事前に座標変換値を設定しておけば、自動的に現地座標の計測値が得られるため、スムーズにICT施工ができる。

ICT化で生産性を上げ、精度の高い施工を行うためにも、ローカライゼーションは不可欠。測量やローカライゼーションに便利なツールもあるため、活用してはいかがだろうか。


例えば、3次元スマホ測量アプリOPTiM Geo Scan」では、GNSS座標と基準点から高精度な測量データを自動で生成する「ローカライゼーション機能」を搭載

手軽な操作で、ICT土工基準を満たしたデータを取得できる。他にも、所有するマシンや施工、現場に合ったツールを検討すると良いだろう。






画像:Shutterstock
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WRITTEN by

平田 佳子

ライター歴15年。幅広い業界の広告・Webのライティングのほか、建設会社の人材採用関連の取材・ライティングも多く手がける。祖父が土木・建設の仕事をしていたため、小さな頃から憧れあり。

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