
- SLAM技術搭載のハンドヘルド型レーザースキャナーで計測業務を革新 〈 FLIGHTS 〉
- DJI Matrice 350ベースの新世代UAVレーザ測量システム「PENTAX UL-X1」 〈 TIアサヒ 〉
- NETIS認定「GENBAx点検」で建設現場の安全点検業務をペーパーレス化 〈 ソラビト 〉
- マルチャーのパイオニアが提案する建設、林業・解体業の革新アタッチメント 〈 建機ワールド 〉
- 建機と人の衝突事故を防ぐNETIS登録「AIカメラシステム」 〈 レグラス 〉
- スマートフォンで実現する次世代高精度測量ソリューション〈 イメージワン 〉
- NETIS登録「チルトローテータ」と新型SQ40「全自動クイックカプラ」を日本初披露 〈 スチールリスト 〉
- イタリア発35年の歴史を持つ林業・道路建設機械のグローバルリーダー 〈 FAE Group 〉
- 産業用水素エンジンで脱炭素化をリードする包括的パワーソリューション 〈 ヤンマーパワーテクノロジー 〉
- 1人で複数建機を操作する無人化施工の実現可能性を実演 〈 コマツ 〉
- 既存建機を後付け無人化する自動油圧ショベル「ヨイショ投入くん」 〈 ARAV 〉
- AIカメラによる作業員リスク判定システム「カオカラ」 〈 アクティオ 〉
- 1台多役のアタッチメント着脱システムで現場革新〈 日立建機 〉
建設・測量分野におけるDXと生産性向上の最前線を体感できる国内最大級の展示会「第7回 国際 建設・測量展 CSPI-EXPO」が、2025年6月18日から21日の4日間にわたって幕張メッセで開催された。
前編の記事では、AI人検知システムから3次元化支援、ドローン技術、現場コミュニケーションツールまで、建設・測量業界の基幹技術となる12社のソリューションを紹介した。

建設・測量業界のDX推進が加速する中、各社が提案する技術は単なる効率化にとどまらず、労働力不足、安全性向上、環境配慮といった業界が直面する根本的課題の解決を目指している。
後編では、これらの多様化するニーズに応える最新技術の詳細を、前編に続いてレポートする。

FLIGHTSは、建設業界の労働力不足と計測業務効率化の課題解決を目指し、SLAM技術を搭載したハンドヘルド型レーザースキャナー「FLIGHTS SCAN HANDY」を展示した。
同社は3年間連続でCSPI-EXPO出展しており、昨年は1,700名以上が来訪するなど高い注目を集めている。

「FLIGHTS SCAN HANDY」は、導入コストを抑えつつ1名体制でもすぐに使える簡単・シンプルな操作性を実現したハンドヘルド型レーザースキャナーだ。
工事の計画から完成検査まで各工程で幅広く活躍し、起工測量・出来高測量・出来形測量など多様な測量業務に対応している。
技術的特徴として、注目のSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を搭載し、従来のドローン搭載型や地上型のレーザースキャナーでは計測が困難な箇所を補完する用途としても活用可能だ。

手持ち式のため、狭小部や構造物の内部、複雑な形状の箇所など、従来機器では接近困難な場所でも高精度な計測を実現している。
同製品は、建設業界全体の深刻な労働力不足に対する解決策として開発されており、特に測量業務や建設現場の管理・監督業務に従事し、より効率的な計測業務が必要な現場担当者を手助けする設計となっている。

既存のレーザー測量機器に課題を感じている測量事業者や、計測業務の生産性向上を求める建設事業者にとって有効なソリューションを提供している。
FLIGHTSは、大手建設コンサルタントや航空測量会社での事業開発・研究開発経験を積んだメンバーを中心に、既存業務の内容や役割、計測手法や成果に求められる要件、関連法規制等を熟知した上で開発を行うテクノロジースタートアップとして、「計測業務の効率化」と「計測成果のデジタル化」を推進している。
TIアサヒは、2025年9月上旬発売予定の新製品UAV・レーザ測量システム PENTAX「UL-X1」を展示し、ドローン測量の新たなスタンダードを提案した。
同システムは「広範囲を短時間で効率的に計測」をコンセプトに、現場の省人化に最適化されたソリューションとして開発されている。

「UL-X1」の機体には、操作性と安全性に優れたDJI JAPANのMatrice 350を採用している。この選択により、建設・測量業界で広く使用されている信頼性の高いプラットフォームをベースとした安定運用を実現している。
計測ユニットには、ロングレンジのLiDARセンサを中核として、45MPフルフレームカメラとフロントビューカメラを統合搭載。
この構成により、高精度な点群データ取得と同時に高解像度画像撮影が可能となり、測量成果の品質向上と作業効率化を両立している。

ロングレンジLiDARセンサの搭載により、従来のドローン測量システムと比較してより広範囲の計測が可能となり、測量作業の大幅な効率化を実現する。
45MPフルフレームカメラは、詳細な現場記録と高精度なフォトグラメトリ処理を可能にし、LiDARデータと組み合わせることで包括的な測量成果を提供している。
さらに、フロントビューカメラの搭載により、飛行中の前方視界確保と障害物回避支援を強化し、安全性の向上に寄与している。これらの統合システムにより、オペレーターは安心してドローン測量業務を実施できる環境が整備されている。
ソラビトは、建設現場の安全点検を効率化するNETIS認定ツール「GENBAx点検」を展示し、あらゆる点検表のペーパーレス化による業務効率化を提案した。

同サービスは建設機械の始業前点検から設備・足場点検、作業員の健康チェックまで包括的にカバーし、安全点検業務のデジタル化を推進している。
「GENBAx点検」の最大の特徴は、建設現場で発生する多様な点検業務を統一プラットフォームで管理できる点だ。

建設機械の始業前点検、設備や足場の安全点検、作業員の健康チェックなど、従来紙ベースで実施されていたあらゆる点検表をデジタル化し、現場での記入からデータ管理まで一元化している。
業務効率化の面では、点検表の物理的な回収作業を不要にし、点検承認プロセスをスマート化することで、管理者の負担を大幅に軽減。

現場で入力されたデータは即座にシステム上で共有され、リアルタイムでの点検状況把握と迅速な承認処理を可能にしている。
NETIS認定技術として、国土交通省による技術評価を受けた信頼性の高いシステムであり、公共工事での導入においても技術的な裏付けが確保されている。
建機ワールドは、5年前から日本でのマルチャー普及を牽引してきたパイオニア企業として、林業用マルチャーと切り株処理、解体作業の革新的ソリューションを展示した。
「マルチャーの建機ワールド」として全国から評価される同社は、世界の最高級製品の日本市場への導入と自社オリジナル開発製品により、林業・解体業界の作業効率化を推進している。

目玉の展示として、エストニアのディッパーフォックス社製「切り株クラッシャー」を展示。
同社は数年前に切り株処理の問題を解決するため、このアタッチメントを日本に初輸入し、日本市場に浸透させた実績を持つ。
現在では切り株処理の定番となりつつある同製品は、油圧ショベル、スキッドローダー、タイヤショベルなど様々な機械に取り付け可能だ。
ディッパーフォックス切り株クラッシャーの技術的特徴は、特許取得済みギアボックスが切り株・土壌・根の抵抗に応じて速度と出力を自動調整し、残った切り株を簡単かつ素早く除去する点にある。

建機ワールドオリジナル開発商品「極(きわみ)回転フォーク」は、従来の回転フォークが最低でも2系統の配管を必要としたのに対し、1系統の配管で使用可能な革新的設計を実現している。
最大の特徴は「甘噛み」の状態でも回転が可能なことで、トタン板のような薄い素材でもぐしゃぐしゃに潰すことなく美しく整理できる。
他社製品が完全に閉じるか全開の状態でなければ回転できないのに対し、極回転フォークは部分的にグリップした状態でも回転できる独自技術により、繊細な材料の取り扱いを可能にしている。

特別サポートとして、エストニアで旅行業や自動車整備会社、宿泊ロッジなど5つの事業を展開する実業家であり元力士のバルト氏が、ディッパーフォックス社の応援のために駆けつけ、国際的な技術交流の架け橋として展示会を盛り上げていた。
レグラスは、建設現場での重篤な労災事故防止を目指す「衝突事故軽減 人物検知AIカメラ OmniEye/EagleEyeII」を展示し、建機と人との衝突事故軽減ソリューションを提案した。

同社は重機作業の死角問題と合図・確認抜け、誤操作による事故を技術的に解決するNETIS登録商品として、建設現場の安全性向上に貢献している。
「OmniEye/EagleEyeII」の最大の特徴は、危険エリアに人がいた場合だけ警報を出すため、作業効率を落とさずに安全確認ができる点だ。


また、さらなる安全対策として建機を停止させることも可能なAIカメラシステムとして設計されている。どんな建機・産業車両にも後付けが可能で、既存設備への導入障壁を大幅に下げている。

技術的優位性として、カメラメーカーとして培ってきた画像技術を搭載しており、夜間、霧、雨、逆光などの過酷な環境でも使用できる耐環境性能を実現。防水防塵仕様で振動テストも実施済みのため、屋内外どこでも安心して使用できる。
AI技術では、建設現場、作業現場、工場などの使用環境を想定し、現場で発生する様々な人の姿勢や資材によって体の一部が隠れてしまう状況も考慮して学習済みのため、人の認識精度が高いという特徴がある。

実際の現場環境に特化した学習データにより、誤検知を抑制しながら確実な人物検知を実現している。
「OmniEye」には全方位ドライブレコーダー機能が標準搭載され、事故発生時の状況記録と原因分析にも活用できる。オプションとして、モニタ、音と光で知らせる積層灯、建機を停止させる停止制御機能を用意しており、現場のニーズに応じた柔軟なシステム構成が可能だ。
次世代技術として、LiDARを組み合わせた開発中の製品も紹介された。人の命や怪我の発生軽減に加えて、物との衝突事故軽減への要望にも応えるため、より現場で安全に使用できる製品開発を進めている。
イメージワンは、写真測量技術とRTK測位を組み合わせたスマートフォン対応の高精度3D測量ソリューション「PIX4Dcatch RTK」を中核に、次世代測量技術の包括的プラットフォームを展示した。

同社は手軽さと高精度測位を両立させることで、測量・建設・インフラ管理など幅広い分野での活用を可能にしている。
「PIX4Dcatch RTK」は、写真測量技術とRTK測位を組み合わせ、iPhone ProのLiDAR技術も活用することで、より高密度な点群生成を実現。

写真とLiDARを組み合わせた3D点群データやメッシュモデルの生成が可能で、高解像度のオルソモザイクやDSMなどの2D成果物も作成できる。GNSSローバーを使用した際のRTK測位は相対誤差1cm、絶対誤差5cm以内という高精度を誇っている。
測位システムでは「Reach RS3」を展示し、高精度な単点測位とRTK測位に対応したGNSS受信機として、IMU搭載により最大60°の傾斜でも20mm以内の精度を維持することが可能だ。

傾けた状態でも正確な測位が行えるため、従来の垂直設置が困難な環境でも効率的な作業を実現している。
オープンスカイ環境では約5秒という短時間で位置情報を取得でき、迅速な測量作業を可能にしている。

また、RTK測位の固定局として設置することもでき、より高精度な測位システムの構築が可能だ。
スチールリストは、CSPI-EXPOに6回目の出展を行い、225㎡の対話形式屋内ブースで来場者を迎えた。
同社は創立20周年を迎え、2025年前半に世界20以上の展示会に参加するグローバルな活動の一環として、チルトローテータ、クイックカプラ、ワークツールのリーディングメーカーとしての地位を強調している。

展示の目玉は、4月のドイツbauma展で初披露されたSQ40全自動クイックカプラシステムの日本市場初導入だ。
ブース展示のX07チルトローテータはSQ40仕様となっており、SQテクノロジーにより油圧ワークツールの交換が簡単かつ安全に行えるようになった。

最大6トンのミニショベルにも対応可能で、モジュラー構造により部品点数を大幅に削減している。
特徴として、クイックカプラ、チルトローテータ、ワークツールをS規格からSQ規格へ容易にアップグレードできる設計を採用。

これによりホース配管の取り回しが非常に柔軟となり、さまざまな油圧ワークツールに対応できる。

実演では、スチールリストのX04直付けチルトローテータを搭載したVolvo ECR25電動ショベルとコマツPC30E電動ショベルの2台を使用し、ワークツール共用の効率性を披露した。

Open-S規格の推進では、Steelwrist SQ60カプラとOpen-S準拠のアダプタプレートを用いて、異なるメーカー製品の互換性を紹介している。


FAE Groupは、1989年にイタリア北部のフォンド(トレント)に設立され、35年にわたり様々な機械の製造で世界をリードしてきた老舗メーカーだ。

同社は長年にわたり機械のラインを拡充し、グローバル市場拡大により他の国に支店を開設するなど、世界的な事業展開を推進している。
そんな同社の展示の中核となったのは「油圧ショベル用マルチャー」で、高い破砕・裁断能力と耐久性に優れた刃を装備した林業用マルチャーとして、草刈り、灌木・切り株の処理を効率良くこなす設計となっている。

メンテナンス頻度を最小限に抑える設計により、運用コストの削減と稼働率の向上を両立している。

さらに、注目製品として「ラジコン式マルチャーRCU120」を展示し、120馬力のエンジンを搭載したコンパクトかつパワフルな遠隔操作式マルチャーを提案。
オペレーターは草刈り、枝葉の破砕、切り株の粉砕等の作業を離れた位置から行うことができるため、蜂や蛇などの動物による事故、急傾斜地での転倒、暑さ寒さによる体調不良等の事故リスクを最小限に抑えることが可能だ。

この遠隔操作技術により、従来危険とされていた作業環境でも安全かつ効率的な作業を実現している。
道路建設分野では、新作の「油圧ショベル用ロードプレーナー」を展示。
専用設計のツースと油圧モーターにより最大13.5cmの深さでアスファルト・コンクリートの切削が可能で、道路補修・改修工事における効率化と精度向上に貢献している。
測量技術とXR技術の融合による次世代ソリューション 〈 Kudan・神戸清光・アクティブリテック 〉
Kudanと神戸清光、アクティブリテックは共同出展を行い、測量技術商社と最先端XR技術企業の融合による革新的なソリューションを提案した。
神戸清光は、測量計測機販売商社として創業から50年の歴史を持ち、単なる製品販売ではない技術商社として発展してきた。

アクティブリテックは、XGRIDS製品の販売・レンタルサービスを提供し、フォトリアルなXR環境を構築する最先端技術企業として展示を行った。
同社は3Dガウシアンスプラッティング技術を活用し、エンターテインメント、不動産、観光、トレーニング分野などで圧倒的な没入感とリアリズムを実現している。
3Dガウシアンスプラッティング技術を活用したフォトリアルなXR環境の構築により、バーチャルショールームや建築ビジュアライゼーション、インタラクティブなトレーニングシミュレーションなど、あらゆるシーンでリアルな体験を提供。

最先端のレンダリング技術とリアルタイムライティング効果を組み合わせ、デジタルと現実の境界を超えた圧倒的なビジュアルを実現している。

ヤンマーパワーテクノロジーは、「ENERGY DIVERSITY, YOUR SOLUTION PARTNER」をテーマに、産業用機械の脱炭素化をサポートする包括的なソリューションを展示した。
同社は1933年に世界で初めてディーゼルエンジンの小型実用化に成功した産業機械メーカーとしての歴史を持ち、環境負荷フリー・GHGフリーの企業を目指している。

展示の最大の目玉は、国内初展示となる産業用水素エンジンのコンセプトモデルだ。
最新のディーゼルエンジン「4TN101」(排気量3.8リットル)をベースに開発されており、既存のエンジン設計を大きく変えることなく水素燃料に適応できる設計となっている。

この技術により、既存の産業機械からのスムーズな移行を可能にし、脱炭素化への現実的なソリューションを提案している。
電動化ソリューションでは、「YANMAR e-Powertrain」をホイールローダーのモックアップに搭載して展示した。

e-Powertrainシステム(電動パワートレイン)は、顧客の多様なニーズに対応し、計画から製造、品質保証、アフターセールスまで一貫したサポートを提供している。
バッテリーソリューションでは、2つのタイプを展示した。


「高エネルギー密度バッテリーパック」は、リチウムイオン電池を採用し、コスト効率を重視した標準パックで、クラス最高レベルの高いエネルギー密度を誇り、柔軟な電圧と容量の構成が可能なデザインが特徴だ。
コマツは、屋内ブース メインステージでの「無人化施工デモンストレーション2025」を通じて、建設現場における省人化・無人化の実現可能性を具体的に提示した。
同社が推進する「スマートコンストラクション」のコンセプトに基づき、EARTHBRAINのIoT・AI技術を活用した包括的な施工管理ソリューションを展開している。

デモンストレーションは二部構成で実施された。
前半部分では、遠隔施工・無人化施工の導入によってオペレーターの働き方や生活がどのように変化するのかを、ドラマ形式の映像で表現し、技術導入の人間的側面にスポットを当てた。


後半では河川築堤工事を想定した実践的な施工デモを展開した。使用されたソリューションは、3次元で現場を可視化し土量・面積・距離などの施工管理に必要な情報を取得する「Smart Construction Dashboard」、仮設設計検討を支援する簡易CAD「Smart Construction Design3D」、現在開発中の「Smart Construction Craft」などで構成されている。

開発担当者は、無人化施工を実現するための3つの必須要件を明示した。第一に工事計画の作成・修正をデジタル環境で容易に実施できること、第二に遠隔施工と自動施工を状況に応じて柔軟に切り替えられること、第三に最小限の人数で現場運用が可能であることだ。

実演では、ドローンによる点群データ取得から施工量の計算、設計データの建機への転送、ICT施工の開始という一連のワークフローを映像で紹介した。
続いて建機遠隔操作システム「Smart Construction Teleoperation」による段切り作業と盛り土作業を、千葉県の試験場から展示会場へリアルタイム中継する形式で実施した。

特筆すべきは、1名のオペレーターが遠隔操作の油圧ショベル・ブルドーザーと自動運転のダンプトラックを同時制御し、遠隔と自動を組み合わせた複合運用を実演した点だ。
この実証により、大幅な省人化を達成しながらも施工効率を維持できることを具体的に示し、建設業界が直面する人材不足問題への現実的な解決策を提案している。
ARAVは、自動油圧ショベルRX「ヨイショ投入くん」のデモ展示を開始し、電子制御式油圧ショベルへの後付けによる無人稼働実現を提案した。

同システムは建設業界の深刻な人手不足解決と、中小建設会社でも導入可能な低コスト自動化を目指して開発されている。
「ヨイショ投入くん」の核心技術は、既存の油圧ショベルに装着するだけで自動運転を可能にする後付けシステムだ。

LiDAR(光検出測距)センサーとIMU(慣性計測装置)を統合し、周辺状況を三次元で把握しながら掘削・排土作業を自律的に実行する。現在はCAT320に対応しており、今後対応機種の拡大を計画している。
適用分野は、プラントやリサイクル施設における投入工程の完全無人化に焦点を当てている。鉱山・砂石・骨材ヤードでは一次破砕機や原料投入作業の自動化により、24時間連続稼働と生産性向上を実現する。

焼却バイオマス発電施設では、粉塵や騒音が発生する過酷な環境での燃料チップ投入作業を無人化し、作業員の安全性を確保できる。
製鋼・金属スクラップ処理、建設残土・再資源化施設、一般廃棄物処理施設など、危険度の高い作業環境での活用を想定しており、重量物や鋭利な物体を扱う現場での安全性向上と効率化を両立。

技術の特性として、センサー融合技術により悪天候や粉塵環境下でも安定稼働を維持し、機械学習アルゴリズムにより現場固有の作業パターンを学習して継続的に精度向上する仕組みを備えている。
同社がこれまで培ってきた遠隔操作・自動運転技術をパッケージ化し、専門知識がなくても現場作業員が容易に操作できる設計を実現している。
技能を持つベテランスタッフの大量退職と新規人材確保困難により、中小・中堅建設会社が直面する構造的な人材不足問題への実用的解決策として期待されている。
総合建設機械レンタル大手のアクティオは、建設現場のDXと現場環境改善をテーマに、屋内・屋外両会場で実機展示とデモンストレーションを展開。
衛星通信サービス「Starlink Business」やサイレントシステム商材、リチウムイオン電池式電動バックホー「TB20e」などと共に、現場の課題解決を目指す実用性の高いソリューションとして多くの来場者から高い評価を得た。

本記事で紹介するアクティアが提供する「カオカラ」はAIカメラが外部環境データと生体データを組み合わせて個人ごとに高精度なリスク判定を実行する。
作業員の顔を撮影するだけで、気温や湿度などの外部環境要因と、個人の体調や疲労度などの生体情報を総合的に解析し、熱中症や体調不良のリスクを事前に検知するシステムとなっている。


運用面では、タブレットを起動し設置するだけで簡単に運営可能な設計となっており、専門知識や複雑な設定作業を必要としない。
判定撮影は最大3秒で完了し、作業員の入場管理や点呼時に迅速なリスクチェックを実施できるため、現場作業の開始を遅らせることなく安全確認が可能だ。

データ管理では、リスク判定データを一元集約するクラウドシステムを採用。
現場管理者は全体及び個々の作業員の健康状況をいつでもリアルタイムで把握でき、リスクの高い作業員への早期対応や適切な作業配置の判断を支援している。
日立建機は、施工現場の生産性と安全性を革新する2つのソリューション「P-Line(ピーライン)」を展示した。
「P-Line」は、1.7~30tクラスの油圧ショベルに対応したアタッチメント着脱システムとして、1台の建機で多様な作業を可能にするソリューションだ。

油圧ショベル本体、各種アタッチメント、旋回機能付き完全油圧式クイックカプラ、アタッチメント自動認識装置などを組み合わせて構成され、ユーザーの業種に応じたカスタマイズが可能となっている。
最大の特徴は、オペレーターが運転席から降りることなく、単独でアタッチメント交換を完了できる点だ。従来は油圧配管の着脱やピン操作などの手作業が必要で、多くの時間と労力、さらに複数の作業者を必要としていた。
P-Lineはこの課題を解決し、従来複数台の機械と作業者で実施していた作業を油圧ショベル1台で遂行できるため、施工現場の安全性向上と生産性改善に大きく寄与している。

都市部の道路工事を例にすると、土砂掘削・根切り・管敷設・埋め戻し・締固めといった一連の作業において、従来は油圧ショベルに加えて複数の専用機械を投入する必要があった。P-Lineによりアタッチメント交換の煩雑さが解消され、都市土木、管工事、解体、環境リサイクルなど幅広い業種での活用が期待されている。
前編の記事では、AI人検知システムから3次元化支援、ドローン技術、現場コミュニケーションツールまで、建設・測量業界の基幹技術となる12社のソリューションを紹介した。

建設・測量業界のDX推進が加速する中、各社が提案する技術は単なる効率化にとどまらず、労働力不足、安全性向上、環境配慮といった業界が直面する根本的課題の解決を目指している。
後編では、これらの多様化するニーズに応える最新技術の詳細を、前編に続いてレポートする。

SLAM技術搭載のハンドヘルド型レーザースキャナーで計測業務を革新 〈 FLIGHTS 〉
FLIGHTSは、建設業界の労働力不足と計測業務効率化の課題解決を目指し、SLAM技術を搭載したハンドヘルド型レーザースキャナー「FLIGHTS SCAN HANDY」を展示した。
同社は3年間連続でCSPI-EXPO出展しており、昨年は1,700名以上が来訪するなど高い注目を集めている。

「FLIGHTS SCAN HANDY」は、導入コストを抑えつつ1名体制でもすぐに使える簡単・シンプルな操作性を実現したハンドヘルド型レーザースキャナーだ。
工事の計画から完成検査まで各工程で幅広く活躍し、起工測量・出来高測量・出来形測量など多様な測量業務に対応している。
技術的特徴として、注目のSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を搭載し、従来のドローン搭載型や地上型のレーザースキャナーでは計測が困難な箇所を補完する用途としても活用可能だ。

手持ち式のため、狭小部や構造物の内部、複雑な形状の箇所など、従来機器では接近困難な場所でも高精度な計測を実現している。
同製品は、建設業界全体の深刻な労働力不足に対する解決策として開発されており、特に測量業務や建設現場の管理・監督業務に従事し、より効率的な計測業務が必要な現場担当者を手助けする設計となっている。

既存のレーザー測量機器に課題を感じている測量事業者や、計測業務の生産性向上を求める建設事業者にとって有効なソリューションを提供している。
FLIGHTSは、大手建設コンサルタントや航空測量会社での事業開発・研究開発経験を積んだメンバーを中心に、既存業務の内容や役割、計測手法や成果に求められる要件、関連法規制等を熟知した上で開発を行うテクノロジースタートアップとして、「計測業務の効率化」と「計測成果のデジタル化」を推進している。
DJI Matrice 350ベースの新世代UAVレーザ測量システム「PENTAX UL-X1」 〈 TIアサヒ 〉
TIアサヒは、2025年9月上旬発売予定の新製品UAV・レーザ測量システム PENTAX「UL-X1」を展示し、ドローン測量の新たなスタンダードを提案した。
同システムは「広範囲を短時間で効率的に計測」をコンセプトに、現場の省人化に最適化されたソリューションとして開発されている。

「UL-X1」の機体には、操作性と安全性に優れたDJI JAPANのMatrice 350を採用している。この選択により、建設・測量業界で広く使用されている信頼性の高いプラットフォームをベースとした安定運用を実現している。
計測ユニットには、ロングレンジのLiDARセンサを中核として、45MPフルフレームカメラとフロントビューカメラを統合搭載。
この構成により、高精度な点群データ取得と同時に高解像度画像撮影が可能となり、測量成果の品質向上と作業効率化を両立している。

ロングレンジLiDARセンサの搭載により、従来のドローン測量システムと比較してより広範囲の計測が可能となり、測量作業の大幅な効率化を実現する。
45MPフルフレームカメラは、詳細な現場記録と高精度なフォトグラメトリ処理を可能にし、LiDARデータと組み合わせることで包括的な測量成果を提供している。
さらに、フロントビューカメラの搭載により、飛行中の前方視界確保と障害物回避支援を強化し、安全性の向上に寄与している。これらの統合システムにより、オペレーターは安心してドローン測量業務を実施できる環境が整備されている。
NETIS認定「GENBAx点検」で建設現場の安全点検業務をペーパーレス化 〈 ソラビト 〉
ソラビトは、建設現場の安全点検を効率化するNETIS認定ツール「GENBAx点検」を展示し、あらゆる点検表のペーパーレス化による業務効率化を提案した。

同サービスは建設機械の始業前点検から設備・足場点検、作業員の健康チェックまで包括的にカバーし、安全点検業務のデジタル化を推進している。
「GENBAx点検」の最大の特徴は、建設現場で発生する多様な点検業務を統一プラットフォームで管理できる点だ。

建設機械の始業前点検、設備や足場の安全点検、作業員の健康チェックなど、従来紙ベースで実施されていたあらゆる点検表をデジタル化し、現場での記入からデータ管理まで一元化している。
業務効率化の面では、点検表の物理的な回収作業を不要にし、点検承認プロセスをスマート化することで、管理者の負担を大幅に軽減。

現場で入力されたデータは即座にシステム上で共有され、リアルタイムでの点検状況把握と迅速な承認処理を可能にしている。
NETIS認定技術として、国土交通省による技術評価を受けた信頼性の高いシステムであり、公共工事での導入においても技術的な裏付けが確保されている。
マルチャーのパイオニアが提案する建設、林業・解体業の革新アタッチメント 〈 建機ワールド 〉
建機ワールドは、5年前から日本でのマルチャー普及を牽引してきたパイオニア企業として、林業用マルチャーと切り株処理、解体作業の革新的ソリューションを展示した。
「マルチャーの建機ワールド」として全国から評価される同社は、世界の最高級製品の日本市場への導入と自社オリジナル開発製品により、林業・解体業界の作業効率化を推進している。

目玉の展示として、エストニアのディッパーフォックス社製「切り株クラッシャー」を展示。
同社は数年前に切り株処理の問題を解決するため、このアタッチメントを日本に初輸入し、日本市場に浸透させた実績を持つ。
現在では切り株処理の定番となりつつある同製品は、油圧ショベル、スキッドローダー、タイヤショベルなど様々な機械に取り付け可能だ。
ディッパーフォックス切り株クラッシャーの技術的特徴は、特許取得済みギアボックスが切り株・土壌・根の抵抗に応じて速度と出力を自動調整し、残った切り株を簡単かつ素早く除去する点にある。

建機ワールドオリジナル開発商品「極(きわみ)回転フォーク」は、従来の回転フォークが最低でも2系統の配管を必要としたのに対し、1系統の配管で使用可能な革新的設計を実現している。
最大の特徴は「甘噛み」の状態でも回転が可能なことで、トタン板のような薄い素材でもぐしゃぐしゃに潰すことなく美しく整理できる。
他社製品が完全に閉じるか全開の状態でなければ回転できないのに対し、極回転フォークは部分的にグリップした状態でも回転できる独自技術により、繊細な材料の取り扱いを可能にしている。

特別サポートとして、エストニアで旅行業や自動車整備会社、宿泊ロッジなど5つの事業を展開する実業家であり元力士のバルト氏が、ディッパーフォックス社の応援のために駆けつけ、国際的な技術交流の架け橋として展示会を盛り上げていた。
建機と人の衝突事故を防ぐNETIS登録「AIカメラシステム」 〈 レグラス 〉
レグラスは、建設現場での重篤な労災事故防止を目指す「衝突事故軽減 人物検知AIカメラ OmniEye/EagleEyeII」を展示し、建機と人との衝突事故軽減ソリューションを提案した。

同社は重機作業の死角問題と合図・確認抜け、誤操作による事故を技術的に解決するNETIS登録商品として、建設現場の安全性向上に貢献している。
「OmniEye/EagleEyeII」の最大の特徴は、危険エリアに人がいた場合だけ警報を出すため、作業効率を落とさずに安全確認ができる点だ。


また、さらなる安全対策として建機を停止させることも可能なAIカメラシステムとして設計されている。どんな建機・産業車両にも後付けが可能で、既存設備への導入障壁を大幅に下げている。

技術的優位性として、カメラメーカーとして培ってきた画像技術を搭載しており、夜間、霧、雨、逆光などの過酷な環境でも使用できる耐環境性能を実現。防水防塵仕様で振動テストも実施済みのため、屋内外どこでも安心して使用できる。
AI技術では、建設現場、作業現場、工場などの使用環境を想定し、現場で発生する様々な人の姿勢や資材によって体の一部が隠れてしまう状況も考慮して学習済みのため、人の認識精度が高いという特徴がある。

実際の現場環境に特化した学習データにより、誤検知を抑制しながら確実な人物検知を実現している。
「OmniEye」には全方位ドライブレコーダー機能が標準搭載され、事故発生時の状況記録と原因分析にも活用できる。オプションとして、モニタ、音と光で知らせる積層灯、建機を停止させる停止制御機能を用意しており、現場のニーズに応じた柔軟なシステム構成が可能だ。
次世代技術として、LiDARを組み合わせた開発中の製品も紹介された。人の命や怪我の発生軽減に加えて、物との衝突事故軽減への要望にも応えるため、より現場で安全に使用できる製品開発を進めている。
スマートフォンで実現する次世代高精度測量ソリューション〈 イメージワン 〉
イメージワンは、写真測量技術とRTK測位を組み合わせたスマートフォン対応の高精度3D測量ソリューション「PIX4Dcatch RTK」を中核に、次世代測量技術の包括的プラットフォームを展示した。

同社は手軽さと高精度測位を両立させることで、測量・建設・インフラ管理など幅広い分野での活用を可能にしている。
「PIX4Dcatch RTK」は、写真測量技術とRTK測位を組み合わせ、iPhone ProのLiDAR技術も活用することで、より高密度な点群生成を実現。

写真とLiDARを組み合わせた3D点群データやメッシュモデルの生成が可能で、高解像度のオルソモザイクやDSMなどの2D成果物も作成できる。GNSSローバーを使用した際のRTK測位は相対誤差1cm、絶対誤差5cm以内という高精度を誇っている。
測位システムでは「Reach RS3」を展示し、高精度な単点測位とRTK測位に対応したGNSS受信機として、IMU搭載により最大60°の傾斜でも20mm以内の精度を維持することが可能だ。

傾けた状態でも正確な測位が行えるため、従来の垂直設置が困難な環境でも効率的な作業を実現している。
オープンスカイ環境では約5秒という短時間で位置情報を取得でき、迅速な測量作業を可能にしている。

また、RTK測位の固定局として設置することもでき、より高精度な測位システムの構築が可能だ。
NETIS登録「チルトローテータ」と新型SQ40「全自動クイックカプラ」を日本初披露 〈 スチールリスト 〉
スチールリストは、CSPI-EXPOに6回目の出展を行い、225㎡の対話形式屋内ブースで来場者を迎えた。
同社は創立20周年を迎え、2025年前半に世界20以上の展示会に参加するグローバルな活動の一環として、チルトローテータ、クイックカプラ、ワークツールのリーディングメーカーとしての地位を強調している。

展示の目玉は、4月のドイツbauma展で初披露されたSQ40全自動クイックカプラシステムの日本市場初導入だ。
ブース展示のX07チルトローテータはSQ40仕様となっており、SQテクノロジーにより油圧ワークツールの交換が簡単かつ安全に行えるようになった。

最大6トンのミニショベルにも対応可能で、モジュラー構造により部品点数を大幅に削減している。
特徴として、クイックカプラ、チルトローテータ、ワークツールをS規格からSQ規格へ容易にアップグレードできる設計を採用。

これによりホース配管の取り回しが非常に柔軟となり、さまざまな油圧ワークツールに対応できる。

実演では、スチールリストのX04直付けチルトローテータを搭載したVolvo ECR25電動ショベルとコマツPC30E電動ショベルの2台を使用し、ワークツール共用の効率性を披露した。

Open-S規格の推進では、Steelwrist SQ60カプラとOpen-S準拠のアダプタプレートを用いて、異なるメーカー製品の互換性を紹介している。


イタリア発35年の歴史を持つ林業・道路建設機械のグローバルリーダー 〈 FAE Group 〉
FAE Groupは、1989年にイタリア北部のフォンド(トレント)に設立され、35年にわたり様々な機械の製造で世界をリードしてきた老舗メーカーだ。

同社は長年にわたり機械のラインを拡充し、グローバル市場拡大により他の国に支店を開設するなど、世界的な事業展開を推進している。
そんな同社の展示の中核となったのは「油圧ショベル用マルチャー」で、高い破砕・裁断能力と耐久性に優れた刃を装備した林業用マルチャーとして、草刈り、灌木・切り株の処理を効率良くこなす設計となっている。

メンテナンス頻度を最小限に抑える設計により、運用コストの削減と稼働率の向上を両立している。

さらに、注目製品として「ラジコン式マルチャーRCU120」を展示し、120馬力のエンジンを搭載したコンパクトかつパワフルな遠隔操作式マルチャーを提案。
オペレーターは草刈り、枝葉の破砕、切り株の粉砕等の作業を離れた位置から行うことができるため、蜂や蛇などの動物による事故、急傾斜地での転倒、暑さ寒さによる体調不良等の事故リスクを最小限に抑えることが可能だ。

この遠隔操作技術により、従来危険とされていた作業環境でも安全かつ効率的な作業を実現している。
道路建設分野では、新作の「油圧ショベル用ロードプレーナー」を展示。
専用設計のツースと油圧モーターにより最大13.5cmの深さでアスファルト・コンクリートの切削が可能で、道路補修・改修工事における効率化と精度向上に貢献している。
測量技術とXR技術の融合による次世代ソリューション 〈 Kudan・神戸清光・アクティブリテック 〉
Kudanと神戸清光、アクティブリテックは共同出展を行い、測量技術商社と最先端XR技術企業の融合による革新的なソリューションを提案した。
神戸清光は、測量計測機販売商社として創業から50年の歴史を持ち、単なる製品販売ではない技術商社として発展してきた。

アクティブリテックは、XGRIDS製品の販売・レンタルサービスを提供し、フォトリアルなXR環境を構築する最先端技術企業として展示を行った。
同社は3Dガウシアンスプラッティング技術を活用し、エンターテインメント、不動産、観光、トレーニング分野などで圧倒的な没入感とリアリズムを実現している。
3Dガウシアンスプラッティング技術を活用したフォトリアルなXR環境の構築により、バーチャルショールームや建築ビジュアライゼーション、インタラクティブなトレーニングシミュレーションなど、あらゆるシーンでリアルな体験を提供。

最先端のレンダリング技術とリアルタイムライティング効果を組み合わせ、デジタルと現実の境界を超えた圧倒的なビジュアルを実現している。

産業用水素エンジンで脱炭素化をリードする包括的パワーソリューション 〈 ヤンマーパワーテクノロジー 〉
ヤンマーパワーテクノロジーは、「ENERGY DIVERSITY, YOUR SOLUTION PARTNER」をテーマに、産業用機械の脱炭素化をサポートする包括的なソリューションを展示した。
同社は1933年に世界で初めてディーゼルエンジンの小型実用化に成功した産業機械メーカーとしての歴史を持ち、環境負荷フリー・GHGフリーの企業を目指している。

展示の最大の目玉は、国内初展示となる産業用水素エンジンのコンセプトモデルだ。
最新のディーゼルエンジン「4TN101」(排気量3.8リットル)をベースに開発されており、既存のエンジン設計を大きく変えることなく水素燃料に適応できる設計となっている。

この技術により、既存の産業機械からのスムーズな移行を可能にし、脱炭素化への現実的なソリューションを提案している。
電動化ソリューションでは、「YANMAR e-Powertrain」をホイールローダーのモックアップに搭載して展示した。

e-Powertrainシステム(電動パワートレイン)は、顧客の多様なニーズに対応し、計画から製造、品質保証、アフターセールスまで一貫したサポートを提供している。
バッテリーソリューションでは、2つのタイプを展示した。


「高エネルギー密度バッテリーパック」は、リチウムイオン電池を採用し、コスト効率を重視した標準パックで、クラス最高レベルの高いエネルギー密度を誇り、柔軟な電圧と容量の構成が可能なデザインが特徴だ。
1人で複数建機を操作する無人化施工の実現可能性を実演 〈 コマツ 〉
コマツは、屋内ブース メインステージでの「無人化施工デモンストレーション2025」を通じて、建設現場における省人化・無人化の実現可能性を具体的に提示した。
同社が推進する「スマートコンストラクション」のコンセプトに基づき、EARTHBRAINのIoT・AI技術を活用した包括的な施工管理ソリューションを展開している。

デモンストレーションは二部構成で実施された。
前半部分では、遠隔施工・無人化施工の導入によってオペレーターの働き方や生活がどのように変化するのかを、ドラマ形式の映像で表現し、技術導入の人間的側面にスポットを当てた。


後半では河川築堤工事を想定した実践的な施工デモを展開した。使用されたソリューションは、3次元で現場を可視化し土量・面積・距離などの施工管理に必要な情報を取得する「Smart Construction Dashboard」、仮設設計検討を支援する簡易CAD「Smart Construction Design3D」、現在開発中の「Smart Construction Craft」などで構成されている。

開発担当者は、無人化施工を実現するための3つの必須要件を明示した。第一に工事計画の作成・修正をデジタル環境で容易に実施できること、第二に遠隔施工と自動施工を状況に応じて柔軟に切り替えられること、第三に最小限の人数で現場運用が可能であることだ。

実演では、ドローンによる点群データ取得から施工量の計算、設計データの建機への転送、ICT施工の開始という一連のワークフローを映像で紹介した。
続いて建機遠隔操作システム「Smart Construction Teleoperation」による段切り作業と盛り土作業を、千葉県の試験場から展示会場へリアルタイム中継する形式で実施した。

特筆すべきは、1名のオペレーターが遠隔操作の油圧ショベル・ブルドーザーと自動運転のダンプトラックを同時制御し、遠隔と自動を組み合わせた複合運用を実演した点だ。
この実証により、大幅な省人化を達成しながらも施工効率を維持できることを具体的に示し、建設業界が直面する人材不足問題への現実的な解決策を提案している。
既存建機を後付け無人化する自動油圧ショベル「ヨイショ投入くん」 〈 ARAV 〉
ARAVは、自動油圧ショベルRX「ヨイショ投入くん」のデモ展示を開始し、電子制御式油圧ショベルへの後付けによる無人稼働実現を提案した。

同システムは建設業界の深刻な人手不足解決と、中小建設会社でも導入可能な低コスト自動化を目指して開発されている。
「ヨイショ投入くん」の核心技術は、既存の油圧ショベルに装着するだけで自動運転を可能にする後付けシステムだ。

LiDAR(光検出測距)センサーとIMU(慣性計測装置)を統合し、周辺状況を三次元で把握しながら掘削・排土作業を自律的に実行する。現在はCAT320に対応しており、今後対応機種の拡大を計画している。
適用分野は、プラントやリサイクル施設における投入工程の完全無人化に焦点を当てている。鉱山・砂石・骨材ヤードでは一次破砕機や原料投入作業の自動化により、24時間連続稼働と生産性向上を実現する。

焼却バイオマス発電施設では、粉塵や騒音が発生する過酷な環境での燃料チップ投入作業を無人化し、作業員の安全性を確保できる。
製鋼・金属スクラップ処理、建設残土・再資源化施設、一般廃棄物処理施設など、危険度の高い作業環境での活用を想定しており、重量物や鋭利な物体を扱う現場での安全性向上と効率化を両立。

技術の特性として、センサー融合技術により悪天候や粉塵環境下でも安定稼働を維持し、機械学習アルゴリズムにより現場固有の作業パターンを学習して継続的に精度向上する仕組みを備えている。
同社がこれまで培ってきた遠隔操作・自動運転技術をパッケージ化し、専門知識がなくても現場作業員が容易に操作できる設計を実現している。
技能を持つベテランスタッフの大量退職と新規人材確保困難により、中小・中堅建設会社が直面する構造的な人材不足問題への実用的解決策として期待されている。
AIカメラによる作業員リスク判定システム「カオカラ」 〈 アクティオ 〉
総合建設機械レンタル大手のアクティオは、建設現場のDXと現場環境改善をテーマに、屋内・屋外両会場で実機展示とデモンストレーションを展開。
衛星通信サービス「Starlink Business」やサイレントシステム商材、リチウムイオン電池式電動バックホー「TB20e」などと共に、現場の課題解決を目指す実用性の高いソリューションとして多くの来場者から高い評価を得た。

本記事で紹介するアクティアが提供する「カオカラ」はAIカメラが外部環境データと生体データを組み合わせて個人ごとに高精度なリスク判定を実行する。
作業員の顔を撮影するだけで、気温や湿度などの外部環境要因と、個人の体調や疲労度などの生体情報を総合的に解析し、熱中症や体調不良のリスクを事前に検知するシステムとなっている。


運用面では、タブレットを起動し設置するだけで簡単に運営可能な設計となっており、専門知識や複雑な設定作業を必要としない。
判定撮影は最大3秒で完了し、作業員の入場管理や点呼時に迅速なリスクチェックを実施できるため、現場作業の開始を遅らせることなく安全確認が可能だ。

データ管理では、リスク判定データを一元集約するクラウドシステムを採用。
現場管理者は全体及び個々の作業員の健康状況をいつでもリアルタイムで把握でき、リスクの高い作業員への早期対応や適切な作業配置の判断を支援している。
1台多役のアタッチメント着脱システムで現場革新〈 日立建機 〉
日立建機は、施工現場の生産性と安全性を革新する2つのソリューション「P-Line(ピーライン)」を展示した。
「P-Line」は、1.7~30tクラスの油圧ショベルに対応したアタッチメント着脱システムとして、1台の建機で多様な作業を可能にするソリューションだ。

油圧ショベル本体、各種アタッチメント、旋回機能付き完全油圧式クイックカプラ、アタッチメント自動認識装置などを組み合わせて構成され、ユーザーの業種に応じたカスタマイズが可能となっている。
最大の特徴は、オペレーターが運転席から降りることなく、単独でアタッチメント交換を完了できる点だ。従来は油圧配管の着脱やピン操作などの手作業が必要で、多くの時間と労力、さらに複数の作業者を必要としていた。
P-Lineはこの課題を解決し、従来複数台の機械と作業者で実施していた作業を油圧ショベル1台で遂行できるため、施工現場の安全性向上と生産性改善に大きく寄与している。

都市部の道路工事を例にすると、土砂掘削・根切り・管敷設・埋め戻し・締固めといった一連の作業において、従来は油圧ショベルに加えて複数の専用機械を投入する必要があった。P-Lineによりアタッチメント交換の煩雑さが解消され、都市土木、管工事、解体、環境リサイクルなど幅広い業種での活用が期待されている。
ーーー 続きは、近日公開 ーーー
WRITTEN by

建設土木の未来を
ICTで変えるメディア