
- 現場仕事のオールインワン業務支援システム「プロワン」/ミツモア
- 建設現場統合管理ソリューション「メイサプラットフォーム」/メイサ(韓国)
- 映像と4Dシミュレーションを統合したデジタルツイン「サイトダイバー」/DTSインサイト
- 1,700社以上が導入する工程管理の決定版「工程's Orario」/ウェッブアイ
- 地理情報システム(GIS)の統合プラットフォーム「ArcGIS」/Esri ジャパン
- まるで同じ空間にいるような臨場感、遠隔コミュニケーションツール「窓」/ MUSVI
- 360度映像とAIが実現する次世代の建設現場/リコー
- 建機の遠隔操作を長距離・高信頼の無線通信で実現「屋外Wi-Fiソリューション」/サイレックス・テクノロジー
- 現場視点で開発された生コン管理システム「I-MAPS」/岩堀建設工業
- 建設現場のワイヤレス革新 / 古野電気
2024年12月11日から13日まで、東京ビッグサイトにおいて「第9回 JAPAN BUILD TOKYO-建築の先端技術展-」の一環として「建設DX展」が開催された。
3日間の来場者数は34,059名を記録し、建設業界におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)への高い関心が窺えた。

建設業界は今、深刻な人手不足や生産性向上の課題に直面している。そんな中で、AI・IoTをはじめとするデジタル技術の活用は、これらの課題を解決する重要な鍵として注目を集めている。
本展示会では、ゼネコン、サブコン、建設会社など、業界の主要プレイヤーが一堂に会し、最新のデジタルソリューションが紹介された。

併催されたセミナーでは、業界動向や各社の先進的な取り組み事例が紹介され、来場者の熱心な姿勢が印象的だった。
本レポートでは、会場で注目を集めた主要な展示や、今後の建設業界に大きな影響を与えると思われる技術について、詳しく紹介していく。
ミツモア社が展開する現場業務支援ソフトウェア「プロワン」は、建設現場やリフォーム工事などの短期工事における業務効率化を実現する、国内初の業界特化型ソリューションとして注目を集めている。
「プロワン」の最大の特徴は、現場からバックオフィスまでの業務を一元管理できる点だ。

顧客管理、営業支援、作業の差配、分析レポート、収支管理など、これまで複数のシステムや手作業で行っていた業務を1つのプラットフォームに統合。
特に、現場でのタブレット入力により、見積書や請求書、完了報告などの書類作成が即座に行える機能は、来場者から高い関心を集めていた。
(画像元:ミツモアプレスリリースより)
同社の発表によると、「プロワン」の導入により事務作業が30%削減され、売上が20%向上するという具体的な効果が報告されている。
展示ブースでは、実際の使用デモンストレーションも行われ、直感的な操作性と業務フローに沿った機能設計が来場者から高い評価を得ていた。
建設現場のデジタル化が加速する中、メイサ社の「メイサプラットフォーム」は、ドローン、BIM、CADなどの多様なデータを統合管理する革新的なソリューションとして注目を集めていた。

2017年の設立以来、韓国のゼネコンTop10社中8社での導入実績を持つ同社の展示ブースでは、実際の活用事例を交えた展示が行われ、来場者の関心を引いていた。
展示ブースでは、建設現場の3Dドローンマッピングによる施工管理の実例が紹介された。


印象的だったのは、最新の設計図(CADやBIM)を航空写真や3D地形データと重ね合わせる機能で、施工進捗の視覚的な把握を可能にしている。
来場者の注目を集めていた主な機能として、リアルタイムの遠隔モニタリング機能が挙げられる。
2D/3D表示に加え、360度の外部・内部モニタリングにより、現場の状況を詳細に把握できる。
また、土量計算の自動化機能は、従来の手作業による計測と比較して、大幅な業務効率化を実現している。

さらに、現場の安全管理機能も充実しており、監視カメラの統合管理や作業者の位置のリアルタイム追跡が可能だ。
現場とのコミュニケーション機能も搭載され、イシュー管理やデータ共有が円滑に行える点も魅力だ。
DTSインサイトのブースでは、建設現場のデジタルツイン化を実現する「サイトダイバー」が展示。
このプラットフォームは、現場管理者の日常業務である巡視・打合せ・報告の負担を大幅に軽減する画期的なソリューションだ。

展示ブースでは、リアルタイム映像と4Dシミュレーションを組み合わせたデモンストレーションが行われ、建設現場の様々な情報を一元管理できる柔軟性の高さが印象的だった。
特に、複数のライブ映像とセンサーデータ、4Dシミュレーションを同時に表示できるカスタマイズ性の高いダッシュボードは、来場者から高い評価を得ていた。


実際のデモでは、「みまわり伝書鳩」との連携機能も紹介され、温度、湿度、WBGT(暑さ指数)などの環境データをリアルタイムで表示。
さらに、遠隔地に設置したネットワークカメラのPTZ(パン・チルト・ズーム)操作も可能で、現場の状況を詳細に把握できる機能が実装されていた。
ウェッブアイのブースでは、建設業界1,700社以上が導入している工程管理ソフト「工程's Orario」の最新機能が披露され、特にeYachoやBIM/CIMとの連携デモが初公開され、多くの来場者の注目を集めていた。
展示の目玉となっていたのは、従来の工程表作成における残業時間の削減を実現する機能群だ。

ガントチャートの操作だけで高度なネットワーク計算を自動処理する仕組みにより、これまで手作業で行っていた複雑な工程調整を大幅に効率化できることが示された。
特に印象的だったのは、クラウドベースの「工程'sクラウド」と「Planow」による情報共有機能で、現場と事務所間のリアルタイムな連携を実現。


また、基幹システムと連携する「PREGARE」により、予算管理から進捗管理まで一元化できる点も、多くの来場者から高い評価を得ていた。
今回初公開となったBIM/CIM連携機能は、3次元モデルと工程管理を統合することで、より直感的な進捗管理を可能にする画期的なものだった。
地理情報システム(GIS)の統合プラットフォーム「ArcGIS」は、地図データの作成から分析、共有までをシームレスに実現する。
展示ブースで特に関心を集めていたのは、クラウドベースの情報共有機能だ。


現場で収集したデータを即座に地図上で可視化し、関係者間で共有できる仕組みは、建設プロジェクトの効率化に大きく貢献する可能性を示していた。
デスクトップ、モバイル、Webアプリケーションを横断的に連携させ、いつでもどこでも必要な地理情報にアクセスできる柔軟性も魅力だ。

また、豊富なGIS機能を標準搭載している点も注目を集めていた。データの取得から解析、表示まで、ほとんどの機能要件を標準機能で実現できる。
MUSVIブースでは、遠隔コミュニケーションツール「窓」の実機展示が行われていた。
現場と事務所間の移動時間削減や、コミュニケーション効率の向上を実現する同製品は、多くの来場者の関心を引いていた。

展示では、大型ディスプレイを通じた実際のコミュニケーションデモが行われ、遅延のない自然な会話と、身振り手振りまで伝わる高精細な映像品質を体験できる内容となっていた。
特に、同時に話しても音声が明瞭に伝わる特徴は、現場での実用性の高さを示していた。
システムの特徴は、その簡便さにある。専用回線や特別な工事は不要で、既存の通信回線で利用可能。


リモコン操作による簡単な操作性と、自動起動・終了機能により、導入初日から誰でも使用できる設計となっている。
キャスター付きスタンドによる移動も可能で、現場のニーズに応じて柔軟な設置場所の変更が可能だ。
常時接続型のハンズフリー方式を採用しており、オンライン会議のような時間設定も不要という特徴がある。

Ricohの展示ブースでは、建設業界の多様な課題解決に向けた複数のデジタルソリューションが展示された。

中でも注目を集めたのは、360度カメラ「RICOH THETA X」とクラウドサービス「RICOH360」の組み合わせによる現場管理システムだ。
全方位を一度に撮影できる360度カメラは、撮影漏れの防止と効率的な現場調査を可能にする。

狭所や高所の撮影も容易で、安全性向上にも寄与する点が、来場者から高い評価を得ていた。
また、空間データ作成技術も実演されていた。点群データと360度画像を組み合わせ、建物をバーチャル空間として再現する技術で、独自の光学デバイスとAI技術を活用している。

「RICOH Virtual Workplace」では、BIMなどの3Dデータをバーチャル空間に再現し、多人数での同時アクセスを可能にするメタバース環境を展示。
鹿島建設KIビルの事例を用いた体験展示では、実スケールでの空間検討が可能なことを実証していた。
遠隔現場管理ソリューション「RICOH Remote Field」は、4G回線による4K映像配信と低遅延の通信を実現。遠隔臨場や安全パトロールなどへの活用が提案された。
サイレックス・テクノロジーのブースでは、建設現場の無線通信課題を解決する最新のWi-Fiソリューションが展示された。
注目を集めていたのは、東京ビッグサイトから千葉県の建機を遠隔操作するデモンストレーションだ。



展示の中心となったのは、屋外向けWi-Fiメッシュアクセスポイント「OAP-100AX」。Wi-Fi 6に準拠し、親機とメッシュ中継通信による冗長化安定通信を実現する同製品は、特許申請中の技術を搭載。IP65相当の防塵防水性能も備え、過酷な建設現場での使用に対応している。

また、屋外向けワイヤレスブリッジ「OBR-100AX」も展示された。最適化されたローミング機能と移動通信に適したセパレートアンテナを搭載し、建機の移動時でも安定した通信を維持できる設計となっている。
さらに、これらの機器の設定を容易にする専用アプリ「AMC Mesh Builder」も紹介された。
二次元コードによる機器設定や通信検査機能を備え、複雑な無線環境構築を簡略化できる点が特徴だ。
岩堀建設工業のブースでは、生コンクリートの発注から納入管理までをデジタル化する「I-MAPS.CONCRETE」が展示された。
現場監督自らが開発に携わった同システムは、建設現場が本当に必要とする機能を追求した実践的なソリューションとなっている。


展示では、生コンの打設時間、数量、打設場所、輸送間隔などの入力から発注完了までの一連の流れがデモンストレーションされた。
特に、プラントとの直接連携により、電話でのやり取りによる発注ミスや聞き取りミスを防ぐ仕組みが印象的だった。
また、生コン車の出発時刻や現場到着時刻をリアルタイムで確認できる機能も搭載。
現場への搬入状況を一画面で把握できることで、打設作業の効率化を実現している。
経済産業省によるJIS改正に対応し、配合計画書と納入書の電子化にも対応。
これらの書類を自動作成する機能も実装されており、ペーパーレス化による業務効率化も期待できる。
古野電気のブースでは、「建設DXを支えるワイヤレステック」をテーマに、革新的な通信ソリューションの数々が展示されていた。

なかでも注目を集めたのは、シャープと協業で開発中のLEO(低軌道)/MEO(中軌道)衛星通信アンテナだ。
従来の通信インフラが整備されていない建設現場でも高速大容量通信を実現するこの技術は、スマートフォン開発で培った小型・軽量化技術と通信技術を融合させている。


シャープの最新技術と古野電気の専門知識を組み合わせることで、実用性の高い衛星通信システムの早期実現を目指している。
展示では、「ゼンゲンバLANシリーズ」による現場向けWi-Fi環境構築ソリューションも紹介された。

屋外現場向け、長距離現場向け、高層・地下現場向けなど、様々な建設現場の特性に応じたアクセスポイントを用意。高速ローミング機能の動態展示により、その実用性を体感できる内容となっていた。
3日間の来場者数は34,059名を記録し、建設業界におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)への高い関心が窺えた。

建設業界は今、深刻な人手不足や生産性向上の課題に直面している。そんな中で、AI・IoTをはじめとするデジタル技術の活用は、これらの課題を解決する重要な鍵として注目を集めている。
本展示会では、ゼネコン、サブコン、建設会社など、業界の主要プレイヤーが一堂に会し、最新のデジタルソリューションが紹介された。

併催されたセミナーでは、業界動向や各社の先進的な取り組み事例が紹介され、来場者の熱心な姿勢が印象的だった。
本レポートでは、会場で注目を集めた主要な展示や、今後の建設業界に大きな影響を与えると思われる技術について、詳しく紹介していく。
現場仕事のオールインワン業務支援システム「プロワン」/ミツモア
ミツモア社が展開する現場業務支援ソフトウェア「プロワン」は、建設現場やリフォーム工事などの短期工事における業務効率化を実現する、国内初の業界特化型ソリューションとして注目を集めている。
「プロワン」の最大の特徴は、現場からバックオフィスまでの業務を一元管理できる点だ。

顧客管理、営業支援、作業の差配、分析レポート、収支管理など、これまで複数のシステムや手作業で行っていた業務を1つのプラットフォームに統合。
特に、現場でのタブレット入力により、見積書や請求書、完了報告などの書類作成が即座に行える機能は、来場者から高い関心を集めていた。

同社の発表によると、「プロワン」の導入により事務作業が30%削減され、売上が20%向上するという具体的な効果が報告されている。
展示ブースでは、実際の使用デモンストレーションも行われ、直感的な操作性と業務フローに沿った機能設計が来場者から高い評価を得ていた。
建設現場統合管理ソリューション「メイサプラットフォーム」/メイサ(韓国)
建設現場のデジタル化が加速する中、メイサ社の「メイサプラットフォーム」は、ドローン、BIM、CADなどの多様なデータを統合管理する革新的なソリューションとして注目を集めていた。

2017年の設立以来、韓国のゼネコンTop10社中8社での導入実績を持つ同社の展示ブースでは、実際の活用事例を交えた展示が行われ、来場者の関心を引いていた。
展示ブースでは、建設現場の3Dドローンマッピングによる施工管理の実例が紹介された。


印象的だったのは、最新の設計図(CADやBIM)を航空写真や3D地形データと重ね合わせる機能で、施工進捗の視覚的な把握を可能にしている。
来場者の注目を集めていた主な機能として、リアルタイムの遠隔モニタリング機能が挙げられる。
2D/3D表示に加え、360度の外部・内部モニタリングにより、現場の状況を詳細に把握できる。
また、土量計算の自動化機能は、従来の手作業による計測と比較して、大幅な業務効率化を実現している。

さらに、現場の安全管理機能も充実しており、監視カメラの統合管理や作業者の位置のリアルタイム追跡が可能だ。
現場とのコミュニケーション機能も搭載され、イシュー管理やデータ共有が円滑に行える点も魅力だ。
映像と4Dシミュレーションを統合したデジタルツイン「サイトダイバー」/DTSインサイト
DTSインサイトのブースでは、建設現場のデジタルツイン化を実現する「サイトダイバー」が展示。
このプラットフォームは、現場管理者の日常業務である巡視・打合せ・報告の負担を大幅に軽減する画期的なソリューションだ。

展示ブースでは、リアルタイム映像と4Dシミュレーションを組み合わせたデモンストレーションが行われ、建設現場の様々な情報を一元管理できる柔軟性の高さが印象的だった。
特に、複数のライブ映像とセンサーデータ、4Dシミュレーションを同時に表示できるカスタマイズ性の高いダッシュボードは、来場者から高い評価を得ていた。


実際のデモでは、「みまわり伝書鳩」との連携機能も紹介され、温度、湿度、WBGT(暑さ指数)などの環境データをリアルタイムで表示。
さらに、遠隔地に設置したネットワークカメラのPTZ(パン・チルト・ズーム)操作も可能で、現場の状況を詳細に把握できる機能が実装されていた。
1,700社以上が導入する工程管理の決定版「工程's Orario」/ウェッブアイ
ウェッブアイのブースでは、建設業界1,700社以上が導入している工程管理ソフト「工程's Orario」の最新機能が披露され、特にeYachoやBIM/CIMとの連携デモが初公開され、多くの来場者の注目を集めていた。
展示の目玉となっていたのは、従来の工程表作成における残業時間の削減を実現する機能群だ。

ガントチャートの操作だけで高度なネットワーク計算を自動処理する仕組みにより、これまで手作業で行っていた複雑な工程調整を大幅に効率化できることが示された。
特に印象的だったのは、クラウドベースの「工程'sクラウド」と「Planow」による情報共有機能で、現場と事務所間のリアルタイムな連携を実現。


また、基幹システムと連携する「PREGARE」により、予算管理から進捗管理まで一元化できる点も、多くの来場者から高い評価を得ていた。
今回初公開となったBIM/CIM連携機能は、3次元モデルと工程管理を統合することで、より直感的な進捗管理を可能にする画期的なものだった。
地理情報システム(GIS)の統合プラットフォーム「ArcGIS」/Esri ジャパン
地理情報システム(GIS)の統合プラットフォーム「ArcGIS」は、地図データの作成から分析、共有までをシームレスに実現する。
展示ブースで特に関心を集めていたのは、クラウドベースの情報共有機能だ。


現場で収集したデータを即座に地図上で可視化し、関係者間で共有できる仕組みは、建設プロジェクトの効率化に大きく貢献する可能性を示していた。
デスクトップ、モバイル、Webアプリケーションを横断的に連携させ、いつでもどこでも必要な地理情報にアクセスできる柔軟性も魅力だ。

また、豊富なGIS機能を標準搭載している点も注目を集めていた。データの取得から解析、表示まで、ほとんどの機能要件を標準機能で実現できる。
まるで同じ空間にいるような臨場感、遠隔コミュニケーションツール「窓」/ MUSVI
MUSVIブースでは、遠隔コミュニケーションツール「窓」の実機展示が行われていた。
現場と事務所間の移動時間削減や、コミュニケーション効率の向上を実現する同製品は、多くの来場者の関心を引いていた。

展示では、大型ディスプレイを通じた実際のコミュニケーションデモが行われ、遅延のない自然な会話と、身振り手振りまで伝わる高精細な映像品質を体験できる内容となっていた。
特に、同時に話しても音声が明瞭に伝わる特徴は、現場での実用性の高さを示していた。
システムの特徴は、その簡便さにある。専用回線や特別な工事は不要で、既存の通信回線で利用可能。


リモコン操作による簡単な操作性と、自動起動・終了機能により、導入初日から誰でも使用できる設計となっている。
キャスター付きスタンドによる移動も可能で、現場のニーズに応じて柔軟な設置場所の変更が可能だ。
常時接続型のハンズフリー方式を採用しており、オンライン会議のような時間設定も不要という特徴がある。

360度映像とAIが実現する次世代の建設現場/リコー
Ricohの展示ブースでは、建設業界の多様な課題解決に向けた複数のデジタルソリューションが展示された。

中でも注目を集めたのは、360度カメラ「RICOH THETA X」とクラウドサービス「RICOH360」の組み合わせによる現場管理システムだ。
全方位を一度に撮影できる360度カメラは、撮影漏れの防止と効率的な現場調査を可能にする。

狭所や高所の撮影も容易で、安全性向上にも寄与する点が、来場者から高い評価を得ていた。
また、空間データ作成技術も実演されていた。点群データと360度画像を組み合わせ、建物をバーチャル空間として再現する技術で、独自の光学デバイスとAI技術を活用している。

「RICOH Virtual Workplace」では、BIMなどの3Dデータをバーチャル空間に再現し、多人数での同時アクセスを可能にするメタバース環境を展示。
鹿島建設KIビルの事例を用いた体験展示では、実スケールでの空間検討が可能なことを実証していた。
遠隔現場管理ソリューション「RICOH Remote Field」は、4G回線による4K映像配信と低遅延の通信を実現。遠隔臨場や安全パトロールなどへの活用が提案された。
建機の遠隔操作を長距離・高信頼の無線通信で実現「屋外Wi-Fiソリューション」/サイレックス・テクノロジー
サイレックス・テクノロジーのブースでは、建設現場の無線通信課題を解決する最新のWi-Fiソリューションが展示された。
注目を集めていたのは、東京ビッグサイトから千葉県の建機を遠隔操作するデモンストレーションだ。



展示の中心となったのは、屋外向けWi-Fiメッシュアクセスポイント「OAP-100AX」。Wi-Fi 6に準拠し、親機とメッシュ中継通信による冗長化安定通信を実現する同製品は、特許申請中の技術を搭載。IP65相当の防塵防水性能も備え、過酷な建設現場での使用に対応している。

また、屋外向けワイヤレスブリッジ「OBR-100AX」も展示された。最適化されたローミング機能と移動通信に適したセパレートアンテナを搭載し、建機の移動時でも安定した通信を維持できる設計となっている。
さらに、これらの機器の設定を容易にする専用アプリ「AMC Mesh Builder」も紹介された。
二次元コードによる機器設定や通信検査機能を備え、複雑な無線環境構築を簡略化できる点が特徴だ。
現場視点で開発された生コン管理システム「I-MAPS」/岩堀建設工業
岩堀建設工業のブースでは、生コンクリートの発注から納入管理までをデジタル化する「I-MAPS.CONCRETE」が展示された。
現場監督自らが開発に携わった同システムは、建設現場が本当に必要とする機能を追求した実践的なソリューションとなっている。


展示では、生コンの打設時間、数量、打設場所、輸送間隔などの入力から発注完了までの一連の流れがデモンストレーションされた。
特に、プラントとの直接連携により、電話でのやり取りによる発注ミスや聞き取りミスを防ぐ仕組みが印象的だった。
また、生コン車の出発時刻や現場到着時刻をリアルタイムで確認できる機能も搭載。
現場への搬入状況を一画面で把握できることで、打設作業の効率化を実現している。
経済産業省によるJIS改正に対応し、配合計画書と納入書の電子化にも対応。
これらの書類を自動作成する機能も実装されており、ペーパーレス化による業務効率化も期待できる。
建設現場のワイヤレス革新 / 古野電気
古野電気のブースでは、「建設DXを支えるワイヤレステック」をテーマに、革新的な通信ソリューションの数々が展示されていた。

なかでも注目を集めたのは、シャープと協業で開発中のLEO(低軌道)/MEO(中軌道)衛星通信アンテナだ。
従来の通信インフラが整備されていない建設現場でも高速大容量通信を実現するこの技術は、スマートフォン開発で培った小型・軽量化技術と通信技術を融合させている。


シャープの最新技術と古野電気の専門知識を組み合わせることで、実用性の高い衛星通信システムの早期実現を目指している。
展示では、「ゼンゲンバLANシリーズ」による現場向けWi-Fi環境構築ソリューションも紹介された。

屋外現場向け、長距離現場向け、高層・地下現場向けなど、様々な建設現場の特性に応じたアクセスポイントを用意。高速ローミング機能の動態展示により、その実用性を体感できる内容となっていた。
次の展示ブース紹介は2/8更新予定....
編集・取材・文:デジコン編集部(寺門 常幸)/ 撮影:進藤 健太
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