- 1. 高度な数学力×AIで「暗黙知」をシステム化する「建設DXツール群」/ Arent
- 2. 現場と経営を「高度な予実管理」で直結する統合ERP「imforce Arch」 / NTTデータビジネスシステムズ
- 3. 「マニュアル不要」で現場と経営をつなぐ「現場Hub」 / 現場Hub
- 4.点検表の「紙・ハンコ・回覧」を不要に!QRコードで完結する「GENBAx点検」 / SORABITO
- 5. 図面を読ませて最短15分。AIが複数シナリオを提案する「工程AIエージェント」 / KENCOPA
- 6. 現場の「時短」を加速させる3つの矢。施工・検査・安全をスマホで完結 / YSLソリューション
- 7. 監視カメラ×生成AI。現場の画像を解析し、リスクを自動通知する「tomoth」/ MIYOSHI
- 8. BIMより簡単、手書きより正確。「PDF図面」をなぞるだけで3Dモデル×自動積算 / ANP
- 9. 360度動画を歩いて撮るだけ。AIが現場を"丸裸"にする「zenshot」 / Zen Intelligence
- 10. 建機レンタルの「借りっぱなし」を撲滅。コストを可視化する「LeaseX」/ Arch
- 11. 粉塵・霧でも視界良好。LiDARで挑む無人化施工「G-Earthwork」/ 日本コントロールシステム
- 12. 業界初、「図面の不整合」を自動検知する「整合ナビ」/ キーノスロジック
- 13. 遠隔支援の決定版。「LiveOn Wearable」/ ジャパンメディアシステム
- 14. 建設特化AIが「社内知」を回答 / 燈
- 15. 熟練者の「背中」は語らない。AIが聞き出し、資産に変える「ノウハウ抽出AI」/ EdgeLab
- 16. iPadが「図面」になる。「紙の書き心地」で現場をつなぐ「BuddyBoard」/ ブラザー工業
- 17. 3つの「R」で現場を変革。VRとロボット技術が拓く建設DXの最前線 / ソニーマーケティング
- 18. 現場の“今”を死角なくクラウドへ / セーフィー
- 19. 掘削事故を「ゼロ」へ。レーダと電磁誘導で地中のインフラを透視する / ジャスト
- 20. 1億画素の「眼」とAIの「脳」。インフラ点検を劇的に変える最強タッグ / 富士フイルム
- 21. バラバラな現場データを一画面に。「自分たちで作れる」IoTダッシュボード「SiteDiver」/ DTSインサイト
- 22. スマホで顔を10秒撮るだけ。「隠れ疲労」を可視化する「カルテコworkwell」/ メディカル・データ・ビジョン
- まとめ
2025年12月10日から12日までの3日間、東京ビッグサイトにおいて「第10回 JAPAN BUILD TOKYO-建築の先端技術展-」の一環として「建設DX展」が開催された。

今年で10周年を迎えた本展には、BIM/CIM、CAD、ICT建機、測量機器、現場管理・工程管理システム、建設ロボットなど、建設業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させる最新技術・サービスが一堂に集結。

3日間の来場者数は33,618名を記録し、建設DX推進への関心の高さが改めて示された。
本記事では、デジコン編集部が会場を取材し、注目の出展ブースをピックアップしてレポートする。
建設業界の深い課題解決を掲げるArentのブースでは、高度な数学力とAIを掛け合わせ、熟練技術者のノウハウをシステム化する「建設DXツール群」が展開された。

特に多くの来場者が足を止めて見入っていたのが、Autodesk Revitのアドインツール「Lightning BIM」シリーズ。
今回披露された「AI Agent」機能は、チャット形式の自然言語で指示を出すだけで、AIが意図を汲み取りBIMモデルの生成・修正を行うというもの。
これまで熟練オペレーターに依存していた複雑な操作を、誰もが直感的に行えるデモンストレーションは、BIM普及の新たなフェーズを感じさせる内容だった。

また、本展の「建設DXアワード2025」を受賞した工程管理システム「PROCOLLA」も大きな存在感を放っていた。
過去の膨大なデータをAIが解析し、最適な工程表を自動生成する機能は、現場監督の長時間労働という喫緊の課題への直接的な回答と言えるだろう。

プラント設計を自動化する「PlantStream」の新機能も含め、職人の頭の中にある「暗黙知」を解き明かす同社の技術力がいかんなく発揮された展示となっていた。
NTTデータビジネスシステムズのブースでは、建設の未来を加速させる統合ERPソリューション「imforce Arch」が大きく展開された。

ちなみに、ERPとは、企業の「ヒト・モノ・カネ・情報」といった経営資源を一元的に管理し、社内の基幹業務を統合することで、効率化・最適化するシステムやその考え方のこと。
建設業界において長年の課題とされてきたのが、「現場(施工管理)」と「経営(予実管理)」のデータの分断だ。
「imforce Arch」はこの壁を取り払い、現場DXと経営DXを同時に実現する次世代型ソリューションとして注目を集めた。

特筆すべきは、高度な収益予測・シミュレーション機能だ。現場から吸い上げたリアルタイムなデータを基に、経営層が迅速かつ精度の高い意思決定を行えるよう支援する。
また、ペーパーレスの徹底や、企業の成長に合わせた柔軟なシステム拡張性も備えており、単なる基幹システムの入れ替えに留まらず、建設企業の「稼ぐ力」を底上げするプラットフォームとしての側面が強調されていた。
「ITツールを導入しても、現場の職人が使ってくれない」。そんな建設DXの”あるある”な悩みに真正面から応えるのが、現場Hub株式会社だ。
同社が提供する業務管理システム「現場Hub」は、「マニュアル不要の使いやすさ」を徹底的に追求し、デジタル機器に不慣れなベテラン職人でも直感的に扱えるUIで支持を広げている。

案件管理、写真・図面の共有、日程調整はもちろん、見積・請求書の作成や日報などのバックオフィス業務まで、このアプリひとつで完結する。
「現場からオフィスに戻って事務作業」という移動のムダを削減し、残業時間の短縮に直結するメリットが強調されていた。


また、協力会社ともシステム内でつながれる「Hubコネクト」機能や、ビジネスチャット機能も搭載。
電話やFAX、個人のLINEに散らばっていた連絡手段を集約することで、「言った言わない」のトラブルを防ぎ、チーム全体の生産性を底上げする。

多機能・高機能化が進む建設DXツールの中で、「現場にとっての”ちょうどいい”」を体現したソリューションとして、中小規模の事業者を中心に商談が行われていた。
建機レンタルDXで知られるSORABITOが展示したのが、現場のあらゆる点検業務をペーパーレス化する「GENBAx点検」だ。
建設現場では、建機の始業前点検、設備点検、作業員の健康チェックなど、膨大な数の「点検表」が毎日紙で作成されている。

これらが汚れたり紛失したりするリスクに加え、現場監督が回収・押印し、ファイリングして保管するというアナログな管理フローは、長年現場の負担となってきた。
「GENBAx点検」は、これらを全てスマホ一台に集約する。特筆すべきは、現場作業員への配慮が行き届いたUI設計だ。
面倒なID・パスワード入力は不要で、現場に掲示されたQRコードを読み取るだけでログインが完了。あとは項目をタップしていくだけで点検報告が終わる。

協力会社の職人が多い現場でも、事前のユーザー登録などの手間をかけずに即導入できる「ハードルの低さ」が、来場した現場所長の関心を強く引いていた。
点検結果はリアルタイムでクラウドに集約され、監督はスマホやPCから承認ボタンを押すだけ。

異常時にはアラート通知も飛ぶため、安全管理の即時性も向上する。「紙をなくす」だけでなく、「安全管理の質を高める」ためのDXとして、多くの安全担当者が説明を聞き入る姿が見られた。
スタートアップ企業KENCOPAのブースでは、2025年12月にβ版の提供が開始されたばかりの「Kencopa工程AIエージェント」が反響を呼んでいた。
現場監督にとって、着工前の「全体工程表」作成は、数週間を要することもある重荷な業務だ。

KENCOPAのソリューションは、設計図書(図面、仕様書、見積調書)をアップロードするだけで、AIがその内容を読み解き、最短15分で工程表のたたき台を自動生成する。
単に早くなるだけではない。特筆すべきは「AIシミュレーション」機能。
「工期優先」「コスト(歩掛)優先」「並行作業重視」といった異なる条件で複数のプランを提示してくれるため、人では検討しきれなかった最適解を比較検討することができる。

また、自社の過去の施工データを学習させることで、その会社独自の「歩掛(作業ペース)」やノウハウが蓄積されていく点も重要だ。
これにより、現場経験の浅い若手や営業担当者でも、熟練者に近い精度で工期を算出できるようになる。
「2024年問題」で待ったなしの状況にある建設業界に対し、「業務時間の短縮」という最も直球のソリューションを提示していたのがYSLソリューションだ。

同社のブースでは、施工フェーズ、検査フェーズ、そして安全管理という現場の主要な3つのシーンをカバーするアプリ群が紹介され、その導入実績と使いやすさに多くの来場者が頷く姿が見られた。
もはや業界のスタンダードとも言える施工管理アプリ。最大の特徴は、A0サイズの大判図面でもサクサク動く圧倒的な高速表示技術だ。

図面に工事写真や手書きメモを直感的に紐付け、クラウドで即座に共有する。

「事務所に戻ってデジカメの写真を整理する」という残業の元凶を断ち切り、電子黒板機能も標準搭載するなど、現場の「欲しい」が詰まったツールとして進化を続けている。
配筋検査や仕上げ検査の劇的な効率化を実現するツール。iPad上の図面に、傷や汚れなどの指摘箇所を「ピン」として打ち込み、写真を撮影するだけで検査記録が完了する。

特筆すべきは、協力会社ごとの是正指示書をワンクリックで自動作成できる点だ。
これまで夜な夜なExcelで行っていた帳票作成業務がほぼゼロになるインパクトは大きく、多くの現場所長が足を止めていた。
安全パトロールや品質巡回に特化したアプリ。発見した危険箇所や不具合をその場で入力し、関係者へリアルタイムにチャット通知する。

「是正前(赤ピン)」から「是正完了(青ピン)」へとステータスを色で可視化できるため、指摘の放置や伝達漏れを防ぐことができる。
「野帳」の手軽さをデジタルに置き換え、安全管理の質を高めつつ手間を減らすアプローチが注目を集めた。
電源不要の監視カメラ「G-cam」で建設現場のインフラを支えてきたMIYOSHI。同社が満を持して発表した新サービスが「カンタンAI tomoth」だ。

建設現場では、監視カメラの映像を「録画」していても、それを常時「監視」し続けることは難しい。「tomoth」は、この映像解析をAIが代行してくれるサービス。
使い方は驚くほどシンプル。「危険予知をして」「整理整頓の状況をチェックして」「資材の盗難リスクを評価して」といった指示を出すだけで、AIが画像を解析し、その結果をメールでレポートしてくれる。

既存のG-camユーザーならカメラの映像を定期的に自動解析させることも可能。もちろん、スマホで撮影した写真をその場でアップロードして解析させることもできるため、安全パトロール時の補助ツールとしても優秀だ。

専門知識が必要な「積算業務」と、習得難易度が高い「BIM」。
この2つのハードルを同時に、かつ劇的に下げるツールがANPの「PDF 3D積算」だ。
その名の通り、普段使っている「PDF図面」を読み込みマウスでなぞるだけで3Dモデルが立ち上がり、同時に積算が完了するというもの。

「BIMソフトは高機能すぎて使いこなせない」「現場はまだ2D図面が主流」という多くの工務店やリフォーム会社にとって、まさに"痒い所に手が届く"ソリューションと言える。
操作は直感的だ。平面図上の壁や床をクリックしていくだけで、瞬時に立体パースが生成される。

この3Dモデルは単なる絵ではなく、面積や体積の情報を持っているため、複雑な屋根形状や開口部を差し引いた外壁面積、さらにはRC造の鉄筋・コンクリート数量までも自動算出される。
また、作成した3Dモデルはそのまま施主へのプレゼン資料としても活用可能。「見積もりの根拠」を3Dで可視化できるため、営業段階での納得感を高め、成約率アップにも寄与する。

さらに、同社のクラウド基幹システム「SHARE」と連携させれば、拾い出した数量をそのまま見積書や実行予算書に変換することも可能。
大量の図面処理や、担当者によってバラつきがちな見積精度を標準化するツールとして、ブースには実務担当者が多く訪れていた。
建設現場の「データ化」における最大の壁は、日々刻々と変化する現場の状況を、誰が、いつ、どうやって記録するかという点にあった。
Zen Intelligence の「zenshot」は、この課題に対し「360度動画」と「AI」の掛け合わせで一つの解を提示した。

使い方は極めてシンプル。専用のデバイスを持って現場を歩くだけ。あとはAIが360度動画データを解析し、図面上の位置情報と紐付いた「現場ビュー」を自動生成してくれる。

写真整理や図面へのピン留めといった手作業は一切不要。PCやスマホからいつでも現場の状況を360度見渡せるため、現場監督の移動時間を劇的に削減できる。
実際に、年間100棟を手掛ける住宅メーカーの事例では、現場監督の移動時間を最大60%削減したという実績も紹介されていた。


さらに同社が目指すのは、単なる可視化の先にある「Physical AI Agent」の世界だ。蓄積された現場データから、AIが工程の遅れや安全上のリスク(不安全行動や整理整頓の不備など)を自動で検知し、現場監督に代わって判断・支援を行う機能の開発も進んでいる。
建設現場のコスト管理において、意外な盲点となっているのが「建機レンタル」だ。
Arch株式会社が提供する「LeaseX」は、この建機レンタル業務に特化した管理プラットフォームとして、ゼネコンやサブコンから熱い視線を集めている。

現場では、「どの建機を、いつまで、どこから借りているか」が不明確になりがちで、不要な延長料金(借りっぱなし)や、二重発注といったムダが頻発している。
LeaseXは、電話やFAXで行われていた発注・返却連絡をデジタル化し、全現場のレンタル状況を一元管理する。
これにより、現場監督はスマホから手軽に発注・返却が可能になり、本社・支店側はレンタルコストの推移をリアルタイムで把握できる。

「いつの間にか予算をオーバーしていた」という事態を防ぎ、データに基づくコスト適正化を実現するツールとして、経営層からの評価も高い。
危険な災害現場や過酷な環境下での作業を担う「無人化施工」。
その安全性を飛躍的に高めるセンシングシステムが、日本コントロールシステムの「G-Earthwork」だ。

従来、遠隔操作の頼みの綱は「カメラ映像」だったが、土煙や霧、逆光といった悪条件下では視界が奪われ、作業中断を余儀なくされることが多かった。
同社のシステムは、産業用LiDAR(レーザー光による測距センサー)を活用し、建機周辺の状況をリアルタイムに3次元点群データとして可視化する。

これにより、カメラが真っ白になるような濃霧や粉塵の中でも、オペレーターは障害物や地形を正確に把握できる。
また、俯瞰視点(上空からの視点)を合成する機能も備えており、まるで建機の真上にいるような感覚で、死角のない操作が可能になる点は圧巻だ。
現場の手戻りや施工ミスの大きな原因となるのが、設計図書間の「不整合」だ。
キーノスロジックの「整合ナビ」は、この図面チェック業務に革新をもたらす業界初のツールとして登場した。

「平面図と断面図で窓の位置が違う」「構造図と意匠図で柱のサイズが合わない」。こうした図面間の矛盾は、これまで熟練者が時間をかけて読み比べることでしか発見できなかった。
整合ナビは、異なる種類の図面をデジタルで重ね合わせ、AIと独自アルゴリズムによって不整合箇所を自動でリストアップする。

人間が見落としがちな微細なズレもシステムが指摘してくれるため、着工前の図面精度が劇的に向上する。
現場で間違いに気づいて工事が止まる、という最悪の事態を未然に防ぐ「転ばぬ先の杖」として、設計事務所のみならず施工会社からも大きな注目を集めていた。

Web会議システム「LiveOn」で知られるジャパンメディアシステムは、建設現場の遠隔支援に特化した「LiveOn Wearable」を展示。
数ある遠隔支援ツールの中で、その「安定性」と「ハンズフリー性能」が際立つ内容となっていた。

スマートグラスやウェアラブルカメラと連携し、現場作業員が見ている映像を、高画質かつ低遅延で本部に共有できる。
特筆すべきは、同社が長年培ってきた独自技術による、不安定な通信環境下での粘り強さだ。電波が弱い現場でも映像が途切れにくく、音声もクリアに届く。

また、音声コマンドによる完全ハンズフリー操作に対応しており、両手がふさがっている職人が、作業の手を止めずに図面を呼び出したり、写真を撮影したりできる。
現場のリアリティを熟知したUI設計は、さすが国産Web会議の老舗といった完成度だ。
東大発のAIスタートアップとして建設業界に旋風を巻き起こしている燈(あかり)株式会社。
ブースでは、生成AIエージェントとバックオフィスDXの2軸でソリューションが展開された。

ChatGPT等の汎用AIとは一線を画す、建設業特化型のAIチャットボット。
最大の特徴は、社内の過去図面、日報、規定集などの膨大なデータを学習・検索(RAG)できる点だ。
「過去の似たような工事のトラブル事例は?」「このエリアの地盤データは?」といった質問に対し、社内資産に基づいた正確な回答を即座に提示する。
ベテランの経験則をデジタル化し、若手へ継承するナレッジマネジメントの切り札として注目される。

建設業特有の複雑な請求書処理をペーパーレス化するクラウドサービス。
協力会社からの請求書をデジタルで回収し、工事ごとの振替や経費精算までを一気通貫で自動化する。
インボイス制度や電帳法にも完全対応しており、経理部門と現場監督双方の事務作業を激減させる。
「見て覚えろ」の文化が根強い建設業界で、熟練技術者の大量引退(2025年問題)はまさに致命傷となりつつある。
この課題に「AIによるインタビュー」という全く新しいアプローチで挑み、本展の「建設DXアワード2025」でも優秀賞(教育・伝承部門)を受賞したのが、東大発スタートアップの株式会社EdgeLabだ。

同社の「ノウハウ抽出AI」は、熟練者に対してAIエージェントがインタビューを行うシステム。
単なる音声文字起こしではない。AIが文脈を理解し、「その判断の根拠は?」「例外的な対応は?」と深掘り質問を繰り返すことで、ベテランの頭の中にしかない「暗黙知」を言語化・構造化する。

抽出されたデータは「ノウハウ検索チャットボット」と連携し、若手が現場で困った際に「Aさんの知恵」として即座に引き出すことができる。
マニュアル作りにつきまとう「書くのが面倒」「読まれない」という二重苦を、AIの対話力で突破するソリューションとして、技術継承に焦るゼネコン各社から熱い視線が注がれていた。

プリンターでお馴染みのブラザー工業が、あえて「ペーパーレス」を推進するツールとして展開するのが、手書きノートアプリ「BuddyBoard」だ。
CADや高機能な施工管理アプリが普及しても、現場での指示出しやアイデア出しには「紙とペン」が最強であることは否めない。
「BuddyBoard」はその直感的な操作性をiPad上で完全に再現しつつ、デジタルの利便性を付加した。
最大の特徴は、複数人が離れた場所から一つの図面にリアルタイムで書き込める「共同編集機能」だ。
事務所の設計者と現場の監督が、まるで同じ机で図面を囲んでいるかのように、同時に赤入れやメモを行える。
さらに、建設業向け機能として「三角スケール(縮尺機能)」や「レイヤー機能」を搭載。
現場で撮影した写真を図面に貼り付け、その上から手書きで修正指示を書き込むといった作業もスムーズに行える。
ソニーマーケティングの展示は、「Remote(遠隔)」「Real Time(即時)」「Reality(実在感)」の3つの「R」をテーマに展開された。
エンターテインメントやAV機器で培ったソニーの技術力が、建設現場の課題解決にどう応用されているか、その本気度が伝わる内容となっていた。

メタバース空間を活用した研修システムも展示。危険を伴う作業を安全に反復練習できるだけでなく、熟練工の動きや判断をデジタル化して「教材」にできる点が新しい。

技術継承という業界全体の課題に対し、「体験」を通じてスキルを伝承するソニーらしいアプローチだ。
このほか、デジタルツインを活用した「遠隔作業支援サービス」など、ハードとソフトの両面から現場の生産性を高めるソリューションが目白押しだった。

「移動時間の削減」を最も手軽に実現するツールとして、多くの建設現場で標準採用されているのがこの機種だ。

バッテリーとLTE回線を内蔵したオールインワン設計で、電源を入れるだけで自動的にクラウド録画が開始される。
最大の強みは「通話機能」だ。現場作業員が装着すれば、遠隔地にいる本部スタッフと映像を見ながらリアルタイムで会話ができる。

進化した「手ブレ補正機能」により、移動中でも酔いにくい滑らかな映像を配信できるほか、最大8時間の連続稼働が可能になったことで、一日中バッテリー切れを気にせず業務に集中できる点も大きな改善点だ。
「現場全体を俯瞰したい」というニーズに応えるのが、電源をさすだけで使えるLTE搭載の屋外用カメラだ。
その名の通り、水平・垂直182°の魚眼レンズを搭載し、360度全方位を一台でカバーする。

これまでの固定カメラではどうしても生じていた「死角」を解消し、現場の進捗状況や資材置き場の様子を漏らさず記録できる。
専用ビューアーでは、魚眼映像特有の歪みを補正(デワープ)して表示できるため、違和感のないクリアな映像で状況確認が可能だ。
掘削工事の現場において、最大の恐怖の一つが「地中埋設物の切断事故」だ。古い図面が実態と合っていない、そもそも図面がないといった状況下で、現場監督の“勘と経験”頼みの掘削が行われているケースは少なくない。

構造物調査のパイオニアである株式会社ジャストが展示するのは、そんな地中の「見えないリスク」を科学的に可視化する「地中埋設物探査」サービスだ。
同社の強みは、「電磁波レーダ法」と「電磁誘導法」という2つの異なる技術を組み合わせた高精度な複合探査にある。
レーダで地中の空洞や異物の反射を捉え、電磁誘導で金属管やケーブルの位置を特定する。

このダブルチェック体制により、単一の手法では見落としがちな塩ビ管や深層の配管なども高い確率で検知し、その場で正確な位置と深度をマーキングする。
ブースでは、実際に作成される「探査結果図」のサンプルも公開。即日で図面化されるスピード感や、配管種別まで色分けされた分かりやすさは、「これなら試掘(手掘り)の回数を劇的に減らせる」と、工期短縮を課題とする来場者者から評価を得ていた。
また、探査データをBIM/CIMと連携させ、地中の状況を3Dモデル化(デジタルツイン化)する先進的な取り組みも紹介されており、インフラ維持管理のDXを加速させる一手として注目を集めている。
「写真のフジフイルム」が、その圧倒的な画質技術を武器に建設DXの最前線へ切り込んだ。
富士フイルム株式会社のブースで提示されたのは、超高解像度カメラとAI診断サービスを組み合わせた、インフラ点検の完全デジタル化ソリューションだ。

点検ドローンのペイロード(積載カメラ)として展示されたのが、同社のフラッグシップミラーレスカメラ「GFX100S II」だ。
最大の特徴は、一般的なフルサイズセンサーの約1.7倍の面積を持つ「ラージフォーマットセンサー」と、そこから生み出される1億2百万画素という驚異的な解像力にある。


これにより、ドローンを対象物に過度に接近させることなく、安全な離隔距離を保ったまま、コンクリートの0.1mm幅のひび割れを鮮明に捉えることができる。
また、一度の撮影で広範囲を高精細に記録できるため、飛行回数や撮影枚数を大幅に削減し、現場作業の効率を飛躍的に高めることが可能だ。

「GFX」で撮影した高精細な画像データを、AIの力で解析するのがクラウドサービス「ひびみっけ」だ。

膨大な点検画像データをアップロードするだけで、AIが自動的にひび割れを検出し、その長さや幅を計測。
さらにはDXF(CAD)データや帳票まで自動作成してくれる。
これまで技術者がPCモニターに定規を当てるなどして、一本一本手書きでトレースしていた解析作業を自動化することで、業務時間を数分の一に短縮する。


さらに、現場で記入されたチョーク(マーキング)の検出や、剥離・漏水といった変状の記録にも対応しており、熟練者の目に頼っていた点検品質の均一化とデジタル化を一気に推進する。
建設現場のIoT化が進むにつれ、新たな悩みとして浮上しているのが「管理画面の乱立」だ。
カメラはA社のアプリ、騒音計はB社のサイト、気象データはC社のツール…。これらを個別に確認する手間を解消し、たった一つの画面で現場の全てを可視化するのが、株式会社DTSインサイトのクラウドプラットフォーム「SiteDiver」だ。

ポイントは、ITの専門知識がなくても使える「圧倒的なカスタマイズ性」にある。
画面上に地図やグラフ、カメラ映像などの「ウィジェット」をドラッグ&ドロップで配置するだけで、その現場専用のダッシュボードを誰でも簡単に作成できる。

プログラミングは一切不要。現場の進捗に合わせて監視したい項目が変わっても、外部の業者に修正を依頼することなく、現場監督自身がその場で画面レイアウトを変更できる柔軟さが大きな支持を集めている。
また、接続するセンサーやカメラのメーカーを問わない「マルチベンダー対応」も強みだ。

水位計、傾斜計、風速計、熱中症指標計など、現場にある様々なデバイスのデータを一元集約できるため、災害時の状況把握や安全管理の司令塔として機能する。
純国産プラットフォームならではのサポートの手厚さも、インフラ現場などの重要案件で選ばれる理由となっている。
建設現場の安全管理において、アルコールチェックと同じくらい重要性を増しているのが、作業員の日々の「メンタル不調」や「蓄積疲労」の把握だ。

医療ビッグデータ大手のメディカル・データ・ビジョン株式会社は、この見えにくいリスクを「顔撮影」だけで可視化する画期的なソリューション「カルテコworkwell」を展示した。
使い方は極めてシンプルだ。出退勤の打刻時などに、スマホのカメラで自分の顔を約10秒間撮影するだけ。
画像解析技術(非接触バイタルセンシング)により、脈拍の揺らぎから「自律神経のバランス」を測定し、本人が自覚しにくいストレス度や疲労度を数値化する。


また、管理者はダッシュボードを通じて組織全体のコンディションを把握でき、「特定の現場で疲労度が高い」「この作業員はストレス傾向が続いている」といった予兆を早期に検知できる。

事故につながるヒューマンエラーを、勘ではなくデータで未然に防ぐ「次世代の安全管理ツール」として、来場者の関心を集めていた。
10周年を迎えた本展は、単なるデジタル化から、AIエージェントや高度なハードウェア連携による「業務の自動化」へとフェーズが完全に移行したことを強く印象づけた。
人手不足という待ったなしの課題に対し、各社が現場のリアリティに即した解決策を提示しており、建設業の未来は着実にアップデートされている。

今年で10周年を迎えた本展には、BIM/CIM、CAD、ICT建機、測量機器、現場管理・工程管理システム、建設ロボットなど、建設業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させる最新技術・サービスが一堂に集結。

3日間の来場者数は33,618名を記録し、建設DX推進への関心の高さが改めて示された。
本記事では、デジコン編集部が会場を取材し、注目の出展ブースをピックアップしてレポートする。
1. 高度な数学力×AIで「暗黙知」をシステム化する「建設DXツール群」/ Arent
建設業界の深い課題解決を掲げるArentのブースでは、高度な数学力とAIを掛け合わせ、熟練技術者のノウハウをシステム化する「建設DXツール群」が展開された。

特に多くの来場者が足を止めて見入っていたのが、Autodesk Revitのアドインツール「Lightning BIM」シリーズ。
今回披露された「AI Agent」機能は、チャット形式の自然言語で指示を出すだけで、AIが意図を汲み取りBIMモデルの生成・修正を行うというもの。
これまで熟練オペレーターに依存していた複雑な操作を、誰もが直感的に行えるデモンストレーションは、BIM普及の新たなフェーズを感じさせる内容だった。

また、本展の「建設DXアワード2025」を受賞した工程管理システム「PROCOLLA」も大きな存在感を放っていた。
過去の膨大なデータをAIが解析し、最適な工程表を自動生成する機能は、現場監督の長時間労働という喫緊の課題への直接的な回答と言えるだろう。

プラント設計を自動化する「PlantStream」の新機能も含め、職人の頭の中にある「暗黙知」を解き明かす同社の技術力がいかんなく発揮された展示となっていた。
【デジコン編集部の注目ポイント】
Arent社の特異性は、単なる業務効率化ツールではなく、熟練者の「脳内」にあるロジックそのものをシステムに落とし込んでいる点にあります。
特に「AI Agent」による対話型の操作は、専門ソフトの習熟という高いハードルを下げ、人材不足に悩む建設業において「若手の即戦力化」を加速させる可能性を感じさせました。
2. 現場と経営を「高度な予実管理」で直結する統合ERP「imforce Arch」 / NTTデータビジネスシステムズ
NTTデータビジネスシステムズのブースでは、建設の未来を加速させる統合ERPソリューション「imforce Arch」が大きく展開された。

ちなみに、ERPとは、企業の「ヒト・モノ・カネ・情報」といった経営資源を一元的に管理し、社内の基幹業務を統合することで、効率化・最適化するシステムやその考え方のこと。
建設業界において長年の課題とされてきたのが、「現場(施工管理)」と「経営(予実管理)」のデータの分断だ。
「imforce Arch」はこの壁を取り払い、現場DXと経営DXを同時に実現する次世代型ソリューションとして注目を集めた。

特筆すべきは、高度な収益予測・シミュレーション機能だ。現場から吸い上げたリアルタイムなデータを基に、経営層が迅速かつ精度の高い意思決定を行えるよう支援する。
また、ペーパーレスの徹底や、企業の成長に合わせた柔軟なシステム拡張性も備えており、単なる基幹システムの入れ替えに留まらず、建設企業の「稼ぐ力」を底上げするプラットフォームとしての側面が強調されていた。
【デジコン編集部の注目ポイント】
多くの建設DXツールが「現場の効率化」か「バックオフィスの管理」のどちらかに特化する中、その両輪を統合ERPとして一気通貫でカバーできる点が強み。
特に、どんぶり勘定になりがちな工事進行基準の収益認識を、システム側で精緻にシミュレーションできる点は、経営体質の強化を急ぐ中堅〜準大手ゼネコンにとって非常に強力な武器になると感じました。
3. 「マニュアル不要」で現場と経営をつなぐ「現場Hub」 / 現場Hub
「ITツールを導入しても、現場の職人が使ってくれない」。そんな建設DXの”あるある”な悩みに真正面から応えるのが、現場Hub株式会社だ。
同社が提供する業務管理システム「現場Hub」は、「マニュアル不要の使いやすさ」を徹底的に追求し、デジタル機器に不慣れなベテラン職人でも直感的に扱えるUIで支持を広げている。

案件管理、写真・図面の共有、日程調整はもちろん、見積・請求書の作成や日報などのバックオフィス業務まで、このアプリひとつで完結する。
「現場からオフィスに戻って事務作業」という移動のムダを削減し、残業時間の短縮に直結するメリットが強調されていた。


また、協力会社ともシステム内でつながれる「Hubコネクト」機能や、ビジネスチャット機能も搭載。
電話やFAX、個人のLINEに散らばっていた連絡手段を集約することで、「言った言わない」のトラブルを防ぎ、チーム全体の生産性を底上げする。

多機能・高機能化が進む建設DXツールの中で、「現場にとっての”ちょうどいい”」を体現したソリューションとして、中小規模の事業者を中心に商談が行われていた。
【デジコン編集部の注目ポイント】
「現場Hub」の最大の魅力は、やはりその「圧倒的な敷居の低さ」にあるでしょう。どれほど高機能なシステムでも、現場で入力されなければデータは集まりません。
「高齢の職人さんでも説明なしで使い始めた」という導入事例が示す通り、ITリテラシーの壁を「UIの力」で乗り越えようとする設計思想は、DX導入に足踏みしている事業者にとって強力な解決策になると感じました。
4.点検表の「紙・ハンコ・回覧」を不要に!QRコードで完結する「GENBAx点検」 / SORABITO
建機レンタルDXで知られるSORABITOが展示したのが、現場のあらゆる点検業務をペーパーレス化する「GENBAx点検」だ。
建設現場では、建機の始業前点検、設備点検、作業員の健康チェックなど、膨大な数の「点検表」が毎日紙で作成されている。

これらが汚れたり紛失したりするリスクに加え、現場監督が回収・押印し、ファイリングして保管するというアナログな管理フローは、長年現場の負担となってきた。
「GENBAx点検」は、これらを全てスマホ一台に集約する。特筆すべきは、現場作業員への配慮が行き届いたUI設計だ。
面倒なID・パスワード入力は不要で、現場に掲示されたQRコードを読み取るだけでログインが完了。あとは項目をタップしていくだけで点検報告が終わる。

協力会社の職人が多い現場でも、事前のユーザー登録などの手間をかけずに即導入できる「ハードルの低さ」が、来場した現場所長の関心を強く引いていた。
点検結果はリアルタイムでクラウドに集約され、監督はスマホやPCから承認ボタンを押すだけ。

異常時にはアラート通知も飛ぶため、安全管理の即時性も向上する。「紙をなくす」だけでなく、「安全管理の質を高める」ためのDXとして、多くの安全担当者が説明を聞き入る姿が見られた。
【デジコン編集部の注目ポイント】
「アプリを使ってもらうために、まず全職人のアカウント発行とパスワード管理が必要」という初期設定の壁は、現場DXの大きな落とし穴でした。
「GENBAx点検」のQRコードログイン機能は、この壁を見事に取り払っています。「今日来た職人さんが、説明なしですぐ使える」という手軽さは、人の出入りが激しい現場において武器になると感じました。
5. 図面を読ませて最短15分。AIが複数シナリオを提案する「工程AIエージェント」 / KENCOPA
スタートアップ企業KENCOPAのブースでは、2025年12月にβ版の提供が開始されたばかりの「Kencopa工程AIエージェント」が反響を呼んでいた。
現場監督にとって、着工前の「全体工程表」作成は、数週間を要することもある重荷な業務だ。

KENCOPAのソリューションは、設計図書(図面、仕様書、見積調書)をアップロードするだけで、AIがその内容を読み解き、最短15分で工程表のたたき台を自動生成する。
単に早くなるだけではない。特筆すべきは「AIシミュレーション」機能。
「工期優先」「コスト(歩掛)優先」「並行作業重視」といった異なる条件で複数のプランを提示してくれるため、人では検討しきれなかった最適解を比較検討することができる。

また、自社の過去の施工データを学習させることで、その会社独自の「歩掛(作業ペース)」やノウハウが蓄積されていく点も重要だ。
これにより、現場経験の浅い若手や営業担当者でも、熟練者に近い精度で工期を算出できるようになる。
【デジコン編集部の注目ポイント】
これまでの工程管理ツールは「人間が決めた予定をきれいに書く・管理する」ものが主でした。
しかしKENCOPAのアプローチは「AIがプランを提案する」という点で一線を画しています。
特に、ベテランの頭の中にしかなかった「暗黙知(カン・コツ)」をAIが学習し、若手の判断をアシストしてくれる点は、技術継承に悩むゼネコンにとって救世主となり得るかもしれません。
6. 現場の「時短」を加速させる3つの矢。施工・検査・安全をスマホで完結 / YSLソリューション
「2024年問題」で待ったなしの状況にある建設業界に対し、「業務時間の短縮」という最も直球のソリューションを提示していたのがYSLソリューションだ。

同社のブースでは、施工フェーズ、検査フェーズ、そして安全管理という現場の主要な3つのシーンをカバーするアプリ群が紹介され、その導入実績と使いやすさに多くの来場者が頷く姿が見られた。
施工管理アプリ「CheX」
もはや業界のスタンダードとも言える施工管理アプリ。最大の特徴は、A0サイズの大判図面でもサクサク動く圧倒的な高速表示技術だ。

図面に工事写真や手書きメモを直感的に紐付け、クラウドで即座に共有する。

「事務所に戻ってデジカメの写真を整理する」という残業の元凶を断ち切り、電子黒板機能も標準搭載するなど、現場の「欲しい」が詰まったツールとして進化を続けている。
検査支援アプリ「LAXSY」
配筋検査や仕上げ検査の劇的な効率化を実現するツール。iPad上の図面に、傷や汚れなどの指摘箇所を「ピン」として打ち込み、写真を撮影するだけで検査記録が完了する。

特筆すべきは、協力会社ごとの是正指示書をワンクリックで自動作成できる点だ。
これまで夜な夜なExcelで行っていた帳票作成業務がほぼゼロになるインパクトは大きく、多くの現場所長が足を止めていた。
安全品質管理アプリ「AQuick」
安全パトロールや品質巡回に特化したアプリ。発見した危険箇所や不具合をその場で入力し、関係者へリアルタイムにチャット通知する。

「是正前(赤ピン)」から「是正完了(青ピン)」へとステータスを色で可視化できるため、指摘の放置や伝達漏れを防ぐことができる。
「野帳」の手軽さをデジタルに置き換え、安全管理の質を高めつつ手間を減らすアプローチが注目を集めた。
【デジコン編集部の注目ポイント】
YSLソリューションのアプリに共通しているのは、「多機能すぎない、現場に寄り添ったシンプルさ」です。
CheXで図面を共有し、LAXSYで検査を回し、AQuickで安全を守る。この3つを組み合わせることで、現場のあらゆるアナログ業務を隙間なくデジタル化できる「網羅性」こそが最大の強みだと感じました。
7. 監視カメラ×生成AI。現場の画像を解析し、リスクを自動通知する「tomoth」/ MIYOSHI
電源不要の監視カメラ「G-cam」で建設現場のインフラを支えてきたMIYOSHI。同社が満を持して発表した新サービスが「カンタンAI tomoth」だ。

建設現場では、監視カメラの映像を「録画」していても、それを常時「監視」し続けることは難しい。「tomoth」は、この映像解析をAIが代行してくれるサービス。
使い方は驚くほどシンプル。「危険予知をして」「整理整頓の状況をチェックして」「資材の盗難リスクを評価して」といった指示を出すだけで、AIが画像を解析し、その結果をメールでレポートしてくれる。

既存のG-camユーザーならカメラの映像を定期的に自動解析させることも可能。もちろん、スマホで撮影した写真をその場でアップロードして解析させることもできるため、安全パトロール時の補助ツールとしても優秀だ。

【デジコン編集部の注目ポイント】
「AIカメラ」というと、専用ハードウェアが必要なイメージがありますが、tomothは「今ある画像・映像」をAIに読ませるクラウドサービスである点がユニーク。
「ゴミヤードがいっぱいになったら教えて」「重機の近くに人がいたら警告して」など、現場ごとに異なる監視ニーズを、プロンプトひとつで柔軟に設定できる汎用性の高さは新たな可能性を感じさせました。
8. BIMより簡単、手書きより正確。「PDF図面」をなぞるだけで3Dモデル×自動積算 / ANP
専門知識が必要な「積算業務」と、習得難易度が高い「BIM」。
この2つのハードルを同時に、かつ劇的に下げるツールがANPの「PDF 3D積算」だ。
その名の通り、普段使っている「PDF図面」を読み込みマウスでなぞるだけで3Dモデルが立ち上がり、同時に積算が完了するというもの。

「BIMソフトは高機能すぎて使いこなせない」「現場はまだ2D図面が主流」という多くの工務店やリフォーム会社にとって、まさに"痒い所に手が届く"ソリューションと言える。
操作は直感的だ。平面図上の壁や床をクリックしていくだけで、瞬時に立体パースが生成される。

この3Dモデルは単なる絵ではなく、面積や体積の情報を持っているため、複雑な屋根形状や開口部を差し引いた外壁面積、さらにはRC造の鉄筋・コンクリート数量までも自動算出される。
また、作成した3Dモデルはそのまま施主へのプレゼン資料としても活用可能。「見積もりの根拠」を3Dで可視化できるため、営業段階での納得感を高め、成約率アップにも寄与する。

さらに、同社のクラウド基幹システム「SHARE」と連携させれば、拾い出した数量をそのまま見積書や実行予算書に変換することも可能。
大量の図面処理や、担当者によってバラつきがちな見積精度を標準化するツールとして、ブースには実務担当者が多く訪れていた。
【デジコン編集部の注目ポイント】
「PDF 3D積算」の最大の魅力は、BIMへの入り口としての「敷居の低さ」です。高価なBIMソフトを導入せずとも、手持ちのPDF図面だけで「3Dによる見える化」と「数量拾いの自動化」が実現できます。
特に、営業担当者が概算見積もりを出す際のスピードと精度を両立させるツールとして、非常に強力な武器になると感じました。
9. 360度動画を歩いて撮るだけ。AIが現場を"丸裸"にする「zenshot」 / Zen Intelligence
建設現場の「データ化」における最大の壁は、日々刻々と変化する現場の状況を、誰が、いつ、どうやって記録するかという点にあった。
Zen Intelligence の「zenshot」は、この課題に対し「360度動画」と「AI」の掛け合わせで一つの解を提示した。

使い方は極めてシンプル。専用のデバイスを持って現場を歩くだけ。あとはAIが360度動画データを解析し、図面上の位置情報と紐付いた「現場ビュー」を自動生成してくれる。

写真整理や図面へのピン留めといった手作業は一切不要。PCやスマホからいつでも現場の状況を360度見渡せるため、現場監督の移動時間を劇的に削減できる。
実際に、年間100棟を手掛ける住宅メーカーの事例では、現場監督の移動時間を最大60%削減したという実績も紹介されていた。


さらに同社が目指すのは、単なる可視化の先にある「Physical AI Agent」の世界だ。蓄積された現場データから、AIが工程の遅れや安全上のリスク(不安全行動や整理整頓の不備など)を自動で検知し、現場監督に代わって判断・支援を行う機能の開発も進んでいる。
【デジコン編集部の注目ポイント】
「zenshot」の凄さは、現場データの取得ハードルを「歩くだけ」まで下げた点にあります。
高価な機器を使わずとも、360度カメラの動画からAIが空間を構造化する技術は、実用的。
遠隔管理はもちろん、「AIが現場の変化を時系列で理解する」という次世代の施工管理へつながる拡張性にも期待が持てます。
10. 建機レンタルの「借りっぱなし」を撲滅。コストを可視化する「LeaseX」/ Arch
建設現場のコスト管理において、意外な盲点となっているのが「建機レンタル」だ。
Arch株式会社が提供する「LeaseX」は、この建機レンタル業務に特化した管理プラットフォームとして、ゼネコンやサブコンから熱い視線を集めている。

現場では、「どの建機を、いつまで、どこから借りているか」が不明確になりがちで、不要な延長料金(借りっぱなし)や、二重発注といったムダが頻発している。
LeaseXは、電話やFAXで行われていた発注・返却連絡をデジタル化し、全現場のレンタル状況を一元管理する。
これにより、現場監督はスマホから手軽に発注・返却が可能になり、本社・支店側はレンタルコストの推移をリアルタイムで把握できる。

「いつの間にか予算をオーバーしていた」という事態を防ぎ、データに基づくコスト適正化を実現するツールとして、経営層からの評価も高い。
【デジコン編集部の注目ポイント】
建機レンタルは「変動費」であるがゆえに、管理が緩くなりがちな領域でした。
LeaseXの強みは、単なる発注ツールではなく、「コスト削減」に直結する点です。
「借りている建機」がリスト化されるだけで、現場の返却意識が変わり、導入直後から数%〜数十%のコストダウンにつながる事例も珍しくないようです。
11. 粉塵・霧でも視界良好。LiDARで挑む無人化施工「G-Earthwork」/ 日本コントロールシステム
危険な災害現場や過酷な環境下での作業を担う「無人化施工」。
その安全性を飛躍的に高めるセンシングシステムが、日本コントロールシステムの「G-Earthwork」だ。

従来、遠隔操作の頼みの綱は「カメラ映像」だったが、土煙や霧、逆光といった悪条件下では視界が奪われ、作業中断を余儀なくされることが多かった。
同社のシステムは、産業用LiDAR(レーザー光による測距センサー)を活用し、建機周辺の状況をリアルタイムに3次元点群データとして可視化する。

これにより、カメラが真っ白になるような濃霧や粉塵の中でも、オペレーターは障害物や地形を正確に把握できる。
また、俯瞰視点(上空からの視点)を合成する機能も備えており、まるで建機の真上にいるような感覚で、死角のない操作が可能になる点は圧巻だ。
【デジコン編集部の注目ポイント】
「カメラ映像だけでは距離感がつかめない」という遠隔操作特有の課題を、LiDARという技術で見事に解決しています。
特に、災害復旧現場などの一刻を争う状況下において、天候や視界不良に左右されずに稼働できる点は、国土強靭化を支える上で極めて重要な技術と言えるでしょう。
12. 業界初、「図面の不整合」を自動検知する「整合ナビ」/ キーノスロジック
現場の手戻りや施工ミスの大きな原因となるのが、設計図書間の「不整合」だ。
キーノスロジックの「整合ナビ」は、この図面チェック業務に革新をもたらす業界初のツールとして登場した。

「平面図と断面図で窓の位置が違う」「構造図と意匠図で柱のサイズが合わない」。こうした図面間の矛盾は、これまで熟練者が時間をかけて読み比べることでしか発見できなかった。
整合ナビは、異なる種類の図面をデジタルで重ね合わせ、AIと独自アルゴリズムによって不整合箇所を自動でリストアップする。

人間が見落としがちな微細なズレもシステムが指摘してくれるため、着工前の図面精度が劇的に向上する。
現場で間違いに気づいて工事が止まる、という最悪の事態を未然に防ぐ「転ばぬ先の杖」として、設計事務所のみならず施工会社からも大きな注目を集めていた。

【デジコン編集部の注目ポイント】
図面チェックは、精神的にも時間的にも負担の大きい業務です。
「整合ナビ」は、その最も辛い「間違い探し」の部分を自動化してくれます。
人間は、検知された不整合を「どう修正するか」の判断に集中できるため、設計品質の向上と業務時間短縮の両立が期待できます。
13. 遠隔支援の決定版。「LiveOn Wearable」/ ジャパンメディアシステム
Web会議システム「LiveOn」で知られるジャパンメディアシステムは、建設現場の遠隔支援に特化した「LiveOn Wearable」を展示。
数ある遠隔支援ツールの中で、その「安定性」と「ハンズフリー性能」が際立つ内容となっていた。

スマートグラスやウェアラブルカメラと連携し、現場作業員が見ている映像を、高画質かつ低遅延で本部に共有できる。
特筆すべきは、同社が長年培ってきた独自技術による、不安定な通信環境下での粘り強さだ。電波が弱い現場でも映像が途切れにくく、音声もクリアに届く。

また、音声コマンドによる完全ハンズフリー操作に対応しており、両手がふさがっている職人が、作業の手を止めずに図面を呼び出したり、写真を撮影したりできる。
現場のリアリティを熟知したUI設計は、さすが国産Web会議の老舗といった完成度だ。
【デジコン編集部の注目ポイント】
遠隔支援ツール選びで最も重要なのは「繋がること」と「止まらないこと」です。
LiveOn Wearableは、その通信品質への信頼性が高い。
加えて、ヘルメット装着型のカメラだけでなく、様々なウェアラブルデバイスと柔軟に連携できる点も、導入のハードルを下げる大きな魅力です。
14. 建設特化AIが「社内知」を回答 / 燈
東大発のAIスタートアップとして建設業界に旋風を巻き起こしている燈(あかり)株式会社。
ブースでは、生成AIエージェントとバックオフィスDXの2軸でソリューションが展開された。

建設業特化の生成AI「AIコンストシェルジュ 光 / Hikari」
ChatGPT等の汎用AIとは一線を画す、建設業特化型のAIチャットボット。
最大の特徴は、社内の過去図面、日報、規定集などの膨大なデータを学習・検索(RAG)できる点だ。
「過去の似たような工事のトラブル事例は?」「このエリアの地盤データは?」といった質問に対し、社内資産に基づいた正確な回答を即座に提示する。
ベテランの経験則をデジタル化し、若手へ継承するナレッジマネジメントの切り札として注目される。

請求書処理を自動化「Digital Billder」
建設業特有の複雑な請求書処理をペーパーレス化するクラウドサービス。
協力会社からの請求書をデジタルで回収し、工事ごとの振替や経費精算までを一気通貫で自動化する。
インボイス制度や電帳法にも完全対応しており、経理部門と現場監督双方の事務作業を激減させる。
【デジコン編集部の注目ポイント】
燈株式会社の凄みは、最先端の「LLM(大規模言語モデル)」技術を、建設業の実務レベルまで落とし込んでいる点にあります。
「光/Hikari」は、単なるチャットボットではなく、社内に眠る膨大なデータを「使える知恵」に変えるエンジンです。
建設DXの最終形とも言える「データの資産化」を本気で推進する企業姿勢を感じました。
15. 熟練者の「背中」は語らない。AIが聞き出し、資産に変える「ノウハウ抽出AI」/ EdgeLab
「見て覚えろ」の文化が根強い建設業界で、熟練技術者の大量引退(2025年問題)はまさに致命傷となりつつある。
この課題に「AIによるインタビュー」という全く新しいアプローチで挑み、本展の「建設DXアワード2025」でも優秀賞(教育・伝承部門)を受賞したのが、東大発スタートアップの株式会社EdgeLabだ。

同社の「ノウハウ抽出AI」は、熟練者に対してAIエージェントがインタビューを行うシステム。
単なる音声文字起こしではない。AIが文脈を理解し、「その判断の根拠は?」「例外的な対応は?」と深掘り質問を繰り返すことで、ベテランの頭の中にしかない「暗黙知」を言語化・構造化する。

抽出されたデータは「ノウハウ検索チャットボット」と連携し、若手が現場で困った際に「Aさんの知恵」として即座に引き出すことができる。
マニュアル作りにつきまとう「書くのが面倒」「読まれない」という二重苦を、AIの対話力で突破するソリューションとして、技術継承に焦るゼネコン各社から熱い視線が注がれていた。

【デジコン編集部の注目ポイント】
「マニュアルを作れと言っても、職人さんは忙しくて書いてくれない」。
そんな現場の嘆きを、「AIが聞きに行く」という逆転の発想で解決しています。
形式的な手順だけでなく、現場特有の「勘所」や「失敗談」までデータ化できる点は、まさにAIならではの"聞き上手"な機能と言えるでしょう。
16. iPadが「図面」になる。「紙の書き心地」で現場をつなぐ「BuddyBoard」/ ブラザー工業
プリンターでお馴染みのブラザー工業が、あえて「ペーパーレス」を推進するツールとして展開するのが、手書きノートアプリ「BuddyBoard」だ。
CADや高機能な施工管理アプリが普及しても、現場での指示出しやアイデア出しには「紙とペン」が最強であることは否めない。
「BuddyBoard」はその直感的な操作性をiPad上で完全に再現しつつ、デジタルの利便性を付加した。
最大の特徴は、複数人が離れた場所から一つの図面にリアルタイムで書き込める「共同編集機能」だ。
事務所の設計者と現場の監督が、まるで同じ机で図面を囲んでいるかのように、同時に赤入れやメモを行える。
さらに、建設業向け機能として「三角スケール(縮尺機能)」や「レイヤー機能」を搭載。
現場で撮影した写真を図面に貼り付け、その上から手書きで修正指示を書き込むといった作業もスムーズに行える。
【デジコン編集部の注目ポイント】
「デジタル化=キーボード入力」と思われがちですが、建設現場では手書きの方が圧倒的に早い場面が多々あります。
BuddyBoardは、既存の「紙の業務フロー」を変えずに、移動時間や共有の手間だけを削除できるため、現場の抵抗感を最小限に抑えつつDXを進めたい企業にとって最適な選択肢です。
17. 3つの「R」で現場を変革。VRとロボット技術が拓く建設DXの最前線 / ソニーマーケティング
ソニーマーケティングの展示は、「Remote(遠隔)」「Real Time(即時)」「Reality(実在感)」の3つの「R」をテーマに展開された。
エンターテインメントやAV機器で培ったソニーの技術力が、建設現場の課題解決にどう応用されているか、その本気度が伝わる内容となっていた。

熟練の技をVRで。「VRコーチングサービス」
メタバース空間を活用した研修システムも展示。危険を伴う作業を安全に反復練習できるだけでなく、熟練工の動きや判断をデジタル化して「教材」にできる点が新しい。

技術継承という業界全体の課題に対し、「体験」を通じてスキルを伝承するソニーらしいアプローチだ。
このほか、デジタルツインを活用した「遠隔作業支援サービス」など、ハードとソフトの両面から現場の生産性を高めるソリューションが目白押しだった。

【デジコン編集部の注目ポイント】
特に衝撃を受けたのが「空間再現ディスプレイ」でした。モニター前に立ってみると、そこに本物の現場が出現したかのような感覚に陥りました。
奥行きや立体感がリアルに迫ってくるその臨場感は、驚きの一言。遠隔地にいながらにして、現場の空気感や細かな凹凸まで正確に把握できる未来が来ると確信しました。
18. 現場の“今”を死角なくクラウドへ / セーフィー
ウェアラブルクラウドカメラ「Safie Pocket2 Plus」
「移動時間の削減」を最も手軽に実現するツールとして、多くの建設現場で標準採用されているのがこの機種だ。

バッテリーとLTE回線を内蔵したオールインワン設計で、電源を入れるだけで自動的にクラウド録画が開始される。
最大の強みは「通話機能」だ。現場作業員が装着すれば、遠隔地にいる本部スタッフと映像を見ながらリアルタイムで会話ができる。

進化した「手ブレ補正機能」により、移動中でも酔いにくい滑らかな映像を配信できるほか、最大8時間の連続稼働が可能になったことで、一日中バッテリー切れを気にせず業務に集中できる点も大きな改善点だ。
屋外用クラウドカメラ「Safie GO 360」
「現場全体を俯瞰したい」というニーズに応えるのが、電源をさすだけで使えるLTE搭載の屋外用カメラだ。
その名の通り、水平・垂直182°の魚眼レンズを搭載し、360度全方位を一台でカバーする。

これまでの固定カメラではどうしても生じていた「死角」を解消し、現場の進捗状況や資材置き場の様子を漏らさず記録できる。
専用ビューアーでは、魚眼映像特有の歪みを補正(デワープ)して表示できるため、違和感のないクリアな映像で状況確認が可能だ。
【デジコン編集部の注目ポイント】
セーフィーの強みは、この2つを組み合わせた時の「補完関係」にあります。
「Safie GO 360」で現場全体の動き(マクロ)を把握し、細かいトラブルや検査が必要な箇所は「Safie Pocket2 Plus」で人が寄って(ミクロ)確認する。
この「空と地上」の視点を組み合わせることで、現場監督が現地に行かずとも、ほぼ全ての管理業務を完結できる体制が整います。
19. 掘削事故を「ゼロ」へ。レーダと電磁誘導で地中のインフラを透視する / ジャスト
掘削工事の現場において、最大の恐怖の一つが「地中埋設物の切断事故」だ。古い図面が実態と合っていない、そもそも図面がないといった状況下で、現場監督の“勘と経験”頼みの掘削が行われているケースは少なくない。

構造物調査のパイオニアである株式会社ジャストが展示するのは、そんな地中の「見えないリスク」を科学的に可視化する「地中埋設物探査」サービスだ。
同社の強みは、「電磁波レーダ法」と「電磁誘導法」という2つの異なる技術を組み合わせた高精度な複合探査にある。
レーダで地中の空洞や異物の反射を捉え、電磁誘導で金属管やケーブルの位置を特定する。

このダブルチェック体制により、単一の手法では見落としがちな塩ビ管や深層の配管なども高い確率で検知し、その場で正確な位置と深度をマーキングする。
ブースでは、実際に作成される「探査結果図」のサンプルも公開。即日で図面化されるスピード感や、配管種別まで色分けされた分かりやすさは、「これなら試掘(手掘り)の回数を劇的に減らせる」と、工期短縮を課題とする来場者者から評価を得ていた。
また、探査データをBIM/CIMと連携させ、地中の状況を3Dモデル化(デジタルツイン化)する先進的な取り組みも紹介されており、インフラ維持管理のDXを加速させる一手として注目を集めている。
【デジコン編集部の注目ポイント】
「掘ってみないと分からない」という建設現場の常識は、ジャストの技術によって過去のものになりつつあります。
公衆災害にもつながる埋設管事故を未然に防ぐことは、コストだけでなく企業の信頼を守ることと同義です。
「安心を買う」という意味で、着工前の標準プロセスとして導入すべきサービスだと感じました。
20. 1億画素の「眼」とAIの「脳」。インフラ点検を劇的に変える最強タッグ / 富士フイルム
「写真のフジフイルム」が、その圧倒的な画質技術を武器に建設DXの最前線へ切り込んだ。
富士フイルム株式会社のブースで提示されたのは、超高解像度カメラとAI診断サービスを組み合わせた、インフラ点検の完全デジタル化ソリューションだ。

ドローン搭載1億2百万画素デジタルカメラ「GFX100S II」
点検ドローンのペイロード(積載カメラ)として展示されたのが、同社のフラッグシップミラーレスカメラ「GFX100S II」だ。
最大の特徴は、一般的なフルサイズセンサーの約1.7倍の面積を持つ「ラージフォーマットセンサー」と、そこから生み出される1億2百万画素という驚異的な解像力にある。


これにより、ドローンを対象物に過度に接近させることなく、安全な離隔距離を保ったまま、コンクリートの0.1mm幅のひび割れを鮮明に捉えることができる。
また、一度の撮影で広範囲を高精細に記録できるため、飛行回数や撮影枚数を大幅に削減し、現場作業の効率を飛躍的に高めることが可能だ。

社会インフラ画像診断サービス「ひびみっけ」
「GFX」で撮影した高精細な画像データを、AIの力で解析するのがクラウドサービス「ひびみっけ」だ。

膨大な点検画像データをアップロードするだけで、AIが自動的にひび割れを検出し、その長さや幅を計測。
さらにはDXF(CAD)データや帳票まで自動作成してくれる。
これまで技術者がPCモニターに定規を当てるなどして、一本一本手書きでトレースしていた解析作業を自動化することで、業務時間を数分の一に短縮する。


さらに、現場で記入されたチョーク(マーキング)の検出や、剥離・漏水といった変状の記録にも対応しており、熟練者の目に頼っていた点検品質の均一化とデジタル化を一気に推進する。
【デジコン編集部の注目ポイント】
富士フイルムの展示が他と一線を画すのは、「入力(カメラ)」と「処理(AI)」の両方で世界最高峰の技術を持っている点。
どんなに優れたAIでも、元の画像が粗ければ正しい診断はできません。「1億画素で撮って、AIで診る」。
このシンプルかつ強力な組み合わせは、老朽化が進む国内インフラを効率的に守り抜くための、一つの最適解と言えるかもしれません。
21. バラバラな現場データを一画面に。「自分たちで作れる」IoTダッシュボード「SiteDiver」/ DTSインサイト
建設現場のIoT化が進むにつれ、新たな悩みとして浮上しているのが「管理画面の乱立」だ。
カメラはA社のアプリ、騒音計はB社のサイト、気象データはC社のツール…。これらを個別に確認する手間を解消し、たった一つの画面で現場の全てを可視化するのが、株式会社DTSインサイトのクラウドプラットフォーム「SiteDiver」だ。

ポイントは、ITの専門知識がなくても使える「圧倒的なカスタマイズ性」にある。
画面上に地図やグラフ、カメラ映像などの「ウィジェット」をドラッグ&ドロップで配置するだけで、その現場専用のダッシュボードを誰でも簡単に作成できる。

プログラミングは一切不要。現場の進捗に合わせて監視したい項目が変わっても、外部の業者に修正を依頼することなく、現場監督自身がその場で画面レイアウトを変更できる柔軟さが大きな支持を集めている。
また、接続するセンサーやカメラのメーカーを問わない「マルチベンダー対応」も強みだ。

水位計、傾斜計、風速計、熱中症指標計など、現場にある様々なデバイスのデータを一元集約できるため、災害時の状況把握や安全管理の司令塔として機能する。
純国産プラットフォームならではのサポートの手厚さも、インフラ現場などの重要案件で選ばれる理由となっている。
【デジコン編集部の注目ポイント】
「SiteDiver」の良さは、「今週は台風が来るから、風速と水位を画面の真ん中に大きく表示したい」。
そんな現場の切実なニーズに対し、システム改修費をかけずにマウス操作だけで即座に対応できる「自由度」。この自由度こそが、変化の激しい建設現場に最も必要な機能ではないでしょうか。
22. スマホで顔を10秒撮るだけ。「隠れ疲労」を可視化する「カルテコworkwell」/ メディカル・データ・ビジョン
建設現場の安全管理において、アルコールチェックと同じくらい重要性を増しているのが、作業員の日々の「メンタル不調」や「蓄積疲労」の把握だ。

医療ビッグデータ大手のメディカル・データ・ビジョン株式会社は、この見えにくいリスクを「顔撮影」だけで可視化する画期的なソリューション「カルテコworkwell」を展示した。
使い方は極めてシンプルだ。出退勤の打刻時などに、スマホのカメラで自分の顔を約10秒間撮影するだけ。
画像解析技術(非接触バイタルセンシング)により、脈拍の揺らぎから「自律神経のバランス」を測定し、本人が自覚しにくいストレス度や疲労度を数値化する。


また、管理者はダッシュボードを通じて組織全体のコンディションを把握でき、「特定の現場で疲労度が高い」「この作業員はストレス傾向が続いている」といった予兆を早期に検知できる。

事故につながるヒューマンエラーを、勘ではなくデータで未然に防ぐ「次世代の安全管理ツール」として、来場者の関心を集めていた。
【デジコン編集部の注目ポイント】
建設現場の安全管理において、アルコールチェックは浸透しましたが、それ以上に難しいのが「目に見えないメンタル不調」の把握です。
カルテコworkwellの凄さは、ウェアラブル端末などの特別な機器を一切使わず、「スマホで顔を撮るだけ」という圧倒的な手軽さにあります。
これなら忙しい朝礼前でも負担なく実施でき、管理者が離れた現場の作業員のSOS(蓄積疲労)にいち早く気づくことができる、非常に現実的かつ強力なリスク対策だと感じました。
まとめ
10周年を迎えた本展は、単なるデジタル化から、AIエージェントや高度なハードウェア連携による「業務の自動化」へとフェーズが完全に移行したことを強く印象づけた。
人手不足という待ったなしの課題に対し、各社が現場のリアリティに即した解決策を提示しており、建設業の未来は着実にアップデートされている。
WRITTEN by
建設土木のICT活用など、
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