コラム・特集
高橋 奈那 2021.6.2

【CSPI-EXPO 2021レポート】ユニークな視点で現場を効率化!専門性が光る業務支援ソリューション篇

2021年5月12日(水)〜14日(金)に幕張メッセで開催された「建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO)」。建設機械や測量機器、BIM/CIMをはじめとするソフトウェアサービス企業など、次世代の土木・建設業界を担う数々の企業が一堂に会し、大盛況のうちに幕を閉じた。



本記事では、出典ブースのなかから、独自の視点で現場の効率化を支援する新技術・サービスを提供している4社を紹介していく。


現場写真管理サービスで残業時間を削減。小田島組の「カエレル」


「カエレル」は、施工現場で撮影される大量の現場写真の管理を、遠隔で代行するサービスだ。撮影画像をパソコンに保存し、クラウドにアップロードすれば、残りの整理・管理作業は「カエレル」が代行して行う。


サービス申し込みが完了すると、サービスに必要な写真管理ソフトがインストールされた専用PC、撮影用iPhone(電子黒板機能も利用可能)等、一式入ったスターターキットが送られてくる。必要に応じてルーターやケーブルなどの同梱も可能と、これまでインターネット環境のなかった事業所でも手軽にサービスを利用できることが特徴だ。もちろん、いま利用している写真管理ソフトを使って管理したいという要望にも対応している。


工期中は、カエレルの専属のスタッフが遠隔で現場監督を密にサポートする。人材を派遣するイメージだ。手が足らず、残業が常態化している事業所や、人を増やすことが難しい事業所であっても、残業時間を削減するため大いに貢献するサービスなのではないだろうか。

 後付で建機をICT化。取り付け簡単なMG「iDig」


「iDig」は、既存の油圧ショベルをICT建機にアップグレードすることができる、フランス生まれのMG(マシンガイダンスシステム)だ。


バケット刃先の状態を2D表示でリアルタイムに確認することができるので、手元確認の作業員なしでも作業することが可能だ。


最大の特徴は、センサー類をつなぐケーブル等がないこと。コードレスタイプなので、簡単に載せ替えをすることも可能。1台のiDigを複数台の建機に搭載し、複数の現場で並行してICT施工を行うこともできるのだ。

最大100台の建機の施工データを記録することができるうえ、作業中にバケットを交換した場合にも、重機データとバケット交換のデータを紐付けることができるという。ソーラーパネルで充電されるため、作業中にバッテリー切れをおこすという心配もない。


また、「iDig2D」の特徴をそのままに、現在地情報を確認することができる「iDig3D」の発売も決定しているという。従来ICT施工には、刃先情報と建機の位置情報を記録する2つのGPSが必要だったが、iDig3D本体に内蔵されているジャイロセンサーが方向を認識することができるので、1つのGPSで対応することができるという。低コスト化でICT化を実現する、心強い味方になるだろう。


山林に特化した測量・管理サービス 晃洋設計測量の「山守コンパス・山守くんLite」


「山守コンパス」は、晃洋設計測量が提供する山林測量に特化した測量ソフト。


Bluetooth接続されたデジタルコンパスと山守コンパスを搭載したAndroid端末というコンパクトな装備で、山林の測量がワンタッチで完了する。

明確な目印や目安となるものが少ない山間部でも、正確な測量を実現する。高精度のレーザー即距計やGPS受信機を用いることで施業計画地の面積計測や隣地の境界測定結果も取得することができるのだ。

さらに、インターネット山林管理GIS「山守くんLite」と連携すれば、測量した地形データと台帳(森林簿)情報などを、一括で管理することが可能になる。


航空写真や衛星写真、林班図や地形図といった、森林管理・開発を行うために必要な多様な情報を、一元化管理することが可能になる。

これまで台帳と地図を別々に管理していた情報郡を山守コンパスと山守くんLiteを併用することで、情報を集約することが可能だ。作業効率化につながるだろう。施業時の事前手続きなどを円滑に行うことができる。


山林は台風や土砂崩れといった自然災害の影響を受けやすく、それにより地形も変わりやすい。そうした山間部の地形データや位置情報を正確に残せることで、作業効率化だけでなく、維持・管理に強みを発揮する。

さらに、山林の強みを測量にいかし、森林場のストリートビューや、写真測量時に丸太などの点群情報を自動修正する解析ソフトなども開発中とのこと。山林部の開発を専門技術で底上げする晃洋設計測量、今後の技術開発に注目したい。


JUIDA認定・即戦力を育てるドローンスクール「Dアカデミー ALLIANCE」


最後に紹介する「Dアカデミー」は、ドローン飛行技術と併せて、測量・点検や測量データの作成方法など、実践的な技術を学べるJUIDA(一般社団法人日本UAS産業振興協議会)認定の養成スクールだ。

当スクールの最大の特徴は、全国14校に広がるアライアンス校がそれぞれに得意分野を持つ事業所だということだ。各校では、JUIDAの規定に則ったドローンの操縦者資格講習に加えて、測量講習や点検資格講習、水中ドローンの操縦講習など、各校がノウハウとして保有する専門技術に特化したカリキュラムを提供している。

受講者の要望を事前にヒアリングし、目的にあわせたカリキュラムを考案。講習は少人数で行われるため、実務で使用する本格的なドローンを一人一台使用し、一日8時間ほど飛行練習を行うことができる。また、卒業生であれば、他スクールで異なる分野の講習を受講することも可能だ。

アフターケアが充実していることも特徴の一つだろう。たとえば、「新たに点検業務を担当することになった」「水中ドローンの操縦も覚えたい」など、業務上新たに技術を学ぶ必要になった際も、卒業生であれば、他のアライアンス校で学ぶこともできる。ドローンを使用した測量に関する基準の改訂などが合った場合も、卒業校で無料で講習をうけることができるのだ。

一般的なドローンスクールのように、映像撮影を目的とする若年層の一般受講者がいないことので、熟練技術者も気軽に受講することができるだろう。


焦点を絞ったきめ細かな商品・サービスが、増加傾向に


本年のCSPIの会場を周るなかで、いま、あらゆる企業が、特定の実務支援に焦点を絞った技術開発を進めていることを実感した。そしてそのすべてが、担当者がみな口にする「作業員の業務負担を軽減する」という言葉どおり、即戦力になるサービスばかりだ。

「新技術の活用で業務効率化をしよう」。そう考えても、多岐にわたる日常業務をゼロから見直すことは難しい。また、徐々に浸透しつつあるICT技術も、本当に自社の業務に適しているかわからない……。さまざまな悩みから、新技術の導入に二の足を踏んでいる企業も多いのではないだろうか。

まずは、自社の小さな困りごとを解決することから、スタートを切る。今回紹介した各企業のソリューションが、働き方改革を推進する契機になるのではないだろうか。



編集:デジコン編集部  / 取材・文:高橋 那奈 / 撮影:宇佐美 亮
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WRITTEN by

高橋 奈那

神奈川県生まれのコピーライター。コピーライター事務所アシスタント、広告制作会社を経て、2020年より独立。企画・構成からコピーライティング・取材執筆など、ライティング業務全般を手がける。学校法人や企業の発行する広報誌やオウンドメディアといった、広告主のメッセージをじっくり伝える媒体を得意とする。

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