今年も、土木・建設DX業界が注目する最大規模のイベント「建設・測量生産性向上CSPI-EXPO」の季節がやってきた!
2024年5月22日(水)〜24日(金)、幕張メッセの屋内外展示場で開催された当イベントには、455社もの企業がブースを構え、前回の来場者数を数千人ほど上回る44,678名もの業界関係者が会場に押し寄せた。
会期期間中は通常の空港直行便以外に、YCAT(横浜駅)・東京駅行の臨時高速バスも増幅運行され、CSPI-EXPOの盛り上がりは年々増すばかりである。
こちらは、開催初日に行われたオープニングセレモニーの様子だ。
建設・測量生産性向上展の実行委員長である森徹也氏や森下博之氏(国土交通省)をはじめとする業界著名人42名によるテープカットが行われ、幕を明けたCSPI-EXPO。官公庁をはじめとする各協議会や主力メーカーの代表がずらりと並ぶ姿は圧巻だ。
〜次世代を担う、最先端技術が一堂に〜というイベントコンセプトを体現した個性的なプロダクトが集う出展ブースから、デジコン編集部が注目した企業ブースをレポートする。開発背景や活用シーンについても解説していくので、ぜひ最後までご覧いただきたい。
MCやMG技術の発展とともに、無人施工技術が新しい選択肢となりつつある昨今、無人施工を可能とする建機のラインナップも徐々に広がり始めている。
ローラー重機を筆頭とする建機メーカー酒井重工業のブースで紹介されている建機の名前は「自律走行式ローラーARMs」。
オペレーターの技量など人的要因に左右されない安定した品質と安全な施工を叶えるソリューションだ。
ARMsの技術開発に協力したのは独自OSの研究・開発を主軸としたソリューションを展開するJIG-SAWが技術開発に協力し、酒井重工業にとって、異業種連携による初めてのプロダクトとなる。
使用方法は至ってシンプルで、タブレットからアプリケーションを起動し、スタートボタンを押すと自動で低圧作業が開始される。これなら誰でも簡単に施工を開始できそうだ。
当プロダクトの肝はそれだけではない。自律走行以外にコントローラーを利用した遠隔運転、さらに手動運転と、現場の状況や環境に合わせて自由度の高い運転を可能にした点が最大の特徴といえるだろう。
現場には熟練作業員を配置し、実際の運転は経験の浅い作業員が遠隔で行う等、フレキシブルな活用法が想定できる。
建機に設置されたカメラから現場の状況を遠隔で監視できるほか、車両には障害物や作業員などを検知して自動で運行を停止する検知センサーが搭載されており、事故防止への備えも、遠隔と現場、二段構えのシステムとなっている。
イベント初日である5月22日、2024年10月より受注を開始すると正式に発表された。
水中ドローン技術開発のリーディングカンパニーCHASING本社(中国)から、水中現場の効率化を叶えるソリューションが届いた。
SF映画から飛び出してきたかのような、曲線的なフォルムが美しいこちらのドローンは「CHASING X」。
水深350mの水圧下でも作業ができる水中ドローンで、流れるような車体デザインは耐流性や操作性を最大限に発揮するべく生まれたものなのだとか。
車体の前面と底面に設置された4KカメラやePTZ機能(デジタルパン・チルト・ズーム機能)、オプションとして追加できるマルチソナーなどを用いて水中の状況を多面的に捉えていく。
作業員はディスプレイ付きの手元コントローラーで、陸上から水中をリアルタイムに目視しながら調査をすることが可能だ。
水中ドローンは、港湾・河川工事における調査などに低コストで導入できることから年々注目が集まっているソリューションの一つだ。
今後は大規模現場に限らず、行政から受注を請ける地元事業者からの注目が集まるだろう。
CHASING社の国内唯一の正規代理店スペースワン社の担当者による水槽を使用した実機デモンストレーションやミニセミナーも行われ、その実力を目の当たりにしていた。
現場で重宝される手押し車、通称”ねこ”。土砂や岩石など重量のあるものを積んで歩くにはバランスを取る必要があり、そのぶん身体への負担も大きかった。
しかしこの、電動アシスト機能を後付できるプロダクトがあれば、荷運び作業が格段に楽になる。
取り付けは簡単。普段使用している一輪車のタイヤを交換し、持ち手の部分にアクセルレバーを取り付けるだけで準備完了だ。
モーターの力で、耐荷重100kgまでの積荷を楽に運ぶことができるほか、5段階のパワー調整機能付きなので、積み荷の重さや路面の状態、傾斜などに合わせて手元のコントローラーで調節するとよいだろう。
タイヤはオフロード仕様で、ゴツゴツした路面や砂利の多い傾斜面での走破性も格段に向上する。自転車のブレーキのようなブレーキレバーがついており、すぐに止まることもできる。
粉塵や降雨による影響に左右されない防滴防塵性能IP54を備えており、現場でのハードユースにも耐えられるだろう。
ただ、稼働時間は2時間(60kg積載4km/h稼働想定)となっているため、ここぞという場面の使用に留めるか、補充用の予備バッテリーを用意しておく必要がある。
バッテリーには電動工具に広く用いられているHIKOKIマルチボルトバッテリーを採用しているため、補充用バッテリーとして流用できるものをすでに所有している、という方もいるかもしれない。
現場での機動力と汎用性にこだわりが光るこちらの製品。すでに土木・建設現場以外で活用が広がり、さまざまな現場の足を支えている。
ドイツPupil Lab社から届いた「NEON」は、キャリブレーションの手間なくリアルタイムな視線計測を可能にしたメガネ型のアイトラッカーだ。
専用のスマートフォンアプリと組み合わせれば、メガネを装着した瞬間から計測などの作業を開始することができる。
広角シーンカメラ、ステレオマイク、IMUなど充分すぎるほどの機能が搭載されており、視線の動きからでXY座標を取得することもできる。
たとえば、メガネをかけて現地の状況を確認しながら視線の動きだけで計測作業をする等の使い方もできそうだ。
また、機能はすべてノーズパッド部分に集約されているので、反射低減や耐塵・耐水コートも施こすなど、レンズへの工夫が幅広い点も魅力だろう。
付属のレンズセットを使えば度数調整ができるタイプも展開されているので、日常的にメガネを使用している方でも装着可能だ。
近い将来、サングラスタイプやゴーグルタイプなど、さまざまな現場ニーズに応える商品展開にも期待したいところだ。
ダンプや重機が出入りする現場で路面を保護したり、資材を置く地面の欠損防止のため使用される敷板。主に敷鉄板などが利用されているが、その重さは一枚あたり500kgを越えるため、これまで養生作業には重機などが用いられていた。
また、鉄板がずれないよう金具で留める作業などは、作業員の習熟度により仕上がりに差が出やすい作業の一つでもあった。
これらの課題を解決するのが、こちらの敷板。
「持ち上げてください」のパネルが示すとおり、なんと人力で持ててしまう軽さ。樹脂製で、中にはスポンジのように発泡体が詰まっている。
軽車両やキャタピラ式重機などに最適な軽量タイプとフォークリフトや10tを越えるタイヤ車両を想定した高強度タイプがあり、重さはそれぞれ9~16kgと、13~23kg。
車両の乗り上げをスムーズにする傾斜付きのタイプと通常タイプを組み合わせて使用する。杭などで固定でき、簡易的な工具で穴あけ・裁断などの加工が可能だという。
設置方法も非常にシンプルで、まるでキッズスペースのジョイントマットのように簡単に設置できるそうだ。敷板の設置にかけていた人的コストや工数を省略できるため、大幅な効率化が期待できそうだ。
以前デジコンでも紹介した熱中症対策ウォッチカナリアが、大幅に機能をアップデート。カナリアPlusとしてCSPI-EXPOにやってきた。
カナリアとは、熱中症リスクを感知して知らせるウェアラブル端末だ。
事前準備や操作は必要なく、作業開始前に装着すれば準備は完了。深部体温の上昇を感知するとアラートで知らせて、水分補給や休息を促す。
LEDランプが緑色に切り替わったら作業復帰可能な合図だ。危険・安全の変化が非常にわかりやすい。
最大の特徴はワンシーズンで使い切りという点。充電の手間を省き、バッテリー切れで肝心なときに使えない、というリスクを取っ払った。
振動・衝撃耐性はJIS B7001に準拠しており、防塵・防水性能はIP67と非常に高く、汗や水で壊れることはなさそうだ。
これだけでも充分すぎる熱中症対策デバイスだが、前モデルからの機能は大幅にアップデートされている。
まず、バッテリー寿命が3~4ヶ月から5ヶ月に延長された。湿度の低い初夏や暑さのピークを過ぎた秋にも、屋外や空調の行き届かない現場では熱中症リスクが高くなる可能性がある。そういったケースも想定し、使用可能期間が延長された。
そして次に、アラート機能に新たに”振動”が追加され、LED点滅速度が30秒に1回から15秒に1回に変更され、現場で作業に集中していてもすぐ気づけるよう進化した。
給電方式により作業時間の縛りや稼働域の制限をとりはらったROV「MONGOOL」シリーズに、最新機種MOGOOL M8が登場した。
機体重量は17kgと、小回りの効く小型タイプが増えつつある水中ドローン市場では珍しい大型モデルとなる。
8枚のスラスタを標準搭載しており機動性が高く、水中で360度自由自在に方向を変えながら、どんな体勢でも安定して作業ができる。
多種多様な後付オプション機器と組み合わせて、さまざまな作業に対応できる点もMONGOOLシリーズの特徴のひとつ。
マルチビームイメージソナーや3Dイメージソナー、3Dスキャナや水質計などの計測機器に加え、アームやグリッパーなども取り付けられるので、小石や水草といった作業の妨げとなる小さな障害物をグリッパーで除去しながら調査・点検作業を行うことも可能だ。
給電方式を採用している「MONGOOL」シリーズは時間制限がない分、データをその場でチェックできるという強みがある。
そのため、コントロールボックスのディスプレイ上に、あらゆる情報を同時に表示しながら作業ができるようになっている。
屋外作業を想定し、モニターディスプレイは紫外線下でも見やすいタイプを採用しているそうだ。
こちらで紹介されているクリーンレーザー技術とは、現場だけでなく、地球規模で課題解決をめざしている、新技術だ。
橋梁をはじめとする、各インフラ構造物の塗料剥離・錆の除去作業では、研削材や薬剤を使用した除去作業が行われてきた。
しかし、作業するたびに除去した塗装のクズが大量に発生し、処理にかかる費用や、作業時にクズが飛散することで作業員への負担にもなっていた。
このクリーンレーザー技術なら、除去作業に薬剤は必要ない。レーザーを照射すれば、汚れやコーティングを即座に気化することができる。
気化した汚れが即座に吸引されるため、飛散を最小限に抑え効率的に改修作業が行えるそうだ。
ノズルにはカバーがあり、レーザー光の露出も抑える安全性に配慮した設計になっている。作業中には粉塵や騒音も発生しないので、作業員の負担も大幅に軽減できるだろう。
国内でも施工実績を増やしつつある当工法。今後の広がりにも注目していきたい。
「現場ロイド」や「背筋検査ARシステムBAIAS」など、これまで当サイトでも紹介してきたソリューションの数々を手掛けてきたGRIFFYから、開発中のソリューション「GRIFFY APP」が届いた。
GRIFFY APPを使えば、安全管理や熱中症対策のために、縦割りで設置してきたカメラや温度センサーなどを一元管理できるようになる。
さらに、各センサーが収集した数値をクラウド上でAIが解析し、現場ニーズにマッチする方法で知らせてくれるという。
各センサーの操作・管理をアプリ上で完結するため、カメラの操作や動画のチェックはこのサービス…温度管理はこのタブレット……と分けて使用する必要がなく、非常にコンパクトだ。
数値を監視する人員を割く余力のない現場でも、AIアシスタントがアラートなどをメッセージとして知らせてくれるので、担当者は現場で他業務にあたりながら、必要なときだけAIアシスタントのアラートに従い対応する等、自由度の高い動き方が可能になる。
開発中でありながら、すでに使用感やメリットがリアルに想像できるこちらのソリューション。接続できるセンサーの種類や機能の詳細など、今後の発表にも注目していきたい。
2024年5月22日(水)〜24日(金)、幕張メッセの屋内外展示場で開催された当イベントには、455社もの企業がブースを構え、前回の来場者数を数千人ほど上回る44,678名もの業界関係者が会場に押し寄せた。
会期期間中は通常の空港直行便以外に、YCAT(横浜駅)・東京駅行の臨時高速バスも増幅運行され、CSPI-EXPOの盛り上がりは年々増すばかりである。
こちらは、開催初日に行われたオープニングセレモニーの様子だ。
建設・測量生産性向上展の実行委員長である森徹也氏や森下博之氏(国土交通省)をはじめとする業界著名人42名によるテープカットが行われ、幕を明けたCSPI-EXPO。官公庁をはじめとする各協議会や主力メーカーの代表がずらりと並ぶ姿は圧巻だ。
〜次世代を担う、最先端技術が一堂に〜というイベントコンセプトを体現した個性的なプロダクトが集う出展ブースから、デジコン編集部が注目した企業ブースをレポートする。開発背景や活用シーンについても解説していくので、ぜひ最後までご覧いただきたい。
自動運転ローラー「ARMs」/酒井重工業
MCやMG技術の発展とともに、無人施工技術が新しい選択肢となりつつある昨今、無人施工を可能とする建機のラインナップも徐々に広がり始めている。
ローラー重機を筆頭とする建機メーカー酒井重工業のブースで紹介されている建機の名前は「自律走行式ローラーARMs」。
オペレーターの技量など人的要因に左右されない安定した品質と安全な施工を叶えるソリューションだ。
ARMsの技術開発に協力したのは独自OSの研究・開発を主軸としたソリューションを展開するJIG-SAWが技術開発に協力し、酒井重工業にとって、異業種連携による初めてのプロダクトとなる。
使用方法は至ってシンプルで、タブレットからアプリケーションを起動し、スタートボタンを押すと自動で低圧作業が開始される。これなら誰でも簡単に施工を開始できそうだ。
当プロダクトの肝はそれだけではない。自律走行以外にコントローラーを利用した遠隔運転、さらに手動運転と、現場の状況や環境に合わせて自由度の高い運転を可能にした点が最大の特徴といえるだろう。
現場には熟練作業員を配置し、実際の運転は経験の浅い作業員が遠隔で行う等、フレキシブルな活用法が想定できる。
建機に設置されたカメラから現場の状況を遠隔で監視できるほか、車両には障害物や作業員などを検知して自動で運行を停止する検知センサーが搭載されており、事故防止への備えも、遠隔と現場、二段構えのシステムとなっている。
イベント初日である5月22日、2024年10月より受注を開始すると正式に発表された。
水中ドローン「CHASING X」 / スペースワン
水中ドローン技術開発のリーディングカンパニーCHASING本社(中国)から、水中現場の効率化を叶えるソリューションが届いた。
SF映画から飛び出してきたかのような、曲線的なフォルムが美しいこちらのドローンは「CHASING X」。
水深350mの水圧下でも作業ができる水中ドローンで、流れるような車体デザインは耐流性や操作性を最大限に発揮するべく生まれたものなのだとか。
車体の前面と底面に設置された4KカメラやePTZ機能(デジタルパン・チルト・ズーム機能)、オプションとして追加できるマルチソナーなどを用いて水中の状況を多面的に捉えていく。
作業員はディスプレイ付きの手元コントローラーで、陸上から水中をリアルタイムに目視しながら調査をすることが可能だ。
水中ドローンは、港湾・河川工事における調査などに低コストで導入できることから年々注目が集まっているソリューションの一つだ。
今後は大規模現場に限らず、行政から受注を請ける地元事業者からの注目が集まるだろう。
CHASING社の国内唯一の正規代理店スペースワン社の担当者による水槽を使用した実機デモンストレーションやミニセミナーも行われ、その実力を目の当たりにしていた。
E-cat kit2(一輪車電動化キット) / CuboRex
現場で重宝される手押し車、通称”ねこ”。土砂や岩石など重量のあるものを積んで歩くにはバランスを取る必要があり、そのぶん身体への負担も大きかった。
しかしこの、電動アシスト機能を後付できるプロダクトがあれば、荷運び作業が格段に楽になる。
取り付けは簡単。普段使用している一輪車のタイヤを交換し、持ち手の部分にアクセルレバーを取り付けるだけで準備完了だ。
モーターの力で、耐荷重100kgまでの積荷を楽に運ぶことができるほか、5段階のパワー調整機能付きなので、積み荷の重さや路面の状態、傾斜などに合わせて手元のコントローラーで調節するとよいだろう。
タイヤはオフロード仕様で、ゴツゴツした路面や砂利の多い傾斜面での走破性も格段に向上する。自転車のブレーキのようなブレーキレバーがついており、すぐに止まることもできる。
粉塵や降雨による影響に左右されない防滴防塵性能IP54を備えており、現場でのハードユースにも耐えられるだろう。
ただ、稼働時間は2時間(60kg積載4km/h稼働想定)となっているため、ここぞという場面の使用に留めるか、補充用の予備バッテリーを用意しておく必要がある。
バッテリーには電動工具に広く用いられているHIKOKIマルチボルトバッテリーを採用しているため、補充用バッテリーとして流用できるものをすでに所有している、という方もいるかもしれない。
現場での機動力と汎用性にこだわりが光るこちらの製品。すでに土木・建設現場以外で活用が広がり、さまざまな現場の足を支えている。
メガネ型アイトラッカー(独 Pupil Labs社製) / クレアクト
ドイツPupil Lab社から届いた「NEON」は、キャリブレーションの手間なくリアルタイムな視線計測を可能にしたメガネ型のアイトラッカーだ。
専用のスマートフォンアプリと組み合わせれば、メガネを装着した瞬間から計測などの作業を開始することができる。
広角シーンカメラ、ステレオマイク、IMUなど充分すぎるほどの機能が搭載されており、視線の動きからでXY座標を取得することもできる。
たとえば、メガネをかけて現地の状況を確認しながら視線の動きだけで計測作業をする等の使い方もできそうだ。
また、機能はすべてノーズパッド部分に集約されているので、反射低減や耐塵・耐水コートも施こすなど、レンズへの工夫が幅広い点も魅力だろう。
付属のレンズセットを使えば度数調整ができるタイプも展開されているので、日常的にメガネを使用している方でも装着可能だ。
近い将来、サングラスタイプやゴーグルタイプなど、さまざまな現場ニーズに応える商品展開にも期待したいところだ。
ミラロード(樹脂製の軽量敷板) / JSP
ダンプや重機が出入りする現場で路面を保護したり、資材を置く地面の欠損防止のため使用される敷板。主に敷鉄板などが利用されているが、その重さは一枚あたり500kgを越えるため、これまで養生作業には重機などが用いられていた。
また、鉄板がずれないよう金具で留める作業などは、作業員の習熟度により仕上がりに差が出やすい作業の一つでもあった。
これらの課題を解決するのが、こちらの敷板。
「持ち上げてください」のパネルが示すとおり、なんと人力で持ててしまう軽さ。樹脂製で、中にはスポンジのように発泡体が詰まっている。
軽車両やキャタピラ式重機などに最適な軽量タイプとフォークリフトや10tを越えるタイヤ車両を想定した高強度タイプがあり、重さはそれぞれ9~16kgと、13~23kg。
車両の乗り上げをスムーズにする傾斜付きのタイプと通常タイプを組み合わせて使用する。杭などで固定でき、簡易的な工具で穴あけ・裁断などの加工が可能だという。
設置方法も非常にシンプルで、まるでキッズスペースのジョイントマットのように簡単に設置できるそうだ。敷板の設置にかけていた人的コストや工数を省略できるため、大幅な効率化が期待できそうだ。
熱中症対策ウォッチ カナリアPlus / Biodata Bank
以前デジコンでも紹介した熱中症対策ウォッチカナリアが、大幅に機能をアップデート。カナリアPlusとしてCSPI-EXPOにやってきた。
カナリアとは、熱中症リスクを感知して知らせるウェアラブル端末だ。
事前準備や操作は必要なく、作業開始前に装着すれば準備は完了。深部体温の上昇を感知するとアラートで知らせて、水分補給や休息を促す。
LEDランプが緑色に切り替わったら作業復帰可能な合図だ。危険・安全の変化が非常にわかりやすい。
最大の特徴はワンシーズンで使い切りという点。充電の手間を省き、バッテリー切れで肝心なときに使えない、というリスクを取っ払った。
振動・衝撃耐性はJIS B7001に準拠しており、防塵・防水性能はIP67と非常に高く、汗や水で壊れることはなさそうだ。
これだけでも充分すぎる熱中症対策デバイスだが、前モデルからの機能は大幅にアップデートされている。
まず、バッテリー寿命が3~4ヶ月から5ヶ月に延長された。湿度の低い初夏や暑さのピークを過ぎた秋にも、屋外や空調の行き届かない現場では熱中症リスクが高くなる可能性がある。そういったケースも想定し、使用可能期間が延長された。
そして次に、アラート機能に新たに”振動”が追加され、LED点滅速度が30秒に1回から15秒に1回に変更され、現場で作業に集中していてもすぐ気づけるよう進化した。
以下、8/30更新
MOGOOL M8 / JOHNAN
給電方式により作業時間の縛りや稼働域の制限をとりはらったROV「MONGOOL」シリーズに、最新機種MOGOOL M8が登場した。
機体重量は17kgと、小回りの効く小型タイプが増えつつある水中ドローン市場では珍しい大型モデルとなる。
8枚のスラスタを標準搭載しており機動性が高く、水中で360度自由自在に方向を変えながら、どんな体勢でも安定して作業ができる。
多種多様な後付オプション機器と組み合わせて、さまざまな作業に対応できる点もMONGOOLシリーズの特徴のひとつ。
マルチビームイメージソナーや3Dイメージソナー、3Dスキャナや水質計などの計測機器に加え、アームやグリッパーなども取り付けられるので、小石や水草といった作業の妨げとなる小さな障害物をグリッパーで除去しながら調査・点検作業を行うことも可能だ。
給電方式を採用している「MONGOOL」シリーズは時間制限がない分、データをその場でチェックできるという強みがある。
そのため、コントロールボックスのディスプレイ上に、あらゆる情報を同時に表示しながら作業ができるようになっている。
屋外作業を想定し、モニターディスプレイは紫外線下でも見やすいタイプを採用しているそうだ。
クリーンレーザー技術 / 一般社団法人クリーンレーザー工法協会
こちらで紹介されているクリーンレーザー技術とは、現場だけでなく、地球規模で課題解決をめざしている、新技術だ。
橋梁をはじめとする、各インフラ構造物の塗料剥離・錆の除去作業では、研削材や薬剤を使用した除去作業が行われてきた。
しかし、作業するたびに除去した塗装のクズが大量に発生し、処理にかかる費用や、作業時にクズが飛散することで作業員への負担にもなっていた。
このクリーンレーザー技術なら、除去作業に薬剤は必要ない。レーザーを照射すれば、汚れやコーティングを即座に気化することができる。
気化した汚れが即座に吸引されるため、飛散を最小限に抑え効率的に改修作業が行えるそうだ。
ノズルにはカバーがあり、レーザー光の露出も抑える安全性に配慮した設計になっている。作業中には粉塵や騒音も発生しないので、作業員の負担も大幅に軽減できるだろう。
国内でも施工実績を増やしつつある当工法。今後の広がりにも注目していきたい。
GRIFFY APP / GRIFFY
「現場ロイド」や「背筋検査ARシステムBAIAS」など、これまで当サイトでも紹介してきたソリューションの数々を手掛けてきたGRIFFYから、開発中のソリューション「GRIFFY APP」が届いた。
GRIFFY APPを使えば、安全管理や熱中症対策のために、縦割りで設置してきたカメラや温度センサーなどを一元管理できるようになる。
さらに、各センサーが収集した数値をクラウド上でAIが解析し、現場ニーズにマッチする方法で知らせてくれるという。
各センサーの操作・管理をアプリ上で完結するため、カメラの操作や動画のチェックはこのサービス…温度管理はこのタブレット……と分けて使用する必要がなく、非常にコンパクトだ。
数値を監視する人員を割く余力のない現場でも、AIアシスタントがアラートなどをメッセージとして知らせてくれるので、担当者は現場で他業務にあたりながら、必要なときだけAIアシスタントのアラートに従い対応する等、自由度の高い動き方が可能になる。
開発中でありながら、すでに使用感やメリットがリアルに想像できるこちらのソリューション。接続できるセンサーの種類や機能の詳細など、今後の発表にも注目していきたい。
順次、注目の展示ブースの様子をお届けします。次回の更新をお待ち下さい
WRITTEN by
高橋 奈那
神奈川県生まれのコピーライター。コピーライター事務所アシスタント、広告制作会社を経て、2020年より独立。企画・構成からコピーライティング・取材執筆など、ライティング業務全般を手がける。学校法人や企業の発行する広報誌やオウンドメディアといった、広告主のメッセージをじっくり伝える媒体を得意とする。
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