コラム・特集
『i-Construction2.0』とは!?国交省が2024年度に発表!〜 現場のオートメーション化を推進するための課題/具体的な取組みを解説! 〜
2016年度より、建設現場の生産性向上をめざし推進されてきたi-Construction。
デジタル技術の活用や、中小企業でも取り入れやすい新サービスなどの増加により、現場のICT化は着実に広まりつつある。
本記事では、変革の真っ只中にある建設現場に追い風となるであろう「i-Construction2.0」について取り上げる。
キーワードとなるのは「現場のオートメーション化」。徐々に定着しつつある新しい土木・建設現場の働き方を後押しする国の施策を紹介していく。
道路や橋梁、トンネルなど地域社会の基盤となるインフラ設備。それらの生産・維持を担う土木・建設業界では、社会的に進みつつある少子高齢化の影響も相まって、職人や作業員の高齢化が進みつつある。
また、業界に対するネガティブイメージや技術の属人化・未経験者への育成体制などの影響から若手人材の確保や担い手不足も課題となっていた。
一方で、高度経済成長期に建設されたインフラ設備の老朽化や毎年頻発する自然災害や震災の復旧作業など、業界に対するニーズはこれまで以上に高まっている。
これらの問題を解決に向け、2016年よりi-Constructionの名のもとに、土木・建設業界全体の生産性向上・働き方改革がスタートしたのである。
2016年以降、ICT施工をはじめとするデジタル技術の活用が徐々に広まり、直轄事業の建設現場における生産性はおよそ2割向上している。
近年、中小事業者でも導入しやすいデジタルソリューションも多数リリースされており、まずは測量やデータ管理から等、自社のペースでデジタル化を進めている事業者も少なくない。
この動きをさらに後押しすべく、今年度に発表されたのがi-Construction2.0だ。
i-Construction2.0では、目標を以下の4点に定めている。
そして、最大のポイントとなるのが「建設現場のオートメーション化」だ。これまで掲げてきたICT技術の活用から一歩踏み込み、自動化を推し進める。
2040年を目標に現場のオートメーション化を進め、作業員一人あたりの生産性を向上させることで、およそ3割の省人化(生産性1.5倍)を目指す狙いだ。
自動運転技術を活用した工事実績は増加しつつある。しかし、現段階では自動運転技術を活用できる施工環境や工種が限られており、限定的な導入にとどまっている。今後はさらなる導入拡大をめざし、データ整備から工種拡大に至るまで、ソフトとハード両面からバックアップしていく。
2023年度から原則適用が開始されているBIM/CIM。データを情報として参照するだけでなく、複数データの紐づけや施工や検査への活用などを通し効率化を実現するため、既存データの活用と3次元モデルの標準化の二軸でデータの活用を進めていく方針だ。
スマホ1台で、現場の働き方改革を実現!
土木・建設現場のi-Constructionを推進するICTプロダクトは、ここ近年、数多く発売されている。特に測量業務をサポートする製品は、精度もクオリティも高品質な製品が多い。
測量で重視したいのは、誰でも簡単に使える手軽さと、土木・建設の現場には欠かせない正確さではないだろうか。
とくにおすすめは、iPhoneがあれば簡単に3Dデータを取得できる土木・建設に特化した測量アプリ「OPTiM Geo Scan」だ。
高い精度が求められる土木・建設、インフラの測量現場で、多数のゼネコンや中小規模の建設会社に導入実績がある。
OPTiM Geo Scanは、令和4年度の国土交通省 「3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)」にも準拠しており、高精度な測位が可能で、測量データは「出来形測量」「起工測量」でも使用することができる。
つまり、出来形管理計測に利用するため必要な高い精度(±50mm)を実現しているのだ。NETIS登録製品でもあるため、安心して使用できる。
技術の革新は日進月歩。ひと昔前にはスマホで測量などとは考えられなかったかもしれないが、実際に試してみると、手軽さや精度の高さに驚かされるだろう。
デジタル技術の活用や、中小企業でも取り入れやすい新サービスなどの増加により、現場のICT化は着実に広まりつつある。
本記事では、変革の真っ只中にある建設現場に追い風となるであろう「i-Construction2.0」について取り上げる。
キーワードとなるのは「現場のオートメーション化」。徐々に定着しつつある新しい土木・建設現場の働き方を後押しする国の施策を紹介していく。
そもそもi-Constructionとは何か?基本をおさらい
道路や橋梁、トンネルなど地域社会の基盤となるインフラ設備。それらの生産・維持を担う土木・建設業界では、社会的に進みつつある少子高齢化の影響も相まって、職人や作業員の高齢化が進みつつある。
また、業界に対するネガティブイメージや技術の属人化・未経験者への育成体制などの影響から若手人材の確保や担い手不足も課題となっていた。
一方で、高度経済成長期に建設されたインフラ設備の老朽化や毎年頻発する自然災害や震災の復旧作業など、業界に対するニーズはこれまで以上に高まっている。
これらの問題を解決に向け、2016年よりi-Constructionの名のもとに、土木・建設業界全体の生産性向上・働き方改革がスタートしたのである。
確実に変化しつつある建設業界のいま
2016年以降、ICT施工をはじめとするデジタル技術の活用が徐々に広まり、直轄事業の建設現場における生産性はおよそ2割向上している。
近年、中小事業者でも導入しやすいデジタルソリューションも多数リリースされており、まずは測量やデータ管理から等、自社のペースでデジタル化を進めている事業者も少なくない。
この動きをさらに後押しすべく、今年度に発表されたのがi-Construction2.0だ。
i-Construction2.0がめざす目標
i-Construction2.0では、目標を以下の4点に定めている。
- 省人化による生産性の向上
- 作業環境の安全性向上
- 職場環境の整備と多様な働き手の確保
- 給与水準の底上げや休暇率向上など、新しい建設業へ
そして、最大のポイントとなるのが「建設現場のオートメーション化」だ。これまで掲げてきたICT技術の活用から一歩踏み込み、自動化を推し進める。
2040年を目標に現場のオートメーション化を進め、作業員一人あたりの生産性を向上させることで、およそ3割の省人化(生産性1.5倍)を目指す狙いだ。
オートメーション化の促進案を解説
施工のオートメーション化
自動運転技術を活用した工事実績は増加しつつある。しかし、現段階では自動運転技術を活用できる施工環境や工種が限られており、限定的な導入にとどまっている。今後はさらなる導入拡大をめざし、データ整備から工種拡大に至るまで、ソフトとハード両面からバックアップしていく。
- 自動施工に向けた環境の整備
2023年3月に設置された「建設機械施工の自動化・自律化協議会」では、2024年3月、自動施工の安全ルールを策定した。
今年度は安全ルールの現場適用をめざし、自動建設機械の機能要件や施工管理要件といった、実務に即したルールの検討・検証をすすめていく。
また、所有する建機の種類や規格を問わず、幅広い事業所で自動施工技術を導入できるよう共通制御信号の策定についても、共同研究が動き出している。
研究・開発のさらなる促進をめざし、誰でも利用できるオープンな研究開発用プラットフォーム「自律施工技術基盤OPERA(Open Platform for Earthwork with Robotics and Autonomy)」の整備を進めていく。
- 遠隔施工技術の普及促進
高所や急斜面など作業員への危険の伴う現場や、自然災害発生時の復旧工事などで導入が進んでいる遠隔施工。今年度からは、他現場でも遠隔施工を積極的に実施していく。
オフィスや自宅から施工ができるため、働く場所・地域を問わず多様な人材が活躍できる環境を整備するとともに、作業員の安全性確保にも役立てていく。
- 施工データ集約・活用のための基盤整備
建設現場の見える化の促進を目的に、建設機械の施工データを活用する“共通データ環境(施工データ プラットフォーム)”の整備をすすめていく。
これにより、受注者・発注者だけでなく、下請けや協力会社に至るまで、リアルタイムに施工データの閲覧・確認が可能になる。
さらに、建機が収集した多様な施工データを活用するための基準を定め、施工データの連携や幅広い活用を視野に入れた技術・開発を促進していく。
今年度は、データを元にした効率的な施工計画や試行工事の実施や、施工データプラットフォームの構築を進め、工程の調整や作業待ち防止など、幅広く役立てていく狙いだ。
- 海上工事における取り組み
施工のデジタル化・オートメーション化を海上工事においても広く実施していくため、3次元データの活用を進めていく。
事業者がデータを活用した施工や遠隔操作が実施できるよう、国は設計形状データや施工前データ、施工履歴などの検査結果もクラウド上にストックし、BIM/CIM活用のためのバックアップに努めていく。
- ICT施工の原則化
2022年度にはICT土工における直轄工事の、およそ86%の現場でICT施工が実施されている背景をうけ、今年度よりICT土工・及びICT浚渫工における工事の一部を施工者希望型から発注者指定型に移行し、さらに2025年度以降はICT施工を原則化する方針だ。
データ連携のオートメーション化(デジタル化・ペーパーレス化)
2023年度から原則適用が開始されているBIM/CIM。データを情報として参照するだけでなく、複数データの紐づけや施工や検査への活用などを通し効率化を実現するため、既存データの活用と3次元モデルの標準化の二軸でデータの活用を進めていく方針だ。
- 3次元モデルの標準化
昨年度のBIM/CIM原則適用開始以来、本格的に利用されるようになったBIM/CIMだが、3次元モデルに設計データ(平面)が紐づいていない等の課題がある。
3次元化することで施工や検査、関係者間での情報共有等がスムーズになり効率化が実現するため、まずは3次元モデルを参考資料ではなく工事契約資料と定義付けることで、データ連携の促進を図る狙いだ。
- 後工程へのデータ活用・効率化
BIM/CIMをデータプラットフォームと定義づけ、設計データを積算やICT施工に活用するなど、一つのデータを数工程にわたり利活用する等、作業の効率化を進める狙いだ。
施工データを検査・管理等に役立てる際には部材データなどを参照できるため、将来的な維持・管理の観点からも効率化を実現できる。
また、こうしたデータをBIM/CIM上に蓄積していくことで、同様の工種で以前使用した部材を検索して引用したり、不備のあった部品を検索して交換・補修工事に役立てる等、品質維持への効果も期待できる。
- デジタルツイン
工期の最適化やミスによる手戻りの防止のため、長期に渡るプロジェクトや工程が複雑な工事などで、仮想現実上で施工を行う等の方法でシミュレーションをしたり、VRゴーグルやAR技術を活用して3次元設計データを閲覧するなどのデジタルツイン技術を積極的に活用していく。
国や民間は、こうしたデジタルツインの構築をスムーズに行えるよう、インフラデータなど行政が保有するデータを提供するとともに、データベースの構築を進めていく方針だ。 - データ活用による書類の削減
受注者・発注者・協力会社など、会社をまたいで利用できる情報共有システムの導入をすすめ、施工中に作成する数々の書類のデジタル化を促進する。
現場写真や図面、出来形管理、検査データなどすべてをクラウド上で一元管理し、スマートフォンやPC・タブレットさえあれば各種データへ、いつでもどこでもアクセスできる環境を整備。承認・共有・確認作業の円滑化を図る。
施工管理のオートメーション化(リモート化・オフサイド化)
- 監督検査のデジタル化・リモート化 (遠隔臨場)
2022年より原則適用が開始されている、360度カメラやWebカメラなどを利用した遠隔臨場やデジタル技術を活用した段階確認等の確認業務を、今年度より中間技術検査・完成検査にも拡大していく。
現場監督業務に利用できるデジタル技術も拡充されているため、今後はさらに検査項目や計測項目を拡充していく狙いだ。
- ロボットによるリモート検査
地震などの自然災害発生時などに、迅速に復旧・安全確保を行うため、施設常駐型ロボットの遠隔操作による設備点検の実現をめざす。現在、国土交通省の施設内でロボットによるランプやメーター確認、スイッチ操作など動作試験を実施しており、今後は山岳地や離島施設における試験が実施される見込み。
- 高速ネットワークの設備
3次元設計データをICT施工に利用するなど、ネットワークを介した大容量データ活用の円滑化に向け、高速ネットワークの設備を進めていく。
具体的には、河川道路管理用光ファイバを活用し、日本全国を100Gbpsの高速・大容量回線で接続。すでに東北~九州地方整備局に高速ネットワークを構築が完了しており、今後は北海道まで延伸を予定している。
地方整備局にとどまらず、出張所まで延伸することで、幅広いエリアで高速回線を利用できる環境を整えていく。
- プレキャスト活用
コンクリート工において、工期短縮や建設現場の省人化などのメリットが見込まれるプレキャスト製品。
プレキャストの活用をさらに促進するため、プレキャスト製品の規格ごとの適用検討や、活用事例集の作成などを進めている。
価格以外の要素(省人化効果・働き方改革寄与度・安全性向上・環境負荷低減等)を考慮し評価・検討を行うVFM(Value for Money)の評価手法の確立、実施要領の策定に取り組んでいく。
スマホ1台で、現場の働き方改革を実現!
測量アプリは「OPTiM Geo Scan」は国交省のお墨付き!
土木・建設現場のi-Constructionを推進するICTプロダクトは、ここ近年、数多く発売されている。特に測量業務をサポートする製品は、精度もクオリティも高品質な製品が多い。
測量で重視したいのは、誰でも簡単に使える手軽さと、土木・建設の現場には欠かせない正確さではないだろうか。
とくにおすすめは、iPhoneがあれば簡単に3Dデータを取得できる土木・建設に特化した測量アプリ「OPTiM Geo Scan」だ。
高い精度が求められる土木・建設、インフラの測量現場で、多数のゼネコンや中小規模の建設会社に導入実績がある。
OPTiM Geo Scanは、令和4年度の国土交通省 「3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)」にも準拠しており、高精度な測位が可能で、測量データは「出来形測量」「起工測量」でも使用することができる。
つまり、出来形管理計測に利用するため必要な高い精度(±50mm)を実現しているのだ。NETIS登録製品でもあるため、安心して使用できる。
技術の革新は日進月歩。ひと昔前にはスマホで測量などとは考えられなかったかもしれないが、実際に試してみると、手軽さや精度の高さに驚かされるだろう。
WRITTEN by
高橋 奈那
神奈川県生まれのコピーライター。コピーライター事務所アシスタント、広告制作会社を経て、2020年より独立。企画・構成からコピーライティング・取材執筆など、ライティング業務全般を手がける。学校法人や企業の発行する広報誌やオウンドメディアといった、広告主のメッセージをじっくり伝える媒体を得意とする。
建設土木の未来を
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