ICT基礎知識
デジコン編集部 2020.7.20

i-Constructionとは?【アイ・コンストラクションの基本を解説】

なぜ、i-Constructionは始まったのか?


2016年、国土交通省が、建設業界の生産性向上のために、ICT(情報通信技術)を取り入れた新しいプロジェクト「アイ・コンストラクション(i-Construction)」を本格始動した。 ICTとは、コンピュータなどを使った通信技術とその利用のこと。

なぜ今、アイ・コンストラクションを進める必要があったのか。まずは、背景を押さえておきたい。

建設ニーズが高まる中、人手不足が深刻化


社会インフラを支える建設・土木事業。市場規模は60兆円を超え、近年はオリンピックやインフラの老朽化による建設投資の拡大で、ますますニーズが高まっている。

しかしその一方で、現場で作業をする技能者の高齢化や、3K(きつい・危険・きたない)ともいわれるハードな労働環境のイメージから若手離れが進み、人手不足が深刻化している現状がある。


こうした問題を解消するために始まったのが、建設現場の生産性向上プロジェクト「アイ・コンストラクション」である。生産性の向上とは、品質や安全をしっかり守りながら、なるべく多くの人材や時間をかけずに効率よく工事を行うことだ。

そして従来の3Kのイメージを払拭して、新3K(「給与が高い」「休暇が取れる」「希望が持てる」)という魅力的な職場・業界にし、若者離れを食い止める狙いがある。

アイ・コンストラクションのコンセプト


アイ・コンストラクションでは、以下の3つを柱に施策を進めている。


<アイ・コンストラクションの柱>

  1. ICTの全面的な活用(ICT土工
  2. 規格の標準化(コンクリート工)
  3. 施工時期の標準化

なかでも、プロジェクトの大きな鍵になるのが、「1. ICTの全面的な活用」だ。まずはとくに効率化が遅れている土工(土を削ったり盛ったりする工事)に力を入れ、測量から設計・施工・検査・維持管理といったすべてのプロセスでICTの導入を促進するというものである。

それでは、具体的にICTを活用した取り組みを見てみよう。

<建設現場でのICT活用例>


上記をすべて活用した例として、2018年に始まった三井住友建設株式会社による国道45号気仙沼道路工事がある。同社が開発したシステム「SMC-GeoCIM」で、3Dモデルを用いて施工・品質情報を一元管理。また、UAV(ドローン、無人機)による測量を行い、3Dモデルを作成して、データをマシンガイダンス(MG)バックホウ・ブルドーザーに搭載したうえで施工を行った。

注目すべきポイントは、視覚的にわかりやすい立体的な3Dモデルに仕様やコスト・時間などの情報を付加し、全プロセスでデータを共有・管理する「CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)」の導入である。

従来の平面図では伝わりにくかったイメージが明確になり、早い段階で設計や施工の不具合も見える化されるため、認識のズレやミスを防げるのがメリットだ。

また、遠隔から精密な3Dデータを取得できるUAVを使った測量や、操作のサポートや自動制御ができるICT建機を用いた施工を行い、省人化や安全性の向上をめざしている。

「建設×ICT」の今とこれから


ICT工事が格段に増え、新技術も続々開発


2016年に始まったアイ・コンストラクションは、「前進」「深化」の年を経て、2019年は「貫徹」の年に。ICTを活用した直轄工事は全体の約6割まで増え、実際の作業時間(起工測量から電子納品まで)を約3割削減できたという効果も出ている(2018年度実績)。

そして土工を皮切りに、舗装、浚渫(河川などの土砂を除去する工事)、地盤改良、官庁の営繕などの建築分野まで、どんどん工種が広がっているところだ。


また、産学官民の連携を強めるため、国土交通省は「i-Construction推進コンソーシアム」という組織を設立。先進的なIT技術をもつ大学などの研究機関やベンチャー企業と、建設会社や国・自治体が一体となって、新技術の開発に力を注ぎ、社会的なムーブメントを起こしている。

以下は、実際に現場で導入されている新技術の一例だ。

<新技術の導入例>

ウェアラブル端末での遠隔管理
IT系ベンチャーのオプティムは、スマートグラスで映像などを共有し、遠隔から現場をサポート・管理できるサービス「Smart Field」を開発。

AI(人工知能)を活用したインフラ点検
光学機器メーカーのキヤノンは、壁や道路などを高画質で撮影し、AIで解析して、ひび割れなどを自動で検知するサービス「インスペクション EYE for インフラ」を展開。

●ロボットを活用した施工
清水建設は、外部メーカーや研究機関と協働で、自動搬送ロボット「ロボ・キャリア」、多能工ロボット「ロボ・バディ」、溶接ロボット「ロボ・ウエルダー」などを開発。

コスト面や制度面などの課題はあるが、これからもアイ・コンストラクションに参入する民間企業が増え、続々と新しい技術が生まれていくだろう。ITと融合した建設産業の飛躍的な進化が、私たちの豊かな生活につながることを期待したい。
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デジコン編集部

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