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【LiDAR(ライダー)とは?】iPhone12 Pro / 13Pro /14pro / 15Pro / 16Pro搭載の「LiDAR」の仕組みをやさしく解説!〜 建設業界でも注目度急上昇 〜
最近、至るところでよく耳にするLiDAR(ライダー)というワード。iPhone 12 Pro /12 Pro Max(iPad Pro)以降の機種に標準搭載されたことで、話題になっている。
どうやら計測技術らしいということは理解できるが、「じゃあどんな技術なの?」と聞かれて、あなたは正確に答えられるだろうか?
本記事では、iPhone 搭載の「LiDAR」について、基礎から活用法までを解説していく。今すぐ、上司や同僚、部下 に教えたくなる“LiDAR ウンチク”が満載の記事になっている。
“LiDAR”は、Light Detection And Ranging(光による検知と測距)から生まれた略語だ。その言葉が意味するように、照射した光が対象物に当たり、センサーに戻ってくるまでの時間差を計測し、距離を測る技術のことを指す。
言葉が似ているため混同してしまうかもしれないが、電波を飛ばし対象との距離を計測するRadar(レーダー)とは、そもそも計測方法が異なる。
Radar:電波を対象物に当て、距離を測る
電波と比較して、光は波形が短く光束密度が高いため、照射する対象がどんなに小さな物体であっても、その形状を正確に捉えることができる。
照射した点群をもとにデータ処理をすれば、3次元モデルが完成する。光の戻ってくる時間差だけでなく、センサーへの入射角や位置情報などを同時に記録することで、より正確な3次元モデルを作成することも可能だ。
新技術のように感じられる「LiDAR」だが、この技術が誕生したのは、実は1960年代頃。
位置情報を正確に把握するために利用され、宇宙開発分野や軍事利用が主な活躍の場であった。
LiDAR技術の起源は1960年代にさかのぼる。当初は主に宇宙開発や軍事目的で使用されていた。月面の地形測定や、軍事偵察における地形把握などに活用された。
地質学や気象学の分野で活用が進み、地形測量や大気観測などに使用されるように。この時期、LiDAR機器の小型化と高性能化が進んだ。
自動車の自動運転技術の発展に伴い、LiDARは車載センサーとして注目を集めるようになった。道路環境の3D認識や障害物検知に不可欠な技術として、多くの自動車メーカーが採用を始めた。
AppleがiPhone 12 ProとiPad Proにモバイル向けLiDARセンサーを搭載したことで、一般消費者向け製品にも本格的に登場した。これにより、AR(拡張現実)アプリケーションや3Dスキャニングが手軽に行えるように。
iPhoneに搭載されたLiDARの仕組みと性能
iiOSデバイス(iPhone 12 Pro、iPhone 12 Pro Max、iPad Pro 、iPhone 13 Pro、iPhone 13 Pro Max、iPhone 14 Pro、iPhone 14 Pro Max、iPhone 15 Pro、iPhone 15 Pro Max、iPhone 16 Pro、iPhone 16 Pro Max)に標準搭載されたトランスミッターから、パルス状の不可視光線を対象物にナノ秒単位で照射し、レシーバーへの戻り時間を計測して、5mの範囲内を瞬時にスキャニングする、立派な高精度LiDARスキャナーだ。
LiDARの測定精度を最大限に活用するには、いくつかの要因に注意を払う必要がある。
まず、測定対象の表面状態が重要な要素となる。ガラスや鏡面のように光を透過・反射する材質では、レーザー光が正確に戻ってこないため、精度が低下する可能性がある。
また、強い日差しや照明下での測定は、外乱光の影響で計測精度が低下することがある。やや暗所での測定の方が、より安定した結果が得られる傾向にある。
測定距離と角度も精度に大きく影響する。iPhoneに搭載されたLiDARの場合、推奨測定範囲は5m以内だが、対象までの距離が遠くなるほど、また照射角度が斜めになるほど、点群データの密度は低下する。
さらに、デバイスの保持安定性も重要な要素である。
手ブレは点群データの位置ズレを引き起こすため、可能な限り安定した状態での計測が推奨される。三脚などの使用も効果的だ。
普段使いのiPhoneに標準搭載されているからといって、その実力を侮ってはいけない。
このモバイル用「LiDAR」は、土木・建設の現場で測量器として活用することができるほど、高い水準のものなのだ。
2021年には、LiDAR機能を最大限に活用することができるスマホ測量アプリ「OPTiM Geo Scan」がOPTiM社からリリースされた。
「OPTiM Geo Scan」を使った測量で利用するのはLiDARスキャナ―搭載のiPhoneまたはiPad、とGNSSレシーバー(緯度経度情報の受信と読み取りをする際に必要)の2点のみ。(※ データ処理・管理には、Webアプリケーション操作用のPCが別途必要)
測量現場にて、スマホを手に持ち、歩きながらスキャンしていけば測量だけでなく、3次元モデル化までもが、その場で完了する。
UAVを利用した写真測量、TSを用いたLS起工測量などと比較して、測量時間を最大60%削減することが出来る上、機器導入コスト・維持費においても、最大80%の削減を可能にした。
作業時間の削減と導入コスト・維持費の低価格化を両立した「OPTiM Geo Scan」は、全国の土木・建設事業者のICT化を加速させる起爆剤となり得るアプリだろう。
目の前の空間が瞬時に点群化されていく様子を目の当たりにすれば、現場でも使ってみたいと感じるはずだ。
「他現場の帰りについでに測量を終わらせる」「施工作業の進捗を、現況データとして3Dモデル化したい」「新卒社員や内勤スタッフに測量を任せたい」など、これまで測量業務の概念を根底から覆すプロダクトになっている。
どうやら計測技術らしいということは理解できるが、「じゃあどんな技術なの?」と聞かれて、あなたは正確に答えられるだろうか?
本記事では、iPhone 搭載の「LiDAR」について、基礎から活用法までを解説していく。今すぐ、上司や同僚、部下 に教えたくなる“LiDAR ウンチク”が満載の記事になっている。
「Radar(レーダー)」と「LiDAR(ライダー)」って、何がちがうの?
“LiDAR”は、Light Detection And Ranging(光による検知と測距)から生まれた略語だ。その言葉が意味するように、照射した光が対象物に当たり、センサーに戻ってくるまでの時間差を計測し、距離を測る技術のことを指す。
言葉が似ているため混同してしまうかもしれないが、電波を飛ばし対象との距離を計測するRadar(レーダー)とは、そもそも計測方法が異なる。
LiDARとRadarの違い
LiDAR:光を対象物に当て、距離を測るRadar:電波を対象物に当て、距離を測る
電波と比較して、光は波形が短く光束密度が高いため、照射する対象がどんなに小さな物体であっても、その形状を正確に捉えることができる。
照射した点群をもとにデータ処理をすれば、3次元モデルが完成する。光の戻ってくる時間差だけでなく、センサーへの入射角や位置情報などを同時に記録することで、より正確な3次元モデルを作成することも可能だ。
LiDAR技術の歴史と進化〜実は昔から活用されてきたLiDAR 〜
新技術のように感じられる「LiDAR」だが、この技術が誕生したのは、実は1960年代頃。
位置情報を正確に把握するために利用され、宇宙開発分野や軍事利用が主な活躍の場であった。
1960年代:宇宙開発と軍事利用
LiDAR技術の起源は1960年代にさかのぼる。当初は主に宇宙開発や軍事目的で使用されていた。月面の地形測定や、軍事偵察における地形把握などに活用された。
1990年代〜2000年代:民生利用の拡大
地質学や気象学の分野で活用が進み、地形測量や大気観測などに使用されるように。この時期、LiDAR機器の小型化と高性能化が進んだ。
2010年代:自動運転技術への応用
自動車の自動運転技術の発展に伴い、LiDARは車載センサーとして注目を集めるようになった。道路環境の3D認識や障害物検知に不可欠な技術として、多くの自動車メーカーが採用を始めた。
2020年代:スマートフォンへの搭載と一般化
AppleがiPhone 12 ProとiPad Proにモバイル向けLiDARセンサーを搭載したことで、一般消費者向け製品にも本格的に登場した。これにより、AR(拡張現実)アプリケーションや3Dスキャニングが手軽に行えるように。
iPhoneに搭載されたLiDARの仕組みと性能
iiOSデバイス(iPhone 12 Pro、iPhone 12 Pro Max、iPad Pro 、iPhone 13 Pro、iPhone 13 Pro Max、iPhone 14 Pro、iPhone 14 Pro Max、iPhone 15 Pro、iPhone 15 Pro Max、iPhone 16 Pro、iPhone 16 Pro Max)に標準搭載されたトランスミッターから、パルス状の不可視光線を対象物にナノ秒単位で照射し、レシーバーへの戻り時間を計測して、5mの範囲内を瞬時にスキャニングする、立派な高精度LiDARスキャナーだ。- 測定範囲:約5メートル
- 測定速度:ナノ秒単位での高速スキャン
- 使用光:不可視の近赤外線レーザー
- iPhoneでのLiDAR活用例
- AR(拡張現実)アプリケーションの精度向上
- 室内の3Dスキャンと立体モデル作成
- 暗所でのカメラオートフォーカス性能向上
LiDARの測定精度に影響を与える要因は?
LiDARの測定精度を最大限に活用するには、いくつかの要因に注意を払う必要がある。
まず、測定対象の表面状態が重要な要素となる。ガラスや鏡面のように光を透過・反射する材質では、レーザー光が正確に戻ってこないため、精度が低下する可能性がある。
また、強い日差しや照明下での測定は、外乱光の影響で計測精度が低下することがある。やや暗所での測定の方が、より安定した結果が得られる傾向にある。
測定距離と角度も精度に大きく影響する。iPhoneに搭載されたLiDARの場合、推奨測定範囲は5m以内だが、対象までの距離が遠くなるほど、また照射角度が斜めになるほど、点群データの密度は低下する。
さらに、デバイスの保持安定性も重要な要素である。
手ブレは点群データの位置ズレを引き起こすため、可能な限り安定した状態での計測が推奨される。三脚などの使用も効果的だ。
土木・建設、インフラの現場での活躍が期待される、iPhone搭載の「LiDARセンサー」
普段使いのiPhoneに標準搭載されているからといって、その実力を侮ってはいけない。
このモバイル用「LiDAR」は、土木・建設の現場で測量器として活用することができるほど、高い水準のものなのだ。
2021年には、LiDAR機能を最大限に活用することができるスマホ測量アプリ「OPTiM Geo Scan」がOPTiM社からリリースされた。
「OPTiM Geo Scan」を使った測量で利用するのはLiDARスキャナ―搭載のiPhoneまたはiPad、とGNSSレシーバー(緯度経度情報の受信と読み取りをする際に必要)の2点のみ。(※ データ処理・管理には、Webアプリケーション操作用のPCが別途必要)
測量現場にて、スマホを手に持ち、歩きながらスキャンしていけば測量だけでなく、3次元モデル化までもが、その場で完了する。
UAVを利用した写真測量、TSを用いたLS起工測量などと比較して、測量時間を最大60%削減することが出来る上、機器導入コスト・維持費においても、最大80%の削減を可能にした。
作業時間の削減と導入コスト・維持費の低価格化を両立した「OPTiM Geo Scan」は、全国の土木・建設事業者のICT化を加速させる起爆剤となり得るアプリだろう。
目の前の空間が瞬時に点群化されていく様子を目の当たりにすれば、現場でも使ってみたいと感じるはずだ。
「他現場の帰りについでに測量を終わらせる」「施工作業の進捗を、現況データとして3Dモデル化したい」「新卒社員や内勤スタッフに測量を任せたい」など、これまで測量業務の概念を根底から覆すプロダクトになっている。
WRITTEN by
高橋 奈那
神奈川県生まれのコピーライター。コピーライター事務所アシスタント、広告制作会社を経て、2020年より独立。企画・構成からコピーライティング・取材執筆など、ライティング業務全般を手がける。学校法人や企業の発行する広報誌やオウンドメディアといった、広告主のメッセージをじっくり伝える媒体を得意とする。
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