
建設・測量業界において、3次元データの取得が重要性を増している現在、地上型3Dレーザースキャナーは現況測量や出来形管理に欠かせないツールとなっている。
本記事では、業界をリードする主要メーカー5社の製品について、特徴・性能を詳しく紹介する。
地上型3Dレーザースキャナー(TLS:Terrestrial Laser Scanner)は、三脚等で固定した機器からレーザー光を連続的に照射し、その反射波を受信することで対象物の3次元座標情報を面的に取得する計測装置である。
(画像元:大林組WEBサイトより)
国土交通省の定義によると、「1台の機械で指定した範囲にレーザーを連続的に照射し、その反射波より対象物との相対位置(角度と距離)を面的に取得できる装置」とされている。
地上型3Dレーザースキャナーの距離測定には、主に以下の2つの方式が採用されている。
これらの測定方式により、レーザーの照射角度と距離から対象物の3次元座標(X、Y、Z)を正確に算出する。
従来のトータルステーション(TS)が「点」による測量であるのに対し、地上型3Dレーザースキャナーは「面」による測量を実現する。
1点ずつ計測するトータルステーションのような従来手法と比較して、短時間で膨大な点群データを取得することが可能である。
ドローンを用いた空中レーザー測量では、大量の写真データから点群化する作業に時間を要するが、地上型レーザー測量では点群化処理を経ることなく、直接点群データを取得できる。
地上型3Dレーザースキャナーは、毎秒数十万点から数百万点の高密度点群データを取得し、ミリメートル単位の高精度計測を実現する。
水平360°、鉛直270°~320°の範囲を一度にスキャンできる機種が多い。
対象物に直接触れることなく、また反射プリズムを設置することなく測定が可能。これにより、危険箇所や立ち入り困難な場所での安全な計測を実現する。
地上型3Dレーザースキャナーは、以下の幅広い分野で活用されている。
《 建設・土木分野》
《 その他の専門分野 》
国土交通省が推進するi-Construction/インフラDXにおいて、地上型3Dレーザースキャナーは重要な役割を担っている。
「3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)」や「地上型レーザースキャナーを用いた出来形管理の監督・検査要領(案)」において具体的な活用指針が示されており、建設生産システム全体の生産性向上を図る中核技術として位置づけられている。
これにより、建設業界における働き方改革、人手不足対策、品質向上といった課題解決に貢献する技術として、今後さらなる普及が期待されている。
FARO Technologies, Inc.は、1981年に博士課程学生のSimon RaabとGreg Frasierによってガレージで創業された、3D測定とイメージングのパイオニア企業だ。
社名は古代ギリシャ語で灯台を意味する「pharos」に由来し、顧客の進むべき道を照らす道標となることを使命としている。
(画像元:FARO WEBサイトより)
現在はフロリダ州レイクメリーに本社を置き、世界各地に25以上のオフィスを展開する、業界の安定したリーダーとして地位を確立。
(画像元:FARO WEBサイトより)
FARO Focusシリーズは、Flash Technology™を搭載したHybrid Reality Capture™により、高品質なデータを短時間で取得することができる包括的なソリューションである。
(画像元:FARO WEBサイトより)
また、Focus Premium Maxレーザースキャナーは、過酷な環境下でもあらゆる環境や対象物を高精度に3Dで取得・表示することが可能で、建築・エンジニアリング・建設分野を中心に幅広く活用されている。
Hexagon(ナスダック・ストックホルム: HEXA B)の一員であるライカ ジオシステムズは、200年にわたり計測・測量の製品および技術で変革を生み出し続けている測量技術ソリューションの業界リーダーだ。
世界中のプロフェッショナルに向けてトータルソリューションを提供し、地理空間情報の利活用において測量・土木・建設・大規模構造物・安全・セキュリティ・電力・プラントなど実に多岐にわたる分野のプロフェッショナルから信頼を得ている。
同社の革新的な製品とソリューション開発は、200年間の歴史と継続的な研究に基づいたたゆまざる革新の成果である。
内部品質規格ISO9001:2008により、どこで製造された製品であっても最も高い品質要件を満たすことが保証されており、高精度で正確な機器、洗練されたソフトウェア、そして信頼できるサービスで社会の発展に貢献している。
そして、同社の製品のひとつ、Leica BLK360 G2は、世界最小・最軽量クラスのイメージングレーザースキャナーだ。
活用シーン: 建設現場や工場の現地調査、建築測量、VRワークフロー、メディアロケーション視察など
Leica RTC360は、3次元のリアリティキャプチャをかつてなく高速で実行できる中型3Dレーザースキャナーだ。
RTC360にはVISテクノロジー(Visual Inertial System)による慣性計測ユニットが搭載されており、計測点間のスキャナー位置をリアルタイムにトラッキングして自動点群アライメント処理を実施する。
また、ダブルスキャン機能により2回転スキャンを行い、移動物体(人・車両・動物等)を自動的に排除して静止物のみを抽出することで、より正確なデータ取得を実現。
さらに、高速タイムオブフライト方式のレーザーにウェーブフォームデジタイジングテクノロジー(WFD)を搭載することで、高精度かつ高速な測定を可能としている。
小型で軽量のポータブル設計を採用したRTC360スキャナーと伸縮式三脚は、様々な種類のバックパックにぴったりと収まるコンパクトサイズを実現しており、どんな場所にも持ち運びが可能である。
現場ではボタン1つで操作を開始でき、高速で手間いらずのスキャンを実現する。
株式会社ニコン・トリンブルは、日本のニコンと米国トリンブルのジョイントベンチャーとして2003年に設立された。
測量・測位技術をコアとした開発・製造・販売を行い、20年以上にわたってGNSS受信機、小型・軽量なトータルステーション、先端的なロボティックトータルステーションを中心とした高品質・高精度な測量機器とソフトウェアを提供してきた。
(画像元:ニコン・トリンブルWEBサイトより)
近年では3Dレーザスキャニング、GIS、移動体計測等の新しい技術を国内に導入し、多くの実績を積み上げている。
土木、建築、設備維持管理の分野においては、i-Constructionの流れに代表されるように、同社のソリューションが業務の効率化・安全性向上へ大きく貢献している。
同社のTrimble X7は、「シンプル・スマート・プロフェッショナル」をコンセプトとした新世代型3Dレーザスキャニングシステムだ。
(画像元:ニコン・トリンブルWEBサイトより)
スペック至上主義ではなく、「ワークフローの簡素化」に着目し、簡単・正確・効率よくをモットーに開発された。
従来の地上型レーザスキャナの導入において多くのユーザーが感じていた疑問や高いハードルを解消するベストソリューションとして位置づけられている。
(画像元:ニコン・トリンブルWEBサイトより)
操作の簡素化と自動化機能により、専門知識を持たない作業者でも高品質な3次元データを取得できる設計となっている。
Trimble X9は、「測るその先へ。進化する3Dスキャニング」をキャッチフレーズとし、Trimbleのレーザースキャニング技術を結集してさらなる性能向上を実現した地上型3Dレーザースキャナーである。
(画像元:ニコン・トリンブルWEBサイトより)
全世界の測量・建設・建築分野で高い実績を持つ「Trimble X7」をベースに、さらなる進化を遂げた製品である。
X7で評価された高精度な自動整準、自動合成機能やキャリブレーション機能はそのまま継承しつつ、機能向上を実現している。
センターユニットの設計を刷新することで、スキャン品質向上に必要な信号処理が大幅に改善された。
(画像元:ニコン・トリンブルWEBサイトより)
この改良により、従来困難だった低反射率対象物やステンレスなどの光沢面も確実に高速でスキャンすることが可能となった。
これは建設現場や工場設備など、多様な材質が混在する環境での測定精度向上に大きく貢献している。
「既成概念を覆す、ハイエンドレーザースキャナー」として位置づけられ、X7・X9の技術をさらに発展させたフラッグシップモデルである。

Z+F社製世界最高クラスのスキャナー技術とTrimble独自のPerspectiveソフトウェアが融合することで、これまでにない点群品質と鮮明な画像でスキャンデータを生成。
オンボードや高性能タブレット搭載のPerspectiveと同期した簡単操作により、鮮明な点群・画像を確認しながら確実な作業を実行できる。
(画像元:ニコン・トリンブルWEBサイトより)
TIアサヒ株式会社は、1933年創業の富士製作所にルーツを持つ測量機器メーカーである。
世界40か国以上でシェアを持つPENTAXブランドの測量機を中心に、開発・製造・販売を行っている。
(画像元:TIアサヒ WEBサイトより)
同社のスローガンは「実測主義」であり、机上の理論値よりも実測性能を追い求め、測量現場のニーズに真摯に応えることで豊かな社会の実現に貢献することをモットーとしている。
近年注目されているドローン搭載型の計測機器や地上型3Dレーザスキャナ(TLS)、モバイルSLAMレーザスキャナ、MMS用2Dレーザスキャナ、トータルステーション、GNSS受信機、電子セオドライト、オートレベル等の測量機・計測機器を幅広く取り揃えており、測量機を熟知したスタッフによる誠心誠意のサポート体制を構築している。
90年以上にわたる測量機器分野での経験と実績により、現場のニーズを深く理解した製品開発を行っている。
(画像元:TIアサヒ WEBサイトより)
同社が販売するPENTAX Z+F IMAGER 5016/5016Aは、LEDライト内蔵の近中距離型地上型3Dレーザースキャナーだ。
リアルタイムレジストレーション機能により、スキャンしながら同時に合成処理・カラー化・ノイズ処理を実行する。
さらに、HDRカメラ内蔵だから、リアルなカラー点群を取得するとができる。
(画像元:TIアサヒ WEBサイトより)
リーグルジャパン株式会社について リーグルジャパン株式会社は、オーストリア・RIEGL Laser Measurement Systems GmbHとの合弁会社として1997年2月7日に設立された。
日本総代理店として、同社の2D・3Dレーザースキャナー及び距離・速度測定器の輸入販売、エンジニアリング、アフターサービスを主たる業務としている。出資比率は日本74%:オーストリア26%の構成となっている。
(画像元:RIEGL JAPAN WEBサイトより)
RIEGL製品は1992年に日本に初めて紹介されて以来、30年以上にわたって航空測量・土木測量をはじめ、鉄鋼メーカー、自動車メーカー、大学などの研究用途等で広く使用されている。
メイン製品は、レーザーパルスを発射して目標物からの反射光が返ってくるまでの時間を測定する「タイム・オブ・フライト(TOF)方式」による測定器で、数メートル先から数キロメートルの範囲を特別な反射器無しに測定できる。
特殊なモデルを除き、レーザーの安全規格「クラス1」アイセーフの製品を提供している。
輸入した製品は同社にて検査後、主取引先である株式会社守谷商会を通して顧客へ納入され、長年蓄積されたノウハウによる専門的なエンジニアリングサポートとアフターサービスを提供している。
30年以上にわたる日本市場での実績により、ユーザーのニーズを深く理解したサポート体制を構築している。
(画像元:RIEGL JAPAN WEBサイトより)
そんな同社のRIEGL VZ-600iは、「新世代のハイエンド地上型レーザースキャナー」として、極めて高い汎用性・高い生産性・究極のパフォーマンス、そして優れた費用対効果を提供する機動性を実現した製品だ。
3台の内蔵カメラとGNSS受信機を搭載し、モバイルマッピングアプリケーションにも対応している。
リアルタイム合成機能により、60スキャンポジション/1時間という驚異的な効率性を実現し、現場での作業時間を大幅に短縮する。
また、RIEGL独自のタイム・オブ・フライト方式により、特別な反射器を必要とせず、あらゆる表面材質に対して安定した測定を実行できる。この技術により、地形計測において長距離測定が可能となり、大きなアドバンテージとなっている。
地上型3Dレーザースキャナーは確かに高精度なスキャニングを実現するが、以下のような課題も存在する。
「OPTiM Geo Scan」は、これらの課題を解決するスマートフォン測量アプリである。

測量素人でも一人で短時間での測量が可能で、iPhoneという身近なデバイスを活用するため、何より気軽&手軽に利用できる。

そして、2025年7月にリリースされた「Geo Scan Supreme」(Geo Scan
Advanceの後継)は、さらなる進化を遂げている。
Geo Scan Supremeの登場により、従来は高額機器と専門技術者が必要だった舗装工事等の高精度測量分野において、大幅なコスト削減と業務効率化が期待される。

特に中小規模の建設会社にとって、ICT化の敷居を大きく下げる革新的なソリューションとなっている。
地上型3Dレーザースキャナー市場では、FARO、Leica、RIEGL、ニコン・トリンブル、TIアサヒといった主要メーカーが、それぞれ特色ある製品を提供している。
これらの機器は高精度・高機能である一方、導入・運用コストや技術的ハードルの高さも課題となっている。
そうした中、Geo Scan Supremeのようなスマートフォンベースの測量ソリューションは、従来の高額な専門機器に代わる新たな選択肢として注目を集めている。
建設業界のDX推進において、目的に応じて最適なツールを選択することが、生産性向上の鍵となるだろう。
本記事では、業界をリードする主要メーカー5社の製品について、特徴・性能を詳しく紹介する。
建設現場で広がる地上型3Dレーザースキャナーとは
レーザー光で「面」を測る技術の基本原理
地上型3Dレーザースキャナー(TLS:Terrestrial Laser Scanner)は、三脚等で固定した機器からレーザー光を連続的に照射し、その反射波を受信することで対象物の3次元座標情報を面的に取得する計測装置である。

国土交通省の定義によると、「1台の機械で指定した範囲にレーザーを連続的に照射し、その反射波より対象物との相対位置(角度と距離)を面的に取得できる装置」とされている。
計測原理と測定方式
地上型3Dレーザースキャナーの距離測定には、主に以下の2つの方式が採用されている。
- タイムオブフライト法(TOF:Time of Flight)
レーザー照射から反射波受信までの時間を測定し、光速を用いて対象物までの距離を算出する方式。市販機器の多くがこの方式を採用しており、長距離測定に適している。 - 位相差測定法
高周波の強度変調をかけたレーザーを照射し、照射光と反射光の位相差から距離を求める方式。高精度な近距離測定に優れている。
これらの測定方式により、レーザーの照射角度と距離から対象物の3次元座標(X、Y、Z)を正確に算出する。
「点」から「面」へ!トータルステーション(TS)との違いは?
面計測による効率性
従来のトータルステーション(TS)が「点」による測量であるのに対し、地上型3Dレーザースキャナーは「面」による測量を実現する。
1点ずつ計測するトータルステーションのような従来手法と比較して、短時間で膨大な点群データを取得することが可能である。
点群データの即時生成
ドローンを用いた空中レーザー測量では、大量の写真データから点群化する作業に時間を要するが、地上型レーザー測量では点群化処理を経ることなく、直接点群データを取得できる。
高精度・高密度データ取得
地上型3Dレーザースキャナーは、毎秒数十万点から数百万点の高密度点群データを取得し、ミリメートル単位の高精度計測を実現する。
水平360°、鉛直270°~320°の範囲を一度にスキャンできる機種が多い。
非接触・ノンプリズム計測
対象物に直接触れることなく、また反射プリズムを設置することなく測定が可能。これにより、危険箇所や立ち入り困難な場所での安全な計測を実現する。
建設現場から文化財保護まで!地上型3Dレーザースキャナーの幅広い活用シーン
地上型3Dレーザースキャナーは、以下の幅広い分野で活用されている。
《 建設・土木分野》
《 その他の専門分野 》
- 文化財・遺跡調査
- 森林調査・環境計測
- 災害現場の状況把握
- 工場設備の3Dモデル化
国土交通省が推進するi-Construction成功の鍵を握る技術
国土交通省が推進するi-Construction/インフラDXにおいて、地上型3Dレーザースキャナーは重要な役割を担っている。
「3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)」や「地上型レーザースキャナーを用いた出来形管理の監督・検査要領(案)」において具体的な活用指針が示されており、建設生産システム全体の生産性向上を図る中核技術として位置づけられている。
これにより、建設業界における働き方改革、人手不足対策、品質向上といった課題解決に貢献する技術として、今後さらなる普及が期待されている。
業界をリードする5大メーカーの最新技術を徹底比較
FARO Focusシリーズ 《 FARO 》
FARO Technologies, Inc.は、1981年に博士課程学生のSimon RaabとGreg Frasierによってガレージで創業された、3D測定とイメージングのパイオニア企業だ。
社名は古代ギリシャ語で灯台を意味する「pharos」に由来し、顧客の進むべき道を照らす道標となることを使命としている。

現在はフロリダ州レイクメリーに本社を置き、世界各地に25以上のオフィスを展開する、業界の安定したリーダーとして地位を確立。

FARO Focusシリーズは、Flash Technology™を搭載したHybrid Reality Capture™により、高品質なデータを短時間で取得することができる包括的なソリューションである。

また、Focus Premium Maxレーザースキャナーは、過酷な環境下でもあらゆる環境や対象物を高精度に3Dで取得・表示することが可能で、建築・エンジニアリング・建設分野を中心に幅広く活用されている。
《 ポイント 》
- 最大400メートルの計測範囲を実現
- Flash Technology™スキャンによる高速処理
- FARO Stream™アプリによる事前登録をリアルタイムでフィードバック
- FARO Sphere XGデジタルリアリティプラットフォームとの連携
Leica BLK360 G2《 Leica Geosystems 》
Hexagon(ナスダック・ストックホルム: HEXA B)の一員であるライカ ジオシステムズは、200年にわたり計測・測量の製品および技術で変革を生み出し続けている測量技術ソリューションの業界リーダーだ。
世界中のプロフェッショナルに向けてトータルソリューションを提供し、地理空間情報の利活用において測量・土木・建設・大規模構造物・安全・セキュリティ・電力・プラントなど実に多岐にわたる分野のプロフェッショナルから信頼を得ている。
同社の革新的な製品とソリューション開発は、200年間の歴史と継続的な研究に基づいたたゆまざる革新の成果である。
内部品質規格ISO9001:2008により、どこで製造された製品であっても最も高い品質要件を満たすことが保証されており、高精度で正確な機器、洗練されたソフトウェア、そして信頼できるサービスで社会の発展に貢献している。
そして、同社の製品のひとつ、Leica BLK360 G2は、世界最小・最軽量クラスのイメージングレーザースキャナーだ。
《 ポイント 》
- 重量:約775g(バッテリー含む)、サイズ:直径80mm、高さ155mm
- スキャン速度:毎秒680,000点
- フルドームスキャン時間:わずか20秒(従来型BLK360の5倍高速)
- 4つの13メガピクセルカメラによる高品質HDR画像撮影
- Visual Inertial System(VIS)テクノロジーによる現場での自動合成
活用シーン: 建設現場や工場の現地調査、建築測量、VRワークフロー、メディアロケーション視察など
RTC360 3Dレーザースキャナー 《 Leica Geosystems 》
Leica RTC360は、3次元のリアリティキャプチャをかつてなく高速で実行できる中型3Dレーザースキャナーだ。
RTC360にはVISテクノロジー(Visual Inertial System)による慣性計測ユニットが搭載されており、計測点間のスキャナー位置をリアルタイムにトラッキングして自動点群アライメント処理を実施する。
また、ダブルスキャン機能により2回転スキャンを行い、移動物体(人・車両・動物等)を自動的に排除して静止物のみを抽出することで、より正確なデータ取得を実現。
さらに、高速タイムオブフライト方式のレーザーにウェーブフォームデジタイジングテクノロジー(WFD)を搭載することで、高精度かつ高速な測定を可能としている。
小型で軽量のポータブル設計を採用したRTC360スキャナーと伸縮式三脚は、様々な種類のバックパックにぴったりと収まるコンパクトサイズを実現しており、どんな場所にも持ち運びが可能である。
現場ではボタン1つで操作を開始でき、高速で手間いらずのスキャンを実現する。
《 ポイント 》
- スキャン速度:最大200万点/秒の驚異的な高速処理
- フルドームスキャン時間:2分未満でHDR画像込みの完了
- 測定範囲:0.5m~130m
- スキャン範囲:水平360°/垂直300°
- 測角精度:18秒、距離精度:1.0mm + 10ppm
- レーザークラス1(IEC 60825-1:2014)、1550nm(不可視)
Trimble X7 《 ニコン・トリンブル 》
株式会社ニコン・トリンブルは、日本のニコンと米国トリンブルのジョイントベンチャーとして2003年に設立された。
測量・測位技術をコアとした開発・製造・販売を行い、20年以上にわたってGNSS受信機、小型・軽量なトータルステーション、先端的なロボティックトータルステーションを中心とした高品質・高精度な測量機器とソフトウェアを提供してきた。

近年では3Dレーザスキャニング、GIS、移動体計測等の新しい技術を国内に導入し、多くの実績を積み上げている。
土木、建築、設備維持管理の分野においては、i-Constructionの流れに代表されるように、同社のソリューションが業務の効率化・安全性向上へ大きく貢献している。
同社のTrimble X7は、「シンプル・スマート・プロフェッショナル」をコンセプトとした新世代型3Dレーザスキャニングシステムだ。

スペック至上主義ではなく、「ワークフローの簡素化」に着目し、簡単・正確・効率よくをモットーに開発された。
従来の地上型レーザスキャナの導入において多くのユーザーが感じていた疑問や高いハードルを解消するベストソリューションとして位置づけられている。

操作の簡素化と自動化機能により、専門知識を持たない作業者でも高品質な3次元データを取得できる設計となっている。
《 ポイント 》
- 自動合成機能を搭載し、複数地点でのスキャンデータを自動的に統合
- ワークフローの簡素化により、従来複雑だった作業工程を大幅に短縮
- 高精度測定と効率的な作業性を両立
Trimble X9 《 ニコン・トリンブル 》
Trimble X9は、「測るその先へ。進化する3Dスキャニング」をキャッチフレーズとし、Trimbleのレーザースキャニング技術を結集してさらなる性能向上を実現した地上型3Dレーザースキャナーである。

全世界の測量・建設・建築分野で高い実績を持つ「Trimble X7」をベースに、さらなる進化を遂げた製品である。
X7で評価された高精度な自動整準、自動合成機能やキャリブレーション機能はそのまま継承しつつ、機能向上を実現している。
センターユニットの設計を刷新することで、スキャン品質向上に必要な信号処理が大幅に改善された。

この改良により、従来困難だった低反射率対象物やステンレスなどの光沢面も確実に高速でスキャンすることが可能となった。
これは建設現場や工場設備など、多様な材質が混在する環境での測定精度向上に大きく貢献している。
《 ポイント 》
X7からの主要改善点:
信号処理能力の向上により、様々な材質・表面状態の対象物に対する測定精度と速度が向上し、より challenging な現場環境での安定した性能を実現
X7からの主要改善点:
信号処理能力の向上により、様々な材質・表面状態の対象物に対する測定精度と速度が向上し、より challenging な現場環境での安定した性能を実現
Trimble X12 《 ニコン・トリンブル 》
「既成概念を覆す、ハイエンドレーザースキャナー」として位置づけられ、X7・X9の技術をさらに発展させたフラッグシップモデルである。

(画像元:ニコン・トリンブルWEBサイトより)
Z+F社製世界最高クラスのスキャナー技術とTrimble独自のPerspectiveソフトウェアが融合することで、これまでにない点群品質と鮮明な画像でスキャンデータを生成。
オンボードや高性能タブレット搭載のPerspectiveと同期した簡単操作により、鮮明な点群・画像を確認しながら確実な作業を実行できる。

《 ポイント 》
- 計測範囲:0.3m~365m(一部情報では250mとも記載)のクラス最高レベル
- スキャン速度:毎秒最大218万7000点の超高速処理
- 測距精度:≤1mm + 10ppm/m
- 機器重量:7.7kg(バッテリー含む)
- 防水規格:IP54、動作保証温度-10℃~+45℃
PENTAX Z+F IMAGER 5016/5016A 《 TIアサヒ 》
TIアサヒ株式会社は、1933年創業の富士製作所にルーツを持つ測量機器メーカーである。
世界40か国以上でシェアを持つPENTAXブランドの測量機を中心に、開発・製造・販売を行っている。

同社のスローガンは「実測主義」であり、机上の理論値よりも実測性能を追い求め、測量現場のニーズに真摯に応えることで豊かな社会の実現に貢献することをモットーとしている。
近年注目されているドローン搭載型の計測機器や地上型3Dレーザスキャナ(TLS)、モバイルSLAMレーザスキャナ、MMS用2Dレーザスキャナ、トータルステーション、GNSS受信機、電子セオドライト、オートレベル等の測量機・計測機器を幅広く取り揃えており、測量機を熟知したスタッフによる誠心誠意のサポート体制を構築している。
90年以上にわたる測量機器分野での経験と実績により、現場のニーズを深く理解した製品開発を行っている。

同社が販売するPENTAX Z+F IMAGER 5016/5016Aは、LEDライト内蔵の近中距離型地上型3Dレーザースキャナーだ。
リアルタイムレジストレーション機能により、スキャンしながら同時に合成処理・カラー化・ノイズ処理を実行する。
さらに、HDRカメラ内蔵だから、リアルなカラー点群を取得するとができる。

《 ポイント 》
- 位相差方式採用で業界最高精度1mm以下を実現
- IMAGER 5016A:毎秒218万点、IMAGER 5016:毎秒110万点の高速スキャン
- 最大計測範囲:半径360m、最短:半径30cm
- 水平360°×垂直320°の測定範囲
- LEDライト搭載により暗所での測定が可能
- 特筆すべき機能:レーザークラス1(最低危険度レベル)で公共の場所でも安全使用可能
RIEGL VZ-600i 《 RIEGL JAPAN 》
リーグルジャパン株式会社について リーグルジャパン株式会社は、オーストリア・RIEGL Laser Measurement Systems GmbHとの合弁会社として1997年2月7日に設立された。
日本総代理店として、同社の2D・3Dレーザースキャナー及び距離・速度測定器の輸入販売、エンジニアリング、アフターサービスを主たる業務としている。出資比率は日本74%:オーストリア26%の構成となっている。

RIEGL製品は1992年に日本に初めて紹介されて以来、30年以上にわたって航空測量・土木測量をはじめ、鉄鋼メーカー、自動車メーカー、大学などの研究用途等で広く使用されている。
メイン製品は、レーザーパルスを発射して目標物からの反射光が返ってくるまでの時間を測定する「タイム・オブ・フライト(TOF)方式」による測定器で、数メートル先から数キロメートルの範囲を特別な反射器無しに測定できる。
特殊なモデルを除き、レーザーの安全規格「クラス1」アイセーフの製品を提供している。
輸入した製品は同社にて検査後、主取引先である株式会社守谷商会を通して顧客へ納入され、長年蓄積されたノウハウによる専門的なエンジニアリングサポートとアフターサービスを提供している。
30年以上にわたる日本市場での実績により、ユーザーのニーズを深く理解したサポート体制を構築している。

そんな同社のRIEGL VZ-600iは、「新世代のハイエンド地上型レーザースキャナー」として、極めて高い汎用性・高い生産性・究極のパフォーマンス、そして優れた費用対効果を提供する機動性を実現した製品だ。
3台の内蔵カメラとGNSS受信機を搭載し、モバイルマッピングアプリケーションにも対応している。
リアルタイム合成機能により、60スキャンポジション/1時間という驚異的な効率性を実現し、現場での作業時間を大幅に短縮する。
また、RIEGL独自のタイム・オブ・フライト方式により、特別な反射器を必要とせず、あらゆる表面材質に対して安定した測定を実行できる。この技術により、地形計測において長距離測定が可能となり、大きなアドバンテージとなっている。
《 ポイント 》
- 測定範囲:0.5m~1000mの業界最長クラスをカバー
- 3次元位置精度:3mmの高精度測定
- 重量:6kgの軽量設計
- 最大発射レート:2.2MHz PRRの超高速処理
- 最大有効測定レート:128万点/秒の高密度データ取得
- 高解像度スキャン:6mm@10mがわずか30秒で完了(RGBデータ同時取得)
数千万円の地上型Dレーザースキャナーがスマホアプリに!「Geo Scan Supreme」が業界に起こした衝撃
地上型3Dレーザースキャナーは確かに高精度なスキャニングを実現するが、以下のような課題も存在する。
- 機器費用が高額(数千万円規模の初期投資)
- 専門的な使用方法の習熟期間が必要
- 取得する点群データの容量が莫大
- データ処理に高額な専用ソフトウェアや高スペックPCが必要
- 限られた技術者しか操作できない
測量業界の常識を覆した「OPTiM Geo Scan」の革新性とは
「OPTiM Geo Scan」は、これらの課題を解決するスマートフォン測量アプリである。

測量素人でも一人で短時間での測量が可能で、iPhoneという身近なデバイスを活用するため、何より気軽&手軽に利用できる。
ついにミリ精度を実現!2025年7月発売「Geo Scan Supreme」の圧倒的進化

そして、2025年7月にリリースされた「Geo Scan Supreme」(Geo Scan
Advanceの後継)は、さらなる進化を遂げている。
《 Geo Scan Supremeのポイント 》
- ミリ精度の測量を実現
- 国土交通省の「3次元計測技術を用いた出来形管理要領」舗装工に準拠
- スマホ測量アプリとして世界初のミリ精度出来形管理対応
- 費用面で圧倒的優位性:高額な地上型レーザースキャナーが不要
- 運用面での簡便性:専門知識不要で誰でも操作可能
- 取得点群データは数MB程度で軽量
- 高額な専用ソフトウェアや高スペックPC不要
- 直感的なスマホアプリ操作で測量からデータ処理まで完結
Geo Scan Supremeの登場により、従来は高額機器と専門技術者が必要だった舗装工事等の高精度測量分野において、大幅なコスト削減と業務効率化が期待される。

特に中小規模の建設会社にとって、ICT化の敷居を大きく下げる革新的なソリューションとなっている。
まとめ
地上型3Dレーザースキャナー市場では、FARO、Leica、RIEGL、ニコン・トリンブル、TIアサヒといった主要メーカーが、それぞれ特色ある製品を提供している。
これらの機器は高精度・高機能である一方、導入・運用コストや技術的ハードルの高さも課題となっている。
そうした中、Geo Scan Supremeのようなスマートフォンベースの測量ソリューションは、従来の高額な専門機器に代わる新たな選択肢として注目を集めている。
建設業界のDX推進において、目的に応じて最適なツールを選択することが、生産性向上の鍵となるだろう。
WRITTEN by

建設土木の未来を
ICTで変えるメディア