ニュース
デジコン編集部 2023.2.21

業界初!鹿島が光ファイバで「鋼製支保工のひずみ」を計測。地山変状トラブルを完全回避

鹿島が、高性能の光ファイバにて、山岳トンネル施工中に鋼製支保工の全周が地山から受ける応力を、リアルタイムに計測することに業界で初めて実現した。

実証は同社が手掛ける中央新幹線中央アルプストンネル(山口)工事(岐阜県)にて行われた。

山岳トンネル施工では、断層部などトンネルの安定性が懸念される箇所では、鋼製支保工のひずみを計測し、作用する応力を把握することで支保の安定性を確認する。

一方で、測定に必要なひずみゲージ(抵抗値変化により物体のひずみを測定するセンサ)
は、鋼製支保工への設置に特殊な加工を要するため、これまでは、実際に断層部などに遭遇し鋼製支保工に大きな変状が懸念されるようになってから設置準備を始めていた。

しかし、計測機器の準備、設置作業の調整などには1週間程度の期間が必要なため、その間は支保の応力の状況が不明なまま掘削を進めざるを得なかった。

このため、支保パターン変更や補強の要否を的確に判断できず、地山の変状などのトラブルが発生するといった課題があった。

リアルタイムの応力把握で山岳トンネル施工中の地山変状トラブルを完全回避


今回、ケーブル状の光ファイバセンサを貼った鋼製支保工を地山に設置して、高性能の光ファイバ計測器にて支保工のひずみを計測。

その結果、支保工が地山から受ける応力をリアルタイム&精度よく把握できることを実証した。
(鋼製支保工にケーブル状の光ファイバセンサを貼付)

(鋼製支保工のひずみ計測値から換算した応力(計測開始から9日目))

また、従来のひずみゲージは円周方向に3箇所程度を計測するものだったが、光ファイバセンサは、支保全周の応力を把握できることも確認。

ケーブル状の光ファイバセンサは安価なため、コスト負担も大きくない。また、光ファイバセンサは支保全周にわたって応力を把握できるため、最大の応力が生じている場所がピンポイントで分かるという利点も。

このため、より的確な支保パターンの選定や補強が迅速に実施でき、地山変状などのトラブルを完全回避できる。



参考・画像元:鹿島建設プレスリリース
印刷ページを表示
WRITTEN by

デジコン編集部

建設土木のICT化の情報を日々キャッチして、わかりやすく伝えていきます。

建設土木の未来を
ICTで変えるメディア

会員登録

会員登録していただくと、最新記事を案内するメールマガジンが購読できるほか、会員限定コンテンツの閲覧が可能です。是非ご登録ください。