三菱重工、英国初のセメント工場向けCO2回収プラントを受注。ハイデルベルク・マテリアルズ社の脱炭素化を支援

三菱重工業は12月8日、豪ウォーリー社と共同で、世界大手のセメントメーカーであるハイデルベルク・マテリアルズ社から、英国初となるセメント工場向けCO2回収プラントプロジェクトを受注したと発表した。

同社の独自技術「Advanced KM CDR Process™」が欧州で初めて採用され、英国におけるセメント産業の脱炭素化に向けた重要な一歩となる。

独自のCO2回収技術で年間約80万トンの排出削減へ

セメント製造プロセスでは焼成工程において大量のCO2が発生するため、クリーン電力への転換だけでは脱炭素化が困難であり、CCS（CO2回収・貯留）技術の導入が不可欠とされている。

今回建設されるプラントは、英国ウェールズにあるペイズウッドセメント工場に設置され、2029年の運転開始を予定している。

三菱重工の高性能なCO2回収技術を採用することで、同工場から年間約80万トンのCO2を回収することが可能となる。

回収されたCO2はパイプラインで輸送され、英国政府が推進する「HyNet CCUSクラスター」の一環として、リバプール沖の枯渇ガス田に恒久的に貯留される計画だ。

三菱重工は、主要機器やコンプレッサを含む付帯設備の設計・調達を担当し、ウォーリー社が周辺機器の管理や建設全体のマネジメントを担う。

このプロジェクトは、既存雇用の維持に加えて建設中には最大500人の雇用創出も見込まれており、地域経済への貢献も期待されている。

三菱重工は今後も、独自のCO2回収技術を活用したソリューションを世界展開し、地球規模での温室効果ガス削減と環境保護に貢献していく方針だ。