EggAIと三菱化工機が生成AIで設計図書を自動作成。2週間の作業を数時間に短縮し2026年4月運用開始

EggAIと三菱化工機は、生成AI技術を活用したプラントエンジニアリング向け設計図書自動生成システムの開発に着手した。

これまで人手に依存する部分が大きかったプラント設計に伴う書類作成を生成AI技術で自動化し、書類作成時間の大幅な短縮を見込む。

両社が開発するシステムは2026年4月より三菱化工機社内での部分的な運用開始を予定している。

熟練技術者が2週間かけた作業をAIが数時間で完成レベルに

プラントエンジニアリング業界は国内市場規模約4兆円を誇る重要産業でありながら、深刻な人材不足と技術継承の課題に直面している。

化学工場や製油所、発電所、水処理施設など大規模な産業設備の設計・建設を行うプラントエンジニアリングは極めて複雑で、一つの工場建設には数百から数千種類の機器と数百から数万本の配管に及ぶ。

これらの設計では安全性と効率性を両立させるため、数百種類におよぶ詳細な設計図書の作成が不可欠である。

従来これらの書類作成には熟練技術者が多くの時間を費やし作成していたが、リソース不足が業界全体で深刻な課題となっている。

特に高度な専門知識を要する業務は、デジタル技術やAIなどを活用した業務効率化が急務となっている。

三菱化工機のプラント事業本部においても、これまで継続してきた業務のやり方やルールそのものの変革が必要という認識を持っており、業務変革の一つとして考えてきた生成AIによる設計図書の自動作成化について、EggAIが進めている建設業界分野のドキュメント自動生成コンセプトと一致したため今回の共同開発に至った。

今回の開発は三菱化工機グループDX戦略におけるDXコンセプト「業務・組織変革DX」に基づくDXテーマ「業務効率化・高度化」および「人材育成」に沿った内容である。

本システムはこれまで人手に依存する部分が大きかったプラント設計図書作成プロセスを、生成AI技術を活用し担当者による修正・最終確認で完了するレベルまで短時間で自動作成する。

主要機能として

• 書類のAI読み取り機能（顧客の要求仕様書内容をAIが読み取り定量的な条件を最短で見つけ出して整理する）
• 設計図書の自動作成機能（生成AIを利用して各種設計仕様書・購入仕様書、設計用各種リストなど設備建設に必要となる設計図書を短時間で一定精度で自動作成する）
• さまざまな種類の図書の自動作成機能（契約仕様書や基本設計図書、機器仕様書など工場建設に必要なさまざまな種類）

従来は熟練技術者が2週間から3週間かけて手作業で作っていた設計図書を、AIがわずか数時間から数日で最終修正・確認作業で完成するレベルまで自動作成する。

これは設計期間の大幅な短縮につながる。

書類作成という単純作業から熟練技術者を解放しより付加価値の高い業務に専念することができ、蓄積された技術情報は同時に新人技術者の育成にも活用でき育成に要する時間を短縮することが期待される。

生成AIが一定の品質で書類を作成するため担当者による品質のばらつきがなくなり、常に安定した品質を担保する。

熟練技術者の頭の中にある貴重な知識を生成AIがデジタル化して保存するため、退職による技術ロスがほぼゼロになる。

EggAIは東京大学での研究開発をベースにしたAIソリューションを提供するスタートアップ企業で、技術力で顧客企業や社会の問題解決に貢献することを目指している。

三菱化工機グループはプラント・環境設備の建設・エンジニアリングと各種単体機械の製作及び納入後のアフターサービスを軸に事業を展開しており、2024年度の売り上げは592億円、従業員数は1017名である。