ケルヒャー、100℃高温水による温水除草システムで沖縄県外来種ホタル防除実証試験に協力。NETIS登録技術を昆虫駆除に応用拡大

ケルヒャージャパンは、沖縄県古宇利島にて温水除草システムを活用した外来種「ヤエヤママドボタル」の防除実証試験に協力したと発表した。

沖縄県環境部自然保護課の委託事業として実施された薬剤を使わず高温水のみでホタルの個体数を抑制する新たな環境ソリューションの効果検証である。

70℃・100℃温水散布で全個体が死亡、3-5秒の短時間処理で防除効果を確認

ケルヒャーの温水除草システムは、100℃近い高温水を散布し植物の根や昆虫のたんぱく質を変性させることで成長や繁殖を抑制する技術である。

これまでは主に除草に多く使用されてきたが、今回は昆虫防除に応用された。

2025年7月17日に行われた事前実験では、ヤエヤママドボタル幼虫に70℃・100℃の温水を直接散布したところ、全個体12個体が異常個体化し死亡した。

幼虫は3から5秒の散布で効果が確認されており、短時間での防除効果が実証されている。

植物への影響についても検証し、草本はしおれたものの色彩は保持し、木本植物では茶変がみられたが枯死には至らなかった。

この結果から温水除草システムは環境への影響を最小限にしつつ、ホタル防除効果が期待できることが示唆されている。


実証実験は2025年7月24日に古宇利島内の試験地で実施され、前日および当日夜にホタル発光数を計測し温水除草システムによる防除効果を検証した。

ヤエヤママドボタルは、もともと八重山諸島に分布する在来種であったが、近年では沖縄本島南部や古宇利島を含む地域にまで生息域を拡大している。

世界自然遺産に登録されている「やんばる」地域にも生息域を広げる可能性が懸念されており、陸生カタツムリを大量に捕食し在来生物の減少や生態系バランスの崩壊が懸念されている。

現在は専用の探知犬による生息地特定と手作業による捕獲活動が行われているが、多大な労力を要するうえ作業効率や継続性の面で限界があり、より持続可能な対策が求められている。

温水除草システムは薬品を使用しないため、人体や農作物、家畜に与える影響もなく安全で環境に優しい作業を実現する。


国土交通省の新技術情報提供システムNETISに登録されており、公共工事における新技術活用が推進されている。

近年、さまざまな外来種植物の防除にも応用され検証実験が行われており、マダニやヤマビルといった有害生物の防除についても検証が進められている。