ボックスカルバートの基礎知識〜インフラ整備に不可欠な地下構造物の解説〜

1963年に鶴見コンクリートによって国内で初めて開発されたボックスカルバートは、その名の通り箱型の鉄筋コンクリート製地下構造物である。

水路や通信線の収容、地下道、貯留槽など、現代のインフラ整備において欠かせない建設資材として広く活用されている。本稿では、ボックスカルバートの基本的な特徴と種類、その用途について解説する。

ボックスカルバートの特徴と利点

ボックスカルバートの最大の特徴は、その箱形の断面形状にある。

この形状により、据付時の安定性が高く、基礎形状を簡略化できるという利点がある。また、円形管と同じ断面積でも有効空間が大きく取れるため、様々な用途に対応できる。

工場製造による品質の安定性と、現場打ちコンクリートと比較した工期短縮効果も、ボックスカルバートの重要な利点である。

主要な製品タイプ

PCボックスカルバート

アンボンドPC鋼棒を使用したポストテンション方式のプレストレストコンクリート構造を採用。ひび割れの発生を抑制し、水密性と耐久性に優れている。部材厚を薄くできることで、掘削土量の低減や施工性の向上にも貢献する。

PRCボックスカルバート

高強度コンクリートと高張力異形鉄筋を組み合わせ、わずかなプレストレスを導入した構造。高い靱性とひび割れ制御機能を持ち、水密性と耐久性を両立している。限界状態設計法にも対応可能だ。

ビッグボックス

大断面化を実現した製品で、分割されたプレキャスト部材を現地で組み立て、底版部を現場打ちコンクリートで施工する。アンダーパスや地下河川など、大規模な地下構造物に適している。

耐震型ボックスカルバート（IBシリーズ）

継手部に耐震性能を持たせた製品で、地震時の変位に対応できる。抜け出し量や屈曲角に応じて複数のタイプが用意されており、現場条件に合わせた選択が可能である。

浸透ボックスカルバート

雨水の地下浸透機能を付加した製品。流出抑制による下水道・河川への負担軽減、自然な水循環システムの保全に貢献する。

用途と適用分野

ボックスカルバートの用途は、社会インフラの様々な場面に及んでいる。

最も一般的な用途は下水道や雨水管路としての活用で、都市部の排水システムの重要な構成要素となっている。

また、道路や歩道の地下を横断する構造物としても広く採用されており、人や車両の安全な通行を可能にしている。

都市防災の観点からは、貯水槽や防火水槽として活用され、災害時の水源確保に貢献している。

さらに、電線や通信ケーブルを収容する共同溝としての役割も担っており、都市景観の向上や設備メンテナンスの効率化に寄与している。

都市型水害対策として雨水貯留・浸透施設としても活用されている。

加えて、道路整備においてはアンダーパスの構造物として、また駅周辺整備では地下通路として採用されるなど、都市インフラの基盤として幅広く利用されている。