ARAV、自動油圧ショベル「ヨイショ投入くん」を6月18日CSPI-EXPO2025でデモ展示開始。LiDAR・IMU搭載で既存建機を後付け無人化

ARAVは、6月18日から21日まで幕張メッセで開催される第7回国際建設・測量展（CSPI-EXPO2025）において、自動油圧ショベルRX「ヨイショ投入くん」のデモ展示と提供を開始すると発表した。

同システムは電子制御式油圧ショベルへの後付けにより無人稼働を実現し、建設業界の深刻な人手不足解決と中小建設会社でも導入可能な低コスト自動化を目指している。

CAT320対応の後付けシステムでLiDAR・IMU連携による投入工程完全自動化を実現

「ヨイショ投入くん」の技術的核心は、既存の電子制御式油圧ショベルに後付け装着するだけで無人稼働を可能にする点にある。

システムはLiDAR（光検出測距）センサーとIMU（慣性計測装置）を組み合わせ、周辺環境をリアルタイムで三次元認識しながら最適な掘削・排土動作を自動実行する仕組みを構築している。

対応機種は現在CAT320に限定されているが、同社では対応建機の順次拡大を計画している。この段階的展開により、検証データの蓄積と技術改良を重ねながら、より多様な建設機械への適用拡大を図る戦略を採用している。

（左：「ヨイショ投入くん」制御装置／右：「ヨイショ投入くん」操作・設定タブレット）

システムの主要な適用分野として、プラントやリサイクルヤードにおける投入工程の完全無人化が挙げられる。

鉱山・砂石・骨材ヤードでは一次破砕機や骨材・セメント原料への投入作業を自動化し、作業員の安全性向上と同時に24時間連続稼働による生産性向上を実現する。

焼却バイオマス発電施設においては、一次破砕機や燃料ピットへの燃料チップ投入を自動化することで、粉塵や騒音が発生する危険な作業環境から作業員を解放する効果が期待される。

製鋼・金属スクラップ処理ヤードでは、重量物や鋭利な金属片を扱うリサイクル作業での安全性確保と効率化を同時に達成できる。

建設残土・再資源化施設では、選別センターにおけるふるい分け機への残土投入作業を自動化し、粉塵対策と作業員の健康保護に貢献する。


一般廃棄物処理施設においても、破砕機・選別ラインへのごみ投入の自動化により、衛生面での課題解決と作業効率向上を実現する設計となっている。

開発背景には、建設業界が直面する構造的な人材不足問題がある。技能を持つベテランスタッフの大量退職と新規人材確保の困難により、多くの建設会社が持続可能な事業運営に課題を抱えている状況である。

特に中小・中堅規模の建設会社では、大型の自動化システム導入は資金面でのハードルが高く、実用的な解決策が求められていた。

ARAVが採用したアプローチは、汎用的な工程に特化することで簡単な操作性を実現し、既存建機の活用により導入コストを大幅に抑制する戦略である。

これまで培ってきた遠隔操作・自動運転技術の一部をパッケージ化することで、専門知識を持たない現場作業員でも容易に操作できるシステムを構築した。

技術的な特徴として、センサー融合技術により複数のデータソースを統合し、悪天候や粉塵環境下でも安定した自動運転を維持する機能を搭載している。

機械学習アルゴリズムにより、現場固有の作業パターンを学習し、継続使用により作業精度と効率が向上する仕組みも組み込まれている。

再生アスファルトコンクリートプラントでの一次破砕機やふるい分け機への再生材投入においても、材料の性状に応じた最適な投入パターンを自動判定し、品質の安定化と作業効率向上を実現する。