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デジコン編集部 2025.10.24

川田工業が塗膜厚自動検査ロボットを開発。SLAM技術で自律走行、位置決め精度±10mm以内を実現

川田工業は、鋼構造製品の塗装品質向上と検査工程の自動化を目的に、2025年9月に「塗膜厚自動検査ロボット」の試験運転を富山工場で開始した。

2026年からの本格稼働を目指す。

EGmobileで自律走行、塗膜厚管理システム「ぬり助」と連動し自動帳票作成


建設業界では、労働者の高齢化、担い手不足、労働時間の上限規制、猛暑や集中豪雨といった気候変動による屋外作業環境の悪化など多数の課題を抱え、これまでの労働集約的な作業にロボティクス技術を取り入れたDXが急務となっている。

かねてよりロボティクス技術を現場活用するための研究開発を続けてきた川田工業は、そこで培った要素技術を融合させ、今回、塗膜厚自動検査ロボットの開発に至った。

2024年、熟練工が持つ塗装技術を継承し、塗装品質をより高めていくため、川田工業は富山工場に「ロボット自動塗装ライン」とその実験棟を構築した。

今回の塗膜厚自動検査ロボット(以下、本ロボット)は、「ロボット自動塗装ライン」と並行した開発の一環として、塗装後の塗膜厚検査を自動化するものだ。


本ロボットを構成する移動体には同社が開発した「EGmobile(商標登録申請中)」が活用されている。

EGmobileは、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を用いて工場内の環境をマッピングし、自己位置をリアルタイムで推定しながら自律走行を行う。

これにより、所定の測定ポイントに正確に到達し、塗膜厚の自動検査を実現している。

また、EGmobileに搭載している6軸アームロボットのエンドエフェクタとなるデジタル膜厚計は、同社製品の「ぬり助」と共通であり、取得した測定データはクラウドに保存のうえ、自動的に帳票が作成される仕組みとなっている。

本ロボットの特長として、EGmobileはガイドレスで走行でき、人や障害物を自動的に回避しながら移動可能だ。

測定ポイントの位置決め精度が±10mm以内で塗り重ね時の計測精度が高く、測定経路・測定開始時間をセットしておくことで予約測定も可能となる。

さらに、測定ポイントが斜めであっても距離センサと力センサを用いて正確に測定することが可能だ。

塗膜厚管理システム「ぬり助」と連動し測定データをクラウド上に保存、結果判定と帳票作成を自動化する。

塗膜厚検査を自動化することで、塗膜厚の分布や塗りムラの傾向を精緻にデータ化でき、塗装品質の向上に加えて、塗装工の技能向上、自動塗装ロボットとの連携や塗装ロスの削減が期待できる。

川田工業は、川田テクノロジーズを持株会社とする川田グループの基幹事業会社で、1922年創業、1940年設立、橋梁、鉄骨、鉄塔等各種構造物の設計、製作ならびに工事請負を主な事業内容とする。






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デジコン編集部

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