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デジコン編集部 2025.10.9

東京海上スマートモビリティと日本工営。道路マネジメントモデル構築へ。東京都のケーススタディ事業に採択

東京海上スマートモビリティ日本工営は、共同で推進する「AI×データが創る道路マネジメントモデル構築プロジェクト」が、東京都が運営する東京データプラットフォームのケーススタディ事業に採択された。

車載カメラ映像データとAIで限られた財源でも導入可能なモデルを構築


本プロジェクトは、東京都品川区の協力のもと、民間の車載カメラ映像データとAIを活用し、限られた財源でも導入可能な新しい道路維持管理モデルの構築を目指すものだ。

従来の巡回業務の負担を軽減すると同時に、維持管理の高度化を実現し、都民の安全・安心な暮らしに貢献する。

全国的に道路インフラの老朽化が急速に進んでいる。

国土交通省によれば、建設後50年以上経過する橋梁やトンネルなどの道路インフラの割合は、今後20年で2倍以上に急増するとされている。

一方、東北大学などの調査では、生活者が日常的に不安を感じるのは道路路面の老朽化や横断歩道・白線などの道路標示の劣化といった身近な問題であり、その割合はそれぞれ橋梁、トンネルなどの老朽化の3倍以上にのぼるとの結果が出ている。

しかし、その維持管理を担う自治体では人手不足が深刻化しており、基礎自治体の約25%で土木専門職員が不在、約16%で巡回点検未実施という実態が明らかになっている。


本件の実施にあたり全国15自治体に実施したヒアリングでは、巡回が満足にできず住民陳情に後手対応しているなどの課題が浮き彫りになった。

これらの課題を解決するため、本プロジェクトでは、特別な専用設備を必要とせず、AIと民間のデータを活用することで、財源の限られる自治体でも実装できる、持続的な道路マネジメントモデルを構築し、社会に提言する。

東京海上スマートモビリティが持つ車載カメラデータの豊富な解析ノウハウと、日本工営が持つインフラの設計・維持管理に関する豊富な知見を掛け合わせ、3つの項目に取り組む。プロジェクト実施期間は2025年8月から2026年3月だ。

地域を走行する車両の車載カメラ映像をAIで分析し、路面のポットホール・ひび割れ、標識の異常、横断歩道のかすれなど、多様な観点から道路の異常を自動で検知。

これにより、職員による巡回業務の大幅な効率化を目指す。

検知した道路の異常データに、東京データプラットフォームで公開されている交通量や歩行者量データ、自治体が持つ通学路情報、そして東京海上スマートモビリティが保有するAI交通事故発生リスク分析データなどを掛け合わせる。

これにより、修繕の優先順位を客観的に決定し、予算の最適化を図る手法を検証する。

道路は国、都、区市町村など管理者が異なるほか、道路上の設備は電力・通信会社など多くの事業者が個別に管理している。

一つの映像データから得られる検知結果を複数の主体で共同利用するモデルを提言し、データ流通の促進と社会全体のインフラ維持コストの低減を目指す。

本プロジェクトで得られた知見や成果は、東京都と連携し、東京データプラットフォームを通じてモデルケースとして広く社会に発信する。





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