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デジコン編集部 2025.9.30

メクテック社。フレキシブルプリント基板のひずみセンサを開発。大阪大学と共同研究で滋賀県の鉄道・道路インフラ実証を開始

メクテックが大阪大学産業科学研究所の荒木徹平准教授らとの共同研究成果に基づき、インフラ構造物の微細なひずみをリアルタイムで検知できるフレキシブルプリント基板「ひずみセンサ」を新開発した。

2025年8月25日より滋賀県の鉄道インフラおよび道路を対象に実証実験を開始している。

全国73万の道路橋と1万本トンネルの点検効率化へ。カーボン素材で耐腐食性と耐久性を確保


高度経済成長期に整備された多くのインフラが更新時期を迎えており、全国の橋梁・トンネル等を対象に5年に1度の定期点検が実施されている。

対象となる約73万の道路橋と約1万本のトンネルを点検するには膨大な作業が発生し、専門人材が不足していることから効率的かつ精度の高いモニタリング技術の導入が課題となっている。

本実証実験ではひずみセンサによりコンクリートや金属の微弱なひずみをリアルタイムで検知し、データを分析することで従来の目視点検では捉えにくかった異常を早期に把握できる。

社会実装を進めることで、インフラ管理の新たな手法の確立を目指す方針だ。

本実証実験は大阪大学先導的学際研究機構が推進する「住民と育む未来型知的インフラ創造(FICCT)拠点」プログラムの一環として実施されるものである。

荒木准教授は同拠点の副プロジェクトリーダーを務めている。

メクテックは本プログラムにおいて唯一の民間幹事機関として参画しており、HAKATTE、一般社団法人近江鉄道線管理機構、東近江市の協力を得て地域インフラの高度なモニタリング技術の実証を進めている。


老朽化が進むインフラの維持管理には、修繕が必要な箇所をいち早く見つけるための点検作業が欠かせない。

地方鉄道も例外ではなく、鉄道運営を担う技術者の減少など持続的な運営に向けた課題を抱えている状況だ。

FICCT拠点プログラムでは鉄道インフラを地域の資産と捉え、先進技術の導入により新たな価値を創出することを目指している。

プログラムの一環として開発したひずみセンサは、従来の点検では捉えにくい異常を早期に発見可能にすることでインフラ管理の効率化と新たなメンテナンス手法の確立を図る仕組みだ。

実証実験は2025年8月25日に開始され、滋賀県東近江市の長大橋、近江鉄道線の線路・鉄橋などを対象としている。

ひずみセンサを構造物に設置し、構造物の状態を継続的にモニタリングする。

振動や金属・コンクリートの膨張など、微弱なひずみのデータをリアルタイムで収集し分析する計画となっている。

ひずみセンサは振動や膨張・収縮によって生じる抵抗値の変化を検知するフレキシブルプリント基板で、コンクリートの構造物への設置を想定し設計されている。

導電素材にはカーボンを採用し、優れた耐腐食性と耐久性を確保した。

実用化、大量生産を見据え、従来のフレキシブルプリント基板製造方法と比べて環境負荷の低いプリンテッドエレクトロニクス技術を採用している点も特徴だ。

今回の実証実験を通じて得たデータは将来的なインフラ管理に活用される予定である。

インフラの異常を早期に発見することで、災害や事故の未然防止、メンテナンスの効率化にもつながる。

メクテックでは2025年度中に試作を開始し、2030年の量産化を目指す計画だ。





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