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デジコン編集部 2025.5.22

トランプ関税への企業の懸念を分析。景況感コメントの出現率が3カ月で10ポイント超上昇。帝国データバンク調査。

帝国データバンクは5月22日、TDB景気動向調査の企業コメントを分析し、「トランプ関税」への懸念が急速に高まっていることを発表した。

関税に関するコメントの出現率は2025年1月の1.2%から4月には12.3%まで急上昇している。

関税言及企業の景況感は全体より4ポイント低下、実際の悪影響も顕在化し始める


TDB景気動向調査の回答者コメントのうち、「トランプ関税」に言及したコメントの割合を分析したところ、2025年1月は1.2%だったが、2月以降右肩上がりで推移し、最新の4月調査では12.3%と急激に上昇した。


トランプ関税に関するコメントを寄せた企業の景況感を示す「トランプ関税DI」は、4月の結果が38.1となり、全体の景気DI(42.7)と比較して4ポイント以上落ち込んだ。

この傾向は3カ月連続で続いており、企業の危機意識の高まりにとどまらず、実際に悪影響が表れつつある状況がうかがえる。


2025年4月の企業コメントを詳細に分析すると、「高騰」、「価格」、「関税」、「トランプ」などのワードが頻出している。

価格の「高騰」や「価格」変動に対する懸念が大きく、原材料など各種コストの上昇が企業の利益率に深刻な影響を与えている様子が読み取れる。


具体的な企業コメントとしては、「受注が回復しないなか、アメリカの関税引き上げにともなう数量減や収益圧迫などマイナス影響が今後表れる懸念がある」(鉄鋼・非鉄・鉱業)といった先行きの不透明さを危惧する声が複数寄せられている。

業界別の影響も多岐にわたっており、建設業では「トランプ関税による先行き不透明感で企業の意思決定が鈍化」している一方、機械製造業では「関税政策の実施前にアメリカの在庫を増加させる動きがあり、アメリカ向けの輸出製品の特需が発生」するなど、業界によって異なる影響が表れている。

電気機械製造業では「トランプ関税に対する中国の対抗措置として重希土類の輸出が制限され、生産に影響が出ている」といった間接的な影響も報告されている。

自動車産業では「北米向け自動車輸出が、関税による悪影響で取引先全般に動揺が広がっている」(リース・賃貸)や「自動車メーカーの判断が遅く、アメリカなどの関税に振り回されており、新車開発が減っている」(専門サービス)といった長期的な影響への懸念も示されている。

今回の調査は全国2万6,590社を対象に実施され、有効回答企業は1万735社(回答率40.4%)となっている。

調査結果では、直近の米中関税合戦の軟化といった新たな動きも表れるなど、政策の方針が日々大きく変動している状況において、企業には市場の動向を注視し、適切な対策を講じていくことが求められるとしている。



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