コラム・特集
高橋 奈那 2024.7.5

【第9回 東京猛暑対策展レポート】酷暑をアイデアで解決!現場作業員の健康を守る22の熱中症対策ソリューションを紹介

2023年7月26日(水)〜28日(金)の3日間、一般社団法人 日本能率協会が主催する展示会「第9回猛暑対策展」が東京ビッグサイト 東展示棟で行われた。

「災害級の暑さ」とも揶揄される近年の夏の暑さは、労働環境に大きな影響を与えており、屋外での作業も多い土木・建設業界はもろに影響を受ける。


本展示は、そんな環境を改善すべく開発された暑さ対策ソリューションがずらりと集まった。来場者は土木・建設関係者も多く、関心の高さが伺えた。本記事ではおよそ60社の出展企業の中から、デジコン編集部が注目した22のブースをご紹介する。

AREA空調機(クボタ空調 )


屋内の作業中も暑さ対策は欠かせない。直射日光にさらされていないからといって、安心はできない。

電源の確保が難しい建設中の施設内部や建屋内での作業中など、空気のこもる屋内作業では特に注意だ。過酷な屋内作業の空間の熱気を一掃する頼もしいプロダクトがこちらだ。


クボタ空調のエリア空調機は、最大130m3/分の大風量が特徴で、20m先まで風を届けられるという。

要所をピンポイントで冷やせるスポットクーラーや冷風機には、排気で熱がこもり結果的に作業空間全体の気温が上昇してしまう弱点があった。


しかし、クーラーとサーキュレーターの特徴を併せ持つエリア空調なら、涼しい風を隅々まで届けられる。オプションパーツのフレキノズルをつければ、スポットクーラーのように狙ったポイントにピンポイントで風を届けることもできるそうだ。

本体・室外機ともにコンパクトな造りで、設置場所は天井や壁など自由自在。配線や配管などで床面を専有しないので、大型の機器を使用したり人や物の移動が多い現場にも、設置しやすい設計だ。







 白サイくん(大同機械)


白サイくんは、まだ空調設備が完成していない建設現場にも冷たい風を届けてくれるスポットクーラーだ。

室内機・室外機一体型で、必要なものはすべてキャスターの上にまとめて積載されている。


本体は室内機が186kg・室外機が240kgあるが、キャスターに積載されている状態なら、人力でも簡単に移動ができる。

また、工事用エレベーター(ロングスパンエレベーター)でも運べるサイズなので、階をまたいだ移動も楽々だ。

さらに、工期が進み工事用エレベーターが撤去されても、室内機と室外機をキャスターごと分離して別々に運ぶこともできる。


肝心の冷房性能だが、最大130㎥/minの風を放出可能。1m/sの風を20m先まで届けられるので、一台だけでおよそ60畳分(200㎡)の空間に対応している。

溜まったドレン水の水量は常時モニタリングされており、ポンプで自動排出される。万が一溢れそうになった場合には緊急停止するので床面を水で濡らす心配もない。


排熱用フードやルーバーなどオプション品を組み合わせ、現場に適したスタイルにカスタマイズが可能だ。



パワーフォイルX4プラス(BIG ASS FAN)


この、ものすごく大きいシーリングファン。見た目のインパクトもさることながら、一台で扇風機およそ50台分の風を生み出すというから驚きだ。




熱のこもりやすい作業空間に天井から広範囲に風を届け、気化熱を利用して作業員の体感温度を下げるという仕組みだ。


例えば、空調はあるが作業空間が広いため、温度や湿度にムラが生じ、冷房効率の悪さからエネルギー使用量が増える……という悪循環も、パワーフォイルX4との併用で、効率手に空気を対流させ、空間全体の冷房効率を上げることにつながる。




また、外気との温度差が大きくなる冬や降雨量の多くなる春・秋のシーズンには、湿度の緩和や結露対策としても活躍する。

使用時期の限られる機器の導入は難しい現場にも、通年を通してメリットを得られるパワーフォイルX4は導入ハードルを下げてくれるのではないだろうか。





レインカーテン & Viuシステム(テクノコア )


テクノコアが自社開発した小さなチューブノズル。このソリューションは、作業員の身体ではなく、現場全体の暑さにアプローチする。


自然な雨を再現するという、このレインカーテンの構造はとてもシンプルで、特殊なチューブの放出口から、水がミスト状になり放出されるというものだ。


現場全体に霧状の雨を人工的に降らせ、“打ち水”効果を体験できる。家庭の一般的な水道にも簡単に設置でき、設置スタイルは固定とノズルスタンド2タイプがある。人工降雨で土埃を抑え粉塵対策もできるため、一年中活用できる点もうれしい。




Viuシステムも、雨から着想を得たソリューションだ。人工芝にスプリンクラーのように地面に設置されたチューブから、ミスト状の水が排出されると、打ち水効果で地表面の温度が下がる。

スプリンクラーとはちがい地面に水が溜まらないので、人がいる状態でも使用できる。スポーツの試合などが想定されているが、屋外の暑さに悩むあらゆるフィールドにマッチするソリューションなのではないだろうか。







エヴァポ クーラー ポータブルタイプ(ETG JAPAN)


エヴァポクーラーも、ミストの気化熱効果を利用した冷風ソリューションだ。

20ミクロンの微細なミストを発生させ、気化によって冷やされた空気をファンの風で届けるというもの。


一般的なスポットクーラーのように排熱や排水ダクトがないので、設置場所を選ばず、また排熱による気温の上昇もない。

屋外や半屋外での使用を想定されており、装置全体のコンパクトさが特徴的。

バリエーションは、フォークリフトタイプ・工場扇取り付けタイプ、ポータブルタイプの3展開。フォークリフト取り付けタイプは、フォークリフトや建機から直接電源をとって使用できる。




ミスト用の水は2Lペットボトルを使用。運転席うしろに設置すれば、作業員の首もとに狙って涼しい風を届けられる。

電源を取れない場所でも使えるポータブルタイプは、12Vの付属バッテリーにつないで使用する。すべてのパーツがカバンに入っているので保管や持ち運びも楽々だ。



クールミストLine(東横サポート)


こちらもミストの気化熱を利用した冷却システムだ。Lineという名称からもわかるように、線のように排水チューブを配置し、作業員のいるポイントなど要所に吹き出し口を設置して、ピンポイントで空気の温度を下げる。


吹き出し口は水とエアーが同時に排出される混合型ノズルを採用しており、この仕組みが15ミクロンの超微粒子をつくりだす。

エアブラシのような構造なので、複雑なシステムや排熱の必要があるバッテリーやるモーターなども不要だ。




吹き出し口のノズルに水分量と空気量を調節するバルブがあり、作業員が各々ミストの水分量や空気量を調整できる。

ミストの粒子が細かいので、サビが出る可能性がある機械を扱う現場でも使用できそうだ。



空調風神服(サンエス)


最近、街中でも見かけるようになった、小型ファン付きの服“空調服”。その空調服に力を入れているのがサンエスだ。

エアコンの導入が難しい現場でも、快適に過ごせるよう開発されているのだが、商品展開の豊富さに注目していただきたい。


空調ファンの落下防止ネットや通気メッシュ、保冷剤ポケットなど空調服としての機能性だけでなく、半袖・長袖・ベストタイプ以外にも選択肢が幅広いのだ。

一部を紹介すると、エプロン着用を想定した白衣タイプや高所作業向けのフルハーネスタイプ、ビビットカラーが目を引く高視認性安全タイプのほか、素材も綿100%・チタン加工・防炎素材とさまざま。




ペン差しやファスナー付きポケットなど作業着としてのこだわりも随所に散りばめられている。スマートフォンアプリやApple Watchでファン用バッテリーのON/OFFを操作したり、バッテリー残を確認できるなど、空調服としての機能も一歩先をいくサンエスの空調服。きっと自社のニーズを満たす一着が見つかるはずだ。





kazekuru-空調エアコン服(室谷)


カラフルな色合いがスポーツウェアを思わせるこちらの空調服は、アパレル・ファッション業界を服飾副資材で支えてきた室谷のプロダクト。


デザイン以外にも、襟元のメッシュ生地や裾の面テープ、そして自宅で簡単にお手入れができる生地選びなど、室谷ならではのこだわりが光る。

ファンのカラーもホワイトとブラックの2色展開で、服のデザインに合うカラーのファンが付いている点もポイントが高い。




もちろん強風モードで8時間連続稼働可の大容量バッテリーと、空調服としても申し分ないスペックをもっている。暑さ対策に機能やスペックだけで選ぶのではなく、自分好みのものを身につける楽しみを感じさせてくれる一着だ。





 BODY COOL SMART-X〈INUTEQ(蘭)〉


こちらのブースで展示されているのは、オランダに社を構えるINUTEQが開発したBODY COOL SMART-Xだ。

バッテリーや特殊な消費財を使用せず、冷却には“水”を使用する。




シンプルな造りだが、それでも体感温度は5〜15度下がるというから驚きだ。ランニングコストを下げお財布にやさしい設計で、使い方も簡単。

腹部についているキャップをあけて、水を注水すれば準備完了だ。水の最大容量は500mlなので、そこまで重さや動きにくさを感じなさそうだ。




見た目は空調服のようなベストだが、生地感としては身体にぴったりとフィットするストレッチ素材で、かなり軽量。インナーとしても使えそうだ。独自技術により、水で濡らしても衣服が濡れずに乾いた状態が持続する。

抗菌素材を使用しているが、自宅の洗濯機でも洗濯可能。お手入れのしやすさもうれしいポイントだ。





着るだけ水冷服「人間エアコン」(クールスマイル)


こちらも水を利用したアイテム。薄い平面上の水冷管に水を流し、身体の熱をとる仕組みだ。

小型バッテリーとボトル(水循環冷却バッグシステム)を常に携帯する必要があるが、一番大きさのあるモデルでもペットボトル約1.5本分と比較的軽量。


ベストはストレッチ性のある非常に薄手の生地で作られており、動作を邪魔しないフィット感。連続8時間の冷却が可能で、大掛かりな装置などは必要ない。面テープとファスナーで簡単に着脱が可能だ。





ヘルメット下にフードのように装着するタイプもあるので、セット使いにも便利そうだ。作業着と一緒に洗濯機で洗えるので、夏のユニフォームとして毎日着用できる気軽さがうれしい。




富士製砥 PCM パワークールベスト(坂謙)


まっしろなカラーのこちらのベストには、ネッククーラーなどでお馴染みのPCM素材が贅沢に使用されている。




冷凍庫や冷蔵庫で冷やさなくても、冷水に30分浸すだけでPCM素材が氷のように固まるので、電源の確保できない現場でもいつでも冷たさを感じられるのがうれしい。

冷却持続時間は、3〜4時間ほど。冷却時のエネルギーコストを抑え、気軽に活用できそうだ。



ホレイワールド ホレイベスト と クールヘル(A-MEC)


A-MEC株式会社が展開している熱中症対策グッズブランド『ホレイワールド』から、日差しや暑さから身体を守るアイテムを2点紹介する。

1つ目は、ホレイベスト。一見すると保冷剤の装着ポケットがついたよくある作業用ベストに見えるが、この商品の目玉は、『ホレイワールド』が独自開発した特殊な保冷剤だ。食品を買った際などについてくる保冷剤を遥かに上回る冷却性能をもつ。


大きな特徴は、適度な冷たさが長時間(3〜4時間)持続し、結露が少ない点だ。いくつかストックを冷やしておけば、始業から終業まで身体を冷やしながら現場作業にあたることもできる。


2つ目は、クールヘルだ。遮熱コート加工が施されており、炎天下でも温度の上昇を抑えられる。直射日光下で行った実験では、通常のヘルメットとクールヘルの表面・内部温度の差は最大16℃にもなったという。

通気確保のため内部はすっきりとした作りで、他の涼感製品と組み合わせもできそうだ。




 風が流れるヘルメット AEARO MESH &遮熱ヘルメット ヒートバリア(DICプラスチック)


現場の必須アイテムであるヘルメットも、夏季仕様にバージョンアップしている。ヘルメットメーカーとして長年の歴史をもつDICヘルメットが提供する2つのアイテムを紹介しよう。

1つ目は、『風の流れるヘルメット AEROMESH』。


蒸れや暑さの原因となっていた発泡スチロール製の衝撃吸収ライナーをメッシュ構造のものに変更。内部に風のとおり道が生まれ、ヘルメットの内部温度はおよそ8℃ほど下がるという。

肝心の安全性だが、外部の衝撃に対してエアロメッシュが伸びることで衝撃を吸収する仕組みで、衝撃吸収ライナーと同等の衝撃吸収力が担保されている。


『遮熱ヘルメットヒートバリア』は、ヘルメット表面の遮熱塗装にとどまらず、成形材料そのものに遮熱顔料を練り込んでいるので、表面のスレや傷による塗装剥がれや経年による遮熱性能の劣化を最小限に抑えられる商品だ。

ヘルメットタイプもバリエーションが豊富なので、作業場に適したものを選ぶことができる。








新素材ネッククーラー ペンタクール(MIクリエーションズ)


PCM素材を使ったネッククーラーは、いまや街中でもお馴染みのアイテムだ。

首に装着して頸動脈を冷やしながら体温の上昇を防ぐタイプは、現場だけでなく通勤・通学など普段使いにも良さそうだ。






同社の開発したネッククーラーの他社製品との違いは、首にフィットする五角形の形状と凍結温度。凍結温度は18℃と巷で販売されているネッククーラーよりも圧倒的に低いため、冷たさも長く持続する。



ネッククーラー Slim & ネッククーラー Pro(サンコー)


こちらは、冷却プレートで首元を冷やすタイプのネッククーラーだ。

首との接地面に4枚のプレートがついていて、冷たさのモードは3種類から選択が可能。最大、外気温から-15℃の冷たさにまでなるという。




こちらのネッククーラー Pro はIPX5の耐水性能をもった頑丈な設計で、専用カバーをつければ、さらに防塵防水性能がアップする。

過酷な現場での使用にも耐えうるアイテムだ。充電式のバッテリーは、4時間ほど連続使用が可能。充電済のバッテリーパックがあれば、始業から終業まで首元を冷やし続けられる。その他モバイルバッテリーに有線接続して使用することも可能だ。

スリムタイプは、本体がスッキリしている分バッテリーの持続時間が少ないが、こちらもモバ入りバッテリーにつなげば長時間(最大10時間)使用できる。



冷感MIST(フリーズテック)


衣服などに吹きかけて使用する熱中症対策グッズだ。吹きかけた衣類の温度を下げ、体温の上がりすぎを防止する。






接触冷感アルコールフリーなので、引火の可能性がある現場でも安心して使用できる。揮発性が低いため、アルコールを使用した類似品と比較して、“ひんやり感”の持続時間も3.5倍ほど長いそうだ。

手軽に購入でき、他の熱中症対策グッズとの組み合わせがしやすい点も魅力だ。






経口補水液タブレット「O.R.S」(アドバンス)


カラフルでかわいいパッケージが目を引く、まるでお菓子のようなこちらのタブレットは、簡単に経口補水液が作れるタブレットだ。

水に入れれば、すぐに溶け残りもなく経口補水液が完成する。もちろん、水に溶かさずラムネのように食べても良い。


汗をたくさんかく暑い夏に水分と電解質の補給を手助けする経口補水液。

「おいしいと感じるときは熱中症を発症しているとき」などと言われることもあるが、O.R.Sは、おいしさにこだわり開発されている。






フレーバーはレモン・いちご・カシスの3種類。飲み物として楽しめる味わいに、こまめに経口補水液を飲む習慣がつきそうだ。

ペットボトルタイプやパウダータイプと比較して、長期の保管に適している。コンパクトなので、仕事場の救急セットにひとつ入れておくと安心だ。




飲む氷 Ume アイススラリー(赤城フーズ)


こちらは、おやつ感覚で食べられる『飲む氷 Umeアイススラリー』。

冷凍庫でしっかりと凍らせ、食べる前に手で揉んで固まったスラリーをやわらかくなるまで揉み、シェイクを飲むように吸い込んで食べるというもの。




梅果肉入りのさっぱりとした味わいで、塩分・クエン酸・カリウムなどを効率的に摂取できる。ポイントは、活動前に食べるという点。

事前に体内の温度を下げ、急激な体温上昇を防ぐ効果がある。通勤だけでびっしょりと汗をかく夏の朝、業務開始前に食べるスラリーは、手触りと喉越し、2つのアプローチでシャキっとした気持ちになれそうだ。



しおたま(アトラス)


石川県発のこのタブレットは、熱中症対策用のサプリメントだ。

よくある塩飴とは栄養価の高さがちがう。疲労回復をサポートする乳酸菌や、コエンザイムQ10・クエン酸・ビタミンE・ビタミンB1,2,6,12・ナイアシン・亜鉛含有酵母・βカロテンの7種の栄養も配合。




主原料には、ミネラル豊富な能登の海洋深層水からとれた天然塩を贅沢に使用しており、この天然塩由来の絶妙な塩味が『しおたま』最大の特徴だ。

食事中、味の濃いものを食べたあと、水を飲みたくなるのと同じように、タブレットをなめると喉の乾きを感じる前に水を飲みたくなるのだ。


この絶妙な塩味が、うっかり水分摂取を忘れて脱水症状をおこすリスクを、先回りして防止する。余程塩辛いサブレットなのでは?と思うかもしれないが、味は口当たりやさしいヨーグルト風味。

気になる塩分量も一粒あたり70mgと非常に少ない。血圧が気になる方や、塩分摂取量に気を使っている方でも安心して摂り入れられるのがうれしい。



クーラー搭載リュック「コンディショニングバックパック」(富士通ゼネラル)


真夏のバックパック問題を解決する画期的なソリューションがこちら。


PCや仕事道具を運ぶために仕事ではバックパックを使用している方も多いと思うが、夏シーズンは現場や事務所へ向かう間に背中に大量の汗をかいてしまい、出社後すぐに着替える、なんて方もいるのではないだろうか。

このコンディショニングバックパックは背面に冷却システムが搭載されている。

もちろん、カバンの重量自体が増え荷物スペースが圧迫される等の心配は不要だ。冷却システムは、保冷剤・熱交換器・冷却シートと最小限に抑えられている。

保冷剤の冷気で冷やされた循環水が冷却シート内に循環し、冷やされるという仕組み。


冷却装置分増えた重量を分散するため、ミズノの荷重分散技術により重さを感じにくくするショルダーストラップ、背中のS字カーブにフィットして腰への負担を軽くする背当てクッション、バックパック全体を体にフィットさせるチェストハーネスなど、バックパックへのこだわりも光る。

容量はビジネスユースには充分な25L。重量は冷却装置込で2,400gと、登山用ザックと同等の重さにまで抑えられている。

 

熱中対策ウォッチ カナリア(Biodata bank)


こちらは、熱中症対策に特化したウェアラブル端末だ。

徹底して“熱中症への危険度を知らせる”機能ひとつ絞った非常にシンプルなアイテムで、バッテリー寿命は1シーズンで使い切れる容量に調整されている。


管理用の別端末との接続や、使い終わってから毎日充電する手間などもなく、現場の負担を最小限に抑えられている。

使い方は簡単。最初に1度だけ、本体側面にある電源ボタンを押すだけ。その後電源がオフになることはない。




着用中は肌との接地面にあるセンサーが体温上昇のサインなどをとらえ、熱中症リスクをランプとアラート音で知らせる。

建設現場での使用テストをクリアしているので、常時振動が発生したり土埃や油汚れの付着するような現場でも問題なく使用可能だそうだ。



熱中症リスクAI判定カメラ(ポーラ化成工業 )


長年、顔画像から心身の健康状態を判定する技術研究に取り組んできたポーラ化成工業。AI技術開発の協力をうけ、熱中症リスクを解析するシステムを開発した。


体調不良、朝食抜き、運動疲労など生体内リスク要因を顔画像から割り出し、外気温や湿度なども含めた熱中症リスクを判定する。

セットタブレット型端末がセットされた端末を現場の入り口などに設置すれば、すぐに使い始められる。




すでにタブレットにAIカメラのアプリケーションがインストールされているので、難しい設定などは不要だ。タブレットのカメラの前に立つだけで、熱中症のリスクを危険、警戒、注意の3段階で判定する。

判定結果が出るまでにかかる時間はおよそ3秒とほとんど一瞬なので、始業時や昼休み明けなどの慌ただしい時間帯でも作業員への負担を最小限に抑えながらリスク判定ができる。


まとめ


全国的に今夏(2023年)は猛暑続きだった。気候の影響を受けやすい土木・建設業界において、猛暑対策をしっかりしなければ、生産性向上どころか、大きな低下を招くことにつながりかねない。2024年の夏に向けて、猛暑への早めの備え、対策をしておきたいところだ。


取材・編集:デジコン編集部 / 文:高橋 奈那 / 撮影:砂田 耕希
印刷ページを表示
WRITTEN by

高橋 奈那

神奈川県生まれのコピーライター。コピーライター事務所アシスタント、広告制作会社を経て、2020年より独立。企画・構成からコピーライティング・取材執筆など、ライティング業務全般を手がける。学校法人や企業の発行する広報誌やオウンドメディアといった、広告主のメッセージをじっくり伝える媒体を得意とする。

建設土木の未来を
ICTで変えるメディア

会員登録

会員登録していただくと、最新記事を案内するメールマガジンが購読できるほか、会員限定コンテンツの閲覧が可能です。是非ご登録ください。