コラム・特集
デジコン編集部 2026.7.7

【工種別事例①】OPTiM Geo Scan 活用事例集|土工・造成・河川の現場でどう使われているか

スマホ測量が便利なのは分かったが、自分の現場(工種)で実際に使えるのか」——導入を検討するうえで、機能の一般論よりも、自社と同じ工種での活用実績のほうがはるかに参考になる。同じ「測量」でも、土を動かす現場と構造物を作る現場とでは、求められる作業も精度もまったく異なるからだ。

本記事では、土工・造成・河川という「土を動かす現場」での活用事例を、デジコン掲載記事をもとに紹介する。これらの工種に共通するのは、起工測量・出来形管理・土量計算といった面的な3次元測量が主用途になる点だ。

それに加えて、位置出しなどにも活用されている。スマホ1台で対応できることが特徴となっている。

広範囲を効率よく3D化できることが、どのように現場の負担を変えたのかを、現場ごとの課題とあわせて見ていく。

なお、位置出し・自治体(公共座標)での事例は工種別事例②(位置出し・公共座標編)で扱っている。

土工(大規模造成)|新名神高速道路・土工量100万m³の現場(奥村組)



新名神高速道路の美濃山中工事(八幡京田辺JCT〜高槻JCT間、京都府)を担当する奥村組(奥村・西松・フジタ特定建設工事共同企業体)は、全長1.46km・土工量100万m³(切土盛土合計)という大規模現場でGeo Scanを活用している。土工量が膨大な現場では、現況の把握と土量の管理が工事の進行を左右する重要な工程になる。

課題


奥村組の神田浩彰氏は「様々なチェックを行うにあたって構造物を測量することが頻繁にあるので、これをもっと簡単にできたら良いと思っていた」と、導入前の課題を語る。

大規模現場では現況確認や土量管理の機会が多く、その都度の測量が現場の負担として積み重なっていた。測量のたびに人手と時間を取られることが、工事全体のテンポを鈍らせる要因になっていたのだ。

活用と効果



導入後の効果は、測量にかかる時間に端的に表れた。約1,500m²の現況測量を1人・2時間で取得できるようになり、従来は丸1日かかっていた作業が、事務所でのデータ処理1時間を含めても計3時間で完結するようになった。約35m先までの長距離3次元データを1回で取得できる点も、広い現場での効率化に寄与している。

活用範囲は現況測量にとどまらない。盛土工の進捗に合わせた土量計算、切土の仕上がり形状を計測する法面出来形計測には長距離・高精度のGeo Scan Advanceを使い分け、さらに仮設構造物の検討や3Dモデルの重ね合わせによる計画変更協議にも活用している。

土工量が膨大な現場では、求められる精度が用途ごとに異なるため、面的な現況・土量管理は基本モデル、法面など高精度が要る箇所はAdvance、と工種・用途に応じて使い分けられることが、一現場を通した運用の鍵になっている。

取得した点群データから任意箇所の断面図作成や座標値取得ができる点も、土工・法面が混在する大規模現場で重宝されている(出典:大プロジェクト「新名神高速道路」建設に「Geo Scan Advance」で立ち向かう!)。

ポイント:大規模土工では、基本モデルで現況・土量管理を、法面など高精度が要る箇所はAdvanceを、と同一現場でモデルを使い分ける運用が効果的だ。一つの現場のなかでも求められる精度は一様ではないため、用途に応じた使い分けが効率と精度の両立につながる。

盛土|北海道・路体外盛土8,000m³(北海道開発局発注、玉川組)



北海道開発局発注の路体外盛土工事(防雪・防風用、約8,000m³)を手がける玉川組は、短期間での測量完了が求められる現場でGeo Scanを導入した。盛土工事では出来形管理のための測量が繰り返し発生するため、その効率が工程全体を左右する。

課題


従来の選択肢には、それぞれ無視できない負担があった。UAVドローン)測量は標定点の設置・飛行・後処理に時間がかかり、地上型レーザースキャナは高額なうえ基準点も必須だった。現場からは、こうした準備の重さを解消し、短期間で測量を終えたいという要望が出ていた。

活用と効果



Geo Scanの導入により、従来のUAV測量で「標定点設置に1日/人+飛行測量に2人がかりで1日」を要していた作業が、1人・半日程度に短縮された。具体的には、1スパン300mの測量に約1時間、4スパン合計でも4〜5時間で完了している。準備にかかっていた手間が大きく削減されたことで、測量そのものに集中できるようになった。

精度面でも、測量前のキャリブレーションで±50mm以内の精度を実際に確認したうえで運用している(記事公開当時の精度。現在はmm精度に進化している)。加えて、測量後すぐに現場から3次元点群データをクラウドにアップロードできるため、離れた事務所の技術者が即座に帳票作成を開始できる。

現場と事務所が並行して動けることで、納品までのリードタイムも短くなる。技術部長の竹樋氏は「要求精度が±50mmの土工に関しては、あらゆる現場でワンマン測量アプリOPTiM Geo Scanを使えると思っている」、技術課の藤谷氏は「操作が簡単で、ゲーム感覚で使えて、楽しい」とコメントしている(出典:国交省直轄「大規模現場の出来形管理」で OPTiM Geo Scanが大活躍!)。

> ポイント:盛土・土工の出来形管理(要求精度±50mm)はGeo Scanの中心的な得意領域だ。UAVのような飛行申請・標定点設置の手間がなく、準備の軽さがそのまま測量回数の多い盛土工事の効率化に直結する。

造成|千葉・成田の調整池造成 約1万3,000m²(戸田建設)


千葉県成田市で約1万3,000m²(延長300m)に及ぶ大規模な調整池造成現場を担当した戸田建設では、広大な敷地の管理業務をいかに圧縮するかが課題だった。造成現場は起工から完成まで地形が刻々と変化するため、進捗の把握と位置出しが頻繁に求められる。

活用と効果


同社は起工測量だけでなく、日々の進捗管理、土留め杭や仮設桟橋の位置出しにもGeo Pointを活用した。従来のTSで必要だった20mごとの測点切りや頻繁な機械の据え替えが不要になり、歩くだけで広い敷地全域をカバーできるため、移動と労力が大幅に減った。一つのツールで起工から日常管理までをまかなえることが、管理業務全体のスリム化につながっている。

その結果は労働時間にも表れ、工事主任の残業時間を月60時間超から30時間程度へ半減させた。また、外部から派遣されたスタッフへの指導もわずか20〜30分で済んだといい、応援人員を迎えても即戦力化しやすい点も大規模現場では有効だ。OPTiM側が2D図面から3Dモデルを作成するサポートも提供しており、現場担当者は「3D化へのハードルをブルドーザーのようになくしてくれる」と評している(出典:OPTiM公式で公開された導入事例による)。

ポイント:造成現場で進捗管理・位置出しが繰り返し発生する。起工測量に加え、これらを1台でこなせることで、個々の作業の効率化が積み重なり、管理業務全体の負担が圧縮される。


河川|岩手・17年前の図面との乖離を把握する(太田建設)


岩手県の太田建設は、自然条件の影響を受けやすく経年変化の激しい河川現場でGeo Scanを運用している。河川は出水や土砂の堆積で形状が変わりやすく、現況の正確な把握が施工計画の前提になる。

課題


この現場には17年前に設計された古いデータしかなく、現状の河川形状と大きく乖離していた。そのため施工前に、現況と設計のズレを正確に把握する作業が不可欠だった。古い図面に頼ったまま施工を進めれば、後工程での手戻りにつながりかねない。

活用と効果


従来「1週間かけて5〜6名で測量」していた作業は、Geo Scanの導入で「1人で半日」に短縮された。さらに、計測した現況をもとに迅速に3Dモデルを作成し、設計変更の協議資料として役所に提出することで、スムーズな意思決定につなげている。丁張り(杭)掛けの手間も不要になり、測量から協議までの一連の流れが軽くなった。

人材面での効果も大きい。トータルステーション未経験の20代の新入社員が、TSを知らないまま測量業務を習得し、1人で位置出しを実施できるようになった。若手にとっては、画面上で「色を塗る感覚」「遊び感覚」で計測できるインターフェースが、測量への心理的障壁を取り払ったという。専門機器の操作を一から学ぶ負担なしに、若手が現場で戦力になれる点は、世代交代を控えた企業にとって心強い(出典:TSを知らない世代が《スマホ測量》だけで現場の即戦力に!)。

ポイント:河川や災害復旧のように「古い図面しかない/現況が変化している」現場では、広範囲の現況を素早く3D化できる強みが特に活きる。現況把握の速さが、後続の協議や施工準備のスピードにも波及する。


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土工・造成・河川での「使われ方」早見表


ここまでの事例を、工種・主な測量作業・活用機能の観点で整理すると次のようになる。自社の現場がどれに近いかを確認する手がかりにしてほしい。

現場・工種 主な測量作業 活用機能 代表事例
大規模土工 現況測量・土量管理・法面出来形 基本/Advance 奥村組(新名神)
盛土 出来形管理(±50mm) 基本/高密度モード 玉川組(北海道)
造成(調整池等) 起工・進捗管理・位置出し 基本/Geo Point 戸田建設(成田)
河川 現況の3D化・設計変更協議 基本/Geo Point 太田建設(岩手)

※精度値(出来形±50mm等)はRTK-GNSS補正配信サービスとの接続を前提とした数値である。

これらの工種に共通するのは、広範囲の面的測量・出来形管理・土量計算を、少人数で素早くこなせるという価値だ。表のとおり、同じ「土を動かす現場」でも、求められる精度や作業の性質に応じてGeo Scan・Advance・Geo Pointを使い分けている点も参考になる。自社の現場がどの用途に当てはまるかは、Geo Scanが向いている現場・用途もあわせて確認してほしい。

まとめ:土を動かす現場の「面的測量」に強い


土工・造成・河川の現場では、起工・出来形・土量計算といった面的な測量が工事を通じて繰り返し発生する。今回紹介した奥村組・玉川組・戸田建設・太田建設の事例は、いずれも広範囲を1人で素早く3D化し、出来形管理に必要な精度(±50mm以内)を満たしながら、測量時間と人員を大幅に削減できることを具体的な数字で示している。

さらに、これらの事例に共通するのは、測量の効率化が単独で完結せず、設計変更協議の迅速化や若手の即戦力化といった周辺業務の改善にまで波及している点だ。自社の土工・造成・河川現場で同様の効果が見込めるか、まずは資料で対応機能・精度・料金を確認することをおすすめする。位置出し・自治体での事例は工種別事例②をあわせて参照してほしい。
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