コラム・特集
國廣 愛佳 2025.3.24

栃木県の土木・建設会社トップ15社を紹介! 〜 都心からの移住地としても注目を集めるDX先進県 〜

CONTENTS
  1. 1. 渡辺建設
  2. 2. 中村土建
  3. 3. 浜屋組
  4. 4. 岩村建設
  5. 5. 川上建設
  6. 6. 岩澤建設
  7. 7. 那須土木
  8. 8. 舘野建設
  9. 9. 藤井建設
  10. 10. 光洋建設
  11. 11. 斉藤組
  12. 12. 岩原産業
  13. 13. 富士コンサルタンツ
  14. 14. 乃木鈴建設産業
  15. 15. 潮田建設
内陸県である栃木県は、東京駅から宇都宮駅まで新幹線に乗れば48分、在来線でも1時間ほどと、高い利便性で移住先としても近年人気を集めている。

環境面では、北西部の山岳地帯には標高2484mの男体山をはじめとする山々がそびえる。

県内には利根川水系、那珂川水川系、久慈川水系があり、一級河川が298本、準用河川が38本と豊富にある水源が肥沃な土地を生み、農業生産額は2022年に全国9位と高い位置にある。

一方、豪雨や台風発生時の水害は常に課題となっており、栃木県河川課では、減災の視点から堤防強化を行ったり、迅速な水防活動のための防災ステーションや防災ヤードを設置するなど、対策に力を注いでいる。

栃木県は、令和6年度のインフラDX大賞において、「ICTAI技術を活用した道路交通の円滑化」が国土交通大臣賞を受賞したばかり。

県のユニークな取り組みとして、技術管理課では、子ども向けにWebサイト「とちぎけん どぼくのキッズページ」を開設している。工事には建築と土木の2種類があること、工事の流れや職種、使用するまでには審査や検査が必要となることなどをやさしく説明するもので、総合建設業者、専門工事業者、建設コンサルタント業者の担い手育成に役立てられている。

さらに、一般社団法人栃木県建設業協会では、「若年者建設業担い手育成支援事業」として、毎年、高校生を対象としたインターンシップ事業を開催し、体験型出前講座やICT建機ドローンなどを用いた作業体験などを提供している。

国土交通省の「建設人材確保・育成モデル事業」の採択を受けた実績もあり、県と民間団体が足並みを揃え、建設業の次世代を担う人材の確保と育成への取り組みを続けている。

本記事では、そんな栃木県の総合土木・建設業界をリードする15社を紹介する。各社の歴史、特徴的な技術、代表的なプロジェクト、そして最新の取り組みなどを詳しく見ていこう。

1. 渡辺建設


「ナベケン」の愛称を持つ渡辺建設は、1951年に宇都宮市で創業した総合建設業者だ。東京支店、群馬県の館林視点のほか、隣接する茨城県には営業所、栃木県内に自社の資材センターと機械センターを持つ。

(画像:渡辺建設WEBサイトより)

SPR工法、EPR工法、マグマロック工法などを取り入れる土木工事では、造成工事や上下水道施設工事、災害復旧工事など、規模を問わず住民の安心と安全を支えるための工事で実績を重ねている。

公共、民間さまざまな現場を持つ建築工事では、増改築、リニューアル、メンテナンス、ビル管理に至るまで、建てた後のフォローまで自社で一貫して対応できる体制を持つことにより、ライフサイクルコストの最適化と建物の長寿命化に取り組んでいる。

また、2009年からは鬼怒グリーンパークの指定管理業務を行っており、土木と建築、造園植栽などのノウハウも活かしながら、住民が自然とふれあえる場となる公園を管理している。



2. 中村土建


総合建設会社である中村土建は、1948年の創業以来、栃木県の産業の発展と暮らしの基盤づくりを支えてきた。

20〜30代の従業員がほぼ4割と多く、入社後3年の定着率は8割を超えるなど、働きやすい環境整備と明確なキャリアステップの提示などによって若手の育成にも実績のある企業だ。

(画像:中村土建WEBサイトより)

土木、建設、CS工事部門を持ち、例えば公共施設の施工事例では、宇都宮東警察署庁舎新築工事、栃木県庁行政棟新築工事など県を代表する工事も多数手がける。

調査測量から設計・施工・検査までのあらゆるプロセスでi-Constructionを推進しており、3次元データ、遠隔臨場システム、ドローン測量、リモコン式無人掘削工法などの導入により、業務効率の向上や労働環境改善に向けて建設DXに取り組んでいる。



3. 浜屋組


2021年に創業から100年を迎えた浜屋組は、1970年には生コンクリート工場、翌年にはアスファルト工場を開設するなど、早くから栃木県内のインフラ整備の一翼を担ってきた。

建築部では、学校、共同住宅、商業施設、介護施設、工場、マンションなどを施工しており、宮内庁から受注した栃木県高根沢町の製酪所改築工事、国立大学法人から受注した宇都宮市内の教育研究センター新築工事など、公共工事も多く手がけている。

(画像:浜屋組WEBサイトより)

栃木県下野市薬師寺にある道路休憩施設新築工事は、都市景観をテーマに栃木県が実施する「マロニエ建築賞」を受賞するなど、表彰も数多い。

土木部では、河川、砂防、法面、橋梁の各工事などを幅広く行っている。国土交通省から受注を受けた日光市の工事が多く、堰堤工事や山腹工事などで関東地方整備局局長表彰を受賞している。



4. 岩村建設


「まちなみを創る。暮らしを描く。」をテーマに掲げる岩村建設は、1976年の設立からおよそ半世紀にわたって、北関東を中心として民間工事、公共工事などを行ってきた総合建設業者だ。

大型プロジェクトを得意としており、建築事業では民間施設から公共施設まで、新築だけでなく修繕・解体まで対応している。

(画像:岩村建設WEBサイトより)

土木事業においては、道路改良工事や宅地造成工事、橋梁工事などに多数の実績を持つ。環境保護や災害対策の視点から、自然災害に強いインフラづくりや、環境への影響を最小限に抑える施工方法を採用していることも特徴だ。

また、不動産事業も展開しており、土地開発、売買、賃貸管理まで幅広いサービスを提供している。



5. 川上建設


「質的地域No.1」の追求を掲げる川上建設は、1934年に現在の栃木県栃木市で創業した。栃木県が建設会社の財務力、施工能力、技術力を総合的に評価した「栃木県格付け」では、県央地区1位、県内2位に輝いている。

(画像:川上建設WEBサイトより)

現在女性が会長を務めていること、女性社員の育休取得率と復職率が100%にも特色のある企業だ。

土木事業では、関東地方整備局の関東地方内の道路改良工事、道路舗装工事、道路予定地管理工事、栃木県内の道路工事、森林工事、河川工事、圃場整備工事、道路舗装工事を行っている。

(画像:川上建設WEBサイトより)

建築事業では、栃木県内で公共、民間工事を幅広く行っており、学校校舎や運動場などの教育施設に特に多くの実績を持つ。

東武鉄道株式会社発注の鉄道メンテナンス工事、関東地方整備局や県市町村発注の道路メンテナンス事業なども行っている。

災害時には、国土交通省保有の排水ポンプ車、照明車、対策本部車などの災害対策用車両を出動させ、被災地での復旧作業を実施している。



6. 岩澤建設


岩澤建設は、日本有数の織物の産地であった栃木県足利市で1953年に創業した。織物の印刷技術を応用した道路標識の製作から事業を立ち上げ、その後、舗装工事も開始し、現在では総合建設会社として土木、建築工事も行っている。

(画像:岩澤建設WEBサイトより)

建築DXにおいては、ICT工事による測量業務、設計業務の3次元化や、マシンコントロール技術による重機制御の内製化を積極的に進めている。

2021年9月に実施した県道の舗装修繕工事では、栃木県がICT活用工事の現場見学会を開催し、地上レーザースキャナーによる起工測量とMG路面切削機による施工を建築業関係者に向けて公開するなど、県内でも先進的な取り組みを続けている企業だ。



7. 那須土木


戦時中の1944年、企業整備令を受けて那須地区の土木建築業者12社が、1884年に創業した玉木組を中心として統合設立した企業が那須土木だ。

(画像:那須土木WEBサイトはこちら)

ICT建機を導入しながら、道路、治山、河川、下水、造成、公園など幅広い土木工事を行っており、山野庁関東森林整備局や栃木県知事、大田原市長などから優良工事として度々表彰を受けている。

建築工事では、栃木県議会議事堂新築、那須庁舎本館棟新築などの官公庁施設から、福祉・医療施設など、総合建設会社として、ニーズにあわせてさまざまな工事を手がけている。

また、注文住宅やリフォームなども行っており、介護保険を利用した住宅改修にあわせて福祉用具のレンタル・販売も自社で実施できるよう事業領域を広げることで、工事に留まらない形で地域の暮らしに貢献している。



8. 舘野建設


1952年に設立された舘野建設は、創業以来、栃木県を代表する総合建設業の一社として、豊かで快適な生活環境の整備を続けてきた。

売上高の内訳としては、2020年度で建築工事が約40%、土木工事と舗装工事がそれぞれ約30%となっている。

(画像:舘野建設WEBサイトより)

幅広い現場を手がける土木工事では、自然災害によるインフラの復旧工事も数多く施工している。施工事例として、栃木県総合運動公園にある総合スポーツゾーンの整備工事、栃木駅北口広場整備工事、永野川護岸工事などがある。

建築工事では、官公庁舎や教育施設、民間店舗、福祉施設、工場などを施工している。栃木市消防本部・栃木市消防署庁舎建築工事、栃木市立美術館文学館新築工事、栃木市役所庁舎などがある。

そして舗装工事では、高速道路、国道、駐車場から民間宅地まで、規模に関わらず手がけている。



9. 藤井建設


地域密着型の総合建設会社である藤井建設は、1975年の創業以来、栃木県内に工場を構える大手企業や官公庁からの受注を数多く受け、着実に実績を重ねてきた。

(画像:藤井建設WEBサイトより)

施工例として、宇都宮城址公園歴史建築物新築工事、とちぎ男女共同参画センター外部改修工事などがある。主要取引先としては、キヤノン株式会社の宇都宮工場や光学技術研究所、住友ベークライトの宇都宮工場などがある。



10. 光洋建設


1966年に舗装工事専門業者として創業した光洋建設は、1971年にはアスファルト合材工場を設置するなど規模の拡大を続けながら、道路工事を主軸に事業を行う。

(画像:光洋建設WEBサイトより)

工事部門では、創業以来培ってきた技術をもとに、一般道路舗装、駐車場舗装、テニスコート舗装、さらに一般住宅のカーポート舗装なども手がけている。

また、大規模な造成からエクステリアまで土木工事も行っており、水路改修工事、宇都宮西中核工業団地の区画分割工事など、県内各地に実績を持つ。



11. 斉藤組


栃木県小山市に根を張る総合建設会社である斉藤組は、1925年に創業し、2025年に100周年を迎えた。無借金経営で17年連続黒字を達成するなど、安定した経営によって新卒採用にも力を注いでいる。現在では20代の社員が最も多く、全体の約30%を占める。
(画像:斉藤組WEBサイトより)

直近3年間で500万円以上の施工件数は約150件と公表されており、建築事業では、学校、病院、神社、仏閣、マンション、福祉施設、工場倉庫、一戸建住宅など、幅広く工事を行っている。本社からもほど近い小山市役所新庁舎、小山市体育館、紬織物技術支援センターなど公共施設の施工事例も数多い。

また、土木事業では、河川、道路、上下水道、農村整備など、生活に密着したインフラ工事を小山市内を中心に多数実施している。



12. 岩原産業


岩原産業は、“空気と水”にまつわる工事を主軸として、1966年に創業した。

(画像:岩原産業WEBサイトより)

温度・湿度・空気の流れや汚染物質を制御する設備を導入する空気調和設備工事、ビルの高い場所でも飲料水・雑用水を供給できるようにする給水設備をはじめとした給排水衛生設備工事、水道設備の新設から老朽化した施設の更新といった上下水道施設工事などを行っている。

また、関連会社としてスイミングクラブやスポーツクラブを経営するなど、地域に密着した事業を展開している。



13. 富士コンサルタンツ


栃木県宇都宮市に本社を置く富士コンサルタンツは、公共土木や鉄道に関する測量、設計、補修などを事業の柱とする建設コンサルタント事業者だ。戦後の高度経済成長期であった1959年に「青写真屋」として創業し、図面のトレースやコピー業などを経て、土木設計業を立ち上げた経緯がある。

(画像:富士コンサルタンツWEBサイトより)

15名の測量士など測量に携わる資格者のほか、JR関連業務を幅広く請け負っていることから、JR東日本工事管理者なども多数在籍していることに特色が現れる。

土木設計部門では、橋梁、道路、河川、砂防、上下水道など、幅広い設計業務を行う。施工管理や工事の積算業務も一手に引き受ける。地上3Dレーザースキャナー、ドローンなども積極的に活用しており、経費の節約や業務効率向上を念頭においた戦略的な設計も得意としている。

測量調査部門では、鉄道に関連する測量・調査をメインとしている。60年以上の長い実績の上に、3Dスキャナーなどの最新技術も取り入れ、高い精度の調査結果を提供している。



14. 乃木鈴建設産業


1967年に開業した鈴木鉄工所を前身として、1970年に設立された乃木鈴建設産業は、異業種からの転職でも技術者として男女問わず活躍できる職場環境を誇る企業のひとつ。

(画像:乃木鈴建設産業WEBサイト)

建築部門では、新築工事、耐震化工事、改修工事を手がけており、小山市立体育館の建設工事やリサイクル施設の新築工事などを行ってきた。

土木部門では、主に道路工事、下水道工事、外構工事を行っている。

 

15. 潮田建設


創業100年を超える潮田建設は、1920年の創業以来、建築と土木分野において、調査、企画、設計、監理、施工、コンサルティングまで幅広く事業を展開している。

主軸は土木部で、道路、河川、橋梁、農村整備などさまざまな施工を行っている。特徴的な事例として、国際条約「ラムサール条約」登録湿地である渡良瀬遊水地の湿地保全・再生事業がある。
(画像:潮田建設WEBサイトより)

2017年からICT建機を使用しており、2023年に開催された栃木県i-Construction推進県部会による「とちぎインフラDXセミナー」では、「どうしてやらない?ICT」と題して土木部第一課長が県を代表して登壇し講演を行なっている。

また、建築部では公共工事をメインとしており、小山市交流センター、宇都宮大学工学部4号館など県内の学校・教育施設、道路休憩施設の工事などを手がけてきた実績があるほか、住宅事業部では注文住宅やエクステリア工事で地元住民のニーズに応えている。

印刷ページを表示
WRITTEN by

國廣 愛佳

創業支援や地域活性を行う都内のまちづくり会社に勤務後、2019年よりフリーランス。紙面やwebサイトの編集、インタビューやコピーライティングなどの執筆を中心に、ジャンルを問わず活動。四国にある築100年の実家をどう生かすかが長年の悩み。

建設土木の未来を
ICTで変えるメディア

会員登録

会員登録していただくと、最新記事を案内するメールマガジンが購読できるほか、会員限定コンテンツの閲覧が可能です。是非ご登録ください。