
東北地方の最南端に位置する福島県は、総面積約13,800㎢と、北海道、岩手県に次いで全国第3位の広さを誇る。東部のなだらかな阿武隈山地、県中央に横たわる奥羽山脈、西部には峻な越後山脈があり、県内はそれぞれを境として、浜通り、中通り、会津の3地方に分けられる。
2011年の東日本大震災では、津波による甚大な被害だけでなく、原子力発電所の事故の影響によって広い地域で立ち入りが長年禁止されるなど、文字通り建物や暮らしの土台からたて直しが余儀なくされ、復旧・復興のための土木・建設工事は今もなお続いている。
また、福島県では、建設現場での生産性や安全性の向上、働き方改革を進めるため、ICT用工事や情報共有システム、遠隔臨場など、デジタル技術の活用促進に取り組んでいる。
例えば、受発注者両方を対象としてデジタル技術活用人材育成講習会を開催し、BIM/CIM編、人材育成編といった内容で新たな担い手の育成に力を注いでいるところだ。
県以外が実施するプログラムとして、「ふくしまインフラメンテナンス技術者育成協議会」では、建築業に携わる技術者や公共土木施設の維持管理を行う技術者の不足を解消するため、産学官連携により「ME養成講座」を開いている。
「地域のインフラは地域自らが守る」をテーマに、福島県の地域特性を踏まえ、専門的で実践的な知識を持つ“メンテナンスエキスパート”を“ME”と名付けた取り組み。防災と保全に特化したコース、基本的な診断知識を持って点検作業ができることを目指すコースがあり、どちらも国土交通省に登録された民間資格となっている。
本記事では、そんな福島県の総合土木・建設業界をリードする15社を紹介する。各社の歴史、特徴的な技術、代表的なプロジェクト、そして最新の取り組みなどを詳しく見ていこう。
1956年に創立されたクレハ建設は、電機、設備、工事の各グループ会社を持つ総合建設業者だ。
1980年代には売上高100億円を達成し、その後も2001年には資本金を3億円に増資するなど、県内のインフラ整備を支えながら成長を続けてきた。
(クレハ建設WEBサイトより)
建築を手がける現場は幅広く、福島県いわき市内を中心に、教育機関や工営住宅などの公共施設、医療・福祉施設、民間企業の事務所、商業施設、アパート・マンション、住宅・リフォームも行っている。
土木分野では、道路、河川・護岸、橋梁、トンネル、造成と、インフラ整備のための工事を総合的に行う。
総合建設業としてさまざまな土木工事、建築工事を行う東開クレテックは、1958年の創立以来福島市に本社を置き、現在では福島県内に5つ、宮城県に1つの計6つの支店と出張所を持つ。
(東開クレテックWEBサイトより)
代表的な工事内容として、土木ではソイルクリート工法や人工芝による法面工事、補強土壁工法、建設汚泥リサイクルシステム工事、高欄や照明などの橋梁関連工事がある。
建築では、ACL工事、パネル工事、押出板工事などによる外壁工事、軽天・ボード工事、クロス・床張工事などによる内装工事などがある。
いずれの現場でも専属職人たちが幅広い工事を手がけており、福島県内のインフラをつくり、維持することに長い実績を持つ企業だ。
1922年に創業し、2022年には100年を迎えた庄司建設工業。2020年にはフィットネス事業に参入して南相馬市にジムを開業するなど、長年続けてきた土木・建築業に留まらず、新たなチャレンジに挑んでいる。
土木工事では、「日々の暮らしを『当たり前』にするために」をテーマに、農業土木や道路建設、ダム工事、トンネル工事など、幅広い分野で地域のインフラを支えている。

特に、相馬港をはじめとする港湾土木では県下随一の実績を誇っており、最新技術のいち早い導入を進めている。この技術力は、東日本大震災後も道路や港湾の応急復旧に役立てられた。
建築工事では、南相馬市立病院脳卒中センター、福島県環境創造センター、飯館 道の駅などの多数の実績を持つ。
菅野建設工業は、菅野工務店として1946年に創業した総合建設業者だ。
人と物との対話によって、問題点をいち早く解決し、より良い完成品を提供する“ヒューマンテクノロジー”をテーマとしている。
(菅野建設工業WEBサイトより)
一般土木、舗装、建築、冷暖房衛生設備、上下水道、造園などの建設業務全般を幅広く請負う。
福島県建築文化賞を受賞した岩代町図書館、公共建築賞優秀賞や公共建築賞国土交通大臣表彰を受賞したフォレストパークあだたら 管理センター工事、福島県の優良建設工事に選出された復興光栄住宅整備工事(造成)など、多数の実績を積み重ね続けている。
2018年、小野建設と中村土木が合併して誕生した小野中村は、2019年に平澤建設が合併、さらに2021年には山和建設と持株会社合併による経営統合を行い、山和建設・小野中村ホールディングスを設立させて再び新たな歴史をスタートさせている。
土木事業では、ダム工事・港湾工事・河川工事、道路工事・トンネル工事・橋梁工事、造成工事・公園工事・上下水道工事、地盤改良工事・環境保全工事などを広く手がける。
(小野中村WEBサイトより)
締固めが難しい現場にも対応できるLSS流動化処理工法を取り入れていることが特徴のひとつだ。
主な実績として、大洲地区海岸工事、相馬市松川浦 漁港災害復旧(再復)工事などがある。
建築事業では、相馬市庁舎建屋、相馬市立中村第二中学校、相馬市原釜漁具倉庫、相馬市民会館など、東日本大震災の被害も大きかった相馬市内で多数の公共工事を担当している。
福島県全域で土木工事と産業廃棄物処理を行うエンジンは、東日本大地震発生のちょうど5ヶ月後、福島県田村郡で前身となるアドウィンとして設立された。その後、2013年に社名を変更し、2023年時点で85名の従業員を抱える企業に成長した。
災害復旧工事・住宅基礎工事を手がける一般土木工事、トンネル工事を中心に行っている企業だ。
(エンジンWEBサイトより)
70t級ブルドーザ、クライミング用バックホウなど、160を超える機材を保有しており、その台数は福島県内でも有数の多さを誇る。
生産工程全体の生産性の向上、品質確保にICT建機を活用しており、CAD図面データや3次元設計データ、基準点データの提供を受け、ローカライゼーション作業やICT建機による施工、ローバー使用による出来形検測などを自社で行っている。
三立土建は、土木・建築工事から建設骨材の販売、設計・企画まで手がける福島県南会津郡の企業だ。戦後間もない1946年に設立された。
公共工事に多数の実績を持っており、国土交通省、気象庁、林野庁、仙台高等裁判所、福島県などを主な取引先に持つ。
(三立土建WEBサイトより)
工事内容は、道路、河川、治山・砂防、公園などの土木工事、舗装工事、建築工事、地域特有の除雪工事など幅広い。
山口県のエムビーエスと提携し、コンクリートのはく落防止工法であるスケルトン工法を導入している。
1954年の創業以来、総合建設業として地域の成長と東日本大震災などからの復旧・復興に取り組んできた石橋建設工業。2018年には、許可業種にとび・土工、管、しゅんせつ、解体を追加するなど、歩みを緩めることなく発展を続けている。
(石橋建設工業WEBサイトはこちら)
自動車学校、建設機械や高所作業車などの技能講習・特別教育を行う建機講習所、さらに、アルサJUAVISドローンワールドのパートナー校として、ドローンスクールを開校していることも特徴的だ。
福島県内を中心に、道路橋梁改良工事、市町村合併支援道路整備工事、河川災害関連工事、小学校災害復旧工事、郵便局新築工事などを手がけている。
港湾、土木、建設工事を行う総合建築会社である山本工業は、戦前1941年に山木屋材木店として創業し、その後、事業範囲を広げながら発展を続けてきた。
強みである港湾工事では、作業船として、起重機船兼しゅんせつ船、押船兼曳き船、揚錨船兼交通船を自社で保有している。
(山本工業WEBサイトより)
主な実績として、小名浜港での沖防波堤上部工事や港湾災害復旧工事、相馬港でのふ頭埋立造成工事、いわき地区大型魚礁設置工事などがある。
そのほか土木工事においては、常磐自動車道や下水道、小学校などでの各種工事、建築工事においては、復興のシンボルである復興住宅、いわき市21世紀の森公園野球場建築工事など、どの分野においても数々の実績を積み重ね続けている。
福島県双葉郡浪江町にある横山建設は、1920年に創業、1951年に株式会社として設立された。
国土交通省、環境省、関東森林管理局などの官公庁、東京電力ホールディングス、東北電力、UR都市機構、NEXCO東日本などの民間企業を主要取引先とする企業だ。
(横山建設WEBサイトより)
1級土木施工管理技士をはじめ約90名の有資格者が所属しており、土木、建築工事に取り組んでいる。
代表的な工事実績として、浪江町の基幹産業の要である請戸漁港の再建がある。原子力発電所の事故の影響を受けて禁止されていた町への立ち入りが解禁されると同時に着手し、9年にわたる工事を行った。
完成後には、地元にゆかりのある人々ともに復興ペイント・モニュメントを設置したり、会社のウェブサイトで工事の様子を細かく紹介するなど、地域の持続的発展に貢献を続けている。
1947年に創業した加地和組は、福島県いわき市に本社を置く総合建設業者だ。
2024年には、経済産業省から「健康経営優良法人2023(中小規模法人部門)」の認定を受けている。
(加地和組WEBサイトより)
土木事業では、宅地造成工事やダム建設などの大規模なプロジェクトを手がけ、地域開発に取り組んでいる。建築事業では、公共施設から商業施設、一般住宅まで幅広く手がけている。
また、民間企業や個人向けの工事にも力を注いでおり、住宅や事務所、店舗の新築・増改、不動産販売も行う。
1877年に土木建築業、陸上運搬業を手がける太田組として創業した東北建設は、福島県内の土木・建築業者の中でも随一の歴史を持つ老舗企業だ。
復興基盤総合整備工事、海岸の公共災害復旧(再復)工事、新地町釣師浜漁港などの土木工事、信田沢公会堂新築工事、南相馬市民文化会館「ゆめはっと」、南相馬市小川町体育館などの建築工事と、いずれも東日本大地震からの福島県内の復旧・復興のシンボルの一端となる工事を多数実績としている。
(東北建設WEBサイトより)
そうした実績から、福島県優良建設工事をはじめ、全国建設業労働災害防止大会での安全衛生表彰優良賞受賞など、表彰も数多い。
また、会社のウェブサイトでは若手社員同士の座談会やインタビューを公開するなど、新しい人材の育成にも注力している。
建築工事、土木工事の設計・施工を行うオオバ工務店は、1973年に創立された企業だ。
工事実績としては、復興公営住宅、福島県農業総合センター、福島県コミュタン交流棟などの公共施設のほか、商業施設、生産・流通施設、教育・医療福祉施設、集合住宅などがある。
(オオバ工務店WEBサイトより)
また、土木・上下水道工事を含む建築事業と並び、住宅事業を展開しており、福島県内に留まらず、東京都内でも個人宅の新築工事を数々手がけている。
日本最大級を謳う建築家のネットワークASJ(アーキテクツ・スタジオ・ジャパン)の一員として、東京支社を兼ねたASJ東京北スタジオを2011年北区に開設し、工務店として、建築家とともに進める家づくりをプロデュースしている。
1949年に創立された多田建設は、「土に潜れば50年」をキャッチフレーズに下水道推進工事のプロフェッショナルとして実績を重ねてきた企業だ。
(多田建設WEBサイトより)
下水道管路の維持管理、水道管やガス管、通信管の新設などを行う。HDD簡易推進工法、原発事故由来の放射性物質除染工事でのスピンバック工法、たけのこモール推進工事工法、管内調査業務などを幅広く手がけている。
アスファルト舗装も得意としており、道路橋りょう維持工事、河川海岸改良工事などのほか、工事中に近隣住民から声をかけられることも多いといい、駐車場の舗装や、一般住宅や工場・店舗などの外構工事も行っている。
1953年に福島県喜多方市で創業した穴澤建設は、その後一貫して、道路や河川、建築物の工事において県内の発展を支えてきた。水害による河川復旧工事、道路のメンテナンス、新しい道づくり、公共施設の建築などの公共工事をメインとして請け負っている。
(穴澤建設WEBサイトより)
近年の主な実績として、阿武隈川上流阿久津上流地区掘削工事、郡山国道管内駐車場外整備工事などがある。
採用活動に力を注いでおり、「あなざわウェイ」というユニークなキャッチフレーズを掲げ、いきいきと働きながら、「みんなでいっしょに幸せになる会社」を目指している。
2011年の東日本大震災では、津波による甚大な被害だけでなく、原子力発電所の事故の影響によって広い地域で立ち入りが長年禁止されるなど、文字通り建物や暮らしの土台からたて直しが余儀なくされ、復旧・復興のための土木・建設工事は今もなお続いている。
また、福島県では、建設現場での生産性や安全性の向上、働き方改革を進めるため、ICT用工事や情報共有システム、遠隔臨場など、デジタル技術の活用促進に取り組んでいる。
例えば、受発注者両方を対象としてデジタル技術活用人材育成講習会を開催し、BIM/CIM編、人材育成編といった内容で新たな担い手の育成に力を注いでいるところだ。
県以外が実施するプログラムとして、「ふくしまインフラメンテナンス技術者育成協議会」では、建築業に携わる技術者や公共土木施設の維持管理を行う技術者の不足を解消するため、産学官連携により「ME養成講座」を開いている。
「地域のインフラは地域自らが守る」をテーマに、福島県の地域特性を踏まえ、専門的で実践的な知識を持つ“メンテナンスエキスパート”を“ME”と名付けた取り組み。防災と保全に特化したコース、基本的な診断知識を持って点検作業ができることを目指すコースがあり、どちらも国土交通省に登録された民間資格となっている。
本記事では、そんな福島県の総合土木・建設業界をリードする15社を紹介する。各社の歴史、特徴的な技術、代表的なプロジェクト、そして最新の取り組みなどを詳しく見ていこう。
1. クレハ建設
1956年に創立されたクレハ建設は、電機、設備、工事の各グループ会社を持つ総合建設業者だ。
1980年代には売上高100億円を達成し、その後も2001年には資本金を3億円に増資するなど、県内のインフラ整備を支えながら成長を続けてきた。

建築を手がける現場は幅広く、福島県いわき市内を中心に、教育機関や工営住宅などの公共施設、医療・福祉施設、民間企業の事務所、商業施設、アパート・マンション、住宅・リフォームも行っている。
土木分野では、道路、河川・護岸、橋梁、トンネル、造成と、インフラ整備のための工事を総合的に行う。
2. 東開クレテック
総合建設業としてさまざまな土木工事、建築工事を行う東開クレテックは、1958年の創立以来福島市に本社を置き、現在では福島県内に5つ、宮城県に1つの計6つの支店と出張所を持つ。

代表的な工事内容として、土木ではソイルクリート工法や人工芝による法面工事、補強土壁工法、建設汚泥リサイクルシステム工事、高欄や照明などの橋梁関連工事がある。
建築では、ACL工事、パネル工事、押出板工事などによる外壁工事、軽天・ボード工事、クロス・床張工事などによる内装工事などがある。
いずれの現場でも専属職人たちが幅広い工事を手がけており、福島県内のインフラをつくり、維持することに長い実績を持つ企業だ。
3. 庄司建設工業
1922年に創業し、2022年には100年を迎えた庄司建設工業。2020年にはフィットネス事業に参入して南相馬市にジムを開業するなど、長年続けてきた土木・建築業に留まらず、新たなチャレンジに挑んでいる。
土木工事では、「日々の暮らしを『当たり前』にするために」をテーマに、農業土木や道路建設、ダム工事、トンネル工事など、幅広い分野で地域のインフラを支えている。

特に、相馬港をはじめとする港湾土木では県下随一の実績を誇っており、最新技術のいち早い導入を進めている。この技術力は、東日本大震災後も道路や港湾の応急復旧に役立てられた。
建築工事では、南相馬市立病院脳卒中センター、福島県環境創造センター、飯館 道の駅などの多数の実績を持つ。
4. 菅野建設工業
菅野建設工業は、菅野工務店として1946年に創業した総合建設業者だ。
人と物との対話によって、問題点をいち早く解決し、より良い完成品を提供する“ヒューマンテクノロジー”をテーマとしている。

一般土木、舗装、建築、冷暖房衛生設備、上下水道、造園などの建設業務全般を幅広く請負う。
福島県建築文化賞を受賞した岩代町図書館、公共建築賞優秀賞や公共建築賞国土交通大臣表彰を受賞したフォレストパークあだたら 管理センター工事、福島県の優良建設工事に選出された復興光栄住宅整備工事(造成)など、多数の実績を積み重ね続けている。
5. 小野中村
2018年、小野建設と中村土木が合併して誕生した小野中村は、2019年に平澤建設が合併、さらに2021年には山和建設と持株会社合併による経営統合を行い、山和建設・小野中村ホールディングスを設立させて再び新たな歴史をスタートさせている。
土木事業では、ダム工事・港湾工事・河川工事、道路工事・トンネル工事・橋梁工事、造成工事・公園工事・上下水道工事、地盤改良工事・環境保全工事などを広く手がける。

締固めが難しい現場にも対応できるLSS流動化処理工法を取り入れていることが特徴のひとつだ。
主な実績として、大洲地区海岸工事、相馬市松川浦 漁港災害復旧(再復)工事などがある。
建築事業では、相馬市庁舎建屋、相馬市立中村第二中学校、相馬市原釜漁具倉庫、相馬市民会館など、東日本大震災の被害も大きかった相馬市内で多数の公共工事を担当している。
6. エンジン
福島県全域で土木工事と産業廃棄物処理を行うエンジンは、東日本大地震発生のちょうど5ヶ月後、福島県田村郡で前身となるアドウィンとして設立された。その後、2013年に社名を変更し、2023年時点で85名の従業員を抱える企業に成長した。
災害復旧工事・住宅基礎工事を手がける一般土木工事、トンネル工事を中心に行っている企業だ。

70t級ブルドーザ、クライミング用バックホウなど、160を超える機材を保有しており、その台数は福島県内でも有数の多さを誇る。
生産工程全体の生産性の向上、品質確保にICT建機を活用しており、CAD図面データや3次元設計データ、基準点データの提供を受け、ローカライゼーション作業やICT建機による施工、ローバー使用による出来形検測などを自社で行っている。
7. 三立土建
三立土建は、土木・建築工事から建設骨材の販売、設計・企画まで手がける福島県南会津郡の企業だ。戦後間もない1946年に設立された。
公共工事に多数の実績を持っており、国土交通省、気象庁、林野庁、仙台高等裁判所、福島県などを主な取引先に持つ。

工事内容は、道路、河川、治山・砂防、公園などの土木工事、舗装工事、建築工事、地域特有の除雪工事など幅広い。
山口県のエムビーエスと提携し、コンクリートのはく落防止工法であるスケルトン工法を導入している。
8. 石橋建設工業
1954年の創業以来、総合建設業として地域の成長と東日本大震災などからの復旧・復興に取り組んできた石橋建設工業。2018年には、許可業種にとび・土工、管、しゅんせつ、解体を追加するなど、歩みを緩めることなく発展を続けている。

自動車学校、建設機械や高所作業車などの技能講習・特別教育を行う建機講習所、さらに、アルサJUAVISドローンワールドのパートナー校として、ドローンスクールを開校していることも特徴的だ。
福島県内を中心に、道路橋梁改良工事、市町村合併支援道路整備工事、河川災害関連工事、小学校災害復旧工事、郵便局新築工事などを手がけている。
9. 山本工業
港湾、土木、建設工事を行う総合建築会社である山本工業は、戦前1941年に山木屋材木店として創業し、その後、事業範囲を広げながら発展を続けてきた。
強みである港湾工事では、作業船として、起重機船兼しゅんせつ船、押船兼曳き船、揚錨船兼交通船を自社で保有している。

主な実績として、小名浜港での沖防波堤上部工事や港湾災害復旧工事、相馬港でのふ頭埋立造成工事、いわき地区大型魚礁設置工事などがある。
そのほか土木工事においては、常磐自動車道や下水道、小学校などでの各種工事、建築工事においては、復興のシンボルである復興住宅、いわき市21世紀の森公園野球場建築工事など、どの分野においても数々の実績を積み重ね続けている。
10. 横山建設
福島県双葉郡浪江町にある横山建設は、1920年に創業、1951年に株式会社として設立された。
国土交通省、環境省、関東森林管理局などの官公庁、東京電力ホールディングス、東北電力、UR都市機構、NEXCO東日本などの民間企業を主要取引先とする企業だ。

1級土木施工管理技士をはじめ約90名の有資格者が所属しており、土木、建築工事に取り組んでいる。
代表的な工事実績として、浪江町の基幹産業の要である請戸漁港の再建がある。原子力発電所の事故の影響を受けて禁止されていた町への立ち入りが解禁されると同時に着手し、9年にわたる工事を行った。
完成後には、地元にゆかりのある人々ともに復興ペイント・モニュメントを設置したり、会社のウェブサイトで工事の様子を細かく紹介するなど、地域の持続的発展に貢献を続けている。
11. 加地和組
1947年に創業した加地和組は、福島県いわき市に本社を置く総合建設業者だ。
2024年には、経済産業省から「健康経営優良法人2023(中小規模法人部門)」の認定を受けている。

土木事業では、宅地造成工事やダム建設などの大規模なプロジェクトを手がけ、地域開発に取り組んでいる。建築事業では、公共施設から商業施設、一般住宅まで幅広く手がけている。
また、民間企業や個人向けの工事にも力を注いでおり、住宅や事務所、店舗の新築・増改、不動産販売も行う。
12. 東北建設
1877年に土木建築業、陸上運搬業を手がける太田組として創業した東北建設は、福島県内の土木・建築業者の中でも随一の歴史を持つ老舗企業だ。
復興基盤総合整備工事、海岸の公共災害復旧(再復)工事、新地町釣師浜漁港などの土木工事、信田沢公会堂新築工事、南相馬市民文化会館「ゆめはっと」、南相馬市小川町体育館などの建築工事と、いずれも東日本大地震からの福島県内の復旧・復興のシンボルの一端となる工事を多数実績としている。

そうした実績から、福島県優良建設工事をはじめ、全国建設業労働災害防止大会での安全衛生表彰優良賞受賞など、表彰も数多い。
また、会社のウェブサイトでは若手社員同士の座談会やインタビューを公開するなど、新しい人材の育成にも注力している。
13. オオバ工務店
建築工事、土木工事の設計・施工を行うオオバ工務店は、1973年に創立された企業だ。
工事実績としては、復興公営住宅、福島県農業総合センター、福島県コミュタン交流棟などの公共施設のほか、商業施設、生産・流通施設、教育・医療福祉施設、集合住宅などがある。

また、土木・上下水道工事を含む建築事業と並び、住宅事業を展開しており、福島県内に留まらず、東京都内でも個人宅の新築工事を数々手がけている。
日本最大級を謳う建築家のネットワークASJ(アーキテクツ・スタジオ・ジャパン)の一員として、東京支社を兼ねたASJ東京北スタジオを2011年北区に開設し、工務店として、建築家とともに進める家づくりをプロデュースしている。
14. 多田建設
1949年に創立された多田建設は、「土に潜れば50年」をキャッチフレーズに下水道推進工事のプロフェッショナルとして実績を重ねてきた企業だ。

下水道管路の維持管理、水道管やガス管、通信管の新設などを行う。HDD簡易推進工法、原発事故由来の放射性物質除染工事でのスピンバック工法、たけのこモール推進工事工法、管内調査業務などを幅広く手がけている。
アスファルト舗装も得意としており、道路橋りょう維持工事、河川海岸改良工事などのほか、工事中に近隣住民から声をかけられることも多いといい、駐車場の舗装や、一般住宅や工場・店舗などの外構工事も行っている。
15. 穴澤建設
1953年に福島県喜多方市で創業した穴澤建設は、その後一貫して、道路や河川、建築物の工事において県内の発展を支えてきた。水害による河川復旧工事、道路のメンテナンス、新しい道づくり、公共施設の建築などの公共工事をメインとして請け負っている。

近年の主な実績として、阿武隈川上流阿久津上流地区掘削工事、郡山国道管内駐車場外整備工事などがある。
採用活動に力を注いでおり、「あなざわウェイ」というユニークなキャッチフレーズを掲げ、いきいきと働きながら、「みんなでいっしょに幸せになる会社」を目指している。
WRITTEN by

國廣 愛佳
創業支援や地域活性を行う都内のまちづくり会社に勤務後、2019年よりフリーランス。紙面やwebサイトの編集、インタビューやコピーライティングなどの執筆を中心に、ジャンルを問わず活動。四国にある築100年の実家をどう生かすかが長年の悩み。
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