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最南端を流域面積全国第1位の利根川が流れる茨城県。県の中央から南西にかけては、関東平野の一部である常総平野が広がる。
県の面積は全国第24位であるのに対して、平坦な土地が多いことから可住地面積は全国第4位を誇る。
茨城県土木部では、「大規模災害からの復興事業の加速と災害に強い県土づくり」、「県民誰もが安全、安心で快適に暮らせる県土づくり」を基本方針として、社会インフラの整備や維持管理を行っている。
県をあげてDX推進にも取り組んでおり、第2次茨城県総合計画では、道路整備、世界に開かれた港づくりなどと並んで、ICTやAIなどの活用を進めることを明記している。
土木部の「情報発信チーム」はX(旧Twitter)を開設しており、仕事内容、施工例、出向先などを紹介することにより、若手をはじめ新たな人材確保にも力を注いでいる。
そうした試みの一環として、「第4回土木学会インフラメンテナンス・シンポジウム2025」では、女性技術者による次世代育成の取組みとして、子ども向けに開催した橋梁点検の体験イベントについて発表を行っている。
本記事では、そんな茨城県の総合土木・建設業界をリードする15社を紹介する。各社の歴史、特徴的な技術、代表的なプロジェクト、そして最新の取り組みなどを詳しく見ていこう。
1921年に創業した株木建設は、従業員数350名を超える茨城県随一の総合建設会社だ。初代社長は、東洋一の航空基地といわれた霞ヶ浦海軍航空隊の飛行場建設に力を注ぎ、その実績から全国20ヶ所以上の飛行場建設を請け負った。
(株木建設WEBサイトより)
そうした経緯のもと、現在でも茨城県に留まらず全国で事業を展開しており、土木事業と建築事業を二本柱としながら、霞ヶ浦の水質浄化、エンジニアリング、都市開発、環境整備、不動産などの分野にもフィールドを広げている。
代表的な実績として、土木事業では、東京湾アクアライン、宮城県の三陸沿岸自動車道、中部国際空港、関西国際空港、都営大江戸線牛込柳町駅などがある。建設事業では、茨城県庁舎、スカイツリーイーストタワー、武蔵野の森総合スポーツプラザ・アリーナ、池上本門寺五重塔保存修理などがある。
昭和建設は、昭和道路工業として1955年に創業し、2005年の事業分割により建設事業に特化した企業だ。水戸市の本社に加え、同市内の環境センター、つくば支店、東茨城郡と土浦市には舗装工事部とアスファルト合材工場を持つ。
(昭和建設WEBサイトより)
土木工事としては、道路舗装工事、上下水道工事、道路清掃・ロードメンテナンスをはじめとして、河川、橋梁、地盤改良や構造物工事、さらには住宅団地や工業用地の造成など幅広く手がける。
「より機能的に、より美しく」をモットーとする建築工事では、官公庁施設、医療施設、商業施設、教育施設などの設計から施工、維持管理を県内全域で行っている。主な実績として、水戸市保健所、水戸市総合運動公園市民球場などがある。
茨城県を代表する老舗企業のひとつが、2027年に100周年を控える大貫工務店だ。創業以来、公共工事を中心に事業を展開し、現在では「大貫ハウス」とブランド化した住宅事業が大きな成長を見せている。
(大貫工務店WEBサイトはこちら)
土木工事は道路、上下水道、河川、海洋土木、農業土木などを手がける。
建築工事では、教育・文教施設、医療・福祉施設、工場・事務所など多数の実績を持っており、特に、株式会社アルコデザインスタジオのデザインのもと施工を担当した茨城県守谷市の「まつやま保育園」は2024年のグッドデザイン賞を受賞している。
1953年に細谷材木店として歴史をスタートさせた細谷建設工業は、茨城県稲敷郡河内町に本社を置く総合建設企業だ。
(細谷建設工業WEBサイトより)
お膝元である河内町立新設小中一貫校校舎等建設工事をはじめ、分譲宅地造成工事、利根川下流の排水樋管新設工事などの実績を持つ。
特色ある事業として、1978年に開設された競走馬用のJRA美浦トレーニングセンターの敷地整備、調教場の維持管理、厩舎他施設の保守管理作業といった施設の保守・管理がある。
鈴縫工業は、1918年に土木建築請負業を創業した鈴縫組を前身として、1948年に株式会社として設立された。
日立市の本社のほか、東京支社、7つの営業所、4つの出張所、さらに大津港工事事務所、国道維持工事事務所、鹿島工事事務所などを抱える。
(鈴縫工業WEBサイトはこちら)
住宅から公共施設まで手がける建築事業では、SRF耐震補強工法を取り入れ、耐震調査の相談にも応じている。土木事業でも、災害に強い地域インフラの整備に積極的に携わるなど、防災・減災・災害復旧に力を注いでいる。
主な実績として、茨城県庁議会棟、国営ひたち海浜公園総合管理センター、大洗町海岸などのほか、渋谷区ふれあい植物園など茨城県外の工事も手がけている。
1972年三国屋サルベージとして誕生した三国屋建設は、創業以来続けてきた海難船舶の救助・撤去・海洋汚染防止などの海難救助業務の技術を活かし、海洋土木業へと主軸を移す形で1996年より社名を改めて事業を展開している。
(三国屋建設WEBサイトより)
海洋土木事業では自社施工を基本理念とし、100隻を超える作業船と30名以上の潜水士が洪水対策や災害復旧などの緊急工事、河川の維持管理のための観測機器や施設の建設、橋梁工事、水中溶接溶断をはじめとする潜水工事を行っている。
さらに、湾岸計画立案のための事前調査、環境調査なども手がけでおり、マルチビームやサイドスキャン測深機といった海洋3次元計測システムを導入している。
1897年に創業した常総開発工業は、茨城県のインフラ整備や住宅づくりを長く支えてきた企業のひとつだ。土木、建築、設計の三本柱で事業を展開しており、企画・設計から施工・管理までトータルに行う一貫体制を敷いている。
(常総開発工業WEBサイトより)
土木事業では道路や橋梁、港湾、河川・護岸など、建築では公共施設からオフィスビル、各種学校、集合住宅などを幅広く手がける。
主な実績には、茨城県知事賞を受賞した鰐川橋耐震補強工事、地元を象徴するサッカーチーム鹿島アントラーズのホームスタジアムでもある茨城県立サッカースタジアムなどがある。Youtubeの公式チャンネルでは、土木事業の施工事例を動画で見ることができる。
また、国土交通省と香取市によって整備された佐原広域交流拠点のPFI事業に参画していることも特徴的だ。国が河川区域内で行うPFI事業は全国初という事例で、道の駅と川の駅が一体となった「水の郷さわら」として親しまれている。
「郷土づくりに感謝をこめて」を理念に掲げ、1941年から総合建設業を展開する秋山工務店。
建築事業では、公共・教育施設、商業施設、マンションを中心に手がけており、近年の実績として商業施設の伊勢甚友部スクエア、日立市の洪水避難タワー、茨城県那珂郡の歴史と未来の交流館などがある。
土木事業では、道路、湾岸・河川、橋梁などの工事を手がけており、市道や県道の道路舗装、外低水護岸災害復旧などを行っている。
1973年に設立された藤井建設は、建設を通して地域社会、日本の未来をより良くしていくことを目指して事業を展開する企業だ。
計画から施工まで一貫対応する土木技術、大型建造物の施工を得意とする建築技術、そして“世の中にないものを提案”していこうという姿勢のもと磨かれる技術開発を誇る。
(藤井建設WEBサイトより)
低コストと汎用性を実現する自社製品も提供しており、型枠面板にFRP樹脂パネル、フレームにリサイクル可能なアルミ合金を使用した「エコプリフォーム」により、橋脚施工などにおいて施工難易度を下げ、廃材処理などを減らした工事を行っている。
土木工事、港湾・海洋工事を得意分野とする菅原建設は、1892年に北海道で創業し、2022年には130周年を迎えた老舗企業だ。
道内で何度か移転したのち、1958年には東京都へ、1975年には茨城県へと本店を移転した。
2023年に完成した本社ビル新築工事では、省エネと創エネにより年間エネルギー収支をプラスマイナスゼロとするZEB(Net Zero Energy Building)化を目指し、国が指針として打ち出した建築分野での脱炭素の取り組みの先駆的取り組みを行っている。
事業では一般土木、湾岸土木、建築・リフォームで多くの実績があり、近年の代表的な事例である大洗港浚渫工事や偕楽園内の好文亭屋根吹き替え・耐震補強工事などは、ウェブサイトで施工動画を見ることができる。
谷原建設は、茨城県南部を中心に、土木、建築、環境事業を展開する総合エンジニアリング企業だ。1948年に創業し、1969年には株式会社を設立した。
土木工事では、道路、橋梁、河川、上下水道の分野で多数の実績を持つ。
(谷原建設WEBサイトより)
建築工事では、筑波大学大学会館B棟改修やつくばみらい市立学校給食センターなどの官公庁・教育施設をはじめ、物流・工場、医療・福祉、オフィス・商業など幅広い現場で施工を行っている。
特に、工場などの工事においては、部材を標準化することによって建築生産トータルをシステム化したyess建築の工法を採用し、短工期と低価格を実現している。
1975年に創業した大昭建設は、茨城県に根付いた総合建設業として、公共工事、民間工事を幅広く手かげている。主な取引先として、国土交通省、茨城県、日本下水道事業団、都市再生機構、日本中央競馬会などを持つ。
2020年には、本社にもほど近い龍ケ崎市文化会館のネーミングライツを取得するなど、地域との結びつきが強い企業だ。
主な実績として、建築分野では利根消防署や牛久運動公園といった公共施設、取手第二高校や龍ヶ崎市立馴柴小学校などがある。
土木分野は、道路、治水、耐震補強、造成工事など多岐に渡り、例えば、R2東関道小泉南地区改良工事やR2圏央道つくば地区改良工事など、国土交通省関東地方整備局や茨城県知事から多数の表彰を受けている。
茨城県牛久市に本店を置くキムラ工業は、1964年に創業した。東京本社、埼玉営業所、千葉県には再生砕石行徳プラントを持つなど、茨城県外にも多数の拠点を持つ。
建設・土木事業では、一般土木工事、とび土木工事、道路舗装工事、水道施設工事、しゅんせつ工事、石工事、解体工事を請け負っており、一般工事から専門工事に至るまで高い技術力で実績を重ねている。
1981年からリサイクル事業に取り組んでおり、コンクリートがらなどの収集運搬や中間処理、再生砕石販売を行っていることも特徴だ。
また、学生によるインターンシップを積極的に受け入れており、施工中の現場で最新技術や遠隔臨場、電子小黒板を体験する施工管理技術体験コースや、3次元測量した点群から土量を計算してみる3次元測量体験コース、3次元設計データと現場を比較してICT施工を体験するICT施工体験コースなどから選択できるプログラムとなっている。
1921年に創業した日立土木は、創業100周年を迎えた長きにわたって、“豊かで夢のある空間創り”を目指し、時代ごとの社会的使命に答えるべく実績を積み重ねてきた企業だ。
例えば、建築事業のうち庁舎施工では、高度情報化社会に対応した建物全体のシステム化や関連設備のデジタル化を念頭に置いたり、医療・福祉施設の施工では、安全性などだけでなく心を癒す潤いのある空間づくりを意識するなど、施工するものにあわせてさまざまな工夫と技術の駆使を行っている。
(日立土木WEBサイトより)
手がける分野は幅広く、公営住宅、学校・教育施設、幼稚園・保育園、マンション・アパート、オフィス・店舗・テナント、スポーツ施設、工場・倉庫、神社・仏閣がある。実績としては、茨城教育会館、磯原災害公営住宅、池の川さくらアリーナなどがある。
土木工事では、道路、橋、港湾などをフィールドとしており、大正時代の創業以来、県内でのパイオニア的存在として地域のインフラ整備に貢献してきた。日立市の象徴となっている場所のひとつ、日立新都市広場や、五浦海岸線、小木津線道路などの施工実績を持つ。
総合建設会社である大曽根建設は、1979年に設立された。これまでにひたちなか市長表彰 優良建設業者ほう賞を6回受賞するなど、高い技術力で土木工事をはじめとする事業に取り組み続けている。
自社をインフラ整備の“ドクター”と銘打って手がける事業は、公共土木工事、民間土木工事、鉄道工事、建築工事、環境事業工事の5つに分かれる。
社員の事故リスク削減、工期短縮などを目指し、人が立ち入ることが難しい場所を中心に、工事の進捗管理、施工前後の撮影、測量など、幅広い分野でドローンを活用している。また、作業の自動化や、デジタルデバイスを用いた最新の施工技術を行っている。
人材育成、雇用面での特徴として、学生向けのインターンシップなどに加え、障がいを持つ人が働く場や生活を楽しむ場を創出できるよう、地元のNPOと協力体制をつくり、就職に必要なスキル向上のためのサポートを行ったり、名刺などの制作依頼をするといった形で就労支援にも取り組んでいる。
県の面積は全国第24位であるのに対して、平坦な土地が多いことから可住地面積は全国第4位を誇る。
茨城県土木部では、「大規模災害からの復興事業の加速と災害に強い県土づくり」、「県民誰もが安全、安心で快適に暮らせる県土づくり」を基本方針として、社会インフラの整備や維持管理を行っている。
県をあげてDX推進にも取り組んでおり、第2次茨城県総合計画では、道路整備、世界に開かれた港づくりなどと並んで、ICTやAIなどの活用を進めることを明記している。
土木部の「情報発信チーム」はX(旧Twitter)を開設しており、仕事内容、施工例、出向先などを紹介することにより、若手をはじめ新たな人材確保にも力を注いでいる。
そうした試みの一環として、「第4回土木学会インフラメンテナンス・シンポジウム2025」では、女性技術者による次世代育成の取組みとして、子ども向けに開催した橋梁点検の体験イベントについて発表を行っている。
本記事では、そんな茨城県の総合土木・建設業界をリードする15社を紹介する。各社の歴史、特徴的な技術、代表的なプロジェクト、そして最新の取り組みなどを詳しく見ていこう。
1. 株木建設
1921年に創業した株木建設は、従業員数350名を超える茨城県随一の総合建設会社だ。初代社長は、東洋一の航空基地といわれた霞ヶ浦海軍航空隊の飛行場建設に力を注ぎ、その実績から全国20ヶ所以上の飛行場建設を請け負った。
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そうした経緯のもと、現在でも茨城県に留まらず全国で事業を展開しており、土木事業と建築事業を二本柱としながら、霞ヶ浦の水質浄化、エンジニアリング、都市開発、環境整備、不動産などの分野にもフィールドを広げている。
代表的な実績として、土木事業では、東京湾アクアライン、宮城県の三陸沿岸自動車道、中部国際空港、関西国際空港、都営大江戸線牛込柳町駅などがある。建設事業では、茨城県庁舎、スカイツリーイーストタワー、武蔵野の森総合スポーツプラザ・アリーナ、池上本門寺五重塔保存修理などがある。
2. 昭和建設
昭和建設は、昭和道路工業として1955年に創業し、2005年の事業分割により建設事業に特化した企業だ。水戸市の本社に加え、同市内の環境センター、つくば支店、東茨城郡と土浦市には舗装工事部とアスファルト合材工場を持つ。

「より機能的に、より美しく」をモットーとする建築工事では、官公庁施設、医療施設、商業施設、教育施設などの設計から施工、維持管理を県内全域で行っている。主な実績として、水戸市保健所、水戸市総合運動公園市民球場などがある。
3. 大貫工務店
茨城県を代表する老舗企業のひとつが、2027年に100周年を控える大貫工務店だ。創業以来、公共工事を中心に事業を展開し、現在では「大貫ハウス」とブランド化した住宅事業が大きな成長を見せている。

建築工事では、教育・文教施設、医療・福祉施設、工場・事務所など多数の実績を持っており、特に、株式会社アルコデザインスタジオのデザインのもと施工を担当した茨城県守谷市の「まつやま保育園」は2024年のグッドデザイン賞を受賞している。
4. 細谷建設工業
1953年に細谷材木店として歴史をスタートさせた細谷建設工業は、茨城県稲敷郡河内町に本社を置く総合建設企業だ。
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お膝元である河内町立新設小中一貫校校舎等建設工事をはじめ、分譲宅地造成工事、利根川下流の排水樋管新設工事などの実績を持つ。
特色ある事業として、1978年に開設された競走馬用のJRA美浦トレーニングセンターの敷地整備、調教場の維持管理、厩舎他施設の保守管理作業といった施設の保守・管理がある。
5. 鈴縫工業
鈴縫工業は、1918年に土木建築請負業を創業した鈴縫組を前身として、1948年に株式会社として設立された。
日立市の本社のほか、東京支社、7つの営業所、4つの出張所、さらに大津港工事事務所、国道維持工事事務所、鹿島工事事務所などを抱える。
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住宅から公共施設まで手がける建築事業では、SRF耐震補強工法を取り入れ、耐震調査の相談にも応じている。土木事業でも、災害に強い地域インフラの整備に積極的に携わるなど、防災・減災・災害復旧に力を注いでいる。
主な実績として、茨城県庁議会棟、国営ひたち海浜公園総合管理センター、大洗町海岸などのほか、渋谷区ふれあい植物園など茨城県外の工事も手がけている。
6. 三国屋建設
1972年三国屋サルベージとして誕生した三国屋建設は、創業以来続けてきた海難船舶の救助・撤去・海洋汚染防止などの海難救助業務の技術を活かし、海洋土木業へと主軸を移す形で1996年より社名を改めて事業を展開している。
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海洋土木事業では自社施工を基本理念とし、100隻を超える作業船と30名以上の潜水士が洪水対策や災害復旧などの緊急工事、河川の維持管理のための観測機器や施設の建設、橋梁工事、水中溶接溶断をはじめとする潜水工事を行っている。
さらに、湾岸計画立案のための事前調査、環境調査なども手がけでおり、マルチビームやサイドスキャン測深機といった海洋3次元計測システムを導入している。
7. 常総開発工業
1897年に創業した常総開発工業は、茨城県のインフラ整備や住宅づくりを長く支えてきた企業のひとつだ。土木、建築、設計の三本柱で事業を展開しており、企画・設計から施工・管理までトータルに行う一貫体制を敷いている。
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土木事業では道路や橋梁、港湾、河川・護岸など、建築では公共施設からオフィスビル、各種学校、集合住宅などを幅広く手がける。
主な実績には、茨城県知事賞を受賞した鰐川橋耐震補強工事、地元を象徴するサッカーチーム鹿島アントラーズのホームスタジアムでもある茨城県立サッカースタジアムなどがある。Youtubeの公式チャンネルでは、土木事業の施工事例を動画で見ることができる。
また、国土交通省と香取市によって整備された佐原広域交流拠点のPFI事業に参画していることも特徴的だ。国が河川区域内で行うPFI事業は全国初という事例で、道の駅と川の駅が一体となった「水の郷さわら」として親しまれている。
8. 秋山工務店
「郷土づくりに感謝をこめて」を理念に掲げ、1941年から総合建設業を展開する秋山工務店。
建築事業では、公共・教育施設、商業施設、マンションを中心に手がけており、近年の実績として商業施設の伊勢甚友部スクエア、日立市の洪水避難タワー、茨城県那珂郡の歴史と未来の交流館などがある。
土木事業では、道路、湾岸・河川、橋梁などの工事を手がけており、市道や県道の道路舗装、外低水護岸災害復旧などを行っている。
9. 藤井建設
1973年に設立された藤井建設は、建設を通して地域社会、日本の未来をより良くしていくことを目指して事業を展開する企業だ。
計画から施工まで一貫対応する土木技術、大型建造物の施工を得意とする建築技術、そして“世の中にないものを提案”していこうという姿勢のもと磨かれる技術開発を誇る。
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低コストと汎用性を実現する自社製品も提供しており、型枠面板にFRP樹脂パネル、フレームにリサイクル可能なアルミ合金を使用した「エコプリフォーム」により、橋脚施工などにおいて施工難易度を下げ、廃材処理などを減らした工事を行っている。
10. 菅原建設
土木工事、港湾・海洋工事を得意分野とする菅原建設は、1892年に北海道で創業し、2022年には130周年を迎えた老舗企業だ。
道内で何度か移転したのち、1958年には東京都へ、1975年には茨城県へと本店を移転した。
2023年に完成した本社ビル新築工事では、省エネと創エネにより年間エネルギー収支をプラスマイナスゼロとするZEB(Net Zero Energy Building)化を目指し、国が指針として打ち出した建築分野での脱炭素の取り組みの先駆的取り組みを行っている。
事業では一般土木、湾岸土木、建築・リフォームで多くの実績があり、近年の代表的な事例である大洗港浚渫工事や偕楽園内の好文亭屋根吹き替え・耐震補強工事などは、ウェブサイトで施工動画を見ることができる。
11. 谷原建設
谷原建設は、茨城県南部を中心に、土木、建築、環境事業を展開する総合エンジニアリング企業だ。1948年に創業し、1969年には株式会社を設立した。
土木工事では、道路、橋梁、河川、上下水道の分野で多数の実績を持つ。
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建築工事では、筑波大学大学会館B棟改修やつくばみらい市立学校給食センターなどの官公庁・教育施設をはじめ、物流・工場、医療・福祉、オフィス・商業など幅広い現場で施工を行っている。
特に、工場などの工事においては、部材を標準化することによって建築生産トータルをシステム化したyess建築の工法を採用し、短工期と低価格を実現している。
12. 大昭建設
1975年に創業した大昭建設は、茨城県に根付いた総合建設業として、公共工事、民間工事を幅広く手かげている。主な取引先として、国土交通省、茨城県、日本下水道事業団、都市再生機構、日本中央競馬会などを持つ。
2020年には、本社にもほど近い龍ケ崎市文化会館のネーミングライツを取得するなど、地域との結びつきが強い企業だ。
主な実績として、建築分野では利根消防署や牛久運動公園といった公共施設、取手第二高校や龍ヶ崎市立馴柴小学校などがある。
土木分野は、道路、治水、耐震補強、造成工事など多岐に渡り、例えば、R2東関道小泉南地区改良工事やR2圏央道つくば地区改良工事など、国土交通省関東地方整備局や茨城県知事から多数の表彰を受けている。
13. キムラ工業
茨城県牛久市に本店を置くキムラ工業は、1964年に創業した。東京本社、埼玉営業所、千葉県には再生砕石行徳プラントを持つなど、茨城県外にも多数の拠点を持つ。
建設・土木事業では、一般土木工事、とび土木工事、道路舗装工事、水道施設工事、しゅんせつ工事、石工事、解体工事を請け負っており、一般工事から専門工事に至るまで高い技術力で実績を重ねている。
1981年からリサイクル事業に取り組んでおり、コンクリートがらなどの収集運搬や中間処理、再生砕石販売を行っていることも特徴だ。
また、学生によるインターンシップを積極的に受け入れており、施工中の現場で最新技術や遠隔臨場、電子小黒板を体験する施工管理技術体験コースや、3次元測量した点群から土量を計算してみる3次元測量体験コース、3次元設計データと現場を比較してICT施工を体験するICT施工体験コースなどから選択できるプログラムとなっている。
14. 日立土木
1921年に創業した日立土木は、創業100周年を迎えた長きにわたって、“豊かで夢のある空間創り”を目指し、時代ごとの社会的使命に答えるべく実績を積み重ねてきた企業だ。
例えば、建築事業のうち庁舎施工では、高度情報化社会に対応した建物全体のシステム化や関連設備のデジタル化を念頭に置いたり、医療・福祉施設の施工では、安全性などだけでなく心を癒す潤いのある空間づくりを意識するなど、施工するものにあわせてさまざまな工夫と技術の駆使を行っている。
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手がける分野は幅広く、公営住宅、学校・教育施設、幼稚園・保育園、マンション・アパート、オフィス・店舗・テナント、スポーツ施設、工場・倉庫、神社・仏閣がある。実績としては、茨城教育会館、磯原災害公営住宅、池の川さくらアリーナなどがある。
土木工事では、道路、橋、港湾などをフィールドとしており、大正時代の創業以来、県内でのパイオニア的存在として地域のインフラ整備に貢献してきた。日立市の象徴となっている場所のひとつ、日立新都市広場や、五浦海岸線、小木津線道路などの施工実績を持つ。
15. 大曽根建設
総合建設会社である大曽根建設は、1979年に設立された。これまでにひたちなか市長表彰 優良建設業者ほう賞を6回受賞するなど、高い技術力で土木工事をはじめとする事業に取り組み続けている。
自社をインフラ整備の“ドクター”と銘打って手がける事業は、公共土木工事、民間土木工事、鉄道工事、建築工事、環境事業工事の5つに分かれる。
社員の事故リスク削減、工期短縮などを目指し、人が立ち入ることが難しい場所を中心に、工事の進捗管理、施工前後の撮影、測量など、幅広い分野でドローンを活用している。また、作業の自動化や、デジタルデバイスを用いた最新の施工技術を行っている。
人材育成、雇用面での特徴として、学生向けのインターンシップなどに加え、障がいを持つ人が働く場や生活を楽しむ場を創出できるよう、地元のNPOと協力体制をつくり、就職に必要なスキル向上のためのサポートを行ったり、名刺などの制作依頼をするといった形で就労支援にも取り組んでいる。
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國廣 愛佳
創業支援や地域活性を行う都内のまちづくり会社に勤務後、2019年よりフリーランス。紙面やwebサイトの編集、インタビューやコピーライティングなどの執筆を中心に、ジャンルを問わず活動。四国にある築100年の実家をどう生かすかが長年の悩み。
建設土木の未来を
ICTで変えるメディア