コラム・特集
デジコン編集部 2025.1.27

法面保護工の基礎知識 〜 安全で安定した斜面を維持するための技術解説 〜

CONTENTS
  1. 法面保護工の基本
  2. 植生工による保護
    1. 種子散布工
    2. 客土吹付工
    3. 張芝工
    4. 植生マット工
    5. 筋芝工
  3. 構造物による保護工
    1. モルタル・コンクリート吹付工
    2. 石張工・ブロック張工
    3. コンクリート張工
  4. 法面排水工の重要性
    1. 表面排水工
    2. 地下排水工
  5. まとめ
道路や宅地造成などの土木工事では、切土盛土による人工的な斜面(法面)が生じる。

この法面は風雨による侵食や、地下水による浸食などで崩壊する危険性があるため、適切な保護工が必要となる。本記事では、法面保護工の基本的な種類と特徴について解説する。

法面保護工の基本


法面保護工は大きく植生工と構造物による保護工に分類される。

植生工は自然環境との調和に優れ、構造物による保護工は即効性と高い保護効果が特徴である。

これらは現場条件や要求性能に応じて使い分けられる。

植生工による保護


植生工は、植物の根系による地盤の緊縛効果と、地表面を覆う植物体による侵食防止効果を利用する工法である。

種子散布工


種子と肥料、ファイバーを水に混合して法面に吹き付ける手法で、比較的緩やかな勾配の法面に適している。

客土吹付工


種子と肥料、土を混合した泥土状の材料を圧縮空気で吹き付ける工法である。

張芝工


芝を直接法面に張り付けることで、施工完了と同時に保護効果を発揮できる特徴がある。

植生マット工


種子や肥料を装着したマットやシートで法面を被覆する工法で、芝が育成するまでの間も法面の安定を確保できる。

筋芝工


盛土法面の土羽打ち時に野芝を水平に筋状に挿入する工法である。

構造物による保護工


構造物による保護工は、より確実な保護効果が求められる場合に採用される。

モルタル・コンクリート吹付工


亀裂の多い岩の法面の風化防止や崩壊防止に効果を発揮する。

一般的な施工厚さは、モルタル吹付工で8〜10cm、コンクリート吹付工で10〜20cmとなる。

石張工・ブロック張工


1:1.0より緩い法面に用いられ、一般に直高は5m以内、法長は7m以内とされる。

コンクリート張工


急勾配の法面や湧水のある場所での施工に適している。

法面排水工の重要性


法面の崩壊は多くの場合、地表水や浸透水が原因となる。そのため、法面の安定確保には適切な排水処理が不可欠である。

表面排水工


法肩排水溝、小段排水溝、縦排水溝などが設置される。

地下排水工


法面の安定に悪影響を及ぼす浸透水を排除する施設である。地下排水溝の設置や、ボーリングによる水平排水孔の設置などが行われる。

まとめ


法面保護工は、現場条件や要求される機能に応じて、適切な工法を選定することが重要である。

植生工は環境との調和に優れ、構造物による保護工は高い保護効果を発揮する。また、適切な排水処理は法面の長期的な安定性確保に不可欠である。





参考:1. 日本道路協会:道路土工-切土工・斜面安定工指針(2020)/2. 地盤工学会:地盤工学ハンドブック(2019)/3. 土木学会:土木工事標準示方書(2017)
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デジコン編集部

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