土木工事において、切土・盛土は地形を改変する最も基本的な作業である。
しかし、その施工には様々な技術的な配慮が必要とされる。
本記事では、切土・盛土工事を安全かつ効率的に進めるための重要なポイントについて解説する。
盛土材料の選定は工事の成否を左右する重要な要素である。
良質な盛土材料には、まず施工機械のトラフィカビリティーが確保できることが求められる。
これは、重機が安定して走行できる地盤強度を確保するためである。また、所定の締固めが容易に行える性質も重要である。
締め固められた後の土質特性としては、せん断強さが大きく、圧縮性が小さいことが求められる。
これは、完成後の盛土の安定性を確保するためである。さらに、透水性が小さいことも重要な要素となる。雨水の浸透による強度低下や変形を防ぐためである。
有機物の混入は極力避けなければならない。有機物は時間の経過とともに分解し、盛土内に空隙を形成する可能性があるためである。
また、吸水による膨潤性が低い材料を選定することも重要である。
膨潤性の高い土を使用すると、含水比の変化により体積変化が生じ、構造物に悪影響を及ぼす可能性がある。
含水比が高い材料を使用せざるを得ない場合、いくつかの対策が必要となる。まず、湿地ブルドーザの使用を検討する。これは、軟弱地盤でも走行可能な特殊な建設機械である。
自然含水比を低下させる方法として、天日乾燥や曝気乾燥が有効である。十分な乾燥期間を設けることで、施工に適した含水比まで低下させることができる。
また、地山でのトレンチ掘削による排水も効果的な方法である。
土質改良の手段として、石灰やセメントによる安定処理も選択肢となる。
これにより、土の強度増加と含水比低下を同時に達成することができる。
敷均しの厚さは、使用する締固め機械の能力に応じて適切に設定する必要がある。
一般的に、30cm程度を上限とすることが多い。これは、深部まで十分な締固めエネルギーが伝わるようにするためである。
盛土材料の含水比は、できるだけ最適含水比に近づけることが重要である。
最適含水比とは、同じ締固めエネルギーで最も高い密度が得られる含水比のことである。
施工中の排水処理も重要な要素である。
適切な排水勾配を設け、雨水が盛土内に滞留しないように配慮する必要がある。これにより、含水比の上昇による強度低下を防ぐことができる。
切土法面では、侵食や崩壊、落石の防止が重要な課題となる。
このため、法面排水や法面保護、落石防止工を適切に実施する必要がある。
特に重要なのは、掘削完了を待たずに、施工段階に応じて上方から順次保護工を施工することである。
一時的な切土法面の排水については、法肩の上や小段に仮排水路を設置する。これにより、雨水を集めて縦排水路で法尻に誘導し、切土部への水の浸入を防止する。
法面保護は、法面全体をビニールシートで覆ったり、モルタル吹付けにより法面保護をすることもある。
落石防止については、落石防護柵や落石防護網の設置が効果的である。これらは、万が一の落石が発生した場合でも、下方への被害を防止する役割を果たす。
盛土の締固めは、主に以下の目的で実施される。
すなわち、盛土の支持力を増加させ、沈下を抑制し、雨水の浸透を防止することである。また、地震時の液状化防止にも効果がある。
締固め度の管理は、現場密度試験により行う。一般的に、締固め度90%以上を確保することが求められる。また、施工含水比の管理も重要で、最適含水比の±2%程度に収めることが望ましい。
切土・盛土工事の成功には、適切な材料選定、施工方法の選択、そして確実な品質管理が不可欠である。
特に、盛土材料の性質と含水比の管理、適切な締固めの実施、そして排水処理には細心の注意を払う必要がある。
また、切土法面の保護についても、施工段階に応じた適切な対応が求められる。
これらの要素を適切に管理することで、安全で品質の高い土工事を実現することができる。
しかし、その施工には様々な技術的な配慮が必要とされる。
本記事では、切土・盛土工事を安全かつ効率的に進めるための重要なポイントについて解説する。
盛土材料の選定と性質
盛土材料の選定は工事の成否を左右する重要な要素である。
良質な盛土材料には、まず施工機械のトラフィカビリティーが確保できることが求められる。
これは、重機が安定して走行できる地盤強度を確保するためである。また、所定の締固めが容易に行える性質も重要である。
締め固められた後の土質特性としては、せん断強さが大きく、圧縮性が小さいことが求められる。
これは、完成後の盛土の安定性を確保するためである。さらに、透水性が小さいことも重要な要素となる。雨水の浸透による強度低下や変形を防ぐためである。
有機物の混入は極力避けなければならない。有機物は時間の経過とともに分解し、盛土内に空隙を形成する可能性があるためである。
また、吸水による膨潤性が低い材料を選定することも重要である。
膨潤性の高い土を使用すると、含水比の変化により体積変化が生じ、構造物に悪影響を及ぼす可能性がある。
高含水比盛土材料への対応
含水比が高い材料を使用せざるを得ない場合、いくつかの対策が必要となる。まず、湿地ブルドーザの使用を検討する。これは、軟弱地盤でも走行可能な特殊な建設機械である。
湿地ブルドーザとは?
粘性土やロームなどの軟弱な地盤で走行できるブルドーザ
粘性土やロームなどの軟弱な地盤で走行できるブルドーザ
自然含水比を低下させる方法として、天日乾燥や曝気乾燥が有効である。十分な乾燥期間を設けることで、施工に適した含水比まで低下させることができる。
曝気乾燥(ばっきかんそう)とは?
土を丘などに掘り上げて自然に土の含水比を低下させる土木用語
土を丘などに掘り上げて自然に土の含水比を低下させる土木用語
また、地山でのトレンチ掘削による排水も効果的な方法である。
土質改良の手段として、石灰やセメントによる安定処理も選択肢となる。
これにより、土の強度増加と含水比低下を同時に達成することができる。
トレンチ掘削とは?
掘削工事をおこなう場所の外周部分を、溝状になるように掘削しておき、そこに、地下構造物などから順に構築していく施工方法
掘削工事をおこなう場所の外周部分を、溝状になるように掘削しておき、そこに、地下構造物などから順に構築していく施工方法
敷均しと締固めの重要性
敷均しの厚さは、使用する締固め機械の能力に応じて適切に設定する必要がある。
一般的に、30cm程度を上限とすることが多い。これは、深部まで十分な締固めエネルギーが伝わるようにするためである。
敷均しとは?
ダンプトラックなどで運搬された盛土材料を締固めるために所定の厚さに敷均す作業
ダンプトラックなどで運搬された盛土材料を締固めるために所定の厚さに敷均す作業
盛土材料の含水比は、できるだけ最適含水比に近づけることが重要である。
最適含水比とは、同じ締固めエネルギーで最も高い密度が得られる含水比のことである。
施工中の排水処理も重要な要素である。
適切な排水勾配を設け、雨水が盛土内に滞留しないように配慮する必要がある。これにより、含水比の上昇による強度低下を防ぐことができる。
切土法面の施工管理について
切土法面では、侵食や崩壊、落石の防止が重要な課題となる。
このため、法面排水や法面保護、落石防止工を適切に実施する必要がある。
特に重要なのは、掘削完了を待たずに、施工段階に応じて上方から順次保護工を施工することである。
一時的な切土法面の排水については、法肩の上や小段に仮排水路を設置する。これにより、雨水を集めて縦排水路で法尻に誘導し、切土部への水の浸入を防止する。
法面保護は、法面全体をビニールシートで覆ったり、モルタル吹付けにより法面保護をすることもある。
落石防止については、落石防護柵や落石防護網の設置が効果的である。これらは、万が一の落石が発生した場合でも、下方への被害を防止する役割を果たす。
盛土の施工管理における留意点
盛土の締固めは、主に以下の目的で実施される。
すなわち、盛土の支持力を増加させ、沈下を抑制し、雨水の浸透を防止することである。また、地震時の液状化防止にも効果がある。
締固め度の管理は、現場密度試験により行う。一般的に、締固め度90%以上を確保することが求められる。また、施工含水比の管理も重要で、最適含水比の±2%程度に収めることが望ましい。
まとめ
切土・盛土工事の成功には、適切な材料選定、施工方法の選択、そして確実な品質管理が不可欠である。
特に、盛土材料の性質と含水比の管理、適切な締固めの実施、そして排水処理には細心の注意を払う必要がある。
また、切土法面の保護についても、施工段階に応じた適切な対応が求められる。
これらの要素を適切に管理することで、安全で品質の高い土工事を実現することができる。
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