行政・政策
デジコン編集部 2025.3.28

国交省が「上下水道DX技術カタログ」を公開。119の技術を掲載し3年以内の標準実装を目指す

国土交通省は、上下水道施設のメンテナンスの高度化・効率化に資するデジタル技術をまとめた「上下水道DX技術カタログ」を同省ウェブサイトで公開した。

ドローン調査や打音診断など先端技術を集約、老朽インフラ対策と熟練職員減少に対応


このカタログには、「点検調査」「劣化予測」「施設情報の管理・活用」などに活用できるDX技術が計119技術掲載されている。

内訳は水道関連が73技術、下水道関連が91技術となっており、水道・下水道どちらにも活用できる技術があるため合計は一致していない。

国土交通省は今後も定期的にカタログに掲載する技術を追加し、内容を充実させていく方針だ。

さらに、カタログを活用し、全国の上下水道において今後3年程度でDX技術を標準実装できるよう取組を実施する計画となっている。

カタログは使いやすさにも配慮されており、目的・要素技術等の条件から効率的に必要な技術を検索できる仕組みが取り入れられている。

検索条件としては、対象施設(水道/下水道)、具体的な施設種別(取水施設/導水施設/浄水施設/汚水処理施設など)、目的(点検調査/劣化予測/施設情報の管理・活用)、要素技術(人工衛星/AI/ビッグデータ分析/ドローン/TVカメラなど)から絞り込み検索が可能だ。

掲載されている技術の例としては、「ドローンによる管路内の調査技術」がある。

これは人では進入困難な狭小空間でも安定飛行が可能で、硫化水素が滞留するような現場でも安全な場所から点検調査ができるという特徴を持つ。

また、「打音調査(衝撃弾性波法)による管路の健全度評価技術」も掲載されており、管に軽い衝撃を与えることにより発生する振動を加速度センサ等により計測し、管路の健全度や安全度を定量的に評価することができる。

さらに「地中レーダによる空洞調査技術」は、地中レーダを用いて覆工厚さや背面空洞を連続的に調査可能な技術として紹介されている。

カタログでは各技術について、導入自治体からのコメントやコスト情報、導入実績も記載されており、実用性の評価に役立つ情報も提供されている。

例えば、ある技術のコストとして「約2,800円/m(TVカメラ調査、衝撃弾性波検査等)」といった具体的な情報や、「令和5年末時点で東京都水道局の水路トンネルなど900件以上の実績」といった実績情報が掲載されている。

上下水道施設の老朽化や管理に精通した熟練職員の減少が急速に進む中、将来にわたり上下水道サービスを提供し続けるためには、デジタル技術を活用したメンテナンスの高度化・効率化が不可欠となっている。








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