行政・政策
デジコン編集部 2025.3.22

令和6年度【インフラDX大賞】受賞者決定!26団体を発表!〜 各受賞者の取組み内容も紹介!〜【3/22更新】

CONTENTS
  1. インフラDX大賞受賞取組概要(工事・業務部門(直轄・地方公共団体等))
    1. 国土交通大臣賞  / 福留開発株式会社  / 令和4-5年度 仁淀川中島地区下流護岸外(その1)工事
    2. 優秀賞 / 村上土建開発工業(株)/ 十勝川改修工事の内 西士狩築堤河岸保護外工事
    3. 優秀賞 / 鹿島・前田・竹中土木特定建設工事共同企業体/ 成瀬ダム堤体打設工事(第1期)
    4. 優秀賞 / 高田機工(株)仙台営業所/ 国道4号箱堤高架橋上部工工事
    5. 優秀賞 / アジア航測株式会社 / R4利根砂防管内自律飛行型UAVによる点検計画検討業務
    6. 優秀賞 /株式会社浜屋組 / R4矢板出張所管内路面補修工事
    7. 優秀賞 / 敦賀旭土建株式会社/ 敦賀港(鞠山北地区)防波堤(改良)基礎工事(その2)
    8. 優秀賞 / 株式会社 市川工務店 /  令和4年度一般県道松原芋島線川島大橋下部工事
    9. 優秀賞 / 株式会社 小森組 / すさみ串本道路田並地区他整備工事
    10. 優秀賞 / 若築・あおみ・吉田特定建設工事共同企業体 / 堺泉北港汐見沖地区岸壁(-12m)築造工事(第2工区)
    11. 優秀賞 / カナツ技建工業 株式会社 / 佐陀川防安交付金(広域河川)(仮称)新武代橋A2橋台工事第6期
    12. 優秀賞 /株式会社 白海/ 令和5年度関門航路(大瀬戸~早鞆瀬戸地区)航路(-14m)浚渫工事
    13. 優秀賞 /あおみ建設・丸尾建設JV / 令和5年度石垣港(新港地区)防波堤(外)築造工事
    14. 優秀賞/日本工営株式会社 / 令和4年度国営沖縄記念公園DX推進業務
  2. 地方公共団体等の取組部門
    1. 国土交通大臣賞 / 栃木県 /  ICT・AI技術を活用した道路交通の円滑化
    2. 優秀賞 / 長崎県 /  情報共有システム及びWeb会議併用による災害査定の効率化
  3. i-Construction・インフラDX推進コンソーシアム会員の取組部門
    1. 国土交通大臣賞/小澤建設株式会社/
    2. 令和4年度美和ダム上流土砂掘削工事におけるデータマネジメントの活用
    3. 優秀賞/株式会社砂子組/
    4. 現場コンシェルジュによるプロセス革命
    5. 優秀賞/一社)日本橋梁建設協会、一社)建設コンサルタンツ協会/
    6. 鋼橋のデータ連携実装に向けた共同開発
    7. 優秀賞 / 応用地質株式会社/
    8. 地盤の3次元可視化から4次元地中モニタリングへ
国土交通省は、令和6年度「インフラDX大賞」の受賞者を発表した。今回、計 26団体(国土交通大臣賞 3団体、優秀賞22団体、スタートアップ奨励賞1団体)が選ばれた。

建設現場の生産性向上に関するベストプラクティスの横展開に向けて、平成 29 年度より「i-Construction 大賞」を実施してきたが、この取組みをさらに拡大するため「インフラ DX 大賞」と改称されている。

表彰対象は令和5年度に完了した国や地方公共団体等が発注した工事・業務に関する企業
の取組や地方公共団体等の取組、i-Construction 推進コンソーシアム会員の取組を対象としている。

インフラDX大賞受賞取組概要(工事・業務部門(直轄・地方公共団体等))


国土交通大臣賞  / 福留開発株式会社  /
令和4-5年度 仁淀川中島地区下流護岸外(その1)工事


  • 推 薦 者:四国地方整備局四国地方整備局
  • 発 注 者:高知河川国道事務所
  • 業 者 名:福留開発株式会社
  • 工 期:2023年5月1日~2024年3月29日
  • 施工場所:高知県土佐市
  • 請負金額:327,272,000円


【概要】
本工事は、仁淀川の侵食対策を目的とした高水敷及び低水護岸の整備において、完全内製化による全面的ICT活用を実施することで、測量や出来形計測、写真撮影・品質管理の作業が効率化。

また、複雑な曲線や表面形状となる既設護岸と新設護岸の取り合わせ箇所において、3Dプリンターを活用した擬石型曲線護岸パネルを導入することで、施工に要する手間と時間を減らして、現地の複雑な地形に合わせた施工を実現。

【ポイント】
  • 完全内製化のよる全面的ICT活用を実施しており、従来工法に比べて、大幅な工期短縮、現場作業の効率化、若手技術者の早期育成・即戦力化など、多岐に渡った活用効果。
  • 3次元設計データを作成しICT建機による無丁張化により、測量作業を大幅削減(作業日数40%、労務人数54%削減)するとともに、3Dプリンターの活用により、従来工法に比べ43%の工期短縮、現場作業の省力化に寄与。
  • 3Dプリンターを活用した擬石型曲線護岸パネルの施工は本工事が日本初。
  • 河川構造物では現地形に合わせた施工が求められる箇所が多く、3Dプリンターを活用することで専門性・熟練性が求められる現地作業の省力化・簡略化が期待でき、パネル表面に凹凸や円筒を設けることで河川生物にも配慮。


優秀賞 / 村上土建開発工業(株)/
十勝川改修工事の内 西士狩築堤河岸保護外工事


  • 推 薦 者:北海道開発局
  • 発 注 者:北海道開発局帯広開発建設部帯広河川事務所
  • 業 者 名:村上土建開発工業(株)
  • 工 期:2023年8月23日~2024年3月19日
  • 施工場所:帯広市、音更町
  • 請負金額:385,330,000円


【概要】
工事箇所が点在かつ施工時期が冬期(非出水期)に限定される工事であったが、全面的なICT施工施工管理ソフトの活用、LiDARセンサーによる効率的な出来形管理、さらに遠隔臨場に取り組むことで生産性向上を図った。

また、送電線下のクレーン作業時には、GNSSアンテナにより安全性を確保するシステムを構築、安全かつ効率的に作業を実施し工期内に完了させた。

【ポイント】
  • 全面的なICT施工や施工監理ソフトの活用、LiDARセンサーによる効率的な出来形管理、樋門構造物のCIM活用による打設回数の計画、遠隔臨場に取り組むことで生産性を向上。
  • LiDARセンサーによる配筋管理は、汎用端末で実施可能で経験の浅い技術者でも正確な計測が可能な事から、高い効率性・生産性の向上が期待でき、今後波及が期待される。
  • GNSSをクレーンに設置し、送電線の離隔安全距離を設定した位置関係を3次元で表示するシステムを構築。吊荷監視カメラと併用することで安全かつ効率的に作業を実施。

優秀賞 / 鹿島・前田・竹中土木特定建設工事共同企業体/
成瀬ダム堤体打設工事(第1期)


  • 推 薦 者:東北地方整備局
  • 発 注 者:東北地方整備局 成瀬ダム工事事務所
  • 業 者 名:鹿島・前田・竹中土木特定建設工事共同企業体
  • 工 期:2018年5月9日~2023年5月31日
  • 施工場所:秋田県雄勝郡東成瀬村
  • 請負金額:62,723,640,800円



【概要】
成瀬ダム建設現場は、東北内でも有数の豪雪地帯であり、施工期間が4月中旬から11月中旬の7ヶ月に限られ、熟練工の継続した確保が困難な施工条件下にある。

この対策として、以下のDX技術について取り組みを行い、未習熟者による施工可能かつ生産性の維持が可能な施工を実現。

  1. 自動化施工システム「A4CSEL®」(クワッドアクセル
  2. ダム本体上下流面の置き型枠自動スライドリフタ
  3. 洪水吐部の全自動スライド型枠

【ポイント】
  • 自動化施工は、最適化された施工計画及び作業方法をデータ化し、それら作業データを基にした複数の自動化機械の自動管制によって、施工の安全性及び生産性の飛躍的な向上。
  • 自動ブルドーザは、有人運転より少ない動作で作業が可能であり、単位時間当りのCSG敷均し量(施工速度)は、254.4m3/hと有人運転128.6m3/hの2倍に達し、コンクリート月間打設量の国内最高記録を更新(1.9倍)するなど生産性を大きく向上。
  • 置き型枠自動スライドドリフタ、全自動スライド型枠は、型枠工未習熟者でも操作が容易で熟練工不足への対応が可能。


優秀賞 / 高田機工(株)仙台営業所/ 国道4号箱堤高架橋上部工工事


  • 推 薦 者:東北地方整備局
  • 発 注 者:東北地方整備局 仙台河川国道事務所
  • 業 者 名:高田機工(株)仙台営業所
  • 工 期:2022年1月25日~2023年10月20日
  • 施工場所:宮城県仙台市
  • 請負金額:2,610,553,000円



【概要】
交差点立体化事業として、箱堤高架橋の上部工工事を施工。

交差点内の架設に際し、交通への影響を最小限に抑えるため、1夜間で約100mを送出す「急速送出し工法」を採用。

本工法を確実に施工するためにレーザースキャナ測量や4D架設シミュレーションを活用し、高度な施工計画を実施するとともに、送出し架設時にはデジタルツインシステムを構築。

現地施工状況を管理情報とともにクラウドで一元管理することで、施工管理の省人化と夜間施工時間(交通規制時間)の短縮を実現。

【ポイント】
  • 送出し架設では、ICTによる測量結果を基に、施工状況をリアルタイムで3Dモデルにデジタルツインとして表示し、4D架設シミュレーションと比較しながら管理を行うことにより、タイムキーパーや計測要員が削減され、夜間における送出し作業時間が全体で約15%短縮(7.0時間→6.0時間)。
  • 目標とする理想の施工モデルと現地点群データを統合し、各ステップにおける近接道路への影響調査(支障物や俯角等)を実施することで、従来の現地調査を約80%短縮(10日→2日)。
  • 直轄工事では全国初となる4D架設シミュレーションと、デジタルツインシステムを組み合わせた施工計画及び施工管理手法は、狭隘な作業スペースでの施工や、時間制限を有する架設条件の際に、特に効果を発揮。

優秀賞 / アジア航測株式会社 /
R4利根砂防管内自律飛行型UAVによる点検計画検討業務


  • 推 薦 者:関東地方整備局
  • 発 注 者:関東地方整備局 利根川水系砂防事務所
  • 業 者 名:アジア航測株式会社
  • 工 期:2023年7月21日~2024年3月25日
  • 施工場所:群馬県利根郡片品村~長野県小諸市
  • 請負金額:60,005,000円



【概要】
UAV自律飛行による渓流点検(緊急点検・施設点検)の実施手法の確立に向け、UAV目視内自律飛行における試行点検を実施したうえで、UAV目視外自律飛行技術を活用した点検計画を立案。

機体や撮影時期に依存しない汎用的な自律飛行プランの作成や、AI画像解析技術を活用した変状抽出AIの構築をすることで、施設点検から変状抽出までの一連の点検に関わる作業の自動化を実現。また、緊急時に実施する臨時点検の高度化・効率化を実現。

【ポイント】
  • UAVを用いた複数施設の点検一括化により効率化し、点検調査票自動作成ツールにより、とりまとめの作業時間短縮を実現。
  • 自律飛行による自動点検から、撮影写真からの変状箇所の自動抽出までの点検作業全体を自動化させることにより、安全性・迅速性・確実性の高い点検を実現。
  • 特定専門業者ではなく一般的な人員での対応が可能であるとともに、汎用機体を用いた自律飛行計画であり、同様の砂防地域でも適用可能。また、通信障害が生じる恐れのある緊急時でも対応可能。

優秀賞 /株式会社浜屋組 /
R4矢板出張所管内路面補修工事


  • 推 薦 者:関東地方整備局
  • 発 注 者:関東地方整備局 宇都宮国道事務所
  • 業 者 名:株式会社浜屋組
  • 工 期:2023年4月3日~2023年11月30日
  • 施工場所:栃木県大田原市薄葉
  • 請負金額:224,070,000円


【概要】
本工事は、一般国道4号において、経年劣化に伴う舗装の補修工事を実施したものであり、交通量の多い現道上の路面補修工事は、通常、交通管理者等の事前協議により夜間施
工となることが多い。

本工事では、AIカメラ・AI信号を用いた交通制御や、インターネット・SNSを活用した迂回路の情報提供等を実施することで、通過交通をコントロールするとともに、施工においてもICT舗装工の適用とともに、起工測量や施工管理に四足歩行ロボットを活用することにより、現場の生産性向上と働き方改革を実現。

【ポイント】
  • 一般的に「舗装修繕工事」≒「夜間工事」であり、担い手確保の観点からも夜間工事の削減など労働環境の改善が必要となっているが、本工事では、ICT施工を適用するとともに、AIやIoT技術を複数組み合わせて活用することにより、顕著な渋滞等発生させることなく、夜間工事を昼間工事に変更するとともに生産性の向上を実現。
  • ICT施工だけでなく、夜間施工を昼間施工に変えるべく、AIカメラやAI信号を用いた信号待ちの最適化、インターネットやSNSを活用した迂回路や渋滞状況の情報提供、4足歩行ロボット(Spot)を活用した起工測量や出来形管理を組み合わせて適用することは、他工事現場で実施された事例はなく、先進性のある事例。


優秀賞 / 敦賀旭土建株式会社/
敦賀港(鞠山北地区)防波堤(改良)基礎工事(その2)


  • 推 薦 者:北陸地方整備局
  • 発 注 者:北陸地方整備局 敦賀港湾事務所
  • 業 者 名:敦賀旭土建株式会社
  • 工 期:2023年3月17日~2023年8月31日
  • 施工場所:福井県敦賀市鞠山地先
  • 請負金額:187,550,000円


【概要】

敦賀港における防波堤の基礎工及び付工の施工で、防波堤の港内側に作業船により捨石を行い、潜水士船と潜水士により基礎マウンドを構築する工事であるが、現場条件は隣接す
る別件工事と既設構造部に挟まれ狭隘であり、且つ、潮流により別件工事で発生した濁りの影響を受けやすいものであった。

潜水士による潜水作業を伴う基礎捨石均し工において、ICT を活用し、海中での作業を可視化することにより、潜水作業中の潜水士の作業安全性を向上するとともに、出来形確認
において、水中カメラの映像をリアルタイムに施工従事者が確認し、潜水士に適格な作業指示を行い、潜水士の負荷低減を実現。

【ポイント】
  • 潜水作業は潜水士船に乗船する施工従事者から不可視部分となるが、潜水士に「水中カメラ」を取り付け可視化することで、施工従事者全体で情報共有ができ、迅速で的確な施工指示と共に潜水士の安全確保に有効。
  • 水中カメラの映像をスマートフォン、タブレット等で遠隔臨場にて、施工状況、出来形をリアルタイムで施工従事者が確認できるため、潜水士に迅速且つ的確に作業指示が可能であり、再度潜水による潜水士の負荷を軽減。

優秀賞 / 株式会社 市川工務店 / 
令和4年度一般県道松原芋島線川島大橋下部工事


  • 推 薦 者:中部地方整備局
  • 発 注 者:中部地方整備局 岐阜国道事務所
  • 業 者 名:株式会社 市川工務店
  • 工 期:2022年8月18日~2023年7月31日
  • 施工場所:岐阜県各務原市川島
  • 請負金額:1,137,136,000円


【概要】
本工事は、一般県道松原芋島線の川島大橋架替えに伴う、ニューマチックケーソン工法でのP1橋脚施工において、下記の取り組みを実施。

リアルタイムな施工管理と日々管理業務の省人化を実現。

  1. 独自の測量システムを開発し、タブレット端末上で3D設計モデルから、各測点の躯体の設計値とのズレをリアルタイムに把握。
  2. 測量機は自動追尾型を使用することで、基準点がない場所からの測量と、1人での測量を可能とし、測量作業を省人化。
  3. 独自の変位計測システムを開発し、CADを使用せずに短時間で測量後のデータ処理を行い、リアルタイムでの日々の打合せを可能としたことで、データ処理を省人化。

【ポイント】
  • 測量機は自動追尾型を使用することで、基準点の再設置がなくなり1人での測量が可能となると共に、タブレット端末上で3D設計モデルから、各測点の躯体の変位をリアルタイムに把握することを可能とした。
  • 独自の変位計測システムを開発し、CADを使用せずに短時間で測量後のデータ処理を行うことで、リアルタイムでの日々の打ち合わせを可能とした。


優秀賞 / 株式会社 小森組 /
すさみ串本道路田並地区他整備工事


  • 推 薦 者:近畿地方整備局
  • 発 注 者:近畿地方整備局 紀南河川国道事務所
  • 業 者 名:株式会社 小森組
  • 工 期:2023年4月3日~2024年3月29日
  • 施工場所:和歌山県東牟婁郡串本町
  • 請負金額:280,390,000円


【概要】
工事個所が複数に点在する中、供用開始を急ぐ路線であるため、技術者の負担軽減と工程短縮が課題で、最もウェイトが大きい主要現場は縦断勾配が厳しく、狭所でS字線形のため、補強土壁の床付け面が急傾斜な螺旋階段のように仕上げる必要があった。

測量や丁張の設置回数が非常に多く、大型機械も投入できないため、0.1m3級のバックホウ(以下BH)から徐々に幅員を広げ、大型化することにより、本現場の工程短縮を実現。

【ポイント】
  • 3次元設計データを元に、施工方法のバーチャルシミュレーションを行い、0.1m3級BH(自動追尾式MG)を用いたパイロット道路の開削、その後0.25m3級BH(自動追尾式MG)で床掘を行うなど大小の自社ICT建機を使い分けし、主要作業はICT建機のみで施工するとともに、3Dデータから防護柵基礎工における基礎・敷板を割付し、現場打ちをプレキャスト化することで、約43日の工程短縮(ICT施工▲約23日・プレキャスト化▲約20日)を実現。

優秀賞 / 若築・あおみ・吉田特定建設工事共同企業体 /
堺泉北港汐見沖地区岸壁(-12m)築造工事(第2工区)


  • 推 薦 者:近畿地方整備局
  • 発 注 者:近畿地方整備局 大阪港湾・空港整備事務所
  • 業 者 名:若築・あおみ・吉田特定建設工事共同企業体
  • 工 期:2023年3月29日~2024年3月11日
  • 施工場所:大阪府泉大津市
  • 請負金額:1,051,545,880円


【概要】
堺泉北港の岸壁(-12m)整備として、既設護岸 の前面に直杭式桟橋新設に伴う大口径鋼管杭を打設するもの。

施工においては大型フェリーや自動車輸送船が頻繁 に行き交う主要航路に近接するため、大型船の入出航時には 作業船の退避を行わざるを得ず施工性が低下。

また、現地地 盤は軟弱層と硬い砂礫層が何層にも重なった互層地盤であり、 大口径鋼管杭の打込み精度の確保などの課題に対し、ICT 機器等や3Dモデルの効果的な活用を図り、一般航行船舶を 含む海上工事での安全対策の向上を図ると共に、生産性向 上や労働環境改善などの複合的な課題対応を高いレベルで 遂行。

【ポイント】
  • 「ARナビゲーションシステム」を導入。クレーン付台船のスパッド操作者が、カメラ映像上でAIS情報とレーダ情報を一元的に把握することで、一般船舶の動静と岸壁との離隔距離を同時に把握できるように。さらに、一般航行船舶への安全性向上を図ると共に、作業船離接岸時に必要であった誘導業務の省人化(約19%削減)が図られた。


優秀賞 / カナツ技建工業 株式会社 / 佐陀川防安交付金(広域河川)(仮称)新武代橋A2橋台工事第6期


  • 推 薦 者:中国地方整備局
  • 発 注 者:島根県 松江県土整備事務所
  • 業 者 名:カナツ技建工業 株式会社
  • 工 期:2022年3月31日~2023年6月30日
  • 施工場所:島根県松江市鹿島町佐陀本郷地内
  • 請負金額:137,696,900円



【概要】
佐陀川の樋門等の施工を行うものであり、遠隔臨場において、現地映像の確認だけで無く、計測点を3次元モデルにリアルタイム表示。

高さや偏心等の規格値も併せて表現することで、一目で出来形確認を行うことが可能となり、検査・立会作業の効率化を図った。また、小規模地盤改良のICT施工にあたり、地下埋設物を3次元モデル化し安全かつ確実な施工を実施。

【ポイント】
  • 仮設駐車場整備の小型重機による地盤改良において、仮移設された地下埋設管を単点座標取得により3次元モデル化して3次元設計データに追加合成することにより、小規模土工においても安全かつ確実で有益なICT施工を実現するとともに、事後において、地下埋設管の維持管理データとしても機能。

優秀賞 /株式会社 白海/
令和5年度関門航路(大瀬戸~早鞆瀬戸地区)航路(-14m)浚渫工事


  • 推 薦 者:九州地方整備局
  • 発 注 者:九州地方整備局 関門航路事務所
  • 業 者 名:株式会社 白海
  • 工 期:2023年4月12日~2023年10月31日
  • 施工場所:福岡県北九州市門司区、山口県下関市
  • 請負金額:310,968,816円


【概要】
急潮流の厳しい施工海域で多くの手直し作業が発生する環境での工事であるとともに、浚渫工事の出来形測量では測量実施ごとに浚渫作業を一時中断し、浚渫船の退避など長時間を要するため、測量時間を短縮することが課題。

本工事では、浚渫船の船底中央部に回転式マルチビームソナーを搭載することにより、浚渫作業中は常時、自動出来形測量を行い、リアルタイムに関係者へ情報共有。

浚渫船の作業効率を高める操船機能や作業員を育成する自動操縦機能、作業船の衝突事故を予防する安全機能、海洋環境にも配慮した汚濁防止機能などが活用され、作業員の省人化、安全性と環境性が向上するとともに、生産性向上を実現。

【ポイント】
  • マルチビームソナーの浚渫船への装備は業界初。

優秀賞 /あおみ建設・丸尾建設JV /
令和5年度石垣港(新港地区)防波堤(外)築造工事


  • 推 薦 者:沖縄総合事務局
  • 発 注 者:沖縄総合事務局 石垣港湾事務所
  • 業 者 名:あおみ建設・丸尾建設JV
  • 工 期:2023年5月12日~2024年3月15日
  • 施工場所:沖縄県石垣市
  • 請負金額:629,970,000円


【概要】
「石垣港新港地区旅客ターミナル整備事業」では、防波堤の延伸を進めている。消波工において、4t型の消波ブロックと、そのアンコ材として2t型(流用材)の消波ブロックを据え付けるものであるが、質量の異なる消波ブロックを据え付けることから、消波工断面の確保、かみ合わせの確保、作業の効率性、作業の安全性が課題となった。そのため、様々なDX技術を導入することで課題を解決。

【ポイント】
  • マルチビーム測深とUAVにより、消波ブロック据付形状を水中部から気中部にかけて未計測なく連続的に点群データを取得し、出来形管理を効率化。

優秀賞/日本工営株式会社 /
令和4年度国営沖縄記念公園DX推進業務


  • 推 薦 者:沖縄総合事務局
  • 発 注 者:沖縄総合事務局 国営沖縄記念公園事務所
  • 業 者 名:日本工営株式会社
  • 工 期:2022年6月8日~2023年5月31日
  • 施工場所:沖縄県那覇市、本部町
  • 請負金額:66,154,000円


【概要】
国営沖縄記念公園を取り巻くコロナ等の社会情勢の変化や首里城復元で直面する課題の解決、運営維持管理課題やサービスニーズへの対応を行うために、DXの活用を検討し、実
実験により評価、実装を目指したものである。

  1. 園内の人流解析を可能とするエッジAI技術
  2. 周遊を支える体感型自動運転
  3. 展示解説の高度化(VR・AR・MR技術の活用)」

上記、課題解決のための技術として選定、実証実験の実施・評価を行い、実装化検討を行った。

【ポイント】
  • MR(ミックスドリアリティ)のコンテンツ提供を行いながら自動運転で目的地に運ぶモビリティサービスは、公園内の移動サービスとして非常に先進的。周遊ルートに合わせARコンテンツを楽しむモビリティが利用者に高い評価を得た。
  • 首里城復元のために設計したBIM/CIMデータを高次活用し、VRやXRモデルを構築し、VRゴーグル等の体感デバイスを用いて復興後の正殿を魅せる体験コンテンツの実装に貢献。

地方公共団体等の取組部門


国土交通大臣賞 / 栃木県 /
 ICT・AI技術を活用した道路交通の円滑化


  • 推 薦 整 備 等:関東地方整備局
  • 地方公共団体名:栃木県
  • 取 組 主 体:栃木県


【概要】
宇都宮東部地域では、LRTが令和5年8月に開業することで、既存道路の車線が減少することや、信号現示サイクルが複雑になるなどの交通ルールの変更により、一定程度の混乱が生じることが懸念されていた。

本取組では、周辺道路環境への影響を確認するため、ICTやAI技術を活用して、自動車交通流の変化や、交差点付近での挙動の変化などに着目し、LRT開業したことにより交通状況を分析すると共に、発生している課題の改善を試みた。

【ポイント】
  • ICTやAI技術を活用することで、幅広くデータを収集・蓄積でき、分析までの即時性が向上。リアルタイムにLED標示板により現地での情報提供を行うことで、混雑度の偏りを22%~56%低減。
  • LRTの開業により周辺道路環境が大きく変化したことへの影響を、ICT・AI技術を活用することで即時的に効果的に把握することができ、他の周辺道路環境の変化の影響分析にも適用可能。

優秀賞 / 長崎県 / 
情報共有システム及びWeb会議併用による災害査定の効率化


  • 推 薦 整 備 等:九州地方整備局
  • 地方公共団体名:長崎県
  • 取 組 主 体:長崎県


【概要】
長崎県は、離島・半島を多く有することから、災害査定時の移動に多大な時間を要することや荒天の場合に離島への移動手段が遮断される可能性があるなど、災害査定の確実な実施が難しい状況もあり、災害査定を確実に実施できる体制づくりが必要であった。

そこで、長崎県では、情報共有システムにより、県・市町にて作成された災害査定で用いるデータをクラウド上で保管・共有し、Web会議システムを活用することで、リモートでの災害査定を実現した。

【ポイント】
  • 離島・半島という地理的条件下で、デジタル技術(情報共有システム及びWeb会議)を活用したリモートによる災害査定を実施しており、移動に要する時間や労力を省略化。

i-Construction・インフラDX推進コンソーシアム会員の取組部門


国土交通大臣賞/小澤建設株式会社/

令和4年度美和ダム上流土砂掘削工事におけるデータマネジメントの活用


  • 業者名:小澤建設株式会社
  • 本社所在地:長野県
【概要】
本工事は、現場間が約20km離れている状況下で、施工情報のデジタル化により複数現場の施工管理を実現し、生産性向上を図った。

掘削現場では、重量計測機能による積載量管理と位置情報のリアルタイム把握による運行管理効率化を実施。

造成現場では、スマートフォンによる土量把握、MC機能による作業効率化、遠隔での進捗管理や品質管理、空中写真測量を活用し、移動・待機時間の削減を達成した。

【推薦理由】
データ活用による効率的な現場マネジメントを実現し、1人の監理技術者で離れた2現場の管理を行うとともに、3ヶ月の工期短縮を達成している。具体的な取り組みとして、ダンプ位置情報の管理による待機時間削減、遠隔からの進捗把握と指示出し、ARによる現場の見える化が挙げられる。


優秀賞/株式会社砂子組/

現場コンシェルジュによるプロセス革命


  • 業者名:株式会社砂子組
  • 本社所在地:北海道



【概要】
スマート農業と基盤整備が進む農業生産拠点地域において、利害関係者をデジタルデータでつなぎ、データの社会循環を実現する統合情報プラットフォーム「現場コンシェルジュ」を自社開発した。

これにより、複数工事の施工品質の統一や農業生産の促進を図り、新工法・新技術の普及、段取りの最適化、コミュニケーション促進を通じて施工プロセスの変革と全体最適化を実現した。

【推薦理由】
  • 「現場コンシェルジュ」は、異なる工区や施工業者間での情報共有とコミュニケーション促進により、地区全体の工程最適化を実現し、施工パフォーマンスを20%向上させた。各利害関係者の参画を可能にし、社会全体の生産性向上に寄与している。
  • 3DデジタルツインやBIM/CIMシミュレーションなど、異なる種類の情報を統合し、関係者全員で共有・活用する仕組みが構築されている。農業生産から維持管理、施設更新までのデータ循環サイクルを確立し、農業生産の長期的な発展に貢献している。

優秀賞/一社)日本橋梁建設協会、一社)建設コンサルタンツ協会/

鋼橋のデータ連携実装に向けた共同開発


  • 業者名:一社)日本橋梁建設協会、一社)建設コンサルタンツ協会
  • 本社所在地:東京都

【概要】
一部の構造形式の鋼橋では、自動設計システムが利用されており、線形計算から解析、設計、図面、材料の数量計算まで一貫して実施できる。

このシステムは、詳細設計を担当するコンサルタントでは一般的に使用されるものである。一方、工場製作においては、自動原寸システムを活用しており、設計図面から必要な情報を手入力して、作成した3次元データから切断、溶接などの製作に必要な数値情報を出力する。

これら2つのシステムをつなぐものとして、自動設計システムからのデータ連携を開発した。

【推薦理由】
  • 自動設計システムのXMLデータを自動原寸システムに連携することで、省人化による生産性向上を実現している。入力ミスの削減による設計品質の向上にも寄与している。
  • 建設コンサルタンツ協会と日本橋梁建設協会の共同開発により、業界横断的な共通フォーマットの確立に成功している。このフォーマットは精緻な3次元モデルの自動生成も可能とするものであり、国際的にも独自性を発揮している。


優秀賞 / 応用地質株式会社/

地盤の3次元可視化から4次元地中モニタリングへ

 
  • 業者名:応用地質株式会社
  • 本社所在地:東京都


【概要】
3次元常時微動トモグラフィの連続測定により、地盤の硬さ変化をリアルタイムで監視することができる「4次元地中モニタリング技術」を開発した。

本技術は、点で地盤状況を把握していた従来技術に対して、面での3次元的かつリアルタイムの地盤状況把握を実現し、安全でスムーズなプロジェクト遂行を支援する。大断面シールド工事などにおける地盤の異常を早期に検知し、施工者が迅速な対策を講じることを可能にする。

【推薦理由】
  • リアルタイムで施工進捗に伴う地盤状況を捉えることで、大断面シールド工事に伴う異常を早期に検知し、迅速な対応を可能にしている。これにより、安全でスムーズなプロジェクト遂行を支え、施工管理の信頼性を高めている。

  • 3次元常時微動トモグラフィを用いて地盤の硬さの変化を面的に可視化し、リアルタイムで監視する技術は従来にない先進性を備えている。


 



次回、3/30更新予定...


参考・画像元:国交省プレスリリース
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デジコン編集部

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