行政・政策
デジコン編集部 2025.1.17

令和6年度【インフラDX大賞】受賞者決定!26団体を発表!〜 各受賞者の取組み内容も紹介!〜【1/17更新】

CONTENTS
  1. インフラDX大賞受賞取組概要(工事・業務部門(直轄・地方公共団体等))
    1. 国土交通大臣賞
    2. 福留開発株式会社/
    3. 令和4-5年度 仁淀川中島地区下流護岸外(その1)工事
    4. 優秀賞
    5. 村上土建開発工業(株)/
    6. 十勝川改修工事の内 西士狩築堤河岸保護外工事
    7. 優秀賞
    8. 鹿島・前田・竹中土木特定建設工事共同企業体/
    9. 成瀬ダム堤体打設工事(第1期)
    10. 優秀賞
    11. 高田機工(株)仙台営業所/
    12. 国道4号箱堤高架橋上部工工事
    13. 優秀賞
    14. アジア航測株式会社/
    15. R4利根砂防管内自律飛行型UAVによる点検計画検討業務
    16. 優秀賞
    17. 株式会社浜屋組/
    18. R4矢板出張所管内路面補修工事
    19. 優秀賞
    20. 敦賀旭土建株式会社/
    21. 敦賀港(鞠山北地区)防波堤(改良)基礎工事(その2)
    22. 優秀賞
    23. 株式会社 市川工務店/
    24. 令和4年度一般県道松原芋島線川島大橋下部工事
    25. 優秀賞
    26. 株式会社 小森組/
    27. すさみ串本道路田並地区他整備工事
国土交通省は、令和6年度「インフラDX大賞」の受賞者を発表した。今回、計 26団体(国土交通大臣賞 3団体、優秀賞22団体、スタートアップ奨励賞1団体)が選ばれた。

建設現場の生産性向上に関するベストプラクティスの横展開に向けて、平成 29 年度より「i-Construction 大賞」を実施してきたが、この取組みをさらに拡大するため「インフラ DX 大賞」と改称されている。

表彰対象は令和5年度に完了した国や地方公共団体等が発注した工事・業務に関する企業
の取組や地方公共団体等の取組、i-Construction 推進コンソーシアム会員の取組を対象としている。

インフラDX大賞受賞取組概要(工事・業務部門(直轄・地方公共団体等))


国土交通大臣賞

福留開発株式会社/

令和4-5年度 仁淀川中島地区下流護岸外(その1)工事


  • 推 薦 者:四国地方整備局四国地方整備局
  • 発 注 者:高知河川国道事務所
  • 業 者 名:福留開発株式会社
  • 工 期:2023年5月1日~2024年3月29日
  • 施工場所:高知県土佐市
  • 請負金額:327,272,000円


【概要】
本工事は、仁淀川の侵食対策を目的とした高水敷及び低水護岸の整備において、完全内製化による全面的ICT活用を実施することで、測量や出来形計測、写真撮影・品質管理の作業が効率化。

また、複雑な曲線や表面形状となる既設護岸と新設護岸の取り合わせ箇所において、3Dプリンターを活用した擬石型曲線護岸パネルを導入することで、施工に要する手間と時間を減らして、現地の複雑な地形に合わせた施工を実現。

【ポイント】
  • 完全内製化のよる全面的ICT活用を実施しており、従来工法に比べて、大幅な工期短縮、現場作業の効率化、若手技術者の早期育成・即戦力化など、多岐に渡った活用効果。
  • 3次元設計データを作成しICT建機による無丁張化により、測量作業を大幅削減(作業日数40%、労務人数54%削減)するとともに、3Dプリンターの活用により、従来工法に比べ43%の工期短縮、現場作業の省力化に寄与。
  • 3Dプリンターを活用した擬石型曲線護岸パネルの施工は本工事が日本初。
  • 河川構造物では現地形に合わせた施工が求められる箇所が多く、3Dプリンターを活用することで専門性・熟練性が求められる現地作業の省力化・簡略化が期待でき、パネル表面に凹凸や円筒を設けることで河川生物にも配慮。


優秀賞

村上土建開発工業(株)/

十勝川改修工事の内 西士狩築堤河岸保護外工事


  • 推 薦 者:北海道開発局
  • 発 注 者:北海道開発局帯広開発建設部帯広河川事務所
  • 業 者 名:村上土建開発工業(株)
  • 工 期:2023年8月23日~2024年3月19日
  • 施工場所:帯広市、音更町
  • 請負金額:385,330,000円


【概要】
工事箇所が点在かつ施工時期が冬期(非出水期)に限定される工事であったが、全面的なICT施工施工管理ソフトの活用、LiDARセンサーによる効率的な出来形管理、さらに遠隔臨場に取り組むことで生産性向上を図った。

また、送電線下のクレーン作業時には、GNSSアンテナにより安全性を確保するシステムを構築、安全かつ効率的に作業を実施し工期内に完了させた。

【ポイント】
  • 全面的なICT施工や施工監理ソフトの活用、LiDARセンサーによる効率的な出来形管理、樋門構造物のCIM活用による打設回数の計画、遠隔臨場に取り組むことで生産性を向上。
  • LiDARセンサーによる配筋管理は、汎用端末で実施可能で経験の浅い技術者でも正確な計測が可能な事から、高い効率性・生産性の向上が期待でき、今後波及が期待される。
  • GNSSをクレーンに設置し、送電線の離隔安全距離を設定した位置関係を3次元で表示するシステムを構築。吊荷監視カメラと併用することで安全かつ効率的に作業を実施。

優秀賞

鹿島・前田・竹中土木特定建設工事共同企業体/

成瀬ダム堤体打設工事(第1期)


  • 推 薦 者:東北地方整備局
  • 発 注 者:東北地方整備局 成瀬ダム工事事務所
  • 業 者 名:鹿島・前田・竹中土木特定建設工事共同企業体
  • 工 期:2018年5月9日~2023年5月31日
  • 施工場所:秋田県雄勝郡東成瀬村
  • 請負金額:62,723,640,800円



【概要】
成瀬ダム建設現場は、東北内でも有数の豪雪地帯であり、施工期間が4月中旬から11月中旬の7ヶ月に限られ、熟練工の継続した確保が困難な施工条件下にある。

この対策として、以下のDX技術について取り組みを行い、未習熟者による施工可能かつ生産性の維持が可能な施工を実現。

  1. 自動化施工システム「A4CSEL®」(クワッドアクセル
  2. ダム本体上下流面の置き型枠自動スライドリフタ
  3. 洪水吐部の全自動スライド型枠

【ポイント】
  • 自動化施工は、最適化された施工計画及び作業方法をデータ化し、それら作業データを基にした複数の自動化機械の自動管制によって、施工の安全性及び生産性の飛躍的な向上。
  • 自動ブルドーザは、有人運転より少ない動作で作業が可能であり、単位時間当りのCSG敷均し量(施工速度)は、254.4m3/hと有人運転128.6m3/hの2倍に達し、コンクリート月間打設量の国内最高記録を更新(1.9倍)するなど生産性を大きく向上。
  • 置き型枠自動スライドドリフタ、全自動スライド型枠は、型枠工未習熟者でも操作が容易で熟練工不足への対応が可能。


優秀賞

高田機工(株)仙台営業所/

国道4号箱堤高架橋上部工工事


  • 推 薦 者:東北地方整備局
  • 発 注 者:東北地方整備局 仙台河川国道事務所
  • 業 者 名:高田機工(株)仙台営業所
  • 工 期:2022年1月25日~2023年10月20日
  • 施工場所:宮城県仙台市
  • 請負金額:2,610,553,000円



【概要】
交差点立体化事業として、箱堤高架橋の上部工工事を施工。

交差点内の架設に際し、交通への影響を最小限に抑えるため、1夜間で約100mを送出す「急速送出し工法」を採用。

本工法を確実に施工するためにレーザースキャナ測量や4D架設シミュレーションを活用し、高度な施工計画を実施するとともに、送出し架設時にはデジタルツインシステムを構築。

現地施工状況を管理情報とともにクラウドで一元管理することで、施工管理の省人化と夜間施工時間(交通規制時間)の短縮を実現。

【ポイント】
  • 送出し架設では、ICTによる測量結果を基に、施工状況をリアルタイムで3Dモデルにデジタルツインとして表示し、4D架設シミュレーションと比較しながら管理を行うことにより、タイムキーパーや計測要員が削減され、夜間における送出し作業時間が全体で約15%短縮(7.0時間→6.0時間)。
  • 目標とする理想の施工モデルと現地点群データを統合し、各ステップにおける近接道路への影響調査(支障物や俯角等)を実施することで、従来の現地調査を約80%短縮(10日→2日)。
  • 直轄工事では全国初となる4D架設シミュレーションと、デジタルツインシステムを組み合わせた施工計画及び施工管理手法は、狭隘な作業スペースでの施工や、時間制限を有する架設条件の際に、特に効果を発揮。

優秀賞

アジア航測株式会社/

R4利根砂防管内自律飛行型UAVによる点検計画検討業務


  • 推 薦 者:関東地方整備局
  • 発 注 者:関東地方整備局 利根川水系砂防事務所
  • 業 者 名:アジア航測株式会社
  • 工 期:2023年7月21日~2024年3月25日
  • 施工場所:群馬県利根郡片品村~長野県小諸市
  • 請負金額:60,005,000円



【概要】
UAV自律飛行による渓流点検(緊急点検・施設点検)の実施手法の確立に向け、UAV目視内自律飛行における試行点検を実施したうえで、UAV目視外自律飛行技術を活用した点検計画を立案。

機体や撮影時期に依存しない汎用的な自律飛行プランの作成や、AI画像解析技術を活用した変状抽出AIの構築をすることで、施設点検から変状抽出までの一連の点検に関わる作業の自動化を実現。また、緊急時に実施する臨時点検の高度化・効率化を実現。

【ポイント】
  • UAVを用いた複数施設の点検一括化により効率化し、点検調査票自動作成ツールにより、とりまとめの作業時間短縮を実現。
  • 自律飛行による自動点検から、撮影写真からの変状箇所の自動抽出までの点検作業全体を自動化させることにより、安全性・迅速性・確実性の高い点検を実現。
  • 特定専門業者ではなく一般的な人員での対応が可能であるとともに、汎用機体を用いた自律飛行計画であり、同様の砂防地域でも適用可能。また、通信障害が生じる恐れのある緊急時でも対応可能。

優秀賞

株式会社浜屋組/

R4矢板出張所管内路面補修工事


  • 推 薦 者:関東地方整備局
  • 発 注 者:関東地方整備局 宇都宮国道事務所
  • 業 者 名:株式会社浜屋組
  • 工 期:2023年4月3日~2023年11月30日
  • 施工場所:栃木県大田原市薄葉
  • 請負金額:224,070,000円


【概要】
本工事は、一般国道4号において、経年劣化に伴う舗装の補修工事を実施したものであり、交通量の多い現道上の路面補修工事は、通常、交通管理者等の事前協議により夜間施
工となることが多い。

本工事では、AIカメラ・AI信号を用いた交通制御や、インターネット・SNSを活用した迂回路の情報提供等を実施することで、通過交通をコントロールするとともに、施工においてもICT舗装工の適用とともに、起工測量や施工管理に四足歩行ロボットを活用することにより、現場の生産性向上と働き方改革を実現。

【ポイント】
  • 一般的に「舗装修繕工事」≒「夜間工事」であり、担い手確保の観点からも夜間工事の削減など労働環境の改善が必要となっているが、本工事では、ICT施工を適用するとともに、AIやIoT技術を複数組み合わせて活用することにより、顕著な渋滞等発生させることなく、夜間工事を昼間工事に変更するとともに生産性の向上を実現。
  • ICT施工だけでなく、夜間施工を昼間施工に変えるべく、AIカメラやAI信号を用いた信号待ちの最適化、インターネットやSNSを活用した迂回路や渋滞状況の情報提供、4足歩行ロボット(Spot)を活用した起工測量や出来形管理を組み合わせて適用することは、他工事現場で実施された事例はなく、先進性のある事例。


優秀賞

敦賀旭土建株式会社/

敦賀港(鞠山北地区)防波堤(改良)基礎工事(その2)


  • 推 薦 者:北陸地方整備局
  • 発 注 者:北陸地方整備局 敦賀港湾事務所
  • 業 者 名:敦賀旭土建株式会社
  • 工 期:2023年3月17日~2023年8月31日
  • 施工場所:福井県敦賀市鞠山地先
  • 請負金額:187,550,000円


【概要】

敦賀港における防波堤の基礎工及び付工の施工で、防波堤の港内側に作業船により捨石を行い、潜水士船と潜水士により基礎マウンドを構築する工事であるが、現場条件は隣接す
る別件工事と既設構造部に挟まれ狭隘であり、且つ、潮流により別件工事で発生した濁りの影響を受けやすいものであった。

潜水士による潜水作業を伴う基礎捨石均し工において、ICT を活用し、海中での作業を可視化することにより、潜水作業中の潜水士の作業安全性を向上するとともに、出来形確認
において、水中カメラの映像をリアルタイムに施工従事者が確認し、潜水士に適格な作業指示を行い、潜水士の負荷低減を実現。

【ポイント】
  • 潜水作業は潜水士船に乗船する施工従事者から不可視部分となるが、潜水士に「水中カメラ」を取り付け可視化することで、施工従事者全体で情報共有ができ、迅速で的確な施工指示と共に潜水士の安全確保に有効。
  • 水中カメラの映像をスマートフォン、タブレット等で遠隔臨場にて、施工状況、出来形をリアルタイムで施工従事者が確認できるため、潜水士に迅速且つ的確に作業指示が可能であり、再度潜水による潜水士の負荷を軽減。

優秀賞

株式会社 市川工務店/

令和4年度一般県道松原芋島線川島大橋下部工事


  • 推 薦 者:中部地方整備局
  • 発 注 者:中部地方整備局 岐阜国道事務所
  • 業 者 名:株式会社 市川工務店
  • 工 期:2022年8月18日~2023年7月31日
  • 施工場所:岐阜県各務原市川島
  • 請負金額:1,137,136,000円


【概要】
本工事は、一般県道松原芋島線の川島大橋架替えに伴う、ニューマチックケーソン工法でのP1橋脚施工において、下記の取り組みを実施。

リアルタイムな施工管理と日々管理業務の省人化を実現。

  1. 独自の測量システムを開発し、タブレット端末上で3D設計モデルから、各測点の躯体の設計値とのズレをリアルタイムに把握。
  2. 測量機は自動追尾型を使用することで、基準点がない場所からの測量と、1人での測量を可能とし、測量作業を省人化。
  3. 独自の変位計測システムを開発し、CADを使用せずに短時間で測量後のデータ処理を行い、リアルタイムでの日々の打合せを可能としたことで、データ処理を省人化。

【ポイント】
  • 測量機は自動追尾型を使用することで、基準点の再設置がなくなり1人での測量が可能となると共に、タブレット端末上で3D設計モデルから、各測点の躯体の変位をリアルタイムに把握することを可能とした。
  • 独自の変位計測システムを開発し、CADを使用せずに短時間で測量後のデータ処理を行うことで、リアルタイムでの日々の打ち合わせを可能とした。


優秀賞

株式会社 小森組/

すさみ串本道路田並地区他整備工事


  • 推 薦 者:近畿地方整備局
  • 発 注 者:近畿地方整備局 紀南河川国道事務所
  • 業 者 名:株式会社 小森組
  • 工 期:2023年4月3日~2024年3月29日
  • 施工場所:和歌山県東牟婁郡串本町
  • 請負金額:280,390,000円


【概要】
工事個所が複数に点在する中、供用開始を急ぐ路線であるため、技術者の負担軽減と工程短縮が課題で、最もウェイトが大きい主要現場は縦断勾配が厳しく、狭所でS字線形のため、補強土壁の床付け面が急傾斜な螺旋階段のように仕上げる必要があった。

測量や丁張の設置回数が非常に多く、大型機械も投入できないため、0.1m3級のバックホウ(以下BH)から徐々に幅員を広げ、大型化することにより、本現場の工程短縮を実現。

【ポイント】
  • 3次元設計データを元に、施工方法のバーチャルシミュレーションを行い、0.1m3級BH(自動追尾式MG)を用いたパイロット道路の開削、その後0.25m3級BH(自動追尾式MG)で床掘を行うなど大小の自社ICT建機を使い分けし、主要作業はICT建機のみで施工するとともに、3Dデータから防護柵基礎工における基礎・敷板を割付し、現場打ちをプレキャスト化することで、約43日の工程短縮(ICT施工▲約23日・プレキャスト化▲約20日)を実現。



以下、1/20更新予定...



参考・画像元:国交省プレスリリース
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デジコン編集部

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