平成27(2015)年より国土交通省によって本格的な取り組みが開始されたi-Construction(以下、アイ・コンストラクション)。公共事業においてはどれほど浸透しているのだろうか。
国土交通省が発表した平成30年度の「ICT活用工事の実施状況」をもとに実績を見てみよう。
国土交通省の発表によると、土工を中心とした国の直轄工事における入札公告件数に対するICT活用工事実施の割合は、平成28年度には36%だったが翌年には42%と、6ポイント上昇している(平成29年度は、舗装工・浚渫工を含む)。
平成30年度は、土工・舗装工・浚渫工の直轄工事の公告件数1,948件のうち、ICT活用工事は1,105件となっている。これは5割超の56.7%という高い割合となっていて、前年度と比べ14.7ポイントも上昇したことになる。
もはやICT活用工事抜きに、公共事業は語れない時代となっているといえる。
ICT活用工事の割合について、工種ごとにもう少し詳しく見ていこう。
最も活用が進んでいる工種が土工で、平成28年度には公告件数1,625件のうち、584件がICT土工となっており、35.9%の割合だった。平成29年度には公告件数1,952件のうち、815件で41.7%と5.8ポイント増加している。
平成30年度には公告件数1,675件のうち、じつに960件がICT土工となっている。じつに57.3%と、一気に半数以上がICTによる施工となっているのだ。
国の直轄事業の土工では、ICT活用が必須となりつつある。
国交省が土工の次にICT施工に取り組んでいるのが、舗装工と浚渫工で、平成29年度より開始している。
舗装工においては、平成29年度の公告件数、201件に対しICT舗装工は79件(39.3%)。平成30年度は公告件数203件のうちICT舗装工は80件(39.4%)となっている。
いっぽう、浚渫工においてはICT化の割合は高く、平成29年度の公告件数28件に対しICT活用が24件と85.7%、平成30年度は公告件数62件のうちICT浚渫工は57件、91.9%となっている。
国の直轄事業の浚渫工においては、ICT化はほぼ完了しつつあるといえる。
都道府県と政令市におけるICT施工の実施状況にも目を向けてみよう。
国土交通省からは土工のみのデータが公表されている。
これを見ると、平成28年度のICT土工の実績は84件だったが、平成29年度は291件、平成30年度は523件と、大幅に増加している。
ただし、都道府県と政令市における土工の公告件数は平成29年度には870件、平成30年度には2,428件と、この1年だけでも2.79倍に増えている。ICT土工の実績は大きく増加しているが、公告件数が急増しているため、割合としては伸びてはいない。
平成28年9月、首相を議長として、国や地方の成長戦略と構造改革の加速化を議論する「未来投資会議」の第1回会合が開催された。
その中で安倍晋三首相は、建設業界の「旧3K(キツイ・汚い・危険)のイメージを払拭し、新3K(給料が良い・休暇がとれる・希望がもてる)に一新する」と宣言した。アイ・コンストラクションとその施策のひとつであるICT施工は、新3Kを実現するための取り組みとされており、今後も急速な進展が見込まれる。
こうした大方針のもと、土木工事のICT施工は、土工、舗装工と浚渫工に加えて、令和元2019)年度には地盤改良工、法面工、付帯構造物設置工へ拡大された。さらに、これらの工種を総合した『ICT-Full活用工事』も行われる。
そして、国の直轄工事はもちろん、地方自治体の発注する公共事業においてもICT化を進めなければ、受注が難しくなるであろうことが、国の方針から予測できる。地方自治体のすべての工事がICT活用となるのには、まだ時間がかかるだろうが、今後の公共事業の受注のためには、ICT化が必須となってくるだろう。
ICT施工の普及拡大に向けた取組
http://www.mlit.go.jp/common/001303213.pdf
国土交通省が発表した平成30年度の「ICT活用工事の実施状況」をもとに実績を見てみよう。
ICT活用工事の実施状況
国土交通省の発表によると、土工を中心とした国の直轄工事における入札公告件数に対するICT活用工事実施の割合は、平成28年度には36%だったが翌年には42%と、6ポイント上昇している(平成29年度は、舗装工・浚渫工を含む)。
平成30年度は、土工・舗装工・浚渫工の直轄工事の公告件数1,948件のうち、ICT活用工事は1,105件となっている。これは5割超の56.7%という高い割合となっていて、前年度と比べ14.7ポイントも上昇したことになる。
もはやICT活用工事抜きに、公共事業は語れない時代となっているといえる。
ICT土工の実績
ICT活用工事の割合について、工種ごとにもう少し詳しく見ていこう。
最も活用が進んでいる工種が土工で、平成28年度には公告件数1,625件のうち、584件がICT土工となっており、35.9%の割合だった。平成29年度には公告件数1,952件のうち、815件で41.7%と5.8ポイント増加している。
平成30年度には公告件数1,675件のうち、じつに960件がICT土工となっている。じつに57.3%と、一気に半数以上がICTによる施工となっているのだ。
国の直轄事業の土工では、ICT活用が必須となりつつある。
ICT舗装工とICT浚渫工の実績
国交省が土工の次にICT施工に取り組んでいるのが、舗装工と浚渫工で、平成29年度より開始している。
舗装工においては、平成29年度の公告件数、201件に対しICT舗装工は79件(39.3%)。平成30年度は公告件数203件のうちICT舗装工は80件(39.4%)となっている。
いっぽう、浚渫工においてはICT化の割合は高く、平成29年度の公告件数28件に対しICT活用が24件と85.7%、平成30年度は公告件数62件のうちICT浚渫工は57件、91.9%となっている。
国の直轄事業の浚渫工においては、ICT化はほぼ完了しつつあるといえる。
都道府県・政令市におけるICT施工実施状況
都道府県と政令市におけるICT施工の実施状況にも目を向けてみよう。
国土交通省からは土工のみのデータが公表されている。
これを見ると、平成28年度のICT土工の実績は84件だったが、平成29年度は291件、平成30年度は523件と、大幅に増加している。
ただし、都道府県と政令市における土工の公告件数は平成29年度には870件、平成30年度には2,428件と、この1年だけでも2.79倍に増えている。ICT土工の実績は大きく増加しているが、公告件数が急増しているため、割合としては伸びてはいない。
早急なICT導入を進める政府
平成28年9月、首相を議長として、国や地方の成長戦略と構造改革の加速化を議論する「未来投資会議」の第1回会合が開催された。
その中で安倍晋三首相は、建設業界の「旧3K(キツイ・汚い・危険)のイメージを払拭し、新3K(給料が良い・休暇がとれる・希望がもてる)に一新する」と宣言した。アイ・コンストラクションとその施策のひとつであるICT施工は、新3Kを実現するための取り組みとされており、今後も急速な進展が見込まれる。
こうした大方針のもと、土木工事のICT施工は、土工、舗装工と浚渫工に加えて、令和元2019)年度には地盤改良工、法面工、付帯構造物設置工へ拡大された。さらに、これらの工種を総合した『ICT-Full活用工事』も行われる。
そして、国の直轄工事はもちろん、地方自治体の発注する公共事業においてもICT化を進めなければ、受注が難しくなるであろうことが、国の方針から予測できる。地方自治体のすべての工事がICT活用となるのには、まだ時間がかかるだろうが、今後の公共事業の受注のためには、ICT化が必須となってくるだろう。
ICT施工の普及拡大に向けた取組
http://www.mlit.go.jp/common/001303213.pdf
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