ニュース
デジコン編集部 2025.11.12

岡野バルブ製造(北九州市)が、岡山市で下水道管をドローン調査。自社単独では初の実証実験を実施

岡野バルブ製造は2025年10月22日、岡山市内で自社単独では初となるドローンを活用した下水道管調査の実証実験を実施した。

全国で進む下水道管の高経年化に対応するため、新たな調査手法の確立を目指す取り組みだ。

敷設50年超の下水道管内を直径20センチの小型機で点検


国土交通省によると、2023年度末時点で全国の下水道管渠の総延長は約50万キロメートルに達している。

このうち標準耐用年数である50年を超えた管渠は約4万キロメートルで、総延長の約7パーセントを占める状況だ。

生活排水や産業排水が流れる下水道管内は硫化水素が発生するなど作業面で危険が伴い、維持管理に関する調査や対策が講じにくいことが課題となってきた。

2025年1月には埼玉県八潮市で下水道管路の破損を起因とした道路陥没事故が発生し、新たな調査点検体制の構築が急務となっている。

岡野バルブ製造は資本業務提携を結ぶLiberawareとともに、下水道管内でドローンを飛行させる調査方法の確立に向けて検討を進めてきた。



5月には北九州市上下水道局との3者合同で全国初となる超狭小空間点検ドローンを活用した下水道管調査を実施し、その後も継続的に調査を展開している。

今回の実証は岡山市北区の巌井ポンプ場近くで実施され、敷設から50年以上が経過した下水道管を対象とした。

調査対象は合流管で内径2400ミリメートル、実証延長76メートルのヒューム管である。

Liberaware製の超狭小空間点検ドローン「IBIS2」を岡野バルブ製造のパイロットが操縦する形で調査を進めた。

GPS信号が届かない下水道管内で、機体に備え付けた高輝度照明とフルHDカメラを使って管壁を撮影した。

直径約20センチメートルと小型で防塵・防滴設計のIBIS2の特徴を生かし、管内の狭い空間での飛行によって管壁にある錆びたナットや瓦解したはしごの状況を映像で確認することに成功した。

ドローンを活用した調査が可能になったことで、事故などのリスクを避けながら効率的な調査ができることが認められた形だ。

今回の結果を受け、岡山市とは今後の下水道管点検作業におけるドローン活用の可能性について継続的に協議していく予定となっている。

技術面では点群化やAI解析技術の活用を進め、クラック、漏水、付着物、堆積物の自動検知や進行度予測などの高度化を目指す方針だ。





印刷ページを表示
WRITTEN by

デジコン編集部

建設土木のICT化の情報を日々キャッチして、わかりやすく伝えていきます。

建設土木のICT活用など、
デジコンからの最新情報をメールでお届けします

会員登録

会員登録していただくと、最新記事を案内するメールマガジンが購読できるほか、会員限定コンテンツの閲覧が可能です。是非ご登録ください。