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デジコン編集部 2025.10.22

世界遺産「端島」の保存整備に協力し研究拠点を設置。清水建設が長崎市と連携協定を締結

清水建設は10月15日、長崎市と相互に連携・協力し、世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産である端島炭坑(通称:軍艦島)の保存・整備及び公開活用に取り組むことを目的に、同市と連携協定を締結した。

連携協定に基づく取り組みの第一弾として、島内に研究拠点を設置する。

島内ガレキを基礎部分に再利用、自己処理型水洗トイレの有効性も検証


端島には建築史的に価値ある建物群が残っている。

特に「三菱端島砿業所30号アパート」、いわゆる30号棟は大正年間に建設された日本最古の鉄筋コンクリート造集合住宅とされ、清水建設がその新築及び改修工事を担ったという歴史がある。

〈日本最初のRC造集合住宅 三菱端島砿業所30号アパート(30号棟)〉

世界遺産登録に際しては、同社が端島に所在する殆どの建造物の建設、保全に当たってきたことから、歴史資料として保管する図面類を長崎市に提供している。

長崎市と長崎市教育委員会は2017年12月に「世界遺産明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業 高島炭坑 端島炭坑 修復・公開活用計画」を策定し、その第II段階として、長崎市は端島における避難施設の整備を推進している。

一方、清水建設は従前より「アクセス困難で不十分なインフラ環境下での施設整備・運用技術の開発」に取り組んでいる。

長崎市による端島での種々の取り組みに協力することは同社の技術開発に利するだけでなく、長崎市としては同社保有の技術・ノウハウを無償で活用できることから、相互に有益であると考え、同社から長崎市に連携を申し入れ、本協定の締結に至った。

連携協定に基づく取り組みの第一弾は研究拠点の設置だ。

暴風雨や高波など過酷な環境に配慮した高耐久の木造平屋(床面積約50平方メートル)を計画しており、島内にある史跡構成要素以外のガレキを基礎部分に再利用するなど、揚陸資材の削減も図る。

この拠点は、同社及び長崎市関係者が端島に上陸した際の事務所や備蓄倉庫としてだけでなく、急な荒天時の緊急避難所としての利用も想定している。

また、この拠点の運用を通じ、自己処理型水洗トイレの有効性も検証する予定だ。

着工は11月で、12月の竣工後、設備関係の試用・調整を経て、3月から運用を開始する。

同社は今後、長崎市と協議しながら端島で行う具体的な取り組みを詰めていくが、著しく劣化が進む建物群の保存・整備に貢献するとともに、端島を観光資源として活用していくためのVRコンテンツの制作などに取り組む考えだ。










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