清水建設が山岳トンネル地山予報システムに変形予測機能を実装。三次元解析で掘削リスクを事前把握

清水建設は、山岳トンネル工事における切羽前方の湧水リスクを予測する地山予報システムの拡充機能として、トンネル掘削による地山の変形を予測する機能を開発・実装した。

地山の変形予測にはクラウド上のデータプラットフォームに自動集積される施工データを活用し、掘削の進捗に応じた地山の変位を三次元掘削解析で算出する。

データ連携・データ変換を自動化しレポート作成業務を大幅削減

山岳トンネルの施工管理では切羽に現れる岩盤の観察や地山の変位の計測を日常的に行いながら地山の状態を把握し、安全にかかわるリスクの軽減を図っている。

特に慎重な施工が求められる断層破砕帯や連絡坑接続部など特殊な掘削箇所ではトンネルの掘削を進めた際の地山の変位を予測する数値解析を行い、施工計画や設計変更の検討に活用している。

これらの業務はトンネル掘削の安全性を担保するために不可欠であるものの、これまでデータの整理や検討資料の作成に相応の労力と時間を要していた。

同社は地山の変位計測データの収集から数値解析に基づく地山の変形予測、レポート作成に至る一連の作業間のデータ連携・データ変換を自動化するシステムを構築し、地山予報システムの新機能として実装した。

三次元掘削解析による地山の変形予測ではデータプラットフォームに集約されたトンネルの設計情報や工事進捗データ、10メートルから20メートルごとに設ける地山の変位計測位置等の情報が数値解析の入力データに変換され、解析モデルを格納したクラウドサーバーに転送される。

レポートの作成では変位量の予測値と実測値の比較グラフや、掘削の進捗に伴う地山の変位分布図などを自動出力できる。

これにより施工前の段階で対策検討区間の抽出や補強対策・設計変更の検討を早期に実施できるようになる。