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デジコン編集部 2025.8.26

大成建設・東大地震研ら、スーパーコンピュータ「富岳」活用の3次元長周期地震動シミュレーション基盤を開発。超高層建物の耐震性能を短時間で詳細検証

大成建設、東京大学地震研究所、海洋研究開発機構は、スーパーコンピュータ「富岳」を活用した3次元長周期地震動シミュレーション基盤を共同開発した。

南海トラフ等の海溝型巨大地震で想定される様々な地震発生ケースを網羅的に解析でき、超高層建物などへの長周期地震動の影響予測に要していた膨大な計算時間を大幅に短縮する。

数百から数千の震源モデルを数秒で自動生成し网羅的解析を実現


従来、長周期地震動シミュレーションでは複雑な地盤構造をモデル化するのに長時間がかかる上、巨大地震の発生ケース自体も一様ではなく、想定震源域が全域にわたりずれ動く「全割れ」や一部がずれ動いた後に時間差で残りの地域がずれ動く「半割れ」など様々なケースが想定されるため、計算負荷が非常に大きかった。

大成建設は「富岳」の活用を前提として、地盤モデルを生成し想定される多様な地震発生ケースごとに震源モデルを自動生成できるプログラムを独自に開発した。

開発した震源モデル作成プログラムでは、過去の様々な地震の特徴に基づき、数百から数千の震源モデルを数秒で自動的に生成する。

これにより従来は手作業で行っていたモデル作成の時間を大幅に短縮し、広範囲にわたる様々な地震動の発生ケースを網羅的に解析することができる。

地震研究所が開発し海洋研究開発機構が改良を加えた3次元有限要素法の計算コード「E-wave FEM」を用いて巨大地震を対象とした地震動計算を行い、長周期地震動を短時間で高精度に把握できるシミュレーション基盤を「富岳」に構築した。

想定しうる様々な地震発生ケースでのシミュレーションから得られた地震動データを統計的に処理することで、平均的な揺れや最大級の揺れの大きさを把握でき、建物のより詳細な耐震安全性能を検証し損傷リスクを評価することができる。

本技術は文部科学省「『富岳』成果創出加速プログラム」の一環として開発が進められ、国土交通省の審査を通過している。





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