2023年12月13(水)~15日(金)の3日間、東京ビッグサイトで建設DX展が開催された。
3回目の東京開催となる今回は、コロナ後初開催ということもあり、過去最多となる総勢560社(団体含む)が出展。会期中は総勢34,443名の来場者が訪れ、大きな賑わいを見せていた。
新設されたテレワークスペースでは、来場者がテレワークをする様子も見受けられ、土木・建設業界のデジタル化を肌で感じることができた。
本記事では、デジコン編集部が注目した23ブースを紹介する。
ロボット活用からデスクワーク支援、点群活用ソフトウェアなど、幅広い分野から注目ソリューションを紹介していく。
360度画像を撮影できる『RICHO THETA』がセッティングされたこちらのブースで展開されているのは土木・建設事業者に向けた、現場の遠隔管理などに役立つソリューション『RICHO360プレミアムパッケージ』だ。
サービスの概要は、RICHO THETA本体と専用の三脚、RICHO THETAの制御用デバイスマネジメント、360度画像を使いこなすためのマネジメントサービスがセットで提供するというもの。
デバイスのレンタル(故障保証)以外にも、導入サポートや自社に適したシステム開発、デバイスの活用法まで、すべてRICHOが手取り足取りサポート。
ファームウエアの更新や不具合への対応も同社が行うため、専任オペレーターの育成やシステムトラブルなどに割いてきた工数を最小限に抑えることができるだろう。
「機器の活用法には明るくないが遠隔管理を導入したい」と考える事業者には、最適なプランだと言えるのではないだろうか。当サービスは2023年11月から提供が開始されたばかりだが、デジタルサービスの拡充・拡大により力をいれていく考えだという。
いま業界の注目を集めているスタートアップ『クラフトバンク』。注目の理由は、同社が提供している工事マッチングサービスだ。工事を依頼したい施主/事業者と、工事を受けたい事業者との架け橋になる。至ってシンプル。
現在27,000社を超える企業が登録しており、1日におよそ10社が新たに登録するというハイペースで登録者数を伸ばしている。
マッチング率は86%と高く、しかも利用料は基本的には無料だというから驚きだ。やりとりはすべてクラフトバンクのサイト上で行うため、トラブルも最小限に抑えることができるだろう。
どうしてもこのタイミングで工事を進めたい施主と中小事業者や起業したばかりの技術者をつなぐ画期的なサービス。人手不足が原因で工期が伸びてしまう、といった問題の解決にも大いに役立ちそうだ。気になった方は、まずは会員登録だけでもしてみてはいかがだろう。
こちらはアシストスーツ。アシストスーツと聞くと、大型のアタッチメントがついた大掛かりな装置を想像するかもしれないが、CBWは作業負担の軽減と着脱のしやすさ・動きやすさを叶えたアシストスーツだという。
前かがみの姿勢、立ち姿勢、持ち上げ姿勢と、現場で繰り返し行われる動作をサポートするというものだ。
ベルトを調節するだけで姿勢や動作に適したサポート力に調節ができる。気候や気温の影響を受けやすい屋外作業時にも、快適に作業ができるだろう。
自宅で洗濯ができる手軽さもうれしい。アシストスーツというより、作業着の一部として日常使いしたいアイテムだ。
近年、リモート会議やオンラインミーティングを導入した事業者も多いのではないだろうか。
手軽に打ち合わせができる一方で、かえって会議が増えた、という声もある。
一日で5本も打ち合わせがあって、朝の打ち合わせでは何を決めたんだっけ?と、わからなくなることもあるだろう。
そこで頼りになるのが議事録だが、会議が増えるほど議事録担当者の作業負担は膨れ上がり、業務の効率は落ちるばかりだろう。
議事録担当者の負担を軽くしてくれるのが、音声をすぐ文字に起こせるRimoだ。
1時間程度の音声データは、5分程度で文字起こしが完了する。
AIが重要な部分を要約してくれるので、編集にかかる工数も削減できる。あとは担当者の視点で重要な部分をチェックすれば、議事録業務は完了。
打ち合わせに疲弊している方、導入を検討してみてはいかがだろうか?
建設DX展では、すでに馴染みの顔となっている同社。例年と違うのは、サービスに建設業界に最適化されたBPO機能が追加されている点だ。
専用業者との打ち合わせ工程などを省き、Q&Aのような設問に答えていくだけで、自社に適したほしかった機能をメールオーダーすることができる。
現場写真の効率的な管理サービスからスタートしたフォトラクション。
図面管理、工程管理など、BIM活用を支援するソリューションを年々拡充してきたが、サービス提供とともに蓄積されてきたノウハウの集大成ともいえる、非常に画期的な機能だ。
主なBPOメニューには、施工計画書の作成、杭工事検査の準備、配筋検査の準備などがある。「こんなふうに使えたら便利なのに…」が、簡単に実現できるかもしれない。フォトラクションをすでに活用されている方は、試さない手はないだろう。
検査業務などにデジタルツイン技術を活用したいが、肝心のデータ作成がハードルとなり二の足を踏んでいるという方におすすめしたいのが、こちらの「Beamo」だ。
必要なのは、三脚に設置したRICHO THETAなどの360度カメラと、Beamoアプリをインストールしたスマートフォンを持って現場を歩き回るだけ。
キャプチャを作成したいポイントに三脚を置いて画像を撮影すれば、Beamo上に画像が登録されていく。
画像を撮影していないポイントも、移動とともに位置情報が同時に記録されているので、あとから紐付ける必要がない。
細かい記録が必要なポイントは通常の写真や動画データなどの記録を別途添付して紐付けることができる。
工事現場の進捗記録や、維持管理業務など、広域に渡る現場では特に役立ちそうだ。
データ上でキャプチャ画像を使い実寸で計測をしたり、解説動画をポイントごとに添付することもできるので、協力会社間での進捗の共有や、自社の新人研修など、さまざまな用途で活躍できるだろう。
SOLID SYSTEMSでは、業務のDX化を進めたい事業者を支援するさまざまなソリューションを開発している。
点群活用というと、図面の三次元化やMG/MCなど、さまざまな用途があるが、その中でも自社の業務効率化に必要な機能をヒアリングし、最適な活用法を提案してくれる。
展示パネルにあるように、こちらの導入企業の例を見ると、重機の機動や点群データの比較による記録だけでなく、カレンダー管理機能が搭載されている。
さらにこちらは、点群を遠隔・自立施工に活用している例だ。AIによる最適な運搬ルートの生成、自動運転システムだけでなく、施工現場で活用するためのタブレット専用アプリケーションから、制御室で現場を管理するためのプログラムなどがフルパッケージになっている。
現場や案件によって、必要な機能は異なる。工期が長期に渡る現場に、敢えてオーダーメイドのシステムを導入することで、効率化を実現しているよい例だろう。
ハンズフリーで通話できるシステムを導入しても、環境音が原因で肝心の通話ができない、というお悩みに答える製品が「AURO」だ。
特殊な形状をした密閉率の高いイヤーパッドを採用しているため、遮音性が高く、重機の鳴り響く現場でも相手の声をクリアに聞くことができる。
聞こえても、環境音ばかりを拾ってしまい自分の声がかき消されてしまうのでは?と思うかもしれないが、なんとこちらの製品、マイクがイヤーパッド内にあり、耳から出ている自分の声を拾って相手に届けるという仕組みを採用している。
イヤーパッドの遮音性が、聞こえやすさだけでなく、音を拾いやすさにも貢献しているというわけだ。これさえあれば、工事音の鳴り響く現場でもストレスなく通話ができる。
耳栓機能もあるため、通話時以外に鼓膜を守る保護ツールとしても活用できそうだ。
近年、価格や計測方法などに選択肢が広がっている3Dスキャナーだが、手持ちで移動ができる専用機器は、意外とありそうでなかった選択肢ではないだろうか。
こちらのブースには、手持ち・ドローン搭載可、など意外となかった特徴をもつスキャナーが並んでいる。
MK-3は、お馴染みの測量機器を簡略化したような見た目だが、全方向360度120mの計測を手持ちでできるという。
屋内・屋外問わず使用できるが、トンネルなどの狭所でその強みを発揮するという。
コロンとしたボディがかわいらしい「ロビン」は、そのコンパクトさを活かしさまざまなスタイルで計測ができる。ドローンにも搭載可能だという。
その他にも、リアルタイム3Dマッピングと人物の検出ができ、遠隔操作も可能なアウルなどがある。
すべての製品に「vitomSLAM」と呼ばれる同社が独自開発した、高精細・堅牢性の高さなどに強みをもつSLAMアルゴリズムを採用。
点群の処理は同社のソフトウェア「CloudMan」で行う。すべての製品に搭載されているため、別途購入する必要はない。
これらの技術を活かし、将来的には独立型自律走行支援デバイスの開発も計画しているという。3Dスキャニング・マッピング技術に強みをもつ同社、今後の製品展開にも注目していきたい。
3次元測量やクラウド型点群解析ソフトウェアを検討しているが、そもそも自分たちに最適な活用法がわからない、という方におすすめしたいのが、スカイマティクスが展開する『KUMIKI』。
『KUMIKI』は、空撮画像などから簡単にオルソ画像や点群データ、3Dモデルなどを自動生成してくれるソフトウェアだ。
各種フォーマットに適した形式でデータをワンクリックで出力可能なので、資料に併せてデータ処理をする工数を減らすことができる。
特徴的なのが、その事業者のニーズに細かく対応している点。ドローンを使った測量や3Dデータの取り扱いがはじめてのユーザー向けに、アカウントの設定からドローンの操縦、KUMIKIの操作方法をなどをレクチャーする講習を含むプランや、用途に応じた解析オプション機能の追加や、プロパイロットによる撮影代行、そして最適なドローンの提案・販売までもカバーしているそうだ。
技術者や事業所のデータ習熟度に合わせた利用法ができるため、これからデータ活用を始めたいが、将来的にさまざまな活用法を試したい方には、長期的に安心して利用できるサービスといえるだろう。
早期より、DX化による業務効率化に取り組んできた大手ゼネコン「安藤ハザマ」のブースでは、現在注力している3つの施策が紹介されていた。
BIMを活用して業務のムダを削減し、効率化をめざす「BIM-LEAN」は、着工前にBIM上で施工を完了し、問題点や課題が実際に発生する前に対策を行うというもの。
狙いとしては、BIMを活用して協力会社への共有なども事前に行い、発注ミスや工事の手戻りなどを防ぐことなどが挙げられる。
次に、AIを活用した品質向上をめざす「AIナレッジベース」は、主に設計・施工時に発生するリスクへの気づきを促す狙いがある。
社内報告書や論文などのテキストから勘所やノウハウに関するワードを自動で抽出・学習させ、言語化や共有のされていないノウハウ、属人的な判断基準などが原因で発生するミスやチェック漏れなどを防ぐ。
また、それらのデータの蓄積によって、さらなるミスの回避や次世代への技術伝承などに役立てていく狙いだ。
そして最後に紹介するのが、現場の気象情報をピンポイントで提供する「気象データの活用」。
気象庁や国交省の観測データと独自のアルゴリズムから、気象予測情報を割り出すというもので、その予測範囲は1km×1kmとピンポイントだ。
ゲリラ豪雨や熱中症指数といった気象情報以外にも、粉塵の飛散予報など、現場ニーズに応える予報を届ける。
さらに、過去データをもとに気象条件が健康に与えた影響を分析し、気象危険予知として現場に設置したサイネージなどに配信する動きも始まっているという。
品質や業務内容、技術者の安全を、データ活用で底上げする3つの施策についてまとめられているが、データ活用がもたらすものは、その場の改善に留まらず将来的な成長につながるという一つのビジョンがまとめられていた。
こちらのブースで紹介されているのは、現場調査における遠隔管理を効率的に行うための支援ツールだ。
主な機能は、コミュニケーションアプリのような通話機能とオンラインファイルストレージサービスのような写真管理機能。
通話機能では、1対複数人との通話ができる。スマホやPCを利用したビデオ通話で、画面上にリアルタイムでポインタを表示できるので、直感的かつ詳細な指示が可能になる。
通話をしながら同時に図面や指示書の確認もできるので、数回に分けて確認していた内容を一度に処理することができる。音声のテキスト化機能や録画機能などは、音の聞こえにくい場所でのやりとりや複雑な情報の共有時などに役立つだろう。
また、現場を撮影した画像やメモで現場の状況をストレージ上にストックできるのもうれしい。タグ機能で現場や協力会社ごとに分類できるので、欲しい情報へアクセスしやすく、記録したデータをもとに報告書の作成もできるため、確認と報告にかける作業時間が大幅に削減することができそうだ。
PCやスマホにアプリをインストールするだけで、すぐに利用を開始でき、今後は音声データからの議事録作成機能なども搭載予定。
通話時の記録が文字として残るので、確認にかかる工数のさらなる削減や、トラブルの防止などに役立ちそうだ。
インドと日本、ふたつの拠点から世界の「モノづくり」「ヒトづくり」をサポートする同社では、インドにおける職人の育成事業に力を入れている。
日本だけでなくインドにも拠点を設立し、実際に施工を行いながら日本人技術者による技術支援などを実施している。
また、日本とインドとを遠隔でつなぎ、360度カメラやVRゴーグルを仕様した遠隔技術指導事業などを実施しているという。
さらに、2023年夏には日本式モノづくり学校を開校し、レベルの高い技術を学べる環境の整備を進めているそうだ。
その他建設資材の輸出入や海外建設プロジェクトの遠隔での技術支援など、土木・建設業におけるソフト・ハードの輸出入に力を入れている同社では、海外の技術者が日本で安心して働ける地盤作りも着々と進めているという。
インドにおける技術者育成事業を、日本の技術者不足問題への解決にも役立てていく狙いだ。
東京大学発のスタートアップ「ARAV株式会社」のブースで展開されている「Model V 」とは、建機の遠隔操作を、後付で可能にするソリューションだ。
あらゆるメーカーの建機に対応しており、今まで使っていた建機をそのまま、遠隔地から操縦できるようになる。デスクで作業をする経理さんの真横で、オペレーターが建機を操っているという光景も当たり前になるかもしれない
橋梁工事におけるブラスト作業を、ロボット化するソリューションだ。
高度経済成長期に建設された公共設備の老朽化が顕在化している昨今、橋梁や電波塔などの高所作業のニーズは高まっている。
高所作業による作業員負担が課題になっていたが、作業員の代わりに危険作業を行ってくれるロボット「橋梁工事ブラスト作業ロボット」が登場した。
自律走行するロボットアームをイメージするとわかりやすい。
ブラスト作業には、人体に影響をあたえる加工物を使用するものもあるため、健康的なリスクからも作業員を守ることができる。
また、本機は自律走行が可能なため、従来作業にあたっていた技術者は別の業務にあたることができ、業務効率化にも期待できる製品だ。
すでに3Dデータを活用してる現場なら、すぐにでも導入できそうなロボットがこちら。
床、天井、壁などへの穿孔作業を自律走行で行ってくれる。位置情報が付与された図面を読み込ませると、ロボットは自己位置のスキャンを行いながら、図面上に記されたポイントへ行き、穿孔作業を行う。
穿孔直径は5〜24mmに、深さは最大170mmまで対応しており、15度程度の傾斜のある現場でも問題なく走行可能だという。穿孔時に発生する粉塵による健康被害を避けられるほか、崩落事故などの事故リスクを回避できるだろう。
ソフトバンクから、みちびきなどの位置情報を利用して、高精度測位を利用できるサービスの提供が開始された。誤差は数センチメートル単位と高精細な位置情報取得が可能だ。
全国3,300箇所以上にあるソフトバンクLTEエリア内なら、どこからでも、利用できる。しかも、RTK機能を搭載したドローンと、データ通信SIMがあれば、契約後、即日からでも利用をはじめられるそうだ。
個人・法人を問わず活用できるが、現時点では基本測量、公共測量には使用できないそうだが、ポテンシャルの高いサービスゆえ、今後のアップデートに期待したい。
事業所のBIM/CIM導入を支援する建設”DX”コンサル会社Malmeが、建設DX展に初出展した。
中でも注目したいのは、Malmeが運用するメディア上で行えるチャット機能「BIM/CIM Agent」だ。
BIM・CIMに関する悩みや疑問点を、すぐにAIもしくは専任の技術者がサポートしてくれる。テキストによるサポートだけでなく、モデリング代行事業や自社に適したサービスの開発など、技術面でのサポートも手厚い。
3Dデータの作成や、BIM/CIM活用業務の内製化を進めたいが、技術者不足や技術者の経験不足に悩んでいる事業者にとって、頼もしいサポーターとなってくれることだろう。
PDF積算は、図面上で見積もりをとりたいポイントをマウスでなぞるだけで、必要な部材などを一気に算出してくれるソフトウェアだ。
部材データが計算式と連携しているため、平面図面をなぞれば自動的に、見積もりが完成する。
見積もりを作成できる担当者が出払っている場合、どんどん事務作業が山積していくが、これなら誰が作っても同じ見積もりが完成する。
現場や打ち合わせから帰ってから、見積もりの作成に割いていた時間を削減できるばかりか、すぐに見積もりを確認できる点は、お客様側にも大きなメリットとなる。
見積もりという限定的な業務だが、多くの時間をとられてきた担当者にとって、願ってもないソリューションだろう。
鉄筋がレイアウトされたこちらのブースで紹介されているのは、配筋検査にiPadなどのLiDAR機能を搭載した端末で計測した点群を活用するソリューションだ。
配筋検査では、基礎の鉄筋の配置や位置、本数などに誤りがないかなどを確認するが、鉄筋の波打ちの確認など目視では難しい項目もあり、ミリ単位で計測・検査をするため膨大な手間と時間が費やされてきた。
しかしModelyなら、作業時間はわずか30分。点群データを使ってミリ単位のズレも見逃さず、正確な検査が可能だ。アプリケーション上で帳票を作成し、発注者確認もクラウド上で手軽に行うことができる。
また、検査に活用したデータを維持管理にも活用できるため、長期的に建造物の安全・安心を守るためにも非常に有効だ。
令和5年度インフラDX大賞での受賞歴もある同社のサービス、現在は大手ゼネコンをはじめとする50社以上の起業への導入実績があるという。
画像解析AIを活用したクラウド型ソリューションは、膨大な画像データを扱うため通信コストが課題となっていた。
低コストでカメラ端末内の解析を可能にしたのが、こちらのAITRIOS対応のこちらのカメラだ。
オフィス内の人流や滞留を計測してオフィスレイアウトの最適化をめざすソリューションや、店頭サイネージの視聴率取得などに利用されている。
一般的な防犯カメラと比較しても非常に小さくシンプルなデザインなので、オフィス内で働く社員や、通行人に違和感を感じさせることなく計測が可能だ。
オフィスレイアウトの検証以外にも、人数と室温を同時計測して空調設備を自動で調整するなど、さまざまな活用法が期待できそうだ。
災害発生時の光源・電源として活用できる太陽光電池の存在をご存知だろうか。公共交通機関の停留所や市街地などに設置が進んでいる。
停電発生時に非常灯として明かりを灯してくれるこちらのTOMORIe。避難経路のアナウンスができるほか、簡易的な電源としても活用ができそうだ。
縦に設置された採光型両面受光太陽電池モジュールなら、天候や降雪の影響を最小限に抑え、安定した発電量を保つことができるという。
DX化が進んでいる近年、手元にスマートフォンやタブレットさえあれば、災害復旧に貢献できるさまざまなソリューションがある。
普段生活している街中でTOMORIeを探していくことも、災害への備えのひとつとなるだろう。
最後に紹介するのは、レンタル建機の管理を一括で管理するサービスを提供するSORABITOと、建設業にまつわる書類を一括管理できる建造PADを提供するKENZOが共同出展する広めのブース。
SORABITOブースでは、建機レンタルにまつわる営業サポートを行うアプリ「i-Rental注文」と、建機の点検・修理情報を一元管理する「i-Rental点検」に追加された新機能についてPRされていた。
どちらもスマートフォン上で動作するため、外勤中であってもスムーズに顧客対応にあたることができる。
共同出店するKENZOは、現場のペーパーレス化を促進する「建設PAD」を大型パネルを用いてPRしていた。
両社ともスマートフォンで業務効率化を促進している点が共通している。
スマートフォンという身近な端末を活用して業務効率化をめざすという動きは、業界共通のトレンドのようで、ブースを訪れる来場者数もそれを物語っていた。さらに、ブース内では連日、14社から招かれた担当者によるミニセミナーも開催された。
3回目の東京開催となる今回は、コロナ後初開催ということもあり、過去最多となる総勢560社(団体含む)が出展。会期中は総勢34,443名の来場者が訪れ、大きな賑わいを見せていた。
新設されたテレワークスペースでは、来場者がテレワークをする様子も見受けられ、土木・建設業界のデジタル化を肌で感じることができた。
本記事では、デジコン編集部が注目した23ブースを紹介する。
ロボット活用からデスクワーク支援、点群活用ソフトウェアなど、幅広い分野から注目ソリューションを紹介していく。
RICOH THETA &RICOH 360プレミアムパッケージ(リコー)
360度画像を撮影できる『RICHO THETA』がセッティングされたこちらのブースで展開されているのは土木・建設事業者に向けた、現場の遠隔管理などに役立つソリューション『RICHO360プレミアムパッケージ』だ。
サービスの概要は、RICHO THETA本体と専用の三脚、RICHO THETAの制御用デバイスマネジメント、360度画像を使いこなすためのマネジメントサービスがセットで提供するというもの。
デバイスのレンタル(故障保証)以外にも、導入サポートや自社に適したシステム開発、デバイスの活用法まで、すべてRICHOが手取り足取りサポート。
ファームウエアの更新や不具合への対応も同社が行うため、専任オペレーターの育成やシステムトラブルなどに割いてきた工数を最小限に抑えることができるだろう。
「機器の活用法には明るくないが遠隔管理を導入したい」と考える事業者には、最適なプランだと言えるのではないだろうか。当サービスは2023年11月から提供が開始されたばかりだが、デジタルサービスの拡充・拡大により力をいれていく考えだという。
建設工事受発注プラットフォーム「CraftBank」 (クラフトバンク)
いま業界の注目を集めているスタートアップ『クラフトバンク』。注目の理由は、同社が提供している工事マッチングサービスだ。工事を依頼したい施主/事業者と、工事を受けたい事業者との架け橋になる。至ってシンプル。
現在27,000社を超える企業が登録しており、1日におよそ10社が新たに登録するというハイペースで登録者数を伸ばしている。
マッチング率は86%と高く、しかも利用料は基本的には無料だというから驚きだ。やりとりはすべてクラフトバンクのサイト上で行うため、トラブルも最小限に抑えることができるだろう。
どうしてもこのタイミングで工事を進めたい施主と中小事業者や起業したばかりの技術者をつなぐ画期的なサービス。人手不足が原因で工期が伸びてしまう、といった問題の解決にも大いに役立ちそうだ。気になった方は、まずは会員登録だけでもしてみてはいかがだろう。
アシストスーツCBW(KURABO)
こちらはアシストスーツ。アシストスーツと聞くと、大型のアタッチメントがついた大掛かりな装置を想像するかもしれないが、CBWは作業負担の軽減と着脱のしやすさ・動きやすさを叶えたアシストスーツだという。
前かがみの姿勢、立ち姿勢、持ち上げ姿勢と、現場で繰り返し行われる動作をサポートするというものだ。
ベルトを調節するだけで姿勢や動作に適したサポート力に調節ができる。気候や気温の影響を受けやすい屋外作業時にも、快適に作業ができるだろう。
自宅で洗濯ができる手軽さもうれしい。アシストスーツというより、作業着の一部として日常使いしたいアイテムだ。
AI文字起こしサービス「Rimo Voice」(Rimo)
近年、リモート会議やオンラインミーティングを導入した事業者も多いのではないだろうか。
手軽に打ち合わせができる一方で、かえって会議が増えた、という声もある。
一日で5本も打ち合わせがあって、朝の打ち合わせでは何を決めたんだっけ?と、わからなくなることもあるだろう。
そこで頼りになるのが議事録だが、会議が増えるほど議事録担当者の作業負担は膨れ上がり、業務の効率は落ちるばかりだろう。
議事録担当者の負担を軽くしてくれるのが、音声をすぐ文字に起こせるRimoだ。
1時間程度の音声データは、5分程度で文字起こしが完了する。
AIが重要な部分を要約してくれるので、編集にかかる工数も削減できる。あとは担当者の視点で重要な部分をチェックすれば、議事録業務は完了。
打ち合わせに疲弊している方、導入を検討してみてはいかがだろうか?
Saas型施工管理アプリ「photoruction」(フォトラクション)
建設DX展では、すでに馴染みの顔となっている同社。例年と違うのは、サービスに建設業界に最適化されたBPO機能が追加されている点だ。
専用業者との打ち合わせ工程などを省き、Q&Aのような設問に答えていくだけで、自社に適したほしかった機能をメールオーダーすることができる。
現場写真の効率的な管理サービスからスタートしたフォトラクション。
図面管理、工程管理など、BIM活用を支援するソリューションを年々拡充してきたが、サービス提供とともに蓄積されてきたノウハウの集大成ともいえる、非常に画期的な機能だ。
主なBPOメニューには、施工計画書の作成、杭工事検査の準備、配筋検査の準備などがある。「こんなふうに使えたら便利なのに…」が、簡単に実現できるかもしれない。フォトラクションをすでに活用されている方は、試さない手はないだろう。
建物空間のビジュアル情報をデジタルツインで管理「Beamo」(NTTビズリンク)
検査業務などにデジタルツイン技術を活用したいが、肝心のデータ作成がハードルとなり二の足を踏んでいるという方におすすめしたいのが、こちらの「Beamo」だ。
必要なのは、三脚に設置したRICHO THETAなどの360度カメラと、Beamoアプリをインストールしたスマートフォンを持って現場を歩き回るだけ。
キャプチャを作成したいポイントに三脚を置いて画像を撮影すれば、Beamo上に画像が登録されていく。
画像を撮影していないポイントも、移動とともに位置情報が同時に記録されているので、あとから紐付ける必要がない。
細かい記録が必要なポイントは通常の写真や動画データなどの記録を別途添付して紐付けることができる。
工事現場の進捗記録や、維持管理業務など、広域に渡る現場では特に役立ちそうだ。
データ上でキャプチャ画像を使い実寸で計測をしたり、解説動画をポイントごとに添付することもできるので、協力会社間での進捗の共有や、自社の新人研修など、さまざまな用途で活躍できるだろう。
点群活用やBIM/CIMソリューションを提供「SOLID SYSTEMS」(ソリッドシステムズ)
SOLID SYSTEMSでは、業務のDX化を進めたい事業者を支援するさまざまなソリューションを開発している。
点群活用というと、図面の三次元化やMG/MCなど、さまざまな用途があるが、その中でも自社の業務効率化に必要な機能をヒアリングし、最適な活用法を提案してくれる。
展示パネルにあるように、こちらの導入企業の例を見ると、重機の機動や点群データの比較による記録だけでなく、カレンダー管理機能が搭載されている。
さらにこちらは、点群を遠隔・自立施工に活用している例だ。AIによる最適な運搬ルートの生成、自動運転システムだけでなく、施工現場で活用するためのタブレット専用アプリケーションから、制御室で現場を管理するためのプログラムなどがフルパッケージになっている。
現場や案件によって、必要な機能は異なる。工期が長期に渡る現場に、敢えてオーダーメイドのシステムを導入することで、効率化を実現しているよい例だろう。
耳栓機能付きイヤホンマイク「AURO」(エス・オー・ダブリュー)
ハンズフリーで通話できるシステムを導入しても、環境音が原因で肝心の通話ができない、というお悩みに答える製品が「AURO」だ。
特殊な形状をした密閉率の高いイヤーパッドを採用しているため、遮音性が高く、重機の鳴り響く現場でも相手の声をクリアに聞くことができる。
聞こえても、環境音ばかりを拾ってしまい自分の声がかき消されてしまうのでは?と思うかもしれないが、なんとこちらの製品、マイクがイヤーパッド内にあり、耳から出ている自分の声を拾って相手に届けるという仕組みを採用している。
イヤーパッドの遮音性が、聞こえやすさだけでなく、音を拾いやすさにも貢献しているというわけだ。これさえあれば、工事音の鳴り響く現場でもストレスなく通話ができる。
耳栓機能もあるため、通話時以外に鼓膜を守る保護ツールとしても活用できそうだ。
MK-3 /ロビン/アウル(バイトム)
近年、価格や計測方法などに選択肢が広がっている3Dスキャナーだが、手持ちで移動ができる専用機器は、意外とありそうでなかった選択肢ではないだろうか。
こちらのブースには、手持ち・ドローン搭載可、など意外となかった特徴をもつスキャナーが並んでいる。
MK-3は、お馴染みの測量機器を簡略化したような見た目だが、全方向360度120mの計測を手持ちでできるという。
屋内・屋外問わず使用できるが、トンネルなどの狭所でその強みを発揮するという。
コロンとしたボディがかわいらしい「ロビン」は、そのコンパクトさを活かしさまざまなスタイルで計測ができる。ドローンにも搭載可能だという。
その他にも、リアルタイム3Dマッピングと人物の検出ができ、遠隔操作も可能なアウルなどがある。
すべての製品に「vitomSLAM」と呼ばれる同社が独自開発した、高精細・堅牢性の高さなどに強みをもつSLAMアルゴリズムを採用。
点群の処理は同社のソフトウェア「CloudMan」で行う。すべての製品に搭載されているため、別途購入する必要はない。
これらの技術を活かし、将来的には独立型自律走行支援デバイスの開発も計画しているという。3Dスキャニング・マッピング技術に強みをもつ同社、今後の製品展開にも注目していきたい。
国産クラウド型ドローン測量サービス 「KUMIKI」(スカイマティクス)
3次元測量やクラウド型点群解析ソフトウェアを検討しているが、そもそも自分たちに最適な活用法がわからない、という方におすすめしたいのが、スカイマティクスが展開する『KUMIKI』。
『KUMIKI』は、空撮画像などから簡単にオルソ画像や点群データ、3Dモデルなどを自動生成してくれるソフトウェアだ。
各種フォーマットに適した形式でデータをワンクリックで出力可能なので、資料に併せてデータ処理をする工数を減らすことができる。
特徴的なのが、その事業者のニーズに細かく対応している点。ドローンを使った測量や3Dデータの取り扱いがはじめてのユーザー向けに、アカウントの設定からドローンの操縦、KUMIKIの操作方法をなどをレクチャーする講習を含むプランや、用途に応じた解析オプション機能の追加や、プロパイロットによる撮影代行、そして最適なドローンの提案・販売までもカバーしているそうだ。
技術者や事業所のデータ習熟度に合わせた利用法ができるため、これからデータ活用を始めたいが、将来的にさまざまな活用法を試したい方には、長期的に安心して利用できるサービスといえるだろう。
BIM-LEAN / AI ナレッジベース /気象データの活用 (安藤ハザマ)
早期より、DX化による業務効率化に取り組んできた大手ゼネコン「安藤ハザマ」のブースでは、現在注力している3つの施策が紹介されていた。
BIMを活用して業務のムダを削減し、効率化をめざす「BIM-LEAN」は、着工前にBIM上で施工を完了し、問題点や課題が実際に発生する前に対策を行うというもの。
狙いとしては、BIMを活用して協力会社への共有なども事前に行い、発注ミスや工事の手戻りなどを防ぐことなどが挙げられる。
次に、AIを活用した品質向上をめざす「AIナレッジベース」は、主に設計・施工時に発生するリスクへの気づきを促す狙いがある。
社内報告書や論文などのテキストから勘所やノウハウに関するワードを自動で抽出・学習させ、言語化や共有のされていないノウハウ、属人的な判断基準などが原因で発生するミスやチェック漏れなどを防ぐ。
また、それらのデータの蓄積によって、さらなるミスの回避や次世代への技術伝承などに役立てていく狙いだ。
そして最後に紹介するのが、現場の気象情報をピンポイントで提供する「気象データの活用」。
気象庁や国交省の観測データと独自のアルゴリズムから、気象予測情報を割り出すというもので、その予測範囲は1km×1kmとピンポイントだ。
ゲリラ豪雨や熱中症指数といった気象情報以外にも、粉塵の飛散予報など、現場ニーズに応える予報を届ける。
さらに、過去データをもとに気象条件が健康に与えた影響を分析し、気象危険予知として現場に設置したサイネージなどに配信する動きも始まっているという。
品質や業務内容、技術者の安全を、データ活用で底上げする3つの施策についてまとめられているが、データ活用がもたらすものは、その場の改善に留まらず将来的な成長につながるという一つのビジョンがまとめられていた。
リモートで現場調査や検査ができる「SynQRemote」 (クアンド)
こちらのブースで紹介されているのは、現場調査における遠隔管理を効率的に行うための支援ツールだ。
主な機能は、コミュニケーションアプリのような通話機能とオンラインファイルストレージサービスのような写真管理機能。
通話機能では、1対複数人との通話ができる。スマホやPCを利用したビデオ通話で、画面上にリアルタイムでポインタを表示できるので、直感的かつ詳細な指示が可能になる。
通話をしながら同時に図面や指示書の確認もできるので、数回に分けて確認していた内容を一度に処理することができる。音声のテキスト化機能や録画機能などは、音の聞こえにくい場所でのやりとりや複雑な情報の共有時などに役立つだろう。
また、現場を撮影した画像やメモで現場の状況をストレージ上にストックできるのもうれしい。タグ機能で現場や協力会社ごとに分類できるので、欲しい情報へアクセスしやすく、記録したデータをもとに報告書の作成もできるため、確認と報告にかける作業時間が大幅に削減することができそうだ。
PCやスマホにアプリをインストールするだけで、すぐに利用を開始でき、今後は音声データからの議事録作成機能なども搭載予定。
通話時の記録が文字として残るので、確認にかかる工数のさらなる削減や、トラブルの防止などに役立ちそうだ。
インド人の人材育成サービス(アイティップス)
インドと日本、ふたつの拠点から世界の「モノづくり」「ヒトづくり」をサポートする同社では、インドにおける職人の育成事業に力を入れている。
日本だけでなくインドにも拠点を設立し、実際に施工を行いながら日本人技術者による技術支援などを実施している。
また、日本とインドとを遠隔でつなぎ、360度カメラやVRゴーグルを仕様した遠隔技術指導事業などを実施しているという。
さらに、2023年夏には日本式モノづくり学校を開校し、レベルの高い技術を学べる環境の整備を進めているそうだ。
その他建設資材の輸出入や海外建設プロジェクトの遠隔での技術支援など、土木・建設業におけるソフト・ハードの輸出入に力を入れている同社では、海外の技術者が日本で安心して働ける地盤作りも着々と進めているという。
インドにおける技術者育成事業を、日本の技術者不足問題への解決にも役立てていく狙いだ。
Model V (ARAV)
東京大学発のスタートアップ「ARAV株式会社」のブースで展開されている「Model V 」とは、建機の遠隔操作を、後付で可能にするソリューションだ。
あらゆるメーカーの建機に対応しており、今まで使っていた建機をそのまま、遠隔地から操縦できるようになる。デスクで作業をする経理さんの真横で、オペレーターが建機を操っているという光景も当たり前になるかもしれない
橋梁工事ブラスト作業ロボット(久保田塗装)
橋梁工事におけるブラスト作業を、ロボット化するソリューションだ。
高度経済成長期に建設された公共設備の老朽化が顕在化している昨今、橋梁や電波塔などの高所作業のニーズは高まっている。
高所作業による作業員負担が課題になっていたが、作業員の代わりに危険作業を行ってくれるロボット「橋梁工事ブラスト作業ロボット」が登場した。
自律走行するロボットアームをイメージするとわかりやすい。
ブラスト作業には、人体に影響をあたえる加工物を使用するものもあるため、健康的なリスクからも作業員を守ることができる。
また、本機は自律走行が可能なため、従来作業にあたっていた技術者は別の業務にあたることができ、業務効率化にも期待できる製品だ。
DRILLCORPIO(智建機械 CSC ROBO)
すでに3Dデータを活用してる現場なら、すぐにでも導入できそうなロボットがこちら。
床、天井、壁などへの穿孔作業を自律走行で行ってくれる。位置情報が付与された図面を読み込ませると、ロボットは自己位置のスキャンを行いながら、図面上に記されたポイントへ行き、穿孔作業を行う。
穿孔直径は5〜24mmに、深さは最大170mmまで対応しており、15度程度の傾斜のある現場でも問題なく走行可能だという。穿孔時に発生する粉塵による健康被害を避けられるほか、崩落事故などの事故リスクを回避できるだろう。
高精度測位サービス「ichimill」(SoftBank)
ソフトバンクから、みちびきなどの位置情報を利用して、高精度測位を利用できるサービスの提供が開始された。誤差は数センチメートル単位と高精細な位置情報取得が可能だ。全国3,300箇所以上にあるソフトバンクLTEエリア内なら、どこからでも、利用できる。しかも、RTK機能を搭載したドローンと、データ通信SIMがあれば、契約後、即日からでも利用をはじめられるそうだ。
個人・法人を問わず活用できるが、現時点では基本測量、公共測量には使用できないそうだが、ポテンシャルの高いサービスゆえ、今後のアップデートに期待したい。
BIM/CIM トータルソリューション | BIM/CIM内製化支援 建設DXコンサルティング「Malme」(Malme)
事業所のBIM/CIM導入を支援する建設”DX”コンサル会社Malmeが、建設DX展に初出展した。
中でも注目したいのは、Malmeが運用するメディア上で行えるチャット機能「BIM/CIM Agent」だ。
BIM・CIMに関する悩みや疑問点を、すぐにAIもしくは専任の技術者がサポートしてくれる。テキストによるサポートだけでなく、モデリング代行事業や自社に適したサービスの開発など、技術面でのサポートも手厚い。
3Dデータの作成や、BIM/CIM活用業務の内製化を進めたいが、技術者不足や技術者の経験不足に悩んでいる事業者にとって、頼もしいサポーターとなってくれることだろう。
PDFの図面データを読取り算出する「PDF積算」(ANP)
PDF積算は、図面上で見積もりをとりたいポイントをマウスでなぞるだけで、必要な部材などを一気に算出してくれるソフトウェアだ。
部材データが計算式と連携しているため、平面図面をなぞれば自動的に、見積もりが完成する。
見積もりを作成できる担当者が出払っている場合、どんどん事務作業が山積していくが、これなら誰が作っても同じ見積もりが完成する。
現場や打ち合わせから帰ってから、見積もりの作成に割いていた時間を削減できるばかりか、すぐに見積もりを確認できる点は、お客様側にも大きなメリットとなる。
見積もりという限定的な業務だが、多くの時間をとられてきた担当者にとって、願ってもないソリューションだろう。
iPad活用の3次元配筋検査ツール「Modely」(DataLabs)
鉄筋がレイアウトされたこちらのブースで紹介されているのは、配筋検査にiPadなどのLiDAR機能を搭載した端末で計測した点群を活用するソリューションだ。
配筋検査では、基礎の鉄筋の配置や位置、本数などに誤りがないかなどを確認するが、鉄筋の波打ちの確認など目視では難しい項目もあり、ミリ単位で計測・検査をするため膨大な手間と時間が費やされてきた。
しかしModelyなら、作業時間はわずか30分。点群データを使ってミリ単位のズレも見逃さず、正確な検査が可能だ。アプリケーション上で帳票を作成し、発注者確認もクラウド上で手軽に行うことができる。
また、検査に活用したデータを維持管理にも活用できるため、長期的に建造物の安全・安心を守るためにも非常に有効だ。
令和5年度インフラDX大賞での受賞歴もある同社のサービス、現在は大手ゼネコンをはじめとする50社以上の起業への導入実績があるという。
エッジAIセンシングプラットフォーム「AITRIOS」 (ソニーセミコンダクタソリューションズグループ)
画像解析AIを活用したクラウド型ソリューションは、膨大な画像データを扱うため通信コストが課題となっていた。
低コストでカメラ端末内の解析を可能にしたのが、こちらのAITRIOS対応のこちらのカメラだ。
オフィス内の人流や滞留を計測してオフィスレイアウトの最適化をめざすソリューションや、店頭サイネージの視聴率取得などに利用されている。
一般的な防犯カメラと比較しても非常に小さくシンプルなデザインなので、オフィス内で働く社員や、通行人に違和感を感じさせることなく計測が可能だ。
オフィスレイアウトの検証以外にも、人数と室温を同時計測して空調設備を自動で調整するなど、さまざまな活用法が期待できそうだ。
両面受光型太陽電池搭載の建材一体型システム「TOMORIe」(矢木コーポレーション)
災害発生時の光源・電源として活用できる太陽光電池の存在をご存知だろうか。公共交通機関の停留所や市街地などに設置が進んでいる。
停電発生時に非常灯として明かりを灯してくれるこちらのTOMORIe。避難経路のアナウンスができるほか、簡易的な電源としても活用ができそうだ。
縦に設置された採光型両面受光太陽電池モジュールなら、天候や降雪の影響を最小限に抑え、安定した発電量を保つことができるという。
DX化が進んでいる近年、手元にスマートフォンやタブレットさえあれば、災害復旧に貢献できるさまざまなソリューションがある。
普段生活している街中でTOMORIeを探していくことも、災害への備えのひとつとなるだろう。
i-Rental 注文 i-Rental 点検 GENBA×点検(SORABITO /KENZO)
最後に紹介するのは、レンタル建機の管理を一括で管理するサービスを提供するSORABITOと、建設業にまつわる書類を一括管理できる建造PADを提供するKENZOが共同出展する広めのブース。
SORABITOブースでは、建機レンタルにまつわる営業サポートを行うアプリ「i-Rental注文」と、建機の点検・修理情報を一元管理する「i-Rental点検」に追加された新機能についてPRされていた。
どちらもスマートフォン上で動作するため、外勤中であってもスムーズに顧客対応にあたることができる。
共同出店するKENZOは、現場のペーパーレス化を促進する「建設PAD」を大型パネルを用いてPRしていた。
両社ともスマートフォンで業務効率化を促進している点が共通している。
スマートフォンという身近な端末を活用して業務効率化をめざすという動きは、業界共通のトレンドのようで、ブースを訪れる来場者数もそれを物語っていた。さらに、ブース内では連日、14社から招かれた担当者によるミニセミナーも開催された。
WRITTEN by
高橋 奈那
神奈川県生まれのコピーライター。コピーライター事務所アシスタント、広告制作会社を経て、2020年より独立。企画・構成からコピーライティング・取材執筆など、ライティング業務全般を手がける。学校法人や企業の発行する広報誌やオウンドメディアといった、広告主のメッセージをじっくり伝える媒体を得意とする。
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