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デジコン編集部 2025.8.8

西松建設、建設重機の超遠隔操作に次世代通信技術を初適用。映像伝送遅延100ミリ秒を達成

西松建設NTT東日本は、山岳トンネル無人化・自動化施工システム「Tunnel RemOS」による建設重機の超遠隔操作に、次世代通信技術IOWNとローカル5Gを適用した実証実験を実施した。

疑似的に2拠点間距離200キロメートル(東京都-栃木県間)とした場合において、遠隔操作が十分に可能な速度である映像伝送遅延約100ミリ秒を達成している。

200キロメートル超遠隔でも精密操作可能、建設重機への初適用事例


今回の実証実験では、IOWNにおけるオール・フォトニクス・ネットワーク(APN)とローカル5G(ギガらく5Gセレクト)を組み合わせて使用した。

NTT中央研修センタにて、Tunnel RemOSのカメラ映像および制御装置による制御信号の無線通信にローカル5Gを、遠隔操作室までの2拠点間通信にAPNをそれぞれ適用して遅延測定を実施している。


結果として映像・制御信号の遅延は約100ミリ秒となり、遠隔操作が十分に可能な速度を達成して現場実装に大きく前進した。

従来の通信環境では、拠点同士の通信にインターネット経由のVPN回線やLTE、工事現場の無線通信にWi-Fi等を利用していたため、高画質カメラを複数搭載した建設重機を多数台同時に遠隔操作すると最大で約1秒の映像伝送の遅れが生じていた。


また複数の建設重機が同時に接続した際の通信切断や、無線機器の熱暴走による通信速度の低下等、通信品質の問題により建設重機オペレータの空間認識能力の低下やトンネル内での障害物検知の困難さなどの課題があった。

新たな通信技術の導入により、「低消費電力」「大容量・高品質」「低遅延」が特徴のAPNと、「大容量」「高品質」が特徴のローカル5Gを組み合わせることで、遠隔地かつ山岳トンネル内という通信環境が不安定な場所においても安定した高速・低遅延の通信環境を実現している。

本件は建設重機の超遠隔操作にAPNとローカル5Gを活用する初の事例となる。

この結果を踏まえ、西松建設の実験施設である「N-フィールド」(栃木県那須塩原市)にローカル5G基地局を8月1日に開局し、建設重機を用いた検証を実施する。

また2025年度中に「N-フィールド」とNTT中央研修センタ(東京都調布市)をAPNで繋ぐことで、実際の遠隔操作環境を構築した検証を実施し、「低遅延」「高精細」「多数接続」を備える建設重機の超遠隔操作技術の確立を目指す。


超遠隔操作技術により、遠隔操作の専用拠点から複数の現場を統合的に管理・操縦することが可能となり、慢性的な人手不足への対応や、遠隔地への移動が困難な方々にも建設重機オペレーションという専門職として社会参画の機会を提供することが可能となる。

APNやローカル5Gを、西松建設が推進する「山岳トンネルデジタルツインプラットフォーム」の通信インフラ基盤として採用し、大容量3次元データや建設重機の稼働状況をリアルタイムに取得・解析を進めることで山岳トンネル工事の自動化を目指している。






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デジコン編集部

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