【帝国データバンク調査】建設業景気DI46.4で8カ月ぶり改善。新幹線延伸工事や空調設備特需が押し上げ、猛暑による工期遅れが課題

帝国データバンクは2025年7月の景気動向調査で、建設業の景気DIが前月比0.5ポイント増の46.4となり、8カ月ぶりに改善したと発表した。

新幹線延伸工事や札幌駅再開発事業などの地域特有の建設需要と、猛暑による空調設備工事の特需が業界を押し上げた。

資材価格の落ち着きと大型案件増加で中小企業も上向き、人材不足と猛暑が重し

建設業界の改善要因として、各地で地域特有の事業がプラスに作用していることが挙げられる。

新幹線延伸工事や札幌駅再開発事業の影響に加え、空調設備工事の特需も押し上げ要因となった。



官民ともに工事の発注は堅調との声が寄せられており、公共投資の継続発注も建設業界を下支えしている。

中小企業においては、資材価格が落ち着きつつあるとの声や大型案件の増加がみられ、8カ月ぶりに改善した状況である。




大企業でも、インフラ更新など建築・工事需要の堅調さを受けて3カ月連続で改善し、50近くとなっている。

地域別では、リニア中央新幹線を含め堅調な建設需要がけん引要因となっており、都市部での再開発事業もプラス材料として働いている。


一方で課題も山積している状況である。

人材不足により受注できない企業があるほか、猛暑による工期遅れや技術者の心身への負担が悪影響となっている。

2025年より熱中症対策の義務化が開始されており、企業はハード・ソフトさまざまな対策を行う必要に迫られている。


調査は全国2万6,196社を対象とし、有効回答企業1万626社、回答率40.6%で実施された。

景気DIは50を境にそれより上であれば「良い」、下であれば「悪い」を意味し、50が判断の分かれ目となる指標である。

今後の建設業界は、公共工事の継続発注と民間需要の堅調さに支えられる一方、人手不足の深刻化と気候変動による作業環境の悪化への対応が重要な課題となっている。