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デジコン編集部 2025.8.4

アンドパッド、建設業熱中症対策義務化後の実態調査を実施。法改正理解度63%で対策実施把握が課題、ITツール活用に期待

アンドパッドは、2025年6月1日より罰則付きで義務化された建設業の熱中症対策の実態を把握するため、建設業従事者1,029名を対象とした実態調査を義務化後に行ったと発表した。

法改正の理解度は63%と理解・一部理解している方が半数以上である一方、対策を実施したかの把握が課題になっていることが判明した。

夏場作業への悪影響85%超が実感、大規模現場ではKY活動実施が80.5%


2025年6月1日より、建設業を含む職場における熱中症対策が労働安全衛生規則の改正省令により罰則付きで義務化された。

WBGT28度または気温31度以上の環境で連続1時間以上、または1日4時間以上の作業が見込まれる場合、企業は「報告体制の整備」「実施手順の作成」「関係者への周知」が必須となる。

対策を怠った場合、6カ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される可能性がある。





調査結果では、熱中症対策義務化について「内容まで理解している」「内容を少し理解している」と回答した建設業従事者は全体の63.0%であった。



特にゼネコンでは74.3%が理解していると回答した一方、内装工事で49.0%、住宅56.0%とやや低い水準となった。

大規模現場での認知は78.3%、小規模現場では50.5%となり、業種と現場規模により意識の差がある結果となった。


現在建設現場で実施している熱中症対策としては、「水分や塩分補給の推奨・指導」が76.7%、「空調服や冷却グッズの推奨」が67.7%、「作業中の休憩時間の確保」が64.5%がどの業種でも上位3項目を占めた。

夏場の気温上昇が現場作業に悪影響を及ぼすと回答した従事者は全体の87%を超え、「疲れやすくなる」「集中力・判断力が落ちる」「作業効率・スピードが下がる」などの悪影響を実感している。

特に過去に熱中症患者がいた現場では97%がその影響を実感しているなど、現場の深刻な状況が改めて示された。

熱中症対策を実施する上での最大の課題として、どの業種においても「作業者がきちんと対策を実施したかの把握が難しい」が最多回答となっており、対策を講じてもその実効性を担保することの難しさが浮き彫りになっている。


建設現場では安全衛生管理の一環として入退場記録の取得とKY活動が進んでおり、特に大規模な現場ではその実施割合が高まる傾向にある。

過去に熱中症患者が発生した現場では、実に80.5%の企業がKY活動を実施している。

建設現場における安全衛生・労務管理効率化のためのITツール導入への関心は高く、全体の63.2%が「関心あり」と回答した。

特にゼネコンで73.8%、大規模修繕工事で72.4%で関心度が非常に高い結果となった。


ITツールに期待する機能としては、全体で「熱中症に関する注意喚起」がトップであり、ゼネコンでは「KY活動の記録・共有」が、また大規模現場では「作業前後の健康チェックの記録」「作業時間や休憩時間の自動集計」「作業員の入退場記録の自動化・データ化」への期待が高いことが明らかになった。

これは義務化された「早期発見・対応」のための報告体制や実施手順の整備において、ITツールが重要な役割を担う可能性を示している。







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