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デジコン編集部 2021.9.29

竹中工務店と竹中土木、四足歩行ロボット「Spot」による現場の自動巡回と遠隔操作による業務支援機能を実装

竹中土木竹中工務店は、米国 Boston Dynamics社の四足歩行ロボット「Spot」を用いた複数回の実証実験※によって、建設現場における自動巡回機能のさらなる有効性を確認するとともに、自動巡回と遠隔操作による業務支援機能を実現したと発表した。

これにより、工事記録写真の撮影、工事の進捗管理、資機材の配置管理、など、建設現場で行われるさまざまな管理業務にかかる負担を 10%程度の削減につながるという。「Spot」の実用化に向けては、2020 年 12 月から鹿島建設を含めた 3 社で共同研究を行っており、今回の成果を 3 社連携にフィードバックし、工事現場の働き方改革実現や、先進的な技術の積極的な導入・活用を図ることで、建設産業の魅力向上を目指していく。

自動巡回機能


建設現場では工事の進捗により環境が変わるため、「Spot」が自分の位置や経路を把握して自動巡回することが困難だった。今回の実証実験では、標準の 3D LiDAR(三次元レーザ測域センサー)を利用するとともに、「Spot」の背中に全天球撮影カメラを搭載することで、自動巡回しながら工事進捗管理や資機材管理のための写真を取得できることを確認。

(Spot による自動巡回)

たとえば事務所ビルの建築工事などにおいて、前日に通ったルートに新しく間仕切り壁が設置され、ルートの片側半分が大幅に変更された状態でも、エラーを起こすことなく、同ルートを移動することに成功した。また、建物1階から工事中の建物をスロープや階段を利用して指定された 4 階の確認フロアを自動巡回して戻ってくるような、日常の運用を想定した実証実験にも成功している。


遠隔操作


「Spot」の背中に、標準の 360 度カメラ、光学 30 倍ズーム付きパンチルトカメラの他に「首振台座付きタブレット端末」、「小型プロジェクター」、「通話装置」と、これらをコントロールする「小型コンピューター」、「バッテリー」とともに遠隔通信を可能とする LTE モバイルルーターを搭載。これらを遠隔地のオペレータが自身の PC や専用コントローラを操作することで、建設現場内を自由に移動しながら作業の確認をしたり、現地の作業員らとモニターやプロジェクターによって投影された資料や図面を共有しながら打合せをしたりすることができる。

(遠隔操作に搭載した装置)

また、遠隔操作できる測量機を搭載することで、寸法や精度管理業務なども遠隔地から実施することが可能であることを確認。さらに建設現場と現場事務所といった数百m程度離れた場所からのテストだけでなく、都心のオフィスから県をまたいだ地方の作業所の「Spot」を操作し、現地を巡回したり、作業員とコミュニケーションを取ったりするテストを実施し、通信遅延やデータ容量についても、日常使用に問題ないことを確認した。

今後、竹中土木と竹中工務店は、2024 年に予定されている時間外労働の上限規制への対応策の一つとして「Spot」の導入を進めるため、搭載機器を建設現場の担当者でも簡単に扱えるようユニット化するとともに、利便性を向上させたオペレーションシステムの開発を目指していく。また、搭載ユニットについては他の移動ロボットへの応用を検討し、システムについては現在開発中の「建設ロボットプラットフォーム」との連携を進めていきくという。


 
※「Spot」の実証実験は 2019 年 10 月から始まり、神奈川の土木工事現場および竹中工務店の関東、関西、九州の複数の建築工事現場において、遠隔操作の実証実験を実施。


参考:竹中工務店/竹中土木プレスリリースより
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デジコン編集部

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