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デジコン編集部 2025.3.7

千葉県東金市がドローン空撮とAI解析による森林調査を実施。保安林18ヘクタールをデジタルデータベース化

東金市、DeepForest Technologies、NTT東日本-南関東 千葉事業部の3者は、東金市の保安林における森林管理の効率化とデータベース化を目的に、ドローン空撮画像とAI技術を活用した森林調査を実施した。

急斜面など人が立ち入り困難な保安林を1日で撮影、樹種識別や樹高測定を樹木単位で一元的に解析


東金市は1975年から1998年に実施された大規模な宅地開発に伴い保安林の移管を受け、現在18ヘクタールを有している。

従来、保安林の管理は市職員が現地に足を運び状況を確認しており、人員や時間がかかり効率的な管理が難しい状況だった。

今回の調査は、森林環境譲与税を活用し、入札によって東金市の委託業務としてDeepForest Technologies社(DFT)とNTT東日本-南関東が実施した。


両社は埼玉県所沢市での「ナラ枯れ」把握実証における森林管理ソリューションの実績があることから、同様の技術を活用した調査が選定された。

調査では、4800万画素カメラを搭載したドローン「ANAFI-Ai」を使用し、日吉台地区(東金市日吉台5、6、7丁目周辺)と八坂台地区(東金市八坂台1丁目周辺)の保安林を2024年9月6日に空撮した。

空撮画像は森林情報を解析するソフトウェア「DF Scanner」によって処理され、各樹木の検出、樹種識別、樹高・胸高直径・幹材積推定を各樹木単位で一元的に解析した。

DFTの「DF Scanner」は約60種のデータベースを元に樹種識別が可能で、世界初の森林解析ソフトウェアとされている。

調査の背景には、保安林が設置から30年以上経過しており、隣地越境、サンブスギの溝腐病、倒木などにより、近隣住宅や公共インフラ設備などに影響を与える可能性があるという懸念があった。

特に近年の大雨や地震による災害の大規模化に伴い、保安林の状況把握と適切な管理が急務となっていた。

調査の結果、ドローンを活用することで人が入り込むことが困難な複雑な地形にある保安林も含め1日で撮影を完了し、AI解析により樹種識別、樹高など詳細なデジタルデータベースの作成に成功した。

また、画像判読から保安林の隣地越境判断も可能となったが、サンブスギの溝腐病および調査範囲における土砂崩れや倒木被害状況については判読することができなかった。

今後、東金市は調査結果で得たデータベースを基に森林整備方針への活用を検討するとともに、保安林の適正な維持管理や森林クレジットなどの新たな収入源の創出、市民への森林整備に関わる普及啓発にもつなげていく方針である。




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