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平田 佳子 2024.8.14

「残コン・戻りコン」問題を解説!〜 その解決のカギを握るのは? 〜

土木・建設業界において、コンクリートを使用する際に発生する「残コン」や「戻りコン」は、環境負荷や経済的な負担を引き起こす大きな問題となっている。

  • 残コン:現場で使用されなかった余剰のコンクリートのこと
  • 戻りコン:余剰のコンクリートが工場に持ち帰られることを指す

これらは適切に処理されなければ、廃棄物として環境に悪影響を及ぼし、また処理費用も高額となるため、土木・建設業界全体にとって解決が求められる課題である。

環境とコストに与える影響


残コンや戻りコンの廃棄は、持続可能な開発目標(SDGs)を推進する現代において、深刻な問題となっている。

コンクリートは一度硬化すると再利用が難しくその廃棄には高いコストがかかる。


また、戻りコンを再利用するためには、品質を保持する必要があるが、時間が経つにつれて品質が低下し、安全性や施工品質に悪影響を及ぼすリスクがある。

こうした問題は、企業にとっても経済的な負担が大きく、また持続可能な社会を実現する上でも大きな障害となっている。

残コン・戻りコンの解決策は?


スマホ測量アプリなどの最新技術でコンクリートを正確に見積る


この「残コン・戻りコン」問題に対処するために、コンクリートの使用量を正確に見積もる技術が求められている。

数年前に登場したスマホ測量アプリOPTiM Geo Scan」は、この課題に応える画期的なツールだ。

このスマホ測量アプリは、スマートフォン(iPhone)のLiDARを用いて、現場の地形や構造物の正確なデータを3次元点群データで取得し、これをもとに、体積計算ができるのだ。

従来の方法に比べて非常に高い精度でコンクリートの必要量を見積もることが可能である。清水建設などの大手ゼネコン企業でも活用が進んでいる。


またGeo  Scanは手軽に使用できる点も魅力で、特別な訓練や資格を必要とせず、現場で誰でも簡単に使うことができるのだ。



環境配慮型コンクリートの導入


残コンや戻りコンの削減をさらに推進するために、再利用技術も重要な役割を果たしている。

その一例が環境配慮型コンクリートである。これは残コンや戻りコンを再利用して製造された環境に優しいコンクリート。これにより廃棄物の削減が可能となる。


この技術の導入は、環境負荷の軽減に寄与するだけでなく、持続可能な建設プロジェクトの実現にも貢献している。

持続可能な土木・建設業界の実現に向けて


残コン・戻りコン問題は、土木・建設業界全体にとって大きな課題であるが、スマホ測量アプリ「OPTiM Geo Scan」のようなICTの導入や、エコクリートなどの再利用技術の活用によって解決が期待される。

これら最先端の取組みは、環境保護だけでなく、企業にとってもコスト削減や業務効率化という大きなメリットをもたらす。





画像元:canva
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WRITTEN by

平田 佳子

ライター歴15年。幅広い業界の広告・Webのライティングのほか、建設会社の人材採用関連の取材・ライティングも多く手がける。祖父が土木・建設の仕事をしていたため、小さな頃から憧れあり。

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