国土交通省関東地方整備局を中心とする「大型車通行適正化に向けた関東地域連絡協議会」は、2025年11月6日に関東・甲信エリアの全20箇所で首都圏大規模同時合同取締を実施し、違反車両延べ27台に対して行政指導を行ったと発表した。
道路管理者、警察、運輸支局の三者が連携し、違法な重量超過車両や不正改造車両の取締を強化している。
今回の取締は、当初予定していた21箇所のうち、中止した箇所を除く20箇所で実施された。
取締箇所は1都8県(東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬、山梨、長野)に分散し、国道事務所の車両検問所や高速道路の料金所などで行われた。
(画像元:関東地方整備局資料より)
道路法に基づく特殊車両の取締では、93台を引き込み検査し、うち26台の違反を確認。指導警告が22台、措置命令が4台に対して発令された。
取締を実施した機関別では、国土交通省関東地方整備局が13台、中日本高速道路が5台、東京都が3台、埼玉県が3台、東日本高速道路が2台の違反車両を確認している。
道路運送車両法に基づく不正改造の取締も同時に実施され、整備命令が47台に発令された。
内訳は栃木運輸支局管内で16台、茨城運輸支局管内で12台、東京運輸支局管内で6台、千葉運輸支局管内で5台などとなっている。
(画像元:関東地方整備局資料より)
連絡協議会では、車輪脱落事故防止キャンペーン「おとさない」も展開しており、運輸支局主導のもとドライバーへの呼びかけを行った。近年増加している大型車両の車輪脱落事故への対策も、取締の重要な目的の一つとなっている。
(画像元:関東地方整備局資料より)
重量超過車両による道路への影響は想像以上に深刻である。道路管理者が特に問題視しているのは、重量超過車両による道路橋の劣化だ。
その影響は重量(軸重)の12乗に比例するという特性がある。
(画像元:関東地方整備局資料より)
具体的には、軸重が基準の10トンから2倍の20トンに超過した場合、道路橋に対しては軸重10トン車の約4,000台分以上の走行に相当するダメージを与える。
たった1台の違反車両が適正な車両数千台分の劣化を引き起こすという衝撃的な事実である。
また、重量超過車両の走行は重大事故にもつながりやすい。実際に、無許可のセミトレーラが横転して積荷が落下し、国道が約12時間にわたって通行止めになった事例も報告されている。ガードレールや照明灯も損傷し、道路交通への影響は甚大だった。
今回の取締強化の背景には、道路インフラの老朽化という喫緊の課題がある。日本の道路インフラは高度経済成長期に集中して建設されたため、老朽化が急速に進行している。
「道路メンテナンス年報2025年8月」によれば、2035年には橋梁の約65%が建設後50年を経過することとなり、深刻な老朽化の時代を迎える。
(画像元:関東地方整備局資料より)
国民の財産である道路を安全かつ安心して利用し続けるためには、限りある財源の中で適切に維持管理していく必要があり、道路の長寿命化が喫緊の課題となっている。
大型車通行適正化に向けた関東地域連絡協議会は、2016年1月に設立された。道路管理者、関係企業団体、関係行政機関等が連携し、大型車両の適正かつ安全な走行を推進する組織である。
連絡協議会では、日頃から各地で現地取締や自動重量計測装置(WIM)による取締を実施しているが、これに加えて年1回、首都圏を中心としたエリアで大規模かつ同時に合同取締を行うことで、違反車両への抑止効果を高めている。
『重量守り、道路を守ろう』を合言葉に、広報を通じた各種取組みを展開。特殊車両通行確認制度の運用も開始しており、「早い・簡単・便利」な手続きで、一定の基準(寸法・重量)を超えた大型車両の通行許可を取得できる仕組みを整備している。
今後も道路管理者、警察、運輸支局の三者連携を強化し、重量超過車両の走行による道路へのダメージや重大事故を削減することで、道路ネットワークの長寿命化及び持続的な物流の実現を目指していく方針である。
道路管理者、警察、運輸支局の三者が連携し、違法な重量超過車両や不正改造車両の取締を強化している。
全20箇所で実施、道路法違反27台を摘発
今回の取締は、当初予定していた21箇所のうち、中止した箇所を除く20箇所で実施された。
取締箇所は1都8県(東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬、山梨、長野)に分散し、国道事務所の車両検問所や高速道路の料金所などで行われた。
(画像元:関東地方整備局資料より)道路法に基づく特殊車両の取締では、93台を引き込み検査し、うち26台の違反を確認。指導警告が22台、措置命令が4台に対して発令された。
取締を実施した機関別では、国土交通省関東地方整備局が13台、中日本高速道路が5台、東京都が3台、埼玉県が3台、東日本高速道路が2台の違反車両を確認している。
不正改造車両47台にも整備命令
道路運送車両法に基づく不正改造の取締も同時に実施され、整備命令が47台に発令された。
内訳は栃木運輸支局管内で16台、茨城運輸支局管内で12台、東京運輸支局管内で6台、千葉運輸支局管内で5台などとなっている。
(画像元:関東地方整備局資料より)連絡協議会では、車輪脱落事故防止キャンペーン「おとさない」も展開しており、運輸支局主導のもとドライバーへの呼びかけを行った。近年増加している大型車両の車輪脱落事故への対策も、取締の重要な目的の一つとなっている。
(画像元:関東地方整備局資料より)重量超過車両が道路に与える深刻なダメージ
重量超過車両による道路への影響は想像以上に深刻である。道路管理者が特に問題視しているのは、重量超過車両による道路橋の劣化だ。
その影響は重量(軸重)の12乗に比例するという特性がある。
(画像元:関東地方整備局資料より)具体的には、軸重が基準の10トンから2倍の20トンに超過した場合、道路橋に対しては軸重10トン車の約4,000台分以上の走行に相当するダメージを与える。
たった1台の違反車両が適正な車両数千台分の劣化を引き起こすという衝撃的な事実である。
また、重量超過車両の走行は重大事故にもつながりやすい。実際に、無許可のセミトレーラが横転して積荷が落下し、国道が約12時間にわたって通行止めになった事例も報告されている。ガードレールや照明灯も損傷し、道路交通への影響は甚大だった。
深刻化する道路インフラの老朽化
今回の取締強化の背景には、道路インフラの老朽化という喫緊の課題がある。日本の道路インフラは高度経済成長期に集中して建設されたため、老朽化が急速に進行している。
「道路メンテナンス年報2025年8月」によれば、2035年には橋梁の約65%が建設後50年を経過することとなり、深刻な老朽化の時代を迎える。
(画像元:関東地方整備局資料より)国民の財産である道路を安全かつ安心して利用し続けるためには、限りある財源の中で適切に維持管理していく必要があり、道路の長寿命化が喫緊の課題となっている。
『重量守り、道路を守ろう』を合言葉に
大型車通行適正化に向けた関東地域連絡協議会は、2016年1月に設立された。道路管理者、関係企業団体、関係行政機関等が連携し、大型車両の適正かつ安全な走行を推進する組織である。
連絡協議会では、日頃から各地で現地取締や自動重量計測装置(WIM)による取締を実施しているが、これに加えて年1回、首都圏を中心としたエリアで大規模かつ同時に合同取締を行うことで、違反車両への抑止効果を高めている。
『重量守り、道路を守ろう』を合言葉に、広報を通じた各種取組みを展開。特殊車両通行確認制度の運用も開始しており、「早い・簡単・便利」な手続きで、一定の基準(寸法・重量)を超えた大型車両の通行許可を取得できる仕組みを整備している。
今後も道路管理者、警察、運輸支局の三者連携を強化し、重量超過車両の走行による道路へのダメージや重大事故を削減することで、道路ネットワークの長寿命化及び持続的な物流の実現を目指していく方針である。
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