行政・政策
デジコン編集部 2025.10.24

国交省、くま川鉄道湯前線の鉄道事業再構築実施計画を認定。令和2年7月豪雨で流失した橋梁復旧し令和8年度上半期に全線再開へ

国土交通大臣は、くま川鉄道湯前線の鉄道事業再構築実施計画について、令和7年10月24日付けで認定を行った。

令和2年7月豪雨災害で流失した球磨川第4橋りょうの復旧を含む全線運行再開を令和8年度上半期に予定し、上下分離方式の導入により安全・安心な運行の維持を実現する。

一般社団法人が鉄道施設を保有、10年間で設備投資・維持修繕に35.1億円


くま川鉄道湯前線は、人吉温泉から湯前間の24.8kmを結ぶ路線で、令和2年7月豪雨により川村駅から肥後西村駅間の球磨川第4橋りょうが流失するなど被災し、全線運休となった。

令和3年11月28日に肥後西村駅から湯前駅間において部分再開したが、被災区間については復旧工事が進められてきた。

実施計画では、地方公共団体で構成する一般社団法人くま川鉄道管理機構(第三種鉄道事業者)が鉄道施設を保有し、くま川鉄道(第二種鉄道事業者)に無償使用させ運行する上下分離方式を導入する。

熊本県及び沿線10市町村(人吉市、錦町、多良木町、湯前町、水上村、相良村、五木村、山江村、球磨村、あさぎり町)が設備投資や維持修繕等にかかる費用を負担することで、安全・安心な運行の維持を実現する。

計画期間は令和8年4月1日から令和18年3月31日までの10年間で、事業費合計は35.1億円となる。

このうち安全な輸送サービスの確保として、鉄道施設等を保有する一般社団法人くま川鉄道管理機構と自治体が連携し、老朽施設の更新投資の計画的かつ着実な実施等によるインフラの安全性強化と持続可能性向上を図る。

鉄道施設の改修・更新に10年間で29.9億円、鉄道施設の維持修繕の充実に10年間で5.3億円を投じる。

また、令和8年上半期を予定している令和2年7月豪雨災害からの全線運行再開を機に、地元自治体及び沿線施設等と連携したイベントの開催や企画列車の運行並びに割引乗車券の発行、アニメや漫画とのコラボ商品開発の検討など、地域の魅力向上とくま川鉄道湯前線との連携により鉄道利用につなげる。

これにより、「くま川鉄道湯前線を活用したまちづくり」へ展開させることで、地域活力の向上と鉄道の利用増加による収支改善を図る。

再構築事業を実施した場合における計画最終年度(令和17年度)の輸送人員は54.8万人、当期純利益は129万円を見込んでおり、本事業を実施しない場合は鉄道存続が困難となる。

令和5年の改正地域交通法に基づく鉄道事業再構築実施計画の認定は、20件目となる。




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