ニュース
デジコン編集部 2022.9.2

ローカル5Gで建機を遠隔操作・自動運転する実証実験。熊谷組、京セラ、NECの3社

熊谷組と京セラ、NECの3社は、ローカル5Gを活用した建機の遠隔操作と自動運転の実証実験を実施したと発表した。

熊谷組技術研究所の屋外実験ヤードにおいて、無人化施工に不整地運搬車の自動運転を組み込んだ試験環境下で実施。



取組みの背景として、災害の補修時における2次災害を防ぐため、高速で低遅延な無線通信システムが求められていることを挙げる。具体的に、無人化施工技術の高度化に伴う4K車載カメラ映像の高品質化や、建機の傾きや振動などの現場情報のフィードバックが必要になる。

無人化施工を支える無線通信システムとして3社は、ローカル5Gに着目。熊谷組の屋外実験ヤードにローカル5Gのシステムを構築し、ヤード内を移動する建機の位置と通信速度の情報を基に通信状況を視覚化する方法を確認。

(ローカル5Gでのパケット通信を利用した建設機械の遠隔操作の様子)

システムは、技術研究所の本館と土質実験棟に、NECのローカル5G基地局を設置し、アンテナを屋外実験ヤードに向けて調整。基地局ユニットから、土質実験棟内のサーバーを経由して、遠隔操作室の通信機器まで回線を接続した。
(京セラ製ローカル5G対応デバイス「K5G-C-100A」(ドーム状のボックスに格納)を搭載した建機)

加えて建機には、受信電力情報のリアルタイム取得など運用自由度が高い京セラのローカル5G対応デバイス「K5G-C-100A」を接続。車載カメラの映像を、IPネットワークの上り回線を通じて伝送し、遠隔操作室のモニターに表示する。

(屋外実験ヤード内移動時の上りリンクスループット(上)と遅延特性(下))

実証実験では、屋外実験ヤード内でのスループットや、遅延時間測定に関する基礎実験を行った。基地局間のハンドオーバー機能(移動端末接続する基地局のスイッチ機能)を通じ、屋外実験ヤード内での上りリンクスループットが高いことと、低遅延を達成可能なことを確認した。

(屋外実験ヤード内へ向けられたNEC製ローカル5G基地局とアンテナ)

今後は、複数の建機にK5G-C-100Aを接続し、遠隔操作を実施する際の操作性を調査し、現場環境での実験試験運用を行う予定だという。

免許によって周波数帯域を占有可能であることを生かし、他端末からの帯域内干渉が発生しやすい無線LANとの特徴の差異を把握し、複数の無線通信システムを併用しながら、ローカル5Gの本番導入に向けた取組みを進める。


参考・画像:熊谷組プレスリリース
印刷ページを表示
WRITTEN by

デジコン編集部

建設土木のICT化の情報を日々キャッチして、わかりやすく伝えていきます。

建設土木の未来を
ICTで変えるメディア

会員登録

会員登録していただくと、最新記事を案内するメールマガジンが購読できるほか、会員限定コンテンツの閲覧が可能です。是非ご登録ください。