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デジコン編集部 2025.12.5

日向市の旭建設、衛星通信「Starlink」で35km遠隔ドローン測量に成功。携帯圏外での建設DXを実現

旭建設は12月4日、携帯電話の通信圏外にある宮崎県西米良村の工事現場において、衛星ブロードバンド「Starlink(スターリンク)」を活用したドローンの遠隔操縦実証実験を行い、35km離れた本社からのリアルタイム三次元空撮測量に成功したと発表した。

移動に往復約4時間を要していた山間地現場の管理業務をオフィスから瞬時に行うことを可能にし、建設業界の課題である長時間労働の是正や担い手不足に対する解決策として注目される。

「移動の壁」と「通信の壁」を同時に打破


旭建設が拠点を置く宮崎県の中山間地域では、現場間の移動時間が生産性を圧迫する大きな要因となっていたが、山間奥地は携帯キャリアの電波が届かない「不感地帯」が多く、既存の通信技術では遠隔管理が困難であった。

今回の実証実験では、高機能ドローンと衛星通信Starlinkを組み合わせることで、これらの課題を一挙に解決するシステムを構築した。





日向市にある本社のDXルームから、約35km離れた西米良村の地すべり対策工事現場にあるドローンを遠隔操作し、遅延なくスムーズな飛行制御とデータの取得を実現した。

これにより、技術者は過酷な現場へ移動することなく、オフィスにいながら複数の現場を管理することが可能となり、大幅な生産性向上が見込まれる。

3つの安全対策でリスクを低減


遠隔操縦においては、操縦者が機体を直接目視できないリスクがあるため、同社は3つの厳重な安全対策を講じて運用を行った。

1つ目は「人的バックアップ」であり、通信断絶のリスクに備えて現場に監視員を配置し、万が一の際には即座に手動操縦へ切り替える体制を整えた。




2つ目は「俯瞰カメラ」の設置で、ドローンの搭載カメラ映像だけでは把握しづらい周囲の障害物との距離感を、現場全体を見渡す別カメラの映像で補完した。

3つ目は「ジオフェンス」によるエリア逸脱防止で、事前に設定した飛行可能エリアからドローンが出ようとするとシステムが自動停止する仕組みを導入し、衝突や行方不明を物理的に防いでいる。

旭建設は今後、この遠隔システムを県内の他現場へも展開し業務の標準化を進めるとともに、災害時など人が立ち入れない状況下での迅速な状況把握にも役立てていく方針だ。







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