ニュース
デジコン編集部 2025.11.25

太陽工業、サウジアラビア「アラムコ・スタジアム」の膜施工を受注。PTFE膜45,000㎡を設計・製造・施工

大型膜面構造物や土木・物流資材などを手がける太陽工業は、ドバイ現地法人Taiyo Middle East LLC(アラブ首長国連邦ドバイ)を通じ、サウジアラビアのアル・ホバール市に計画されているアラムコ・スタジアムの設計、製造、施工を受注した。

同スタジアムは2027年開催のアジア最大のサッカー大会会場となるほか、2034年に開催される国際的なサッカー大会の試合も予定されている。

膜工事は2026年1月から開始し、同年6月から7月の完成を目指す。

海岸の渦潮から着想を得た有機的なデザインを採用


アラムコ・スタジアムは、サウジアラビア東部アル・コバール市に建設される収容人数約47,000人の多目的スタジアムである。

同市の海岸で見られる渦潮の形状から着想を得た有機的なデザインが特徴だ。

太陽工業は、スタジアムを包む花びらのような形状のアルミ屋根の間に取り付けられる膜パネルに加え、アルミ屋根の内装膜、さらには上部の屋根における膜部分の設計、製造、施工を受注した。

本施設で使用されるのはPTFE膜と呼ばれる膜材である。

PTFE膜は、世界初の恒久膜構造建築物であるラバーン大学(1973年施工、米カリフォルニア州)にも採用されているガラス繊維織物にフッ素樹脂をコーティングした強固な複合材料だ。


〈アラムコ・スタジアム 施工中の様子(2025年9月現在)〉

ラバーン大学施工当時の膜サンプルと現在の膜サンプル断面図を顕微鏡写真で比べても、目立った劣化は見られず、耐汚染性、色調、透光性および織布の保護力にも変化はなく、優れた耐久性を実証している。

PTFE膜は非常に軽量のため、構造荷重が大幅に軽減され、それによって支持する鉄骨構造もより経済的な設計が可能になる。

同素材は自然光を拡散させながら採り入れることができ、日中の照明使用を低減する。

また、熱の蓄積を抑えることができ、観客の快適性を高めるとともにエネルギー効率向上にも寄与する。

さらに、引張構造や曲面形状を容易に形成できる特性を持ち、構造性能を損なうことなく複雑な建築形態を実現する。

完成後は、2027年にサウジアラビアで開催されるアジア最大のサッカー国際大会の主要会場として試合が行われるほか、FIFAの国際基準を満たす設計により、2034年に予定されるサッカー国際大会では、グループステージから準々決勝までの試合を開催可能なスタジアムとして計画されている。

また、サウジアラビア国内のプロサッカークラブ「アル・カーディシーヤFC」の本拠地としても使用される予定だ。

膜工事は2026年1月から開始し、同年6月から7月の完成を目指して2027年のアジア最大のサッカー大会に向けて準備が進められる。

太陽工業はこれまで、カタールのハリーファ国際スタジアムやアメリカのメルセデスベンツスタジアムなど、世界各国で膜構造スタジアムを手がけてきた。




印刷ページを表示
WRITTEN by

デジコン編集部

建設土木のICT化の情報を日々キャッチして、わかりやすく伝えていきます。

建設土木のICT活用など、
デジコンからの最新情報をメールでお届けします

会員登録

会員登録していただくと、最新記事を案内するメールマガジンが購読できるほか、会員限定コンテンツの閲覧が可能です。是非ご登録ください。