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デジコン編集部 2026.1.20

清水建設、稼働中の「野村ダム」堤体に放流用の穴を貫通。洪水調節能力を増強へ

CONTENTS
  1. 「自由断面掘削機」で既存ダムに風穴
  2. 水圧を遮断する巨大な「蓋」技術
  3. 気候変動への「適応策」として
清水建設は、愛媛県西予市にある野村ダム(国土交通省四国地方整備局管轄)において、既存のダム堤体を削孔し、新たな放流設備を設置するための貫通孔を設けたと発表した。

これは、近年の激甚化する豪雨災害に対応するため、ダムの洪水調節能力を増強する改良工事の一環である。運用中のダム堤体に、トンネル掘削機を用いて大規模な穴を開けるという難工事を、高精度かつ安全に完了させた。

「自由断面掘削機」で既存ダムに風穴


今回貫通したのは、幅・高さ5.4m~9.0m、延長31.5mの放流管設置用トンネルである。

施工には、通常山岳トンネルで使用される「自由断面掘削機」を採用。


一次削孔を行った後、空圧はつり機(スパイキハンマー)で仕上げることで、許容誤差+50mm以内という極めて高い精度での施工を実現した。

これにより、水位を下げた状態(事前放流水位)からでも毎秒500立方メートルの放流が可能となり、洪水調節容量を最大限に活用できるようになる。

水圧を遮断する巨大な「蓋」技術


本工事の最大の課題は、ダム湖に水を貯めたまま(運用しながら)堤体に穴を開ける点にあった。

清水建設は、削孔部への浸水を防ぐため、「扉体(ひたい)ブロック」と呼ばれる巨大な仮締め切り設備(高さ38m)を開発。

(扉体ブロックの設置状況)

工場で製作したブロックを現地でユニット化し、浮力調整を行いながら水中で組み立てて堤体に密着させる工法を採用した。

これにより、従来の潜水作業を大幅に削減し、安全性と品質の向上に成功している。

気候変動への「適応策」として


野村ダムは1982年の完成だが、2018年の西日本豪雨による被害を受け、能力増強が急務となっていた。

気候変動により既存ダムの再生・機能強化のニーズは全国的に高まっており、清水建設は今回の施工で得た知見を活かし、今後も同様のプロジェクトへ技術提案を進める方針だ。




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デジコン編集部

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