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デジコン編集部 2025.10.21

竹中工務店、ソイルセメントの配合割合を30分で測定する技術を開発。蛍光X線分析で施工品質管理を向上

竹中工務店は、建設現場で施工されるソイルセメント中に含まれる土、セメント、水の配合割合を蛍光X線分析法により現場で約30分という短時間で測定可能な技術「ソイルミエール」を開発した。

杭・地盤改良・流動化処理土等の目視出来ない地中の工事における施工品質管理のさらなる向上が可能となる。

従来1週間から1ヶ月要した測定を30分に短縮、早期判定で工程最適化


ソイルセメントとは、土にセメント系固化材と水を加えて混合した改良土を指す。

蛍光X線分析法は、試料にX線を照射し、発生する蛍光X線を測定して元素を分析する手法だ。

建設工事では、軟弱な地盤を強化するため、ソイルセメントを使用する。従来の配合割合の分析では専門機関での測定に1週間から1ヶ月を要していた。

建設現場ごとに土質のばらつきがある中で、現場でより迅速な品質管理を行うべく2021年から開発に着手した。

開発技術は2つの特長を持つ。

第一に、ハンドヘルド型蛍光X線分析装置による測定だ。

小型軽量で元素の質量割合を把握できるハンドヘルド型蛍光X線分析装置を用いて、試料にX線を照射し、発生する蛍光X線を測定してカルシウム量を把握することで、セメント含有量を正確に測定できる。


この手法により、測定環境や試料の状態に左右されにくい安定した分析結果を提供することが可能となる。

第二に、小型装置を用いた試料調整だ。蛍光X線分析では正確な計測結果を得るために、乾燥や粉砕といった試料の調整が必要となる。

本技術では簡単に手運び可能な小型装置を用いて試料の乾燥、粉砕を行いつつ、高い精度で測定可能な手法を開発することで、建設現場でソイルセメントの配合割合を30分程度で測定できるシステムを構築した。

測定の手順は5ステップで構成される。

施工中ソイルセメントから試料土(未固結試料)を採取のうえ、加熱水分計200℃で乾燥させて水分量を測定する。

乾燥試料土を小型ミルで細かく粉砕し加圧成形する。

成形した粉体試料にX線を照射し、カルシウム量を高精度測定する。

カルシウム量の重量割合から乾燥土粒子と固化材量を算出する。

最後に水分量を含めて土粒子・固化材・水分の配合割合を算定する。

期待される効果として、品質管理の向上では、蛍光X線分析によるソイルセメントの配合割合の見える化で、より確実な施工状況の確認が可能となる。

工事効率の向上では、セメントミルクの注入量や施工仕様の合理的な設定、早期判定による工程の最適化が実現する。






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デジコン編集部

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